スーパー耐久シリーズST-Zクラスは最終戦を前に5ZIGEN AMG GT4がチャンピオン確定!

レポート レース

2022年10月28日

10月15~16日に岡山国際サーキットにて開催されたENEOS スーパー耐久シリーズ2022 Powered by Hankook 第6戦「スーパー耐久レース in 岡山」は、グループ1(ST-Xクラス全7台、ST-Zクラス全8台、ST-2クラス全6台、ST-Qクラス2台の計23台)と、グループ2(ST-3クラス全5台、ST-4クラス全4台、ST-5クラス全14台、ST-Qクラス4台の計27台)の2グループに分け、それぞれ3時間レースで競われた。今回、ST-Zクラスで4位フィニッシュした5ZIGEN AMG GT4(大塚隆一郎/太田格之進/金石年弘組)がタイトルを確定させた。

ENEOS スーパー耐久シリーズ2022 Powered by Hankook 第6戦「スーパー耐久レース in 岡山」
開催日:2022年10月15~16日
開催地:岡山国際サーキット(岡山県美作市)
主催:株式会社岡山国際サーキット、AC

 15日の予選は晴れで、気温26度と10月半ばとしては暑いコンディションの下で行われ、A/Bドライバーの合算タイムでグリッドが決まった。今回はST-1クラスのレースがなく、またST-TCRクラスはエントリーがなかった。

 グループ2のポールポジションは、ST-3クラスのTRACYSPORTS RC350TWS(阪口良平/久保凛太郎/水野大組)で、埼玉トヨペットGBクラウンRS(服部尚貴/吉田広樹/川合孝汰組)、raffinee 日産メカニックチャレンジ Z(名取鉄平/富田竜一郎/白坂卓也組)、岡部自動車フェアレディZ34(長島正明/小松一臣/富田自然/元嶋成弥組)、エアバスターWINMAX RC350 55ガレージ TWS(冨林勇佑/伊藤鷹志/石井宏尚組)が続いた。

 ST-4クラスはTOM'S SPIRIT GR86(河野駿佑/松井孝允/山下健太組)が、ST-5クラスは村上モータースMAZDAロードスター(村上博幸/太田達也/山谷直樹組)がクラスポールを獲得している。

 決勝レースは16日朝、気温14度ながら日差しが強い8時30分にフォーメーションが始まったが、ウィリアムズコーナー先で1台の車両がクラッシュ。再び走り始めたが、ヘアピンでストップしたことから、セーフティカー(SC)先導のまま8時33分にスタートとなった。

 4周完了でSCが隊列から離れてバトル開始。ここでST-3クラスのTRACYSPORTS RC350TWSの阪口選手、埼玉トヨペットGBクラウンRSの吉田選手、岡部自動車フェアレディZ34の元嶋選手がトップ争いを展開する。しかし30周目のヘアピンで、埼玉トヨペットGBクラウンRSと岡部自動車フェアレディZ34が接触。岡部自動車フェアレディZ34はコースオフ、埼玉トヨペットGBクラウンRSもタイヤのエア抜けでピットインし、吉田選手から服部選手に交代した。

 そしてフルコースイエロー(FCY)を予想したエアバスターWINMAX RC350 55ガレージ TWSがピットインすると、ドライバー交代中にFCYが導入される。エアバスターWINMAX RC350 55ガレージ TWSは時間をロスすることなく最初のピット作業を終えた。岡部自動車フェアレディZ34の回収には時間がかかり、FCYから33周目にはSC導入となった。埼玉トヨペットGBクラウンRSはトランスポンダーの切り替えができておらずピットインして切り替えた。

 36周目にSCランが終わってバトル再開となると、TRACYSPORTS RC350TWSがピットインして久保選手に交代。これでエアバスターWINMAX RC350 55ガレージ TWS、埼玉トヨペットGBクラウンRS、TRACYSPORTS RC350TWSの順となり、41周目のアトウッドカーブで埼玉トヨペットGBクラウンRSがエアバスターWINMAX RC350 55ガレージ TWSをかわしてトップを奪った。

 47周でエアバスターWINMAX RC350 55ガレージ TWSが2回目のピットインで冨林選手に、51周で埼玉トヨペットGBクラウンRSがピットインして川合選手へ交代した。そして87周目にトップ走行中のTRACYSPORTS RC350TWSがピットインして阪口選手へ交代すると、埼玉トヨペットGBクラウンRSの前でコースへ復帰。88周目の2台のギャップは2秒7で、その差は周回ごとにわずかに縮まっていったが、3時間が経過した95周でチェッカー。TRACYSPORTS RC350TWSが0秒635差という僅差で逃げ切り今季初優勝を果たした。3位はエアバスターWINMAX RC350 55ガレージ TWSだった。

#63 TRACY SPORTSのTRACYSPORTS RC350TWS(阪口良平/久保凜太郎/水野大組)がST-3クラスで優勝。
ST-3クラスの表彰式。左から2位の#52 埼玉トヨペット Green Brave、1位の#63 TRACY SPORTS、3位の#39 TRACYSPORTS with DELTA。

 ST-4クラスはTOM'S SPIRIT GR86がポール・トゥ・ウィンで今季4勝目を挙げ、2位は終盤に順位を上げたシェイドレーシング GR86(石川京侍/国本雄資/山田真之亮組)、3位はWeds Sport GR86(浅野武夫/藤原大暉/石森聖生組)だった。

 ST-5クラスは村上モータースMAZDAロードスターがポール・トゥ・フィニッシュで今季初優勝を決める。2位はOHLINS Roadster NATS(山野哲也/金井亮忠/野島俊哉組)で、3位はTHE BRIDE FIT(伊藤裕士/岡田拓二/見並秀文組)だった。

 なおST-QクラスはTeam SDA Engineering BRZ CNF Concept(井口卓人/山内英輝/廣田光一組)が総合4位、ORC ROOKIE GR86 CNF Concept(蒲生尚弥/豊田大輔/鵜飼龍太組)が総合5位、MAZDA SPIRIT RACING MAZDA2 Bio concept(寺川和紘/井尻薫/関豊組)は総合12位で完走。ORC ROOKIE GR Corolla H2 concept(佐々木雅弘/石浦宏明/MORIZO/小倉康宏組)も5回の給水素で完走した。

#86 TOM'S SPIRITのTOM'S SPIRIT GR86(河野駿佑/松井孝允/山下健太組)がST-4クラスで優勝。
ST-4クラスの表彰式。左から2位の#884 SHADE RACING、1位の#86 TOM'S SPIRIT、3位の#18 浅野レーシングサービス。
#88 村上モータースの村上モータースMAZDAロードスター(村上博幸/太田達也/山谷直樹組)がST-5クラスで優勝。
ST-5クラスの表彰式。左から2位の#72 日本自動車大学校、1位の#88 村上モータース、3位の#4 チームBRIDE。
#61 Team SDA EngineeringのTeam SDA Engineering BRZ CNF Concept(井口卓人/山内英輝/廣田光一組)がグループ2のST-Qクラス1位。
グループ2のST-Qクラスのセレモニー。左から1位の#61 Team SDA Engineering、3位の#55 MAZDA SPIRIT RACING、4位の#32 ORC ROOKIE Racing、2位の#28 ORC ROOKIE Racing、

 グループ1の予選でポールポジションを獲得したのはST-Xクラスのポルシェセンター岡崎 911 GT3R(永井宏明/上村優太/伊藤大輔組)で、フロントローにTKRI松永建設AMG GT3(DAISUKE/元嶋佑弥/中山友貴組)がつけた。

 3番手以下はD'station Vantage GT3(星野敏/藤井誠暢/近藤翼組)、Grid Motorsport AMG GT3(マーティン・ベリー/ショーン・トン/高木真一/山脇大輔組)、HELM MOTORSPORTS GTR GT3(鳥羽豊/平木湧也/平木玲次組)、DENSO LEXUS RC F GT3(永井秀貴/小高一斗/嵯峨宏紀組)、DAISHIN GT3 GT-R(大八木信行/青木孝行/藤波清斗組)の順となった。

 ST-ZクラスはシェイドレーシングGR SUPRA GT4(HIRO HAYASHI/平中克幸/清水英志郎組)、ST-2クラスは新菱オート☆夢住まい館☆DXL☆EVO10(冨桝朋広/菊地靖/大橋正澄組)がポールを獲得した。

 ピットビューイングを挟み、グループ1の決勝レースは気温24度の中、13時33分にスタート。1コーナーまでにTKRI松永建設AMG GT3の元嶋選手がトップを奪い、2番手以下を引き離して独走態勢に持ち込んだ。しかしスタートから20分後にTKRI松永建設AMG GT3とHELM MOTORSPORTS GTR GT3はスタート手順違反(スタート直前に隊列を整えなかった)、Grid Motorsport AMG GT3はジャンプスタートで、ドライブスルーペナルティが科される。

 3台がペナルティを消化すると、D'station Vantage GT3の藤井選手がトップに立ち、ポルシェセンター岡崎 911 GT3Rの永井選手、DENSO LEXUS RC F GT3の嵯峨選手、DAISHIN GT3 GT-Rの青木選手、TKRI松永建設AMG GT3の元嶋選手、Grid Motorsport AMG GT3のベリー選手、HELM MOTORSPORTS GTR GT3の鳥羽選手の順となった。ペナルティを消化したTKRI松永建設AMG GT3の元嶋選手は、30周目にはトップから12秒7差、2番手とは8秒1差の3番手まで順位を上げていた。

 25周目、DAISHIN GT3 GT-Rの青木選手が早めのピットインをして藤波選手に交代したが、35周目には駆動系のトラブルのために緊急ピットイン、ガレージへ入れられてしまった。

 1回目のルーティンピットインは31周目から始まり、トップのD'station Vantage GT3が42周目にピットインを済ませると、TKRI松永建設AMG GT3の中山選手、ポルシェセンター岡崎 911 GT3Rの伊藤選手、D'station Vantage GT3の星野選手、DENSO LEXUS RC F GT3の永井選手、Grid Motorsport AMG GT3の高木選手、HELM MOTORSPORTS GTR GT3の平木玲次選手の順に。

 2回目のルーティンピットインは63周目にDENSO LEXUS RC F GT3が最初に行い、72周目にポルシェセンター岡崎 911 GT3R、Grid Motorsport AMG GT3、74周目にD'station Vantage GT3、82周目にトップのTKRI松永建設AMG GT3が作業を済ませた。

 トップのTKRI松永建設AMG GT3のジェントルマンドライバーであるDAISUKE選手と、2番手のポルシェセンター岡崎 911 GT3Rの上村選手の差は82周目で16秒2あったが、上村選手は周回ごとにその差を縮め、100周目のダブルヘアピン2個目ホッブスコーナーでトップに躍り出た。そして113周までに10秒以上の差をつけ、トップチェッカーを受けて今季初優勝を遂げた。2位は健闘したTKRI松永建設AMG GT3、3位はD'station Vantage GT3だった。

#16 ポルシェセンター岡崎のポルシェセンター岡崎 911 GT3R(永井宏明/上村優太/伊藤大輔組)がST-Xクラスで優勝。
ST-Xクラスの表彰式。左から2位の#23 TKRI、1位の#16 ポルシェセンター岡崎、3位の#777 D'station Racing。

 ST-ZクラスはクラスポールのシェイドレーシングGR SUPRA GT4が、2回目のピットイン/アウト時にピットレーンの速度違反でドライブスルーペナルティを受け、2番手との差が37秒7まで縮まったが、終盤は後続を大きく引き離して開幕戦以来の2勝目を挙げた。

 2位は92周目に順位を上げたAccess HIROSHIMA + GR SUPRA GT4(松田利之/古谷悠河/中村賢明/檜井保孝組)、3位は新たなスポンサーを獲得して継続参戦したHIRIX ★ EIKO GT4(山崎学/坪井翔/野中誠太/細川慎弥組)だった。5ZIGEN AMG GT4(大塚隆一郎/太田格之進/金石年弘組)は表彰台獲得とならなかったが、4位ゴールで今季のST-Zクラスのチャンピオンを確定させた。

 ST-2クラスはKTMS GR YARIS(平良響/荒川麟/奥住慈英組)が今季4勝目。ENDLESS GRヤリス(伊藤黎明/石坂瑞基/花里祐弥/岡田整組)は7秒1差で連勝を逃した。3位は新菱オート☆夢住まい館☆DXL☆EVO10だった。

 ST-QクラスはENDLESS AMG GT4(小河諒/川端伸太朗/谷岡力組)が総合6位でゴール。Nissan Z Racing Concept(田中徹/三宅淳詞/田中哲也組)は総合11位、ST-Zクラスの5位相当で完走した。

 11月26~27日の最終戦鈴鹿では、既にタイトルが確定しているST-Z、TCRクラス以外の6クラスでチャンピオン争いの5時間レースとなる。

#885 SHADE RACINGのシェイドレーシング GR SUPRA GT4(HIRO HAYASHI/平中克幸/清水英志郎組)がST-Zクラスで優勝。
ST-Zクラスの表彰式。左から2位の#111 HIROSHIMA TOYOPET RACING、1位の#885 SHADE RACING、3位の#310 MY CARS CSIRacing。
#225 KTMS KOBETOYOPET MOTOR SPORTSのKTMS GR YARIS(平良響/荒川麟/奥住慈英組)がST-2クラスで優勝。
ST-2クラスの表彰式。左から2位の#13 ENDLESS SPORTS、1位の#225 KTMS KOBETOYOPET MOTOR SPORTS、3位の#6 シンリョウレーシングチーム。
#3 ENDLESS SPORTSのENDLESS AMG GT4(小河諒/川端伸太朗/谷岡力組)がグループ1のST-Qクラス1位。
グループ1のST-Qクラスのセレモニー。左から2位の#244 Max Racing、1位の#3 ENDLESS SPORTS。

■N-ONE OWNER'S CUP Rd.14

 スーパー耐久シリーズ第6戦のサポートレースとして、10月15日には1デイでN-ONEオーナーズカップの第14戦が行われた。43台が挑んだ予選において、最速タイムを記したのは岩間浩一選手。

「良かったです。今日はセッティングも合って、タイヤも温度域がぴったりで、新しく入れたオイルもどんぴしゃりで当たりました。こうなったら決勝はとにかく逃げ切りですね」と語っていたが、GAMISAN選手が1000分の16秒差で続いており、また背後には阿久津敏寿選手や塚原啓之選手ら強豪も控え、そうは容易くないと思われたのだが……。

 決勝では阿久津選手が好スタートを切って、まずはGAMISAN選手をパス。だが、岩間選手を抜くまでには至らず。そしてGAMISAN選手も遅れを取ることなく続いて、1周目を終えた時点で早くも3台でトップグループを形成する。

 レース折り返しのあたりからGAMISAN選手は離れてしまうも、岩間選手と阿久津選手のトップ争いはなおも続き、最終ラップには最接近。だが、要所をしっかり抑えた岩間選手はコンマ3秒差ながらも辛くも逃げ切り、優勝を飾っている。

「最終ラップは少し失敗して……。でも、抑えられる自信はありました。優勝は7月(の鈴鹿で)1回していて、岡山では初めてかも? 今日はクルマがすごく合っていました」と、有言実行の岩間選手。そして4位は、スタートでひとつ順位を上げていた板倉慎哉選手が獲得。鈴鹿スーパーFJの常連が、第9戦の2位以来となる好結果を残していた。

N-ONEオーナーズカップ優勝は岩間浩一選手(HCM☆SUPER☆N-ONE)。
N-ONEオーナーズカップの表彰式。左から2位の阿久津敏寿選手、1位の岩間選手、3位のGAMISAN選手。

フォト/吉見幸夫 レポート/皆越和也、JAFスポーツ編集部

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