最終的に65台が出走した恋の浦決戦。JG1では大橋渡選手を逆転した菱井将文選手が久々のタイトル確定!

レポート ジムカーナ

2022年9月30日

全日本ジムカーナ選手権 第7戦「オールジャパンジムカーナ in 九州」が、9月17~18日に福岡県福津市のスピードパーク恋の浦を舞台に開催された。

2022年JAF全日本ジムカーナ選手権 第7戦「オールジャパンジムカーナ in 九州」
開催日:2022年9月17~18日
開催地:スピードパーク恋の浦(福岡県福津市)
主催:TOBIUME、RTCR

 シリーズも残りあと2戦となり、前戦の第6戦ではJG10クラスの山野哲也選手、JG8クラスの小林規敏選手、JG7クラスの若林隼人選手、JG6クラスのユウ選手が今シーズンのチャンピオンを確定させている。残るJG5クラスからJG1クラスの5クラスは、勝負の展開によってはこのラウンドでタイトルの行方が決まる可能性もある。

 今シーズンの大一番となる第7戦は、折しも勢力が最大級と言われる台風14号が、早ければ決勝が行われる18日の午後には九州南部に上陸し、そのまま九州を北上するという予報が出た。そのため、主催者と審査委員会は17日の公開練習後に選手たちを集め、臨時のブリーフィングを開催。

 そこでは、18日に行われる決勝コースの参加受付や慣熟歩行を17日中に行い、18日の決勝第1ヒートの開始時間を1時間早め、予定していた決勝コースよりも距離を短くしたショートコースを採用し、競技終了時間を可能な限り早めることが選手たちに伝えられた。

 しかし、選手の中には台風14号の接近に伴う影響を考慮して、17日土曜の時点で29名が決勝の不参加を表明。そして、18日の決勝当日には10名のドライバーが不出走を決めている(ほかに第2ヒートを走らないという選択をする選手もいた)。暫定エントリーリストでは103台を数えていた今大会だが、最終的には75台の参加、65台の出走により第1ヒートを迎えることになった。

 ショートコースと合わせ、出走台数が当初予定した台数よりも少なくなったこともあり、第2ヒートが終了して全クラスの表彰を終えた時刻が正午前。JG5クラスは台数が2台のため選手権は不成立となったが、残る8クラスはすべて成立し、競技会も全日本選手権として成立することとなった。

ショートコース化されたが、ハイスピードレイアウトの前半セクション、テクニカルレイアウトの後半セクションと、メリハリの利いたレイアウトで争われた。

 JG10クラスは、すでにチャンピオンを決めている山野哲也選手が第1ヒートのタイムで勝負を決め、有効ポイントでも満点となる今季6勝目を獲得。その山野選手は「今回、新たなダンパーを投入し、これまでできなかった深いセッティングができ、パフォーマンスがアップしたことが大きな収穫」と、価値ある勝利を重ねた。

 一方、織田拓也選手が第1ヒートで2番手タイムを刻むものの、第2ヒートは不出走を選択。しかし、再車検を受けることができなかったために再車検不合格となり、3番手タイムの安木美徳選手が繰り上がって2位に入賞した。3位は、第1ヒートでミスコースを喫した古谷知久選手が、第2ヒートでしっかりとリカバリーして入賞した。

JG10クラス優勝は山野哲也選手(EXEDY 12D A110S)。
JG10クラスの表彰式。左から4位の段上泰之選手、2位の安木美徳選手、1位の山野選手、3位の古谷知久選手、5位の角岡隆志選手、6位の殿村裕一選手。

 シリーズ上位選手の多くが不参加となり、中国地区と九州地区からエントリーした選手の対決となったJG8クラスは、第1ヒートは中国地区からエントリーしてきた柏昇吾選手がトップタイムを刻む。だが、第2ヒートは「自分なりに落ち着いてしっかり走れたと思います」という奥山和宏選手が逆転。全日本参戦2戦目で初優勝を獲得した。2位は、奥山選手のチームメイトであり職場も同じ柏選手が入賞、3位は同じく中国地区からエントリーの髙屋隆一選手が入賞した。

JG8クラス優勝は奥山和宏選手(BPFクスコ吉田屋ロードスター)。
JG8クラスの表彰式。左から4位の奥薗圭介選手、2位の柏昇吾選手、1位の奥山選手、3位の髙屋隆一選手、5位の衛藤雄介選手。

 本大会の中で最多エントリーとなったJG7クラスは、第1ヒートでシーズン途中からGR86に乗り換えた西野洋平選手がベストタイムをマーク。だが、第2ヒートは第1ヒートをパイロンタッチで終えた久保真吾選手が、西野選手のタイムを0.005秒上回るベストタイムをたたき出す。西野選手も第2ヒートで果敢に攻めるが、0.098秒タイムダウン。

 久保選手は「第1ヒートが勝負だと考えていたので、第2ヒートは辛いなと思ったんですけど、結果的には路面コンディションがタイヤに合っていたと思います」と、全日本では昨年の恋の浦ラウンド以来1年ぶり、JG7クラスでは初となる優勝を飾った。2位は「今回は久保さんが速かった」という西野選手が入賞、3位には「GR86はまだまだ手探り状態」という天満清選手が入賞した。

JG7クラス優勝は久保真吾選手(DLエリアS阪神・小山組124)。
JG7クラスの表彰式。左から4位の工藤典史選手、2位の西野洋平選手、1位の久保選手、3位の天満清選手、5位の仲川雅樹選手、6位の大坪伸貴選手。

 JG6クラスは、前戦でタイトルを決めたユウ選手が両ヒートともに1分14秒台を刻む走りで、開幕戦からの連勝記録を7に更新。最終戦はシリーズ全勝記録に期待がかかる。2位は、第2ヒートでユウ選手に0.512秒差まで迫った大多和健人選手が入賞。有田光徳選手が今シーズン2回目となる3位に入賞を果たした。

JG6クラス優勝はユウ選手(BSitzzNTLロードスター)。
JG6クラスの表彰式。左から4位の内田敦選手、2位の大多和健人選手、1位のユウ選手、3位の有田光徳選手、5位の片山賢一郎選手、6位の福田裕二選手。

 最終的な出走が2台となり、クラス不成立となったJG5クラス。九州からエントリーの古賀雄一選手と井上直喜選手の地元ドライバーふたりによるGRヤリス対決となった。勝負の行方は2017年から継続的に恋の浦ラウンドに出場する古賀雄一選手に軍配が上がり、全日本初優勝を獲得した。また、JG5クラスは今回の不成立に伴って有効戦数が6戦から5戦になったことにより、決勝を棄権した茅野成樹選手が2年連続となるシリーズチャンピオンを確定させた。

JG5クラス優勝は古賀雄一選手(DL☆RAYS☆GRヤリス)。
JG5クラスの表彰式。左から2位の井上直喜選手、1位の古賀選手。

 シリーズチャンピオンを争う主要メンバーのほとんどが出走したJG4クラスは、第1ヒートで勝負を決めた田中康一選手が今季2勝目を獲得。「シリーズをかき回そうと思って優勝を狙っていたんですが……」と語る服部諒一選手が0.128秒差の2位に入賞。

 シリーズランキングトップの合田尚司選手は「リアタイヤの選択を間違えました」と、3位の結果に。公開練習で好調だった島田昌典選手は4位に終わり、チャンピオン争いは合田選手と田中選手のふたりに絞られることとなった。

JG4クラス優勝は田中康一選手(ADVAN☆RSK☆シビック)。
JG4クラスの表彰式。左から4位の島田昌典選手、2位の服部諒一選手、1位の田中選手、3位の合田尚司選手、5位の橋本克紀選手、6位の表和之選手。
合田選手と田中選手のふたりに絞られたタイトル争いは最終戦で雌雄を決す。

 JG3クラスは、今回が全日本初出場となる23歳の学生ドライバー坂田佳哉選手が、「初めて走るコースなんですけど、同じチームのユウ選手からアドバイスをいただき、しっかりと走り切ることができました」と、両ヒートを制する走りで全日本デビューウィン。競技1年目の学生ドライバーが大金星を挙げた。

 2位には神里義嗣選手が入賞し、シリーズランキング2番手に浮上、3位は小武拓矢選手が入賞した。今大会は西井将宏選手と遠藤貴郁選手、佐野光之選手、澤平直樹選手らタイトルコンテンダーが不出走となったが、第7戦の結果により、チャンピオン争いは西井選手と神里選手、遠藤選手、佐野選手の4名による最終戦勝負となった。

JG3クラス優勝は坂田佳哉選手(YH高岸NTLインテグラ)。
JG3クラスの表彰式。左から4位の野田太一選手、2位の神里義嗣選手、1位の坂田選手、3位の小武拓矢選手、5位の高江淳選手。
タイトルの行方は最終戦へと持ち越しとなり、西井将宏選手、神里義嗣選手、遠藤貴郁選手、佐野光之選手の4名で争われる。

 JG2クラスは、シリーズランキングトップの広瀬献選手と同2番手の若林拳人選手が、決勝当日に不出走を決めている。シリーズ上位2台が不在となる中、シリーズランキング3番手の藤井雅裕選手がしっかりと優勝をつかんだ。藤井選手の全日本優勝は2019年の恋の浦ラウンド以来、3年ぶりとなる。

 2位には第1ヒートをミスコースに終わった葛西悠治選手が入賞、3位には第2ヒートでタイムを縮めてきた野本栄次選手がそれぞれ入賞した。また、シリーズランキングトップの広瀬献選手と同2番手の若林拳人選手が不出走となったため、最終戦を待たずして広瀬選手の2年連続チャンピオンが確定した。

JG2クラス優勝は藤井雅裕選手(BPF☆TY☆マジックRX-7)。
JG2クラスの表彰式。左から4位の町田和雄選手、2位の葛西悠治選手、1位の藤井選手、3位の野本栄次選手、5位の坂本高城選手、6位の岡本泰成選手。

 シリーズの主要メンバーがほとんど出場したJG1クラスは、菱井将文選手が第1ヒートで記録したベストタイムを第2ヒートで津川信次選手が塗り替えてくるが、菱井選手も第2ヒートで再逆転。シリーズランキングトップの大橋渡選手は第2ヒートをパイロンタッチで終わり3位に終わった。これで菱井選手は今シーズン4勝目をマーク。シリーズポイントでも大橋選手を逆転し、2019年以来3年ぶりとなるシリーズチャンピオンを確定させた。

JG1クラス優勝は菱井将文選手(BSレイズ・クスコランサー)。
JG1クラスの表彰式。左から4位の高橋和浩選手、2位の津川信次選手、1位の菱井選手、3位の大橋渡選手、5位の西原正樹選手、6位の飯坂忠司選手。
菱井選手がJG1クラスのチャンピオンを確定させた。

フォト/CINQ、遠藤樹弥、廣本泉 レポート/CINQ、JAFスポーツ編集部

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