最終戦で快勝の今村太亮インテグラが、近畿地区戦初タイトルを確定!

レポート ダートトライアル

2022年10月7日

近畿のダートトライアル地区戦の最終戦が、9月18日、シリーズの主戦場である京都コスモスパークで開催された。

2022年JAF近畿ダートトライアル選手権第6戦
2022年JMRC近畿ダートトライアルチャンピオンシリーズ第6戦
2022年全国オールスターダートトライアル選抜第6戦
2022年JMRC近畿ダートトライアルジュニアシリーズ第6戦
2022ホワイトダートトライアルinコスモス

開催日:2022年9月18日
開催場所:京都コスモスパーク(京都府京都市)
主催:WHITE

 全6戦で争われる近畿地区のダートトライアルは、JAF地方選手権のクラスが6クラス、JMRC近畿ジュニアシリーズとして3クラスが設けられ、全9クラスが設定されている。全6戦とも併催となっており、コースも同じ。走行順による条件は違うものの、ジュニアの選手にとっては地区戦選手とのタイム比較ができ、走りも見られることから有意義な大会となっている。

 その近畿地区の最終戦となる第6戦が、9月18日に京都コスモスパークで開催された。当日は台風14号の接近に伴い、荒れた天候が予想されたが、予想より遅い台風の動きもあって、雨は降らず。風も時折きつく吹く程度だったため、最後までドライ路面が保たれ、結果、第2ヒートのタイムで勝負が決まるという盛り上がった大会となった。

 今回のコースレイアウトは走路がクロスすることがない、ワンウエイの流れるようなレイアウト。一見すると気持ちよく走れるように思われるが、うまくスピードをコントロールし、立ち上がり重視の走りをしないとタイムが上がらないテクニカルな設定だ。ジュニアシリーズと地方選手権併せて6クラスでチャンピオンがまだ決まっておらず、この最終戦で決定する。そんな2022年の集大成にふさわしいコースに74台が挑戦した。

アベレージスピードは高めながら、テクニカルな要素の強いコースレイアウトとなった。

 ジュニアシリーズのJ1500クラスは、すでに岩田直也選手がチャンピオンを決めており、今回勝てば有効4戦すべて優勝の満点チャンピオンが飛び込んでくる。そんな中、岩田選手は第1ヒート、第2ヒートともベストタイムで走り、あっさりと優勝をもぎ取って、見事、満点チャンプに輝いた。岩田選手は大阪大学の学生。今後が期待のできる若きチャンピオンが誕生した。

J1500クラスは岩田直也選手が4戦全勝でシリーズを締め括った。
J1500クラスで優勝し、チャンピオンも確定の岩田選手。
ミラをドライブした長瀬章選手が2位をゲット(左)。藤原尚哉選手が3位を獲得(右)。
J1500クラス表彰の各選手。

 J1クラスは11台の争い。このクラスは京都大学の学生、倉持陣之介選手がシリーズリーダーで、2番手には同じく京大生の能塚義豊選手がつけており、今回の結果で、どちらかがチャンピオンになる。第1ヒートはまず倉持選手がベストタイム。能塚選手は、大阪大学の後藤颯介選手に続く3番手につけた。

 第2ヒートに入り、各車タイムアップする中、能塚選手はよもやのタイムダウンで7位に順位を落とす。一方、倉持選手はこのヒートで2番手に上がった山本祐己選手に2秒以上の差をつけて優勝。チャンピオンに輝いた。

 京大生の速さの秘訣として挙げられるのが、TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムの2期生として、現在フィンランドで修業を積む山本雄紀選手の存在だ。彼も京大自動車部に籍を置いていたドライバーで、当時から頭角を現し、後輩に大きな刺激を与えていた。倉持選手は今後ラリーにも挑戦するとのこと。また一人、近畿から期待の星が生まれた一戦となった。

J1クラスは倉持陣之介選手が3勝目を飾ってタイトルも確定。
J1クラスを制した倉持選手。
山本祐己選手は今季最上位の2位を獲得(左)。笠井敏行選手が3位に入った(右)。
J1クラス表彰の各選手。

 J2クラスは、すでにチャンピオンを決めている上土井康朗選手が、今回もきっちり優勝を果たして満点チャンプを決めた。「2本目は、1本目でミスした所を無理しないで走るという作戦が当たって優勝することができました」と上土井選手。2位には5L-YAGGIINO選手が入賞し、シリーズでも山本裕子選手を逆転して2位をゲットした。

J2クラスは上土井康朗選手がシーズン4勝目をマーク。
J2クラスを制した上土井選手。「2020年にミラージュを転倒させて暫くお休みしていましたが、去年の末にヤリスで復活できました。今年はヤリスに慣れる目的でJ2に参戦しましたが、まさかのシリーズチャンピオンが取れて嬉しいです」と笑顔を見せた。
連勝を狙った5L-YAGGIINO選手だったが、2位(左)。山本裕子選手が3位を獲得(右)。
J2クラス表彰の各選手。

 地方選手権クラスのAE・PNクラスは7台の出走。チャンピオンの可能性は執行信児選手と坂田智選手に絞られていた。結果は両ヒートともベストタイムで走った執行選手が優勝で、チャンピオンも確定させた。

 執行選手は、「2本目の路面が微妙で、タイヤがウェットかドライかで悩む中、自信のあるウェットを選択しましたが、細かなターンでロスをしないよう、きっちり抑えて33スイフトの立ち上がりを生かす走りができました」と勝因を振り返った。2位には久しぶりの銀メダルとなる坂本英彦選手が入賞。坂田選手は4位に甘んじた。

AE・PNクラスは執行信児選手が第4戦以来となる2勝目を獲得してタイトルも確定。「今年からスイフトに乗り替えましたが、初戦は全く乗れず悔しさだけが残りました。でも自分の走りについて、田中自動車の田中社長はじめ沢山の方々にアドバイスを頂いたお陰で、何とかシリーズチャンピオンを獲得できました」と、執行選手は支えてくれた人々とともに勝ち取ったチャンピオンと語った。
坂本英彦選手は2位に入り、今季初表彰台をゲット(左)。西岡章夫選手が3位に入賞(右)。
AE・PNクラス表彰の各選手。

 RWDクラスもチャンピオンがまだ決まっていない。ダートラ歴4年の福田剛選手と、2年連続チャンピオンの千賀達也選手の一騎打ちだ。勝負の第2ヒートでは、福田選手がシフトミスやゴール手前で土手にヒットと大きなミスがあったものの、前半区間の貯金で千賀選手を僅か0.4秒かわして優勝し、チャンピオンも手にした。「ミスもあったのでダメかと思いましたが、勝てて良かった。4年目にしてやっとタイトルが獲れました。でも、これで満足することなく次を目指したいと思います」と、福田選手は喜びの表情を見せながらも、決意を新たにしていた。

混戦のRWDクラスは福田剛選手が開幕戦以来となる勝利を挙げた。
RWDクラスを制してチャンピオンも確定の福田選手。
MR2で孤軍奮闘の千賀達也選手が2位を獲得(左)。イデブロック選手が3位をゲットした(右)。
RWDクラス表彰の各選手。

 Nクラスは、ダイハツ工業のお膝元の近畿地区とあって、ブーンとストーリアが集うクラスになっている。木村剛士、清水孝憲の2選手がタイトル獲得の権利を持って最終戦に臨んだ。第1ヒートはシリーズリーダーの木村選手がベストをマークして、チャンピオンに王手をかけたが、第2ヒートで清水選手が逆転。最終出走の木村選手は僅かに届かず、清水選手の優勝となり、両選手とも有効ポイントが全くの同点でシリーズを終えた。

「昨年の最終戦からブーンに乗り換えましたが、少しずつ慣れてきた結果が3連勝に繋がったと思います」と清水選手。一方の木村選手は、「最後は勝って気持ちよくチャンピオンになりたかったのですが…。自分的にはそれほどミスはしていなかったので、これが現実と受け止め、もっとレベルアップして来年もチャンピオン争いができるよう頑張ります」と、大一番を振り返っていた。

Nクラスは清水孝憲選手が第4戦から3連勝でシリーズを締め括った。
木村剛士選手は逆転を許して悔しい2位(左)。藤嶋義孝選手は3位に入り、今季参戦した4戦全てで表彰台を獲得(右)。
Nクラス表彰の各選手。

 S1クラスも今村太亮選手と眞砂徳亮選手が同ポイントで並び、勝った方がチャンピオン確定というシビれる展開。そんな中、今村選手が両ヒートとも制して完全優勝を飾り、念願のチャンピオンも手にした。

「今シーズンを通して同じドライタイヤを履いたのですが、それが私の走らせ方とマッチしたことが、より良いタイムをコンスタントに出せる結果に繋がったと思います。グリップ力が高いので、特に高速コーナーでのコーナーリングスピードを上げられたことが大きかったと思います」と今村選手。一方の眞砂選手は8位に終わり、がっくりと肩を落としていた。

S1クラスは今村太亮選手が第3戦以来となる2勝目を獲得。
最終戦を制した今村選手はチャンピオンも確定。「モータースポーツ経験がまったくない中、27才で義父とダートラを始めて、約10年を経て地区戦のチャンピオンが獲れました。ここまで一緒に競技に参加して支援を頂いた義父に感謝です」。この日もJ1クラスに参加していた義父、川口晴彦選手の喜んでいた姿も印象的だった。
2位に入った田口都一選手は優勝した開幕戦以来となる表彰台を獲得(左)。人見真弘選手は僅差の3位争いを制した(右)。
S1クラス表彰の各選手。

 S2クラスはすでに矢本裕之選手がチャンピオンを確定させ、今回は欠場したが、参加台数は14台と最多を数えた。第1ヒートは、2年連続でチャンピオンの座についていた藤本隆選手がベストタイムをマーク。シリーズ2位に躍り出るかと思われたが、第2ヒートで寺岡知展選手が大逆転で勝利を収めることに。

 優勝の寺岡選手は、「3月のコスモスの全日本で結果が良かったので、セッティングを変えずに今年は走っていましたが、地区戦の路面になるとトラクションが掛かってなかったので、今回はショックのセッティングを大きく変えたのが、良い方向に行きましたね」と勝因をひとこと。

「1本目は大きなシフトミスがありましたが、フィーリングは良かったので、そのミスだけをしないように2本目を走ったら、オーバーオールウィンのタイムで優勝できました。このクルマは元々は“人見お母さん号”(故人見雅子選手の競技車)なんですが、最後にお母さんがクルマを押してくれたと思います」と、喜びを語ってくれた。

S2クラスは寺岡知展選手が最終戦で今季初優勝を飾った。
今季2勝目を狙った藤本隆選手は2位にとどまった(左)。宇野研三選手は3位に入り、今季は全戦表彰台を確保(右)。
S2クラス表彰の各選手。

 Dクラスはチャンピオンの可能性を残していた上村智也選手のエントリーがなかったことから、出走前にシリーズリーダーの金井宏文選手がタイトルを確定。しかし、うまくはいかず、金井選手は第2ヒートでミッショントラブルからタイムダウン。小川浩幸選手が今季初優勝を飾った。

「今日は正直、路面に助けられました。今年は去年と違い、苦手にしている荒れた路面が多かったのですが、今回は整備されて良い路面だったと思います。1本目に3秒半も金井選手に離されましたが、2本目は、寺岡選手に路面のうねり対策でアドバイスを頂き、減衰を見直して走ったら、数か所シフトミスはありましたが、何とか逆転できました」と、小川選手は寺岡選手に感謝しきりだった。

 2位に甘んじたもののチャンピオンを確定した金井選手は、「悔しいですが、2位で終えて良かったです。昨年はシリーズ途中の転倒で戦線離脱となり、心機一転、ニューマシンで挑んだ今年の序盤は2戦とも3位が続きましたが、その後は2戦連続の優勝と上位入賞で初のチャンピオンを獲ることができました。アドバイスをくれた親父は勿論ですが、応援して頂いた方々に改めて感謝の気持ちとお礼を伝えたいです」と、激動の一年を振り返っていた。

Dクラスでは小川浩幸選手が最終戦で今季初の1勝をゲット。
金井宏文選手は逆転を許し、悔しい2位(左)。岡田誠選手が3位に入賞した(右)。
Dクラス表彰の各選手。
クローズドクラスには3台が挑戦。ハイパワーなランサーを抑えてストーリアの山内笙平選手が第1ヒートのタイムで優勝した。

フォト&レポート/山口貴利

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