土曜の夜はモータースポーツで!! 広島TAMADAでナイトジムカーナ開催
2022年9月9日

JAF中国ジムカーナ選手権第5戦が8月20日、スポーツランドTAMADAで夜間走行を盛り込んだナイトジムカーナ形式で開催された。
2022年JAF中国ジムカーナ選手権第5戦
2022年JMRC中国ジムカーナチャンピオンシリーズ第5戦
2022年JMRC全国オールスター選抜第5戦
2022年JMRC中国フレッシュマンシリーズ第5戦
サタデーナイト★フィーバー GYMKHANA
開催日: 2022年8月20日
開催場所: スポーツランドTAMADA (広島市安佐北区)
主催: SLT CLUB
競技会当日の8月20日は土曜日。「サタデーナイト☆フィーバー GYMKHANA」と銘打った今大会は、その名の通り、土曜日の夕刻に競技がスタート。日が暮れてからは、コースの照明によるナイタージムカーナというスケジュールで開催された。
一風変わった趣の競技会だが、開催に至るまでの経緯を競技長の有田光徳氏に伺ったところ、「7月や8月の暑い時期は、競技会の開催が敬遠されがちです。しかし、選手は走りたいのにイベントがない。それならば昼間の炎天下を避けて、涼しくなった夕方から競技をやればいいよね、っていうイベントを始めることにしたんです(笑)」とのこと。
続けて、「実はナイタージムカーナは、一昨年に単発のお祭りイベントとして開催する予定でした。しかし新型コロナの影響でやむなく中止に。そして昨年は中国地区戦の第7戦として開催することにしたのですが、同じく新型コロナの影響で11月に延期しました。ただ、さすがに11月の夜は寒いので(笑)、これは昼間の開催となり、今年ようやく実現できたんです」。
「地区戦のタイトルはかかっていますが、当初予定していた、お祭りイベントのノリで、選手達には楽しんでもらえればと思っています」と有田氏。コロナ禍になってから初めて行動制限が解除された今夏、3年越しでの開催となった。
当日は15時から参加受付が開始され、15時30分から1時間の慣熟歩行。開会式及びドライバーズブリーフィングを経て、17時10分に競技がスタートした。コースは、夜間競技ということで、選手、オフィシャルの視界や競技の進行を考慮したシンプルな設定となった。
とは言え、日の長い西日本。夕暮れ時とはいうものの、第1ヒートは、まだ会場内が明るい内に全車、走行を終了。その後、陽も傾いたヒート間の慣熟歩行時に会場内の照明が点灯。日没時刻が迫る18時40分、ヘッドライトを点灯したゼッケン1番がスタートとなり、第2ヒートから本格的なナイトステージの勝負となった。
明るい第1ヒートからナイターの第2ヒートと、環境が大きく変わる中、今回、最も選手達を悩ませたのが当日の天候。第1ヒート前の慣熟歩行中にゲリラ豪雨ともいえる大粒の雨が降り出し、コースはたちまちヘビーウェット状態に。
幸い競技が始まる頃には雨は止み、時間とともに路面も回復傾向に向かっていたが、第2ヒート中盤から再び滝のような雨が降り出してしまい、競技は一時中断。緊急のドライバーズブリーフィングを行った後、競技は再開となったが、第2ヒートでの逆転を狙っていた後半クラスの選手にとっては、無情の雨となってしまった。


シリーズ上位陣が混戦のT28クラス。過去4戦を終え、ポイントリーダーに立つのは西島公一選手だが、2番手には僅か3ポイント差で野村英貴選手がつけ、その6ポイント後方には乘本佳樹選手、更に2ポイント差で4番手の湊高貴選手と、接戦を展開している。野村選手は今回休戦となったが、上位陣の攻防戦に注目だ。
ウェット路面の第1ヒートで唯一1分01秒台のトップタイムを刻んだのは、シリーズ3番手の乘本選手。今季はまだ勝ち星はなく、ここで1勝を得たいところだ。しかし第2ヒート、路面状況が良くなったことも影響し、ゼッケン2番の高橋一浩選手が1分00秒台に突入し、ベストタイムを更新。競技は仕切り直しとなる。
その後もタイムアップが続き、ターゲットタイムは中盤ゼッケン森田篤選手の58秒165まで更新される。このタイムに挑む後半ゼッケンだが、続くシリーズ5番手の荒木真宏選手は、第1ヒートは3番手に着けていた湊選手ともに58秒台に突入するも及ばす。そして第1ヒートトップの乘本選手はベストタイムを刻むも、痛恨のパイロンペナルティを喫してしまう。
このまま森田選手の逃げ切りかと思われたが、それを許さなかったのがラストゼッケンの西島選手。叩き出したタイムは58秒051と森田選手のタイムを0.11秒上回り、僅差で優勝を決めた。「第2ヒートは、並んでいる間にどんどんタイムアップしてきたので、それも2秒とか3秒、もっとかな。天気の心配もありましたし、今回はとても疲れました(笑)」と言いながらも、安堵の表情を浮かべた西島選手。開幕戦以来の2勝目はチャンピオンに向けての大きな1勝となった。





今シーズンも無敵の速さで開幕から3連勝。前回の第4戦はクラス不成立となったものの、今回勝てば満点チャンピオンが決まるRCクラスのKAZUYA選手。「前回まで、ちょっとした車両トラブルを抱えていたのですが、とりあえず解消したので、この調子が続いてくれればと思っています。今回は四国から乃一(智久)選手も来ていますので、いつもと違った戦いも楽しみですね」と、走行前に語ってくれた。
その及一智久選手は、四国地区でR1クラスにビートで参戦しているドライバー。そして、ウェット路面の第1ヒートでトップタイムを刻んだのは、その乃一選手だった。2番手のKAZUYA選手に0.3秒の差をつけ、暫定トップで折り返す。
続く第2ヒート。T28クラス同様、ドライ区間が多くなった路面で、乃一選手は自己タイムを2.5秒更新してアドバンテージを確保。KAZUYA選手が逆転するには約3秒のタイムアップが必須だが、ここで速さを発揮したのは、やはりKAZUYA選手。一気に4.3秒ものタイムアップを果たし、逆転で優勝を決めた。
「第1ヒートはウェットだったので、ダメだろうなと思ったら、やはりダメでした(笑)。第2ヒートはギリギリ天気が保ってくれたのが良かったですね。もっと雨の練習をしようと思います」と振り返ったKAZUYA選手は、今季4勝目を挙げ、満点チャンピオンも確定した。





RX-7を駆るポイントリーダーの影山幸輝選手を、6ポイント差でスイフトの宮部貴盛選手が追う展開のR2クラス。「ポイントリーダーといっても、有効を考えると崖っぷちです。雨が降ったら勝ち目がないので気分は沈んでますが(笑)、まだ負けたと決まった訳ではないので、精一杯頑張ります」とは、影山選手。今回の順位如何によっては、宮部選手が逆転でシリーズチャンピオンを決めることができるだけに、影山選手にとっては正念場だ。
そして第1ヒート、まだウェットが残る路面でトップタイムをマークしたのは、唯一1分を切る58秒台を刻んだ宮部選手。影山選手は6番手と大きく出遅れてしまう。そしてドライ路面になった第2ヒート、まずベストタイムを塗り替えたのが、ディフェンディングチャンピオン、関西地区から遠征の尾崎則夫選手だった。
「今年は最悪です(笑)。昨年のチャンピオンからシリーズ6番手争いですからね。リズムに乗れませんでした」という尾崎選手は、今回Wエントリーの関係でクラスファーストゼッケンでの走行。ターゲットタイムは56秒台まで更新され、R2クラスも第2ヒート勝負となった。
その後、尾崎選手がトップを保持したまま競技は進行するが、そのタイムを破り、再びトップを奪回したのが宮部選手。注目のラストゼッケン影山選手は自己タイムを3.8秒更新するも、57秒台で3位に終わり、宮部選手が優勝、今季3勝目を挙げた。
「このクルマはTAMADA専用セッティングなので、今回はバッチリ決まりました。最後は少しミスをしましたが、勝てて良かったです。今まで地区戦のチャンピオンを獲れず、“アージェント3軍三等兵”と言われ続けてきましたが、やっと卒業できました(笑)」という宮部選手は、今回の優勝で自身初となる地区戦チャンピオンを確定した。





ポイントリーダーの川上智久選手とシリーズ2番手の佃真治選手の差は僅か2ポイント。チャンピオン争いは、この両選手に絞られてきたR4クラス。第1ヒートをトップで折り返したのは佃選手で、川上選手は0.9秒遅れで2番手につけた。
迎えた第2ヒートだが、これまで何とか持ちこたえていた天候が一気に崩れ、コースはウェットへと変貌。それでも各選手、果敢にタイムアタックを試みるが、佃選手はタイムダウン、川上選手は4輪脱輪でミスコース判定となってしまい、第1ヒートのタイムで佃選手が優勝となった。
「今年初めてのウェット競技だったので、タイヤのグリップ感が分からなくて戸惑いましたが、勝てて良かったです」と今シーズンからGRヤリスで参戦の佃選手。ポイントリーダーに立ち、最終戦で川上選手とのチャンピオン争いに挑む。





今シーズン4戦4勝で、既にシリーズチャンピオンを確定させているのが、PN1クラスの高屋隆一選手。「今年は、自分にとって良い条件で戦えたと思います。若手の選手に早く抜いてもらいたいですね(笑)」と語る高屋選手は、第1ヒートから手加減無しでトップタイムをマーク。そして2番手には、シリーズも2番手につける柏昇吾選手が続いた。
「今回はナイターということで、自分は若手に入ると思いますので(笑)、夜、目が効くことを祈って、高屋選手に一矢報いたいですね」と語っていた柏選手だが、逆転を狙った第2ヒートは無情の雨となってしまい、タイム更新は果たせず。高屋選手が第1ヒートのタイムで逃げ切り、今季5勝目を挙げた。





今季2勝を挙げ、PN2+クラスのポイントリーダーに立っているのは内田敦選手だ。しかし、「前半の2戦は良かったのですが、第3戦、第4戦とリズムに乗れていない感じです。特に第3戦の備北は、第1ヒートできっちりタイムが出せなくて勝てなかったので、反省しないといけないですね」と、やや調子を落としている様子。
その内田選手を11ポイント差で追うシリーズ2番手の石井拓選手は、今シーズンからGR86を投入。「セッティングも徐々に決まってきて、それに伴い、運転も慣れてきました」と、前回の岡山ラウンドで優勝。連勝を果たしてチャンピオン争いを最終戦まで持ち込みたいところだ。
その第1ヒート、唯一56秒台をマークしてトップに立ったのは内田選手だったが、2番手以降も57秒台がひしめき合う接戦となっており、第2ヒートの展開が気になるところだ。しかし、R4クラスから本格的に降り出した雨は、すでに豪雨となっており、逆転はほぼ不可能な状態となってしまう。
結果、やはり全車タイムダウンとなってしまい、内田選手が第1ヒートのタイムで優勝となった。「今回、暗くなった第2ヒートでタイムが出せる自信がなかったので、天候は関係なく、第1ヒートで決めるつもりで走りました」という内田選手は、3勝目を挙げ、シリーズチャンピオンも確定となった。




今季、いまだ勝ち星がないながらも、ポイントリーダーに立っているS2クラスの中田匠選手。「自分のミスで取りこぼしたことが多かったので、今日はきっちり走って、まずは1勝が欲しいですね」と中田選手は意欲を見せる。
続く2番手には今季2勝を挙げている坂本稔和選手が続き、3番手には第2戦の勝者、TARO選手がつけるなど、強敵が迫っているだけに、今回は優勝ポイントを稼いでおきたいところだ。
その第1ヒート、トップから4番手までが0.5秒内にひしめくという接戦を制したのは、中田選手。第2ヒートは、やはり豪雨のため、全車大幅なタイムダウンを余儀なくされ、中田選手が第1ヒートのタイムで優勝となった。「今回は第1ヒートに集中してタイヤの良いところを使えたのが勝因です」と、待望の今季初優勝を得た中田選手。ポイントリーダーの差を守って、最終戦は坂本選手、TARO選手との三つ巴のチャンピオン争いに挑む。





S4クラスはポイントリーダーの藤木拓選手が第1ヒートをトップで折り返したが、第2ヒートになると、深い水たまりが随所にできる路面コンディションになってしまい、藤木選手はコースアウトでクラッシュを喫してしまう。
「第1ヒートの走りが納得できなかったので、第2ヒートは自分なりに満足のいく走りをしようと思ったのですが、やってしまいました」と振り返った藤木選手は、クルマにもダメージを負ってしまったが、第1ヒートのタイムで今季3勝目を挙げ、シリーズチャンピオンも確定させた。





併催のJMRC中国フレッシュマンジムカーナシリーズのFクラスは、平口勝久選手が第1ヒートのタイムで優勝。2位の今山輝選手とのタイム差は僅か0.07秒という僅差での勝利だった平口選手は、表彰式では「第2ヒートの雨に助けられた感じです。今年初めてシーズンを追って、シリーズチャンピオンも獲ることもできました」と喜びのコメントを語った。





2台で争われたATクラスは、第1ヒートはミスコースでノータイムとなってしまった木下裕司選手が、第2ヒートのヘビーウェット路面ではきっちりと走り切り、見事に逆転優勝を決めた。クローズドクラスは、アバルト595を駆る藤岡雅昭選手が優勝となった。



フォト&レポート/友田宏之
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