今年の舞台は長野さるくら。関東ジムカーナフェスオーバーオールウィンは、佐藤林ランサーが獲得!

レポート ジムカーナ

2022年11月10日

関東のスラローマー達が一堂に会するJMRC関東ジムカーナフェスティバルが、今年は長野県のさるくらモータースポーツランドで開催された。

2022JMRC関東ジムカーナフェスティバル
N・C・S・Cスーパージムカーナinさるくら

開催日:2022年10月23日
開催場所:さるくらモータースポーツランド(長野県飯田市)
主催:N・C・S・C

 関東地区の各都県シリーズ、JMRCチャンピオンシリーズ、そしてJMRCオールスターシリーズのシーズンを締め括る恒例のイベント、JMRC関東ジムカーナフェスティバルが、10月23日に長野県飯田市の「さるくらモータースポーツランド」で開催された。

 今回で30回目を迎える関東ジムカーナフェスティバル、通称「関フェス」は、毎年、関東各地のジムカーナ場を転戦して開催されるが、さるくらモータースポーツランドが会場となるのは2011年の開催以来、11年ぶり2回目となる。

 都心から約250kmの長野の山間にひっそり佇む、知る人ぞ知るといったサーキットだが、JMRC甲信シリーズの主な開催地となっており、今年は全4戦中3戦が行われ、他にはJMRC関東チャンピオンシリーズは1戦、JMRC関東オールスターシリーズは2戦と、上級イベントのシリーズ戦にも組み込まれているジムカーナコースだ。

 コース内に配置された8つの島の間を縫うように走る、中低速コーナー主体のカートコースで、トップスピードこそ高くないが、ライン取りやスピードコントロールがシビアに要求されるテクニカルコースだ。

 今回はプラカードを持っての入場行進は行われなかったが、前年度地区対抗の優勝カップ返還、続いて開催地区代表のドライバー、小澤正幸選手による選手宣誓、そしてラジオ体操第一と、関フェス恒例行事の後、競技開始となるが、今年は本番走行前に練習走行1本が行われた後に、第1ヒート開始となった。

2011年以来の関東フェスティバル開催となった、長野県飯田市のさるくらモータースポーツランド。
地元長野の小澤正幸選手が選手宣誓。選手達は関東フェス恒例のラジオ体操で体を十分に暖めた後にアタックに臨んだ。
今回のコース図。緩急をつけた走りが求められる、さるくらの特色を生かした設定となった。

 PN1クラスは、今シーズン関東地区戦でチャンピオンを獲得した杉谷伸夫選手が、第1ヒートから好タイムを刻み、トップで折り返す。第2ヒートになってもそのタイムは破られることなく、ラストゼッケンの杉谷選手はウィニングランとなるが、ここでも全く手を緩めることなく、自己タイムを0.5秒更新してのゴール。

「今年は、使用するタイヤが変わったので勉強の1年でした。今回のような気温、路面温度が低い時に走ったことで収穫もありましたし、まだ学びが必要だとも感じました」と語った杉谷選手。地区戦チャンピオンの貫禄を見せる走りで優勝を決めた。

PN1クラスは杉谷伸夫選手が両ヒートともベストタイムを叩き出して優勝。
PN1クラス優勝の杉谷選手。
2位獲得の畑茂選手(左)。高橋史佳選手は3位に入った(右)。

 全日本ドライバー大多和健人選手と、ベテランドライバー小野田了選手の一騎打ちとなったPN2クラス。大多和選手は今シーズン、ロードスターRFで全日本に参戦し、JG6クラスでシリーズ2位を獲得したが、今回は山本拓海選手とのWエントリーでGR86を駆っての走行だ。一方、小野田選手は関東地区戦ではGRヤリス、チャンピオンシリーズはBRZと異なるクルマで2つのシリーズに参戦し、チャンピオンシリーズではタイトルを獲得しているドライバーだ。

 第1ヒート、クラスファーストゼッケンの大多和選手は、早速56秒767の好タイムでゴールするが、パイロンペナルティを取られており5秒加算。小野田選手は大多和選手のペナルティなしのタイムには0.2秒及ばなかったものの、56秒973をマークし、これがターゲットタイムとなる。

 続く第2ヒート。大多和選手は第1ヒートの自己タイムを刻めば小野田選手を逆転できるが、痛恨のタイムダウンとなってしまい、逆転ならず。これで楽な展開になった小野田選手は、56秒488と自己タイムを更新し、大多和選手のペナルティなしのタイムも上回ってのゴールとなったが、今度は小野田選手もパイロンペナルティを喫してしまう。

 しかし後続選手もベストタイムを更新することはできず、小野田選手が逃げ切る形で優勝となった。「さるくらは好きなコースで、過去の勝率も高いです。チャンピオンシリーズの最終戦は入賞圏外でタイトル獲得、という格好悪い決め方をしたので(笑)、シーズン最後に勝てて良かったです」と小野田選手。最後は笑顔のコメントとなった。

PN2クラスでは小野田了選手が、0.047秒という僅差で優勝を飾った。
PN2クラス優勝の小野田了選手。
大多和健人選手は僅かに及ばず、2位(左)。野口弘毅選手が3位に入った(右)。

 PN3クラスは藤田幸児選手と坂本玄人選手が0.1秒以内の接戦を繰り広げた。まず第1ヒートで、58秒103でトップタイムを刻んだのは坂本選手。藤田選手は0.6秒遅れの3番手となるが、スタート直後に大きなタイムロスをしており、第2ヒートに期待がかかる。

 そして第2ヒート、やはり藤田選手は第1中間地点で自己タイムを1秒詰めてクリア。続く第2中間地点もその分更新して通過するが、それでも坂本選手の第1ヒートからは0.4秒の遅れを取る。しかし第3中間タイムで坂本選手を上回り、ゴールタイムは57秒710と、自己タイムを1秒更新してトップに立った。

 藤田選手を追う立場となった坂本選手は、第1、第2中間タイムともに自己タイムを更新。更には第3中間では藤田選手も上回る中間ベストでクリア。再逆転かと思われたが、ゴールタイムは100分の7秒届かず57秒789。第1ヒートのミスを帳消しにする形で藤田選手が優勝となった。

「ギリギリでした(笑)。第1ヒートのミスは良い経験になりましたね。コーナーへのアプローチを色々と考えて走っているのですが、まだ未熟ですね。これからもコーナリングスピードを上げていく走りを追求していきたいです」と、今後の課題を語った藤田選手が、僅差でPN3クラスを制した。

PN3クラスは、藤田幸児選手が、第1ヒートの3位から逆転を決めて優勝。
PN3クラス優勝の藤田選手。
坂本玄人選手は0.079秒届かず、2位に終わった(左)。樫谷達朗選手が3位に入った(右)。

 PN7クラスは、今シーズンのチャンピオンシリーズでは満点チャンピオンを獲得した川島一朗選手が、第1ヒートから頭一つ抜きん出たタイムを叩き出す。第2ヒートではタイムダウンを喫するものの、2位以下に2秒近い差をつけ、優勝となった。「今年は地区戦の方で1勝もできなかったのが残念ですね。走りの方もまだまだ変えなければいけない所が多いので、もっと練習して、来年は地区戦の優勝を目指します」と川島選手。

PN7クラスは2本とも57秒台にタイムを並べた川島一朗選手が快勝。
PN7クラスを制した川島一朗選手。
内田佳延選手が2位を獲得(左)。水落義明選手は3位でゴール(右)。

 出走1台のNTF1クラスはJMRC新潟のジムカーナ部会長、青山誠志選手が無事完走を果たし、優勝となった。「関フェスは27年ぶりに参加しました。部会長という立場でありながら、どうしても出たかったので、他県の部会長さんの許可を得て参加しました(笑)。さるくらを走るのも23年ぶりなので少し戸惑いましたが、とても楽しかったです」と笑顔で振り返った。

NTF1クラスは新潟の大ベテラン、青山誠志選手が優勝。
NTF1クラス優勝の青山選手。

 NTF2クラスは、第1ヒートで56秒台をマークした野﨑裕太選手がトップで折り返す。第2ヒートになると、2番手につけていた長畑年光選手、第1ヒートは大きく出遅れていた市川良平選手も56秒台に突入してくるが、野﨑選手には届かず、それぞれ2位、3位にとどまった。

 ウィニングランとなった野﨑選手は、さらに自己タイムを更新し、55秒台に突入するタイムで優勝となった。「今年は厳しい年でした。チャンピオンシリーズも前半は、なかなか成績が出なくて、地区戦もチャレンジしましたが、ボコボコにやられました(笑)。最後に勝ってシーズンを終えることができたので良かったです」と、優勝で締め括った一年を振り返っていた。

NTF2クラスは、2本目にただ一人、55秒台に叩き入れた野﨑裕太選手が優勝。
NTF2クラス優勝の野﨑選手。
CR-Zで奮闘する長畑年光選手が2位を獲得(左)。市川良平選手は1本目のペナルティを挽回して3位獲得(右)。

 NTR1クラスは、地元の木内イサム選手が第1ヒートから55秒台をマークし、他を寄せ付けない走りで快勝した。「今年、何年かぶりにジムカーナに復活しました。ここは地元なので、今回の関フェスの優勝を目標に頑張ってきたので、良かったです。第2ヒートはもう少しタイムを上げたかったのですが、抑え切れずに攻め過ぎてしまいした(笑)」と、タイムダウンに終るも、目標の関フェス優勝を成し遂げた。

NTR1クラスは今年からジムカーナ復帰の木内イサム選手が、ホームコースで快走を見せて優勝。
NTR1クラス優勝の木内選手。
室澤純一選手が2位を獲得(左)。僅差の3位争いを制した五十田英雄選手(右)。

 NTR2クラスは第1ヒート、小林純選手が56秒979を刻み、トップタイムをマークするが、もう一人56秒台をマークしていたのが地元の山本稔選手。タイム的には小林選手を上回っていたが、パイロンペナルティで下位に沈んでしまったのだ。

 第2ヒートになると、小林選手は0.3秒のタイムアップを果たすも、パイロンペナルティを喫してしまい、第1ヒートのタイムで後続の結果待ちとなる。この隙を逃さなかったのが山本選手。自身の幻のベストタイムをも凌ぐ56秒035を叩き出し、逆転で優勝となった。

「今年はチャンピオンシリーズで、ここ(さるくら)で優勝できて、それがあっての今回だったので、何としても勝つというプレッシャーを自分にかけて挑みました」。第1ヒートのパイロンペナルティというプレッシャーも制し、見事な勝利となった。

NTR2クラスは1本目、ペナルティに泣いた山本稔選手が逆転で優勝。
NTR2クラス優勝の山本選手。
1本目首位だった小林純選手は2位でゴール(左)。選手宣誓の小澤正幸選手が3位を獲得(右)。

 タイヤバリアにフロントをヒットさせながらも第1ヒートのベストタイムを刻んだのが、NT4クラスの市川尚彦選手。市川選手は第2ヒートでも自己タイムを100分3秒更新し、トップを保持するが、そのタイムを塗り替えたのが、ラストゼッケンの佐藤林選手。

 第1ヒートはパイロンペナルティで下位に沈んでいたが、第2ヒートの佐藤選手は、第1中間計測から市川選手に0.9秒もの差をつけて通過。途中、やや失速気味のシーンもあったが、そのアドバンテージを活かし、ゴールタイムは市川選手のタイムを0.3秒更新し逆転で優勝となった。

「第2ヒートはタイムこそ出ましたが、雑な走りになってしまい、決して良い出来ではなかったですね。地区対抗の成績にも絡んでくるので、第1ヒートのペナルティはプレッシャーでした(笑)」と話した佐藤選手だが、好敵手、市川選手を降して勝利を収めた。

NT4クラスでは佐藤林選手が、1本目のベナルティを挽回して優勝。
オーバーオールウィンも決めた佐藤選手。
市川尚彦選手も54秒台でゴールしたが、2位(左)。GRヤリスを持ち込んだ山口栄一選手は3位(右)。

 笹川雄矢選手と徳武銀河選手の2名の参加となったS2クラスは、第1ヒートは両選手ともにペナルティといった波乱の展開となったが、第2ヒートのタイムで徳武選手が優勝。「シーズン中の動画を観て思うところがあったので、今回は新たなセッティングを試した結果、かなり良い手応えも感じました」と徳武選手。収穫を得た一戦だったようだ。

S2クラスは徳武銀河選手が、2本目勝負のホットバトルを制した。
S2クラス優勝の徳武選手。

 関フェスのもう一つの戦いでもある地区対抗戦は、今年は僅差の勝負となった。優勝と2位のタイム差はわずか1000分の2秒。3位までのタイム差も0.1秒という激戦を制したのが、千葉/東京チーム。2位は栃木/茨城チーム、3位が神奈川チームとなり、千葉/東京チームは2年連続の優勝となった。

地区対抗戦は千葉/東京チームが2年連続の優勝を果たした。

フォト&レポート/友田宏之

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