今季、丸和では最後の関東地区戦。絶好調の鶴岡義広スイフトが、満点チャンピオンを確定!
2022年9月22日

JAF関東ダートトライアル選手権の第7戦が、9月11日、栃木県の丸和オートランド那須で開催された。
2022年JAF関東ダートトライアル選手権第 7戦
JMRC関東ダートトライアルシリーズ
JMRC全国オールスター選抜戦
NDC-TOKYO ダートトライアルスピリット
開催日:2022年9月11日
開催場所:丸和オートランド那須(栃木県那須塩原市)
主催:NDC-TOKYO
今年は全8戦で競われる関東のダートトライアル地区戦も、いよいよラス前の一戦となる第7戦が、9月上旬、栃木県の丸和オートランド那須で開催された。
今年のシリーズは、丸和と、長野のモーターランド野沢で各4戦ずつが行われるという構成。丸和では今季最後の一戦となり、2週間後に野沢でシリーズ最終戦が控える。今回の主催はJAF公認クラブである日本ダットサンクラブ東京(NDC-TOKYO)。関東地区戦は、NDC-TOKYOがシリーズ終盤の一戦を丸和で主催するのが、すっかり恒例となっている。
当日は朝から晴れ間が広がり、終日好天が保たれる絶好のダートラ日和。ドライ路面がキープされたことで、各選手とも第2ヒートでタイムアップするケースが多く、全クラスとも第2ヒートのタイムが優勝タイムとなる、完全な2本目勝負の一戦となった。

コース設定は、スタート後、舗装のストレートを経てグラベルに突入する定番の左回り設定。ただし、その1コーナーを左~右と抜けて一瞬、舗装を横切り、大きくまた左に切った後に、島の間の狭い道を右に抜けていく設定は、地区戦ではこれまで例がないレイアウト。また後半区間では舗装路面でのフルターンも設けられるなど、一筋縄では行かない設定が用意された。

出走23台と今回も一番のエントリー数となったN1500&PN1クラスは、上位7台が1秒の間にひしめく接戦が今回も展開された。優勝を遂げたのは地区戦本格参戦1年目の22歳、佐藤羽琉妃選手。1週間前に福井今庄で開催された全日本ダートトライアル選手権を制して波に乗る、柿澤廣幸選手を約0.1秒差に抑えて激戦区を制した。
これまでの戦績は7位が最上位。初の表彰台をいきなりの優勝で飾った佐藤選手は、第1ヒートもウェットタイヤでぶっちぎりのトップを奪取。第2ヒートは、一転してスーパードライタイヤを履いて再びベストタイムをさらった。
「実はタイヤはウェットとスーパードライしか持っていないので(笑)、2本目はスーパードライに賭けました。タイヤ的に厳しい所では何か所かミスしたので、それでも勝てたのは、それを取り返せるくらい速く走れた所があったのかな、という感じですね。特に後半の左回りの大ヘアピンは乾いていたので、そこで稼げたのかもしれません」と佐藤選手。
千葉県シリーズでダートトライアルを始めたが、オートランド千葉の閉鎖に伴い、昨年は丸和カップに参戦。車両も昨年まで乗っていた初代のHT81Sスイフトから、今年はZC32Sスイフトに乗り換えたが、「81に比べると乗りやすいので、思ったよりも早く乗り慣れたことも良かったと思います。全日本も制した先輩の方々に今回勝てたことは自信になります」と会心の笑顔を見せていた。





PN2&PN3クラスは、開幕5連勝を遂げた鶴岡義広選手が、今回も優勝候補の本命。前戦野沢では、スポット参戦した全日本ドライバーの中島孝恭選手に今季初の敗北を喫したが、丸和ラウンドは完全制覇を狙いたいところだ。
鶴岡選手は第1ヒートで1分44秒655を叩き出して僅差ながらも暫定首位に立ったが、第2ヒートでは86を駆る齊藤孝太選手が1分41秒454を叩き出して一気に優勝ラインを吊り上げる。それでも鶴岡選手は、1分41秒332で再逆転に成功。そのまま逃げ切って6勝目を挙げ、満点チャンピオンを確定させた。
ドライタイヤを履いた際のクルマの動きを改善すべく、セッテイングを変えてきたという鶴岡選手は、「2本目を見据えて1本目からドライタイヤを履いて行ったのが結果的には良かったと思います。ただいつもより散水も多くて難しい路面でしたね。鋭角ターンは苦手なので(笑)、舗装のフリーターンは行き過ぎないように注意しました」と鶴岡選手。
鶴岡選手は、以前はSUGOやエビス等でサーキット走行を楽しんでいたレーシングコース育ちの28歳。CJ4Aミラージュで始めたダートラも、千葉県シリーズから昨年は地区戦にステップアップしてS1クラスに参戦。シリーズ8位の成績を残したが、今季からZC33Sスイフトに乗り換えた。
「スイフトは、千葉県シリーズ時代から僕の走りを見てくれているスマッシュの平塚さんに自分の走りに合わせた仕様で作ってもらったので、最初から走りやすくてミラージュから違和感なく乗り換えられました。ただクルマもドライバーも、まだまだ伸びしろがあると思っていて、特にドライバーは元気が良すぎて大人の走りがまだできていないので(笑)、改善していきたいですね」と来季を見据えていた。





N1クラスは、チャンピオンを争う山﨑純選手と松坂元樹選手の2台を抑えて、島村茂選手が第1ヒートのベストを奪う。第2ヒートでは山﨑選手が1分40秒706で一旦はトップに立ったが、最終ゼッケンの島村選手が、1分40秒137と大きく突き離して再逆転。待望の今季初優勝をさらった。
「2本目は本当はドライタイヤで行くつもりでしたが、チャンピオンを争う二人がスーパードライにするというので僕も合わせました。だから同じタイヤでミスが一番少なかったドライバーが勝つというバトルだったと思いますが、ドライだったらもっといいタイムが出せたと思うので、微妙な所ですね」と島村選手は苦笑い。
「今年は自滅して勝てない大会が続いたので、今回は攻めすぎずにマージンを取って走ろうと思ったのが良かったのかも知れません。砂利の多い所では失敗しましたが、舗装のフルターンではリカバリーできたと思います」と、元ジムカーナドライバーには、今回は打ってつけの設定だったようだ。





N2クラスは若手の西ノ谷駿斗選手が開幕2連勝を飾って、スタートダッシュを決めたが、このクラスの第一人者、影山浩―郎選手が第4戦から3連勝して猛追。今回が天王山の一戦となった。第1ヒートは唯一、1分35秒台をマークした影山選手が制するが、第2ヒートに入ると西ノ谷選手が1分34秒387までベストを塗り替え、最終走者の影山選手の走りを待った。
西ノ谷選手はじめライバル勢がドライタイヤを履く中、第1ヒート同様、ウェットタイヤで臨んだ影山選手は、「路面がどんどん乾いてきてヤバかったけど(笑)、何とかギリギリ、ウェットでも勝てる路面だったと思います」と、1分34秒042でゴール。4連勝を挙げ、1戦を残してタイトルを確定した。
「昼の慣熟の時にまだグチャグチャだったのでウェットに決めたんですが、コースの奥の方は問題ない路面だったし、ゴール側のセクションも完全には掃けてなかったので、ウェットは間違いではなかったと思います。舗装のフリーターンはきっちり落として走ればタイヤはどうでもいいだろう、と(笑)。できれば今日で決めたかったので、ホントに良かったです」と影山選手。最後は、ほっとした表情を見せていた。





S-1クラスも今回は17台がエントリーと、2番目の激戦区となった。このクラスは、V2を狙う名手、小山健一選手が、今季はまだ2勝ながらも、表彰台は4度獲得と言う抜群の安定感でシリーズトップを守っている。
今回は第1ヒートでただ一人、1分40秒切りを果たした向井冬樹選手のアクセラが絶好調で、第2ヒートでも1分36秒897をマーク。シードゼッケン勢に入ってもこのタイムは破られず、アクセラ優勝の期待が高まったが、ラス前ゼッケンの松栄吉彦選手が、1分36秒465を叩き出して、その野望を引き裂いた。
ラストの小山選手は、「ちょっと無理し過ぎた所があって、いつもより抑え切れなかった。フルターンも難しかったですね」と、松栄選手には0.3秒届かず。向井選手のタイムは上回ったが、今回は2番手に甘んじた。
ドライタイヤで臨んだ小山選手に対し、松栄選手は使う予定だったタイヤの山が減り過ぎていたため、急遽、フロントにスーバードライ、リアにドライを履くという“奇襲戦法”に出たが、「僕は4本同じタイヤじゃないと基本ダメなんで、やりたくなかったんですけど、怪我の功名というか(笑)、リアをドライにしたおかげで舗装のフルターンはリアが出てくれてうまく回れました」と、結果オーライの一戦となったようだ。
「1本目に向井選手に3秒も離されたので、2本目の前に、どこで差を付けられたのかを徹底して把握するようにしたんですよ。そのお陰で2本目は、突っ込み過ぎないけど抑え過ぎもしない、ちょうどいい所を狙う走りができました」。
これで前戦に続いて小山選手を抑えての2連勝。「今年はずっとスランプだったんですけど、前戦から考えすぎずに、ともかくアクセルを踏みちぎる走りをしようと開き直ったら勝てるようになりました。何とか脱出できそうです」と手応えを感じた様子だったが、タイトルは小山選手が確定することに。来季のリベンジが期待されるところだ。





S2クラスは、今季すでに3勝を挙げている宮地雅弘選手がタイトルレースをリードしているが、1勝のほか2位を4度獲得しているSam Iijima選手が2番手で喰らいついている。第1ヒートはIijima選手がトップで折り返すが、第2ヒートに入ると、クラス半ばでこの暫定ベストタイムも更新されて、仕切り直しに。
しかしIijima選手は、第2ヒートでも自らのベストを3秒も詰める1分31秒095という快走を披露。結果的に今回のオーバーオールウィンとなるこのタイムで後続を寄せ付けず、快勝。シリーズポイントの有効得点でも今回、3位にとどまった宮地選手を1ポイントながら逆転してトップに立った。
「ドライタイヤでは今までずっと2位だったんですが、初めて勝てました。舗装区間はうまく走れませんでしたが、グラベルは何とかギリギリの走りができました。ドライタイヤのいい所を活かせたのがタイムに繋がったと思います」とIijima選手。最終戦、地元の野沢でタイトル防衛に挑む。





大会のトリを務めたDクラスは、開幕4連勝を決めてすでにタイトルを確定させている星野伸治選手が順調に首位で第1ヒートを折り返す。星野選手のタイムは第2ヒートに入っても更新されなかったが、ラス前の森正選手がこのクラスで初めて1分31秒台に入れてトップに立つ。
再逆転を狙ってスタートした最終ゼッケンの星野選手だったが、何とコース終盤でまさかのコースオフ。ゴールラインは切ったものの、タイム更新はならず、森選手が約1年ぶりとなる勝利を飾った。星野選手は第1ヒートのタイムで2位。満点チャンピオンの達成は最終戦に持ち越されることになった。






フォト&レポート/JAFスポーツ編集部
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