「20th+1」のアニバーサリー大会となったラリー北海道でJN1クラスの勝田範彦/木村裕介組が連覇!

レポート ラリー JAFWIM

2022年9月30日

2021年、初開催から20周年を迎えたラリー北海道は、各種記念イベントを開催する予定だったが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響によりその記念イベントを断念。そして2022年、9月9~11日に開催された全日本ラリー選手権第7戦「RALLY HOKKAIDO」では、改めて「20年+1年」のアニバーサリーイベントも催された。

2022年FIA International Rally
2022年JAF全日本ラリー選手権 第7戦
RALLY HOKKAIDO

開催日:2022年9月9~11日
開催地:北海道十勝地方
主催:AG.MSC北海道

 北海道帯広市の帯広駅前通りではラリーショーやセレモニアルスタートが行われるなど、1年越しの20周年記念イベントが開催されたラリー北海道。このほか、北愛国サービスパークに近い帯広市立川西小学校で、大会に出場するJN1クラスのシリーズランキング上位ドライバーや、帯広警察署、帯広市役所の協力よる交通安全教室も開かれ、ラリーファンはもちろん、地域住民や子供たちにもラリーを応援してもらえるようなイベントで幕を開けた。

 そして前戦の第6戦ラリー・カムイでは、JN2クラスとJN6クラスのチャンピオンが確定し、選手権もいよいよこのラウンドを含めて残り2戦となった。他クラスはこの第7戦と最終戦となる第8戦で雌雄を決することとなる。

 JN1クラスは得点係数の関係で、第8戦の特別規則書が発表された時点でシリーズ2番手の勝田範彦/木村裕介組が、最終戦でヘイキ・コバライネン/北川紗衣組のポイントを上回る可能性がなくなったため、コバライネン/北川組のシリーズチャンピオンが確定。またJN4クラスもラリー北海道のエントリーリストが発表された時点で、このラウンドを欠場した西川真太郎/本橋貴司組のシリーズチャンピオンが確定した。

 ドライコンディションの中で行われた今年のラリー北海道は、ステージによっては前走車が巻き上げた強烈なダストがクルーの行く手をさえぎるシーンも。国内屈指のタフでハードなラリーは、今年も最終SSまで波乱に満ちた展開となった。

帯広中心部の平原通りなどで催されたラリーショーには多くのファンが集い、間近でラリーカーや選手たちと触れ合った。
9月9日にはラリードライバーと大会事務局が、帯広市立川西小学校でラリー北海道交通安全教室を実施。
JN1クラスのドライバーチャンピオンはヘイキ・コバライネン選手、コ・ドライバーチャンピオンは北川紗衣組に確定。またラリー北海道は欠場ながら、JN4クラスのドライバーチャンピオンを西川真太郎選手が、コ・ドライバーチャンピオンを本橋貴司選手が確定させた。

 JN1クラスは、SS2(YAM WAKKA 1)でトップに立った新井敏弘/田中直哉組がSS4(RIKUBETSU LONG 2)までトップをキープするものの、2ループ目となるSS5(YAM WAKKA 2)で勝田/木村組が新井/田中組を逆転。

 初日の最終SSとなるSS7(NUPRIPAKE 2)で後続を一気に12秒近く引き離すことに成功した勝田/木村組は、2日目3本のSSも初日のマージンをしっかりと活かし、今シーズン2勝目を挙げるとともに、昨年に続きラリー北海道を連覇した。

 新井/田中組と奴田原文雄/東駿吾組が最終SSまで争った2位争いは、2日目のオープニングとなるSS8(OTOFUKE REVERSE 1)を制した奴田原/東組が新井/田中組を逆転。SS9(PAWSE KAMUY REVERSE 1)で新井/田中組が0.4秒差まで迫るものの、最終SSでベストタイムをマークした奴田原/東組が、新井/田中組に0.6秒差をつけ、2位入賞を果たした。

 また、ラリー開催前に今シーズンのシリーズチャンピオンが確定したコバライネン/北川組は、初日前半は砂利掻き役、後半はパンクで大きく遅れるなど苦戦続きのラリーとなったが、粘りのラリーを展開してクラス9位完走を果たした。

JN1クラス優勝は勝田範彦/木村裕介組(GR YARIS GR4 Rally)。
JN1クラスの表彰式。左から2位の奴田原文雄/東駿吾組、1位の勝田/木村組、3位の新井敏弘/田中直哉組。

 1台のみの出走となったが、JAFの特認によりクラス成立となったJN2クラスは、グループN仕様のシビックで参戦した小倉雅俊/平山真理組が、「サスペンショントラブルなどさまざまなアクシデントがありましたが、最大目標だった最後まで走り切ることができました」と完走。自身としては2014年以来となるクラス優勝を果たした。

JN2クラス優勝は小倉雅俊/平山真理組(ウエルマーDL WINMAX技研シビックR)。

 今季3勝を挙げている竹内源樹/木村悟士組と、2勝を挙げている山田啓介/藤井俊樹組、1勝を挙げている山本悠太/立久井和子組の3クルーにチャンピオン争いが絞られたJN3クラスは、前戦のラリー・カムイで今季初優勝を挙げた山本/立久井組が、初日トップの長﨑雅志/大矢啓太組を2日目に逆転し、今季2勝目を獲得。シリーズランキングは3番手から2番手に浮上し、逆転チャンピオン獲得に望みをつないだ。

 2位に長﨑/大矢組、3位には北海道出身の加納武彦/横手聡志組が入賞し、シリーズランキングトップの竹内/木村組は、ロングSSで前走車に追いつくなどのアクシデントもあり4位でフィニッシュ。シリーズランキング2番手だった山田/藤井組は5位に終わり、ランキングも3番手に転落となったため、最終戦は竹内/木村組と山本/立久井組の一騎打ちという展開となった。

JN3クラス優勝は山本悠太/立久井和子組(SammyK-oneルブロスYHGR86)。
JN3クラスの表彰式。左から2位の長﨑雅志/大矢啓太組、1位の山本/立久井組、3位の加納武彦/横手聡志組。

 2年連続チャンピオンが確定した西川/本橋組が欠場したJN4クラスは、ベテランの岡田孝一/河本拓哉組が好調。初日7SS中6本のステージでベストタイムをマークすると、2日目はそのマージンをしっかりと活かし切りフィニッシュ。2019年の第5戦モントレー以来となるクラス優勝を飾った。

 2位には、2日目に岡田/河本組を追い上げた香川秀樹/松浦俊朗組が入賞、2日目にレグ得点3点を獲得する速さを見せた古川寛/吉田賢吾組が3位入賞と、表彰台には歴代のチャンピオンドライバーたちが並んだ。

JN4クラス優勝は岡田孝一/河本拓哉組(キーストーンナビゲーターDLスイフト)。
JN4クラスの表彰式。左から2位の香川秀樹/松浦俊朗組、1位の岡田/河本組、3位の古川寛/吉田賢吾組。

 JN5クラスは、小濱勇希/橋本美咲組がSS1(RIKUBETSU LONG 1)からSS3(NUPRIPAKE 1)まで3連続ベストタイムでリードするものの、SS4でアウト側の壁にフロントタイヤをヒットさせたことが原因でドライブシャフトを折損。トップをキープしたまま、痛恨のレグ離脱となった。

 その離脱により、チームメイトの渡部哲成/小藤桂一組がトップに立つものの、SS4後に設定されたサービスのリグループアウトが遅れ、40秒のペナルティが加算。貯金を一気に吐き出すどころか、トップに浮上した大倉聡/豊田耕司組に11.3秒差の2番手にポジションを落としてしまう。

 だが、初日を終えて大倉/豊田組とのタイム差を9.6秒差まで縮めることに成功した渡部/小藤組は、ラリー2日目のSS8で大倉/豊田組を捕えて0.2秒差の再逆転に成功。続くSS9でその差を3.2秒にまで広げることに成功した渡部/小藤組だったが、最終SSとなるSS10(OTOFUKE REVERSE 2)でコースアウトし、無念のリタイア。大倉/豊田組が再びトップの座を取り戻し、今季初優勝を飾った。

 2位に地元出身の若手ドライバー笠原彰人/宗片さおり組が入賞、3位には今年からヤリスに乗り換えた小川剛/梶山剛組がそれぞれ入賞した。また、渡部/小藤組のリタイアにより、今回は4位でフィニッシュした天野智之/井上裕紀子組の9年連続(コ・ドライバーの井上選手は13年連続)のシリーズチャンピオンが確定した。

JN5クラス優勝は大倉聡/豊田耕司組(AISIN GR Yaris CVT)。
JN5クラスの表彰式。左から2位の笠原彰人/宗片さおり組、1位の大倉/豊田組、3位の小川剛/梶山剛組。
JN5クラスのドライバーチャンピオンを天野智之選手が、コ・ドライバーチャンピオンを井上裕紀子選手が確定させた。

 すでに海老原孝敬選手がシリーズチャンピオンを決めているJN6クラス。大ベテランの鷲尾俊一/鈴木隆司組が奮闘。初日に2番手の海老原/原田晃一組を14.9秒引き離すと、2日目もマージンを活かしてしっかりとペースをコントロール。

 2010年の第8戦以来、12年ぶりとなる全日本優勝を飾るととともに、現役最年長優勝記録を大幅に更新する72歳での全日本優勝を果たした。2位には海老原/原田組が入賞、3位にはセッティングに悩まされた中西昌人/有川美知代組がそれぞれ入賞した。

JN6クラス優勝は鷲尾俊一/鈴木隆司組(アストラルDLワコーITZZデミオAT)。
JN6クラスの表彰式。左から2位の海老原孝敬/原田晃一組、1位の鷲尾/鈴木組、3位の中西昌人/有川美知代組。

 国際格式クラスは、後続を大きく引き離した今井聡/高橋芙悠組が昨年に続き連覇を飾った。

 そして全日本に併催された選手権外クラスのオープンクラスは、吉谷久俊/大日方唯子組が2位を大きく引き離して優勝。また北海道で独自のシリーズを展開しているXCRスプリントカップ北海道2022年第6戦は、今季3勝目を挙げたXC-2クラスの番場彬/保井隆宏組がシリーズチャンピオンを確定。XC-1クラスは、兼松由奈/加勢直毅組が今季3勝目を獲得した。

国際格式クラス優勝は今井聡/高橋芙悠組(MITSUBISHI LANCER EVOLUTION X)。
国際格式クラスの表彰式。左から2位の金藤公人/原信義組、1位の今井/高橋組、3位の高橋冬彦/高橋研組。
OP-1クラス優勝は吉谷久俊/大日方唯子組(ランサー)。
OP-1クラスの表彰式。左から2位の伊東太壱/美細津正組、1位の吉谷/大日方組、3位の齋藤糧三/宇野哲也組。
XC-2クラス優勝は番場彬/保井隆宏組(CUSCO YH HILUX Revo)。
XC-1クラス1位は兼松由奈/加勢直毅組(CUSCO DUNLOP Jimny)。
XC-2の表彰式。左から2位の竹岡圭/中田昌美組、1位の番場/保井組、3位の橘礼太/小隅博範組、XC-1クラス1位の兼松/加勢組。

フォト/CINQ、加藤和由、中島正義、山口貴利 レポート/CINQ、JAFスポーツ編集部

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