今季初優勝の横井昌志選手、自身10勝目を挙げてランキング首位の座を守る!

レポート ドリフト

2022年11月1日

D1グランプリも終盤戦へと突入し、10月22~23日に大分県のオートポリスで第6戦&第7戦が開催された。11月に最終大会を控え、チャンピオン争いもヒートアップの様相を見せた。

2022 D1グランプリシリーズ 第6戦/第7戦「2022 AUTOPOLIS DRIFT」
開催日:2022年10月22~23日
開催地:オートポリス(大分県日田市)
主催:株式会社サンプロス

 第6戦と第7戦の大会の舞台となったオートポリスは、ストレートからの逆走となるレイアウトは例年どおりで、スタート地点やゾーン設定も昨年と同じだった。しかし、今年は単走も追走時に使用される速度調整用のシケインを通過するルールとなったため、進入スピードは昨年よりわずかに落ちる傾向に。そのほとんどが150km/h台で、トップ集団の数名が160km/h台といった状況だ。

 だが、齋藤太吾選手(TMAR)のみが練習走行から180km/h台を連発しており、金曜日の練習走行から注目を集めていた。そして迎えた第6戦の単走予選、なんと第5戦追走優勝の松山北斗選手(TMAR)、そして第4戦追走優勝の目桑宏次郎選手(Freem TEAM G-meister)がともに予選不通過となってしまう波乱でオートポリスラウンドは幕を開けた。

スタート地点から進入右コーナーを望む。オートポリスでのD1GPはかつて、ストレート中央からのスタートで最高速が200km/hを超えた年もあった。
予選終了後にはパドックウォークも実施され、多くの観客で賑わった。

 前戦からエンジンと足回りを大きく変更してオートポリスに乗り込んできた蕎麦切広大選手(SHIBATA RACING TEAM SHIBATIRE)、第6戦では唯一の99点台をマークして単走優勝を飾る。ちなみにこのときの最高速は160km/hを記録。

 そして第7戦でも出走1番手でいきなり99点台を出し(最高速164km/h)、その得点を誰も上回れずに単走連続優勝を遂げた。今回から投入した新コンパウンドのタイヤとのマッチングも良く、「自分が求める理想の走りに近づいた」と好感触を得たようだ。

蕎麦切広大選手のインフィニティQ60の完成度は飛躍的に向上し、単走連続優勝を果たす。VR38改は4.3リットルとなり、ツインタービンをシングルタービン化した。
昨年の奥伊吹ラウンド以来の単走優勝となった蕎麦切選手。安定感のあるドリフトを披露した。
ワイズファブのアームキットも独自のモディファイを施し、前戦のエビスラウンドで陥っていた最大角度での逆関節状態から解放されたそうだ。審判員の飯田章氏もその完成度には興味津々だった。

 今シーズンはこれまで優勝がないまま、ランキング首位をキープしていた横井昌志選手(D-MAX RACING TEAM)。第6戦追走では、昨シーズンの開幕戦以来の待望の勝利を挙げた。これがD1GPで自身10勝目となる。

 予選からミスなく勝ち上がって初優勝目前だった蕎麦切選手を後追いで追い詰め、先行でも懐に入らせなかったあたり、横井選手はベテランの貫禄を見せつけた。なお準決勝でシリーズランキング2番手の中村直樹選手(TMAR×TEAM紫)を倒したことで、横井選手はシリーズチャンピオン獲得にアドバンテージを得た。

単走で好走を見せて追走でも快進撃を続ける蕎麦切選手とのファイナルバトル、横井昌志選手が接近ドリフトで競り勝った。
表彰式でのコメントは奢らず「第6戦を勝つことよりも第7戦を勝つことが重要」とコメントする横井選手。2位は単走優勝の蕎麦切選手、3位には北岡祐輔選手が入った。
ここ数年、大きな変更もなく戦ってきたD-MAX RACING TEAMシルビアだが、ナックルに関しては進化しているとのこと。市販バージョンの開発にもつながっている。装着リアタイヤはナンカンのCR-Sで、浅溝ハイグリップゆえに2周でボウズになるとか。
第6戦の優勝は横井選手、2位は蕎麦切選手、3位は北岡選手、4位は松井有紀夫選手、5位はヴィトー博貴選手、6位は秋葉瑠世選手、7位は中村直樹選手、8位は藤野秀之選手、9位は上野高広選手、10位は川畑真人選手。

 ポイントリーダーとなった横井選手が、まさかの単走敗退となった第7戦。追走で植尾勝浩選手(VALINO)、齋藤選手、中村選手と、対決すべてが歴代チャンピオン経験者というラダーを勝ち抜き、最後に絶好調ルーキーと対決するというドラマチックな展開が用意されたのは川畑真人選手(TEAM TOYO TIRES DRIFT)。

 一方の蕎麦切選手は森孝弘選手(TEAM TOYO TIRES DRIFT)、松山選手、北岡裕輔選手(TEAM MORI)を撃破して決勝戦に進出。ちなみに蕎麦切選手と川畑選手の対戦はこれが3度目となり、これまでは川畑選手の2勝だ。

 ここまでミスなく走行してきた若手の星は、最後の1本(先行)で川畑選手の攻めにプレッシャーを感じたか、ゾーン2でカウンターが戻り大きく減点してしまう。川畑選手が勝利をつかみ、蕎麦切選手は史上39人目のD1ウイナーの座を逃す結果となった。

「このところ印象に残る勝負をしていない」と語る川畑選手。そんな中で最高の状態で今季2勝目を挙げた。これがD1GPでの17勝目で、齋藤選手に並ぶ歴代最多タイとなった。
連続入賞の北岡選手は今季3度目の3位入賞でシリーズランキング4番手に浮上。D1ライツで2013年と2015年のシリーズチャンピオンを獲得し、D1GPに昇格して7年目となり、今や少数派となった4ドア勢で最高位をキープ。
川畑選手はシリーズランキング2番手に浮上し、首位の横井選手との差はわず4ポイント。最終戦エビスラウンドを前に4度目のチャンピオン獲得に向けて弾みがついた。
第7戦の優勝は川畑選手、2位は蕎麦切選手、3位は北岡選手、4位は中村選手、5位は秋葉選手、6位は齋藤選手、7位は松山北斗選手、8位は末永正雄選手、9位は藤野選手、10位は田中省己選手。
シリーズランキング3番手の中村選手は、今季から使っているV8エンジン仕様のシルビアを、これまでの6.3リットルから7.4リットルに変更し、正味1100馬力を発揮。戦闘力は格段に向上したものの、第6戦でオルタネータトラブルにより準決勝リタイア、第7戦でも準決勝でコースアウトによるダメージを時間内に修復できず敗退。
定番となったシーケンシャルドグミッションもクイックチェンジのデフも装備しておらず、戦闘力は低いものの「九州のドリフト界を活性化させたい」と毎年オートポリス戦のみスポット参戦する地元熊本の下田輝昭選手。しかし今回も悲願の予選通過はならず。現在のD1グランプリを戦う上では資金力も必要なことを痛感させられる。

フォト/藤原伸一郎(SKILLD) レポート/川崎隆介(SKILLD)、JAFスポーツ編集部

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