十勝で繰り広げられたホットバトルの数々。プロドライバーからアマチュアドライバーまで切磋琢磨!

レポート レース

2022年10月3日

全5戦で争われる十勝スピードウェイの「北海道クラブマンカップレース」の第4戦が、TOYOTA GAZOO Racingの3レースと併せて9月24~25日に開催された。練習走行の行われた金曜日は終日雨で、GR86/BRZ Cupの予選のみ行われた土曜日は降ったり止んだりを繰り返していたのだが、日曜日になると天気は一転! さわやかな青空の下で、すべての決勝レースが行われた。

2022 JMRC北海道レースシリーズ
2022 北海道クラブマンカップレース 第4戦

開催日:2022年9月24~25日
開催地:十勝インターナショナルスピードウェイ クラブマンコース(北海道更別村)
主催:TOSC、MSF株式会社

 土曜日の未明まで雨は降り続いていたものの、TOYOTA GAZOO Racing GR86/BRZ Cup 2022 第3戦プロフェッショナルシリーズの予選が行われるころには、路面の一部にウェットパッチを残すのみとなっていた。それでも、いつまた雨が降り始めてもおかしくない状況下において、序盤にトップをキープし続けたのは冨林勇佑選手だった。

 だが、降ってこいという思いとは裏腹に、路面状態は後半になればなるほど向上していく。ピークを読み違えた冨林選手は6番手に甘んじてしまう。折り返しを過ぎてからは、上位の順位が目まぐるしく入れ替わったが、ラストアタックを完璧に決めて初めてのポールポジションを奪ったのは、FIA-F4にも参戦する伊東黎明選手だった。

「最初、まず1周目にしっかりタイムを出して、そこから雨はもう降らなさそうだったのでピットに入らず、ペースを落としてタイヤに熱を入れ続けながら走り、残り3周でアタックしようと思っていました。それがしっかりハマって良かったです。決勝でもいちばん前で帰って来られるように頑張ります」と伊東選手。

 2番手には井口卓人選手、そして今季初参戦の宮田莉朋選手、佐々木孝太選手とそうそうたるドライバーが背後に続く中での最前列スタートで、果たしてどんなレース展開を伊東選手が見せるのか注目された。

 若干のホイールスピンはあったが、井口選手を抑えて1コーナーに飛び込んでいった伊東選手は、GR86/BRZ Cupでは初めてトップを走るにも関わらず、まったく動じずに周回を重ねていく。2周目、3周目にはファステストラップを連発すると、もはやついていけるのは井口選手だけとなっていた。

 そして「食らいついていって、プレッシャーをかけたかったんですけどね」と言う井口選手さえも引き離していった。その後方で激しく3番手を争っていたのは宮田選手と冨林選手、そして高橋知己選手だった。中盤まではコンマ差で続いていたが、次第に間隔を広げていった宮田選手は、逆に井口選手にも迫る勢いを見せる。

 しかし、「今季初レースで、ドライをまともに走るのは今日が初めてのようなものでしたから、30周あれば絶対に勝っていました(笑)」と宮田選手。実際には井口選手の背後につけるのがやっとではあった。

 その間に逃げ切りを果たした伊東選手は、声を詰まらせながら「去年から出ているんですけど、チームメイトが表彰台を独占したり優勝している中で僕だけ勝てなかったので、それがすごく悔しくて……。今年こそ絶対に勝つと誓っていたので、勝てて本当に良かったです。スタートはちょっと失敗しましたけど、そこからはずっと落ち着いて走れていました。ファステストラップも出せたので、最高です」と語っていた。

GR86/BRZ Cupプロフェッショナルシリーズ優勝は伊東黎明選手(OTG DL GR86)。
GR86/BRZ Cupプロフェッショナルシリーズの表彰式。左から2位の井口卓人選手、1位の伊東選手、3位の宮田莉朋選手。

 プロフェッショナルシリーズより先に予選が行われたTOYOTA GAZOO Racing GR86/BRZ Cup 2022 第3戦クラブマンシリーズは、路面がややセミウェット状態。それでもアタック1~2周目に好タイムを連発していた第2戦のウィナーでもある勝木崇文選手は、早々とピットに戻る余裕さえ見せた。

 その勝木選手のタイムを破ろうと、2番手、3番手につけていた松井宏太選手と菱井将文選手はコースを攻め続けていたが、これが裏目に出てしまう。路面状態の向上を期待し、最後の1周まで我慢していたドライバーが続々とタイムを上げてくる中、タイヤのピークを過ぎていた松井選手は8番手、菱井選手は9番手に留まってしまう。そして最後にタイムを上げてきたドライバーに、なんと勝木選手も。ラスト6分で再びコースインしていたのだ。

「前半でタイムを出せたので、1回ピットに入って調整しました。とりあえず上がる幅があればと思い、もう一発行きました。最初と最後で路面の滑る感じは変わらないように思いましたが、タイムは伸びている感覚がありました。保険のつもりで行きましたが、さらに上がって良かったです」と勝木選手。2番手には元プロ野球選手の山﨑武司選手がつけ、3番手は咲川めり選手が獲得した。

 決勝レースはスタート直後に転倒する車両が出て即赤旗中断。30分ほどの中断の後、セーフティカー(SC)スタートによって再開される。2周の先導の後に切られたリスタートを勝木選手が完璧に決め、わずか1周で約1秒のリードを築く。

 一方、2番手を山﨑選手と咲川選手が激しく争うが、6周目にはふたりの5秒後ろに菱井選手が迫ってくる。次の周には松井選手も菱井選手に続く。9周目、咲川選手はようやく山﨑選手の前に出るも、このバトルは逃げる勝木選手をさらに楽にさせたばかりか、菱井選手と松井選手を一気に近づけさせることに。

 10周目の1~2コーナー間で、まずは菱井選手が山﨑選手をパス。12周目には松井選手も続く。そして菱井選手は続いて咲川選手にも迫るが、最後はコンマ2秒差で逃げられてしまう。だが、その間にもまったく危なげない走りを見せた勝木選手はこれで2連勝。

「楽でした、展開的には。ただただ前を向いて走っていました。前半寄りにセッティングし過ぎたというのもあったんですが、周回を重ねるうちにバランスも良くなって、真ん中あたりでファステストも出せました」と、非常に満足そうな表情で語っていた。

GR86/BRZ Cupクラブマンシリーズ優勝は勝木崇文選手(Star5 ダイシン GR86)。
GR86/BRZ Cupクラブマンシリーズの表彰式。左から2位の咲川めり選手、1位の勝木選手、3位の菱井将文選手。

 TOYOTA GAZOO Racing Yaris Cup 2022 東日本シリーズ第6戦は、ここまで2連勝中で絶好調感もある大森和也選手が、今季2回目のPPを獲得。2番手の大西隆生選手にコンマ7秒の差をつけ、「ドライで走っていないので、この気温でこの季節、どのぐらいのタイム出るのか分かりませんでした。本当にぶっつけ本番のようなものでした。なので、こんなに差がつくとは思っていませんでした。あとはスタートだけ。前回のSUGOが良かったので、その再現ができれば!」と大森選手。

 決勝では課題としていたスタートをしっかり決めてトップからレースを発進。大西選手が出遅れ、後方で島拓海選手や小林伸匡選手らと激しく争い合っていたこともあり、大島選手はオープニングの1周だけで1秒半のリードを築いていた。そのまま逃げ続ける大島選手を追うべく、4周目には2番手の島選手がいったんは小林選手を振り切るも、終盤には再び近づけてしまう。

 難なく逃げ切りを果たした大森選手は「今日はスタート、うまくいきましたね! 今日はポール獲れて、ファステストも獲れたのでフルポイントです。自己評価しても100点に近いかな、と思います。残りは3戦、まだ気は抜けないです!」と気持ちは勝って兜の緒を締めよ、だった。

Yaris Cup優勝は大森和也選手(GB CAMP Yaris)。
Yaris Cupの表彰式。左から2位の島拓海選手、1位の大森選手、3位の小林伸匡選手。
Yaris Cup CVTクラス優勝は近藤希望選手(ジオンTaxGR東京WMYarisCVT)。
Yaris Cup CVTクラスの表彰式。左から2位の三浦康司選手、1位の近藤選手。

 十勝のオリジナルカテゴリー、TS-86/BRZ Raceシリーズ第4戦とN0-Vitz北海道シリーズ第4戦、そしてN1-1000北海道シリーズ第4戦が、初めて3クラス混走で競われた。走りの質が異なるだけに、グリッドが入り混じると厄介かも……と思われたが、そこは排気量の順でしっかり分かれてひと安心。

 最速タイムはTS-86/BRZで記録され、遠征ドライバーのマン太郎選手がPPを奪い、「十勝は昨年、GRのワンメイクレースで走ったんですが、エンジンがブローしちゃって予選すら出ていないんです。雪辱と思ってやって来ましたが、内圧で失敗しちゃって……。あと引っ掛かっちゃったので、まだ1秒は行けたかなと。決勝は楽しみたいと思います」と語る。

 決勝では、そのマン太郎選手が出遅れたのに対し、3番手から好スタートを切った三浦稔呂選手がトップに浮上。しかしこの2台は接触してスピードを鈍らせる。その隙を中村啓選手は見逃してくれなかった。終始マン太郎選手を背後に置く格好の中村選手だったが、ラストスパートはしっかり決めて逃げ、かつてスーパー耐久の常連が地元ドライバーとしての意地を見せることとなった。

「予選はポッと乗りで初転がしみたいなものだったので、あんな感じだったのかなって。決勝では(マン太郎選手を)離せなかったですね、クルマには慣れている方なので細かいところは速かったです。でも、トータルではこのコースを熟知している僕の方が有利でしたね」と中村選手。

 N0-Vitzは、加藤由記選手が予選で山田浩選手に1秒4の差をつけていたが、オープニングの3コーナーで「タイヤが温まり切れていなかったので」とスピンを喫してしまう。しかし、秒単位での差はみるみるうちに詰まり、6周目には逆転に成功。「もっと余裕を持っていけば良かったんですが」と、勝ってなお加藤選手は反省しきりだった。

 N1-1000では、なかむらりょうこ選手が予選でトップ。だが、決勝では藤原広紫選手と酒井正和選手が逃してくれず、三つ巴での激しいトップ争いが繰り広げられた。中盤からは酒井選手が遅れるも、藤原選手のチャージは最後まで激しく、8周目の1コーナーでなかむら選手はかわされてしまう。しかし、まったく諦めなかったなかむら選手は、「最終ラップ、8コーナーで私はイン側にいて、藤原選手とツーワイドで行って、意地で抜きました。焦りました(笑)」と語っていた。

TS-86/BRZ優勝は中村啓選手(DICE・ビクトリー商会86)。
TS-86/BRZの表彰式。左から2位のマン太郎選手、1位の中村選手、3位の長野博選手。
N0-Vitz優勝は加藤由記選手(アッシュランドマーク33Vitz)。
N0-Vitzの表彰式。左から2位の山田浩選手、1位の加藤選手。
N1-1000優勝はなかむらりょうこ選手(NMRサービスVitz)。
N1-1000の表彰式。左から2位の藤原広紫選手、1位のなかむら選手。

 VITA-01北海道シリーズ第4戦では、大島良平選手が佐藤元春選手を1000分の7秒差で抑えてPPを獲得。「最初のうちは遅くコースインした選手が周りにいて、どうしてもアタックできない状況だったので、しばらく様子を見ることにしたんです。最後の方で3周ぐらいクリアが取れてアタックできるようになったんですが、本当にギリギリでした!」と大島選手が語れば、「自分の中では実力を出し切った走りだったので、それより大島選手がいい走りをしただけのことです。決勝ではクリーンなバトルを心がけて、その中で勝っていきたいと思います」と佐藤選手は語っていた。

 期待された大島選手と佐藤選手によるクリーンなバトルだったが、実現せず。というのも、好スタートを決めた大島選手がそのまま逃げ続けてしまったからだ。予選3番手の坂本幸照選手が佐藤選手に続いたが、それも2周目まで。中盤からは上位陣がそれぞれ単独走行となっていた。

 最後は5秒以上の差をつけて2勝目を挙げた大島選手にとって、これが初めてのポール・トゥ・ウィン。「いつも決まらないスタートが、練習した甲斐あって、今日は上手く決まりました。こんなに逃げられたことは今までありませんでした。これでまたポイント差も広がったようですが、まだまだ努力して、もっと速くなれるように頑張ります」と、謙虚に語っていた。

VITA-01優勝は大島良平選手(TBR #778 VITA)。
VITA-01の表彰式。左から2位の佐藤元春選手、1位の大島選手、3位の坂本幸照選手。

フォト/加藤和由 レポート/はた☆なおゆき、JAFスポーツ編集部

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