F1角田裕毅選手、オランダGPの予選は好調も、決勝ではトラブルに泣く

レポート レース

2022年9月8日

2022年のFIAフォーミュラ1世界選手権(F1)に参戦する唯一の日本人ドライバー、アルファタウリの角田裕毅選手。第15戦オランダGPでは予選Q3に進出し、久しぶりのポイント獲得を目指した。しかし、決勝では車両にトラブルが発生、悔しい戦線離脱を余儀なくされた。

2022年FIAフォーミュラ1世界選手権 第15戦
オランダグランプリ

開催日:2022年9月2~4日
開催地:ザントフォールト・サーキット(オランダ・ザントフォールト)

 第15戦オランダGPはザントフォールト・サーキットが舞台。二連覇を目指してドライバーズランキングトップを走る、レッドブルのマックス・フェルスタッペン選手の母国レースということで、初日の金曜日から“オレンジアーミー”と呼ばれる彼のファンが多勢駆けつけ、スタンドはオレンジ一色になっていた。

 角田選手は前戦のベルギーGPでピットレーンスタートから順位を7つ上げてフィニッシュする好走を見せたこともあり、このGPでは久しぶりのポイント獲得への期待も膨らんでいた。

 しかし、フリー走行1回目ではグリップ不足に悩まされ、17番手と後方に沈んだ。フリー走行2回目(FP2)ではセットアップを大きく変更し、ペースを改善。途中から決勝を見据えたロングランのテストを行っていたが、突風を受けて挙動が乱れてしまいコースオフ。グラベルに捕まって赤旗の原因となってしまった。ここまで順調に走行メニューをこなしてきた角田選手だったが、セッション途中で車両を降りることになった。

「FP2のロングランではグリップ不足に苦しみ、突風でコントロールを失ってしまって、残念ながらグラベルに飛び出してしまいました。全体的にフィーリングが完璧ではありませんでしたが、2回のセッションでたくさんのデータを集めることができたので、それらを今夜分析して翌日につなげていきたいと思います」(FP2終了後の角田選手のコメント)。

 気を取り直して臨んだ土曜日のセッション。フリー走行3回目ではトップから約1.6秒差の16番手と、やや遅れをとっていた角田選手。だが、午後の予選では、ここ数戦の鬱憤を晴らすような素晴らしい走りを披露した。

 ザントフォールトは1周のラップタイムが1分11秒~12秒と距離が短いこともあり、タイム差が接近する傾向があるのだが、その中で角田選手はQ1でトップから約0.1秒差の3番手タイムを記録した。Q2ではライバルもタイムを更新してきたこともあり、10番手タイムとなったが、僅差でQ2を突破。久しぶりに予選Q3に進出した。

 Q3ではひとつでも上のポジションを獲得したい角田選手だったが、ライバルも手強く上位グリッドは奪えず。それでも9番グリッドを獲得し、ここ数戦のスターティンググリッドを考えると、大きく改善できたと言える内容だった。

「正直言うと、FP3でのペースを考えたら、Q3に進出できたことには少し驚きました。フリー走行の後、クルマを良い方向に変えて、僕もしっかりとクルマの最大限のパフォーマンスを引き出すことができました。チームが一生懸命やってくれたことが結果として現れ、Q3に進出できました。本当にポジティブなことです」(予選終了後の角田選手のコメント)。

 第6戦スペインGP以来のポイント獲得に大きく近づいた角田選手。しかし、スタートではポジションを2つ落としてしまい、いきなり後手の展開となった。13周目に1回目のピットストップを行い、タイヤをソフトからミディアムに交換した。ここでペースを持ち直して、レース中盤は11番手をキープ。10番手、入賞圏内を走るアルピーヌのエステバン・オコン選手とは大きな差がついていたが、その差を縮めるべく、必死に周回を重ねた。

 角田選手は42周目に2回目のピットストップを行い、ハードタイヤを装着。このまま最後まで走り切るつもりでいたのだが、コースインと同時に角田選手が車両に違和感を訴え、コース脇に車両を停めた。しかし、チームからの指示で再スタートするとピットに向かい、再びタイヤを交換。だが症状は改善されず、コース脇に再び車両を停めて無念のリタイアとなった。

「スタートでポジションをふたつ落としましたが、着実に挽回していき、最後はトップ10圏内でフィニッシュできると考えていました。しかし、残念ながらハードタイヤに交換した後、クルマに何か問題があると感じました。その時はチームが問題を見つけることができず、再び僕をピットに呼び戻しました。でも、まだ何かがおかしいと感じました。無線でやりとりした結果、リタイアしなければなりませんでした。残念な1日でした」(決勝終了後の角田選手のコメント)。

3回のフリー走行では10番手以下の順位だった角田裕毅選手(アルファタウリ)。一転して予選では持ち前の速さを発揮して、第12戦以来のQ3進出を果たした。決勝は車両トラブルでリタイアを喫し、第6戦以来のポイント獲得はまたしても達成ならず。

 そして、優勝争いでは母国凱旋のフェルスタッペン選手がGPを支配した。予選でポールポジションを獲得すると、決勝ではホールショットを決めて着実にリードを築いていくレース運びを披露。

 終盤はメルセデスのジョージ・ラッセル選手が追いすがったが、4秒以上の差をつけてフェルスタッペン選手が今季10勝目を獲得。ドライバーズランキングでも、2番手につけるフェラーリのシャルル・ルクレール選手に100ポイント以上のリードを築いた。

満員御礼となったスタンドの前でポール・トゥ・ウィンを決めて、左手を挙げて歓声に応えるマックス・フェルスタッペン選手(レッドブル)。昨年復活した母国オランダGPを、見事なレース運びで制して二連覇を達成した。
2022年はFIA-F2で奮闘中の岩佐歩夢選手(DAMS)。第12戦ではフリー走行で2番手のタイムを叩き出して好調ぶりを見せつけると、予選は5番手を獲得。スプリントレースでは6位、フューチャーレースでは今季5度目の表彰台となる3位を獲得した。

フォト/Red Bull Content Pool レポート/吉田知弘、JAFスポーツ編集部

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