レース途中から降り出した雨で波乱! GT500はCRAFTSPORTS MOTUL Zが2勝目、GT300はmuta Racing GR86 GTが13番グリッドから初優勝

レポート レース

2022年9月30日

スーパーGT第6戦が9月17~18日にスポーツランドSUGOで300kmレースとして行われ、序盤から降り出した雨でレースは混乱。この雨を味方につけたCRAFTSPORTS MOTUL Z(千代勝正/高星明誠組)が11番グリッドから優勝を果たし、第3戦鈴鹿以来の2勝目を飾りポイントリーダーに。またGT300クラスは13番グリッドからスタートしたmuta Racing GR86 GT(加藤寛規/堤優威組)が中盤以降独走で、このコンビとして初優勝、GR86としても初優勝を遂げた。

2022 SUPER GT Round6 SUGO GT 300km RACE
開催日:2022年9月17~18日
開催地:スポーツランドSUGO(宮城県村田町)
主催:株式会社菅生、SSC、株式会社GTアソシエイション

 第6戦の舞台は杜の都・仙台郊外のスポーツランドSUGO。真夏の暑さは和らぎ、朝晩は冷えるようになったが、昼間はまだ25度以上で汗をかく陽気。予選日の17日朝に行われた公式練習では晴れたり曇ったりの天候だったが、公式予選が始まる14時30分ころにはすっかり曇ってしまい、やや強い風が吹いた。気温は26度、路面温度は31度で、湿度が高く蒸し暑いコンディションになった。

 Q1ではポイントリーダーの12号車カルソニック IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット組)が14番手となり、Q2進出を決めたのは4台のNSX、3台のスープラ、1台のZ。上位グリッドを決めるQ2では、19号車WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/阪口晴南組)の阪口選手が、19号車として今季4回目、本人は3回目のポールポジションを獲得。

 フロントローには38号車ZENT CERUMO GR Supra(立川祐路/石浦宏明組)と、スープラが並ぶこととなった。3番手は23号車MOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ組)だったが、松田選手の前戦までのモラルハザード防止制度累積点数がペナルティの対象になり、4グリッド降格で7番手スタートとなった。このため3番グリッドは100号車STANLEY NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐組)。以下、17号車Astemo NSX-GT(塚越広大/松下信治組)、39号車DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/中山雄一組)、16号車Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT(笹原右京/大湯都史樹組)が続いた。

 GT300クラスでは、96号車K-tunes RC F GT3(新田守男/高木真一組)がトップタイムをマークしたが、予選後の車検でサクセスウェイトの重量違反となりすべてのタイムが抹消。繰り上がって61号車SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝組)が今季3回目のポールポジションを獲得した。山内選手とBRZはSUGOで4連続のポールという新記録も打ち立てた。

 そしてフロントローには60号車Syntium LMcorsa GR Supra GT(吉本大樹/河野駿佑組)が並び、2列目には87号車Bamboo Airways ランボルギーニ GT3(松浦孝亮/坂口夏月組)、88号車Weibo Primez ランボルギーニ GT3(小暮卓史/元嶋佑弥組)とウラカンが並ぶ。以下、65号車LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/篠原拓朗組)、25号車HOPPY Schatz GR Supra(松井孝允/野中誠太組)と続いた。100kgのウェイトを積むポイントリーダーの56号車リアライズ日産メカニックチャレンジGT-R(藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組)は8番手につけた。

 18日の決勝レースは気温27度、路面温度33度で、今にも雨が落ちてきそうな曇天の14時にパレードラップがスタート。14時5分に84周のレースがスタートした。

 4コーナーで38号車スープラの立川選手がトップに立ち、さらにハイポイントコーナーで100号車NSXの牧野選手が2番手へ順位を上げる。しかし直後の3コーナーでGT300車両によるアクシデントが発生し、いきなりセーフティカー(SC)が導入されるという波乱の幕開けとなった。

 3周完了の時点でレースはリスタート。しかし10周を過ぎたあたりから雨がポツポツと落ちて来て、14周で39号車スープラが最初に動いてレインタイヤに交換。次の周にはトップの38号車スープラ、100号車NSXを含む数台がピットイン。GT300車両も多くピットインしたこともあり、ピットロードは大混雑となった。

 19周目にGT300車両がレインボーコーナーでコースアウトすると、暫定トップの16号車NSXと23号車Zがピットイン。直後にフルコースイエロー(FCY)となり、この2台は大きなマージンを得ることになった。

 FCYが解除されると、トップは38号車スープラで、39号車スープラ、100号車NSX、23号車Zが続く。23号車Zのクインタレッリ選手はミシュランタイヤのレイン性能を生かして、21周目に3番手へ順位を上げると、25周目には2番手、そして27周目の2コーナーでついにトップへ浮上した。さらに11番手スタートだった3号車Zの千代選手も28周目には2番手に浮上。NISMOメンテナンスで同じミシュランタイヤを使う2台が後続を引き離しながらレースをリードすることになった。

 雨は弱くなり路面も一部が乾き出した中盤の44周で、トップの23号車Zがピットインし、交代した松田選手は2番手でコースに復帰。しかしトップに立った3号車Zは路面状況が変わると判断しコースにとどまった。そして50周あたりからタイヤをレインからスリックに交換する車両が出始めた。

 54周で23号車Zがピットインしてスリックタイヤに交換。次の周に3号車Zがピットインして高星選手に交代し、給油とタイヤ交換を行いトップを守ったままコースへ。3号車Zと23号車Zの差は25秒ほど。さらにそこから25秒ほど後方に16号車NSXが走行を続けていた。

 終盤に大きな変化はなく、3号車Zが第3戦鈴鹿以来の2勝目を挙げ、23号車Zが2位でNISMOのZが1-2フィニッシュ。3位は若いコンビがドライブする16号車NSXだった。これで3号車はシリーズ2番手の12号車Zに3.5点差をつけてポイントリーダーに浮上。残り2戦でのチャンピオン争いが面白くなってきた。

11番手スタートからペース良くポジションを上げ、トップに立ったCRAFTSPORTS MOTUL Z(千代勝正/高星明誠組)が築き上げた後続とのマージンを守りながらトップチェッカー。
2位はMOTUL AUTECH Z、3位はRed Bull MOTUL MUGEN NSX-GT。
GT500クラスの表彰式。左から2位のMOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ組)、1位のCRAFTSPORTS MOTUL Z(千代/高星組)、3位のRed Bull MOTUL MUGEN NSX-GT(笹原右京/大湯都史樹組)。

 GT300クラスは、ポールスタートの61号車BRZが雨の量が増えた14周でピットイン。コースにとどまった88号車ランボルギーニの元嶋選手がトップに立ち、2番手は87号車ランボルギーニの坂口選手となった。しかし坂口選手は18周目のレインボーコーナーで曲がりきれずグラベルベッドに直進。これでフルコースイエローとなった。

 この混乱でトップを奪ったのは7号車Studie BMW M4(荒聖治/アウグスト・ファルフス組)のファルフス選手で、11号車GAINER TANAX GT-R(安田裕信/石川京侍組)の安田選手、10号車TANAX GAINER GT-R(富田竜一郎/大草りき組)の大草選手が続いた。

 この3台が28~29周目にレインタイヤに交換するためにピットインすると、代わりにトップへ浮上したのが55号車ARTA NSX GT3(武藤英紀/木村偉織組)。そこへ猛烈に追い上げて来たのが、13番手スタートの2号車GR86の加藤選手だった。

 この2台は同じブリヂストンのレインタイヤを履いていたが、ゴムの硬さ違いからか、2号車GR86の方が圧倒的に速く、わずか4周で10秒も縮めていった。55号車NSXが35周でピットインすると、2号車GR86がトップに立つ。しかも2番手には45秒もの差をつけていた。

 2号車GR86は49周でピットインして堤選手に交代、スリックタイヤに交換した。上位勢がタイヤをスリックに交換する作業がひと段落した50周の時点で2号車GR86がトップで、30秒以上遅れて11号車GT-R、7号車BMW、10号車GT-Rの3台が2番手争いを展開。

 52周目に10号車GT-Rの富田選手が7号車BMWの荒選手をかわして3番手に浮上すると、11号車GT-Rの石川選手に迫るが、ここは同じチームであり無理なバトルはせず。終盤の73周目にはポイントリーダーの56号車GT-Rが4番手に順位を上げ、78周で2号車GR86がトップチェッカーを受けた。

 2号車GR86は加藤/堤組というコンビで初優勝を遂げ、またGR86としても初優勝。そしてブリヂストンタイヤは今季初優勝だった。2位は11号車GT-R、3位は10号車GT-R。56号車GT-Rがポイントリーダーを守り、10号車GT-Rが4点差に迫った。連覇を狙う61号車BRZも7位ゴールでランキング4番手につけている。

ピットインのタイミングを計り、天候の変化にもうまく対応した加藤寛規/堤優威組のmuta Racing GR86 GTが初優勝。またGR86としても初勝利となった。
2位はGAINER TANAX GT-R、3位はTANAX GAINER GT-R。
GT300クラスの表彰式。左から2位のGAINER TANAX GT-R(安田裕信/石川京侍組)、1位のmuta Racing GR86 GT(加藤/堤組)、3位のTANAX GAINER GT-R(富田竜一郎/大草りき組)。

フォト/石原康、遠藤樹弥 レポート/皆越和也、JAFスポーツ編集部

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