西日本ジムカーナフェスティバルが3年ぶりに四国で復活。窪田竜三インテグラがオーバーオールウィン!

レポート ジムカーナ

2022年11月11日

西日本の精鋭スラローマーが集う恒例のJMRC西日本ジムカーナフェスティバルが、10月22~23日に愛媛県のハイランドパークみかわで開催された。

2022JMRC 西日本ジムカーナフェスティバル in 四国
開催日: 2022年10月22~23日
開催場所: ハイランドパークみかわ ジムカーナコース(愛媛県久万高原町)
主催: TEC、 TEAM S.M.C、 SETOKAZE

 JMRC西日本ジムカーナフェスティバルは、中部以西のJMRCチャンピオンシリーズ、ミドル、ジュニアシリーズの精鋭達が毎年秋に集うイベントだ。コロナ禍により、2年連続で開催が見送られてきたが、今年は3年ぶりに復活となった。

 西日本フェスは、毎年、各地区が持ち回りで主催を受け持つ形となっているが、今年は四国地区が2014年以来の開催を担当した。場所は全日本ジムカーナ選手権の開催でお馴染みの、愛媛県久万高原町のハイランドパークみかわ。元スキー場の駐車場を利用したフルパイロンジムカーナとなる。

 コースの設定の仕方次第で、中高速のレイアウトを採ることも可能だが、ゴール手前にタイトなパイロンセクションが用意されるのも、みかわの定番のひとつで、今回も8の字ターンが最後に設定された。またコースが傾斜しているのも、みかわの特徴のひとつだ。西日本の地区の中では、中国地区が唯一、フルパイロンのジムカーナが開催されていないが、今回はそのハンディをもろともせずに、2人のドライバーが優勝を飾るなど、健闘を見せた。

全日本ジムカーナ選手権でお馴染みのハイランドパークみかわ。全日本ラリー選手権久万高原ラリーの開催時はサービスパークが置かれる。
開会式で選手宣誓を担当したのは、地元の四国高知在住の山﨑聡一選手。巻物に書かれた宣誓文を読み上げて(!!)、久万高原町の河野忠康町長に対して選手宣誓を行った。
今回のコース図。中高速のターンの中にタイトなパイロンセクションが盛り込まれた。

 1500cc以下のB車両及び全ての軽四輪のB車両が対象のB1クラスは、カプチーノが1-2フィニッシュを飾った。優勝は近畿地区の大原秀樹選手で、全国の軽自動車スラローマーが目標としているカプチーノマイスターだ。2番手以下の後続を3秒以上も突き離して、総合でも3位に入る圧巻の走りを見せて優勝をさらった。

「まずまず及第点の走りはできたと思います」という大原選手は今回が、みかわ初走行。「フルパイロンを走れるのが楽しみで参加しました(笑)。姫路や奥伊吹での大会も出ているので、割とフルパイロンは走ってるんですが、よく練習していた北陸の雁が原にグリップ感は似ていましたね。今日はいつもとは違うタイヤを履きましたが、意外と素直に走れました」と、みかわ攻略はしっかり果たせたようだ。

B1クラスは近畿在住で軽自動車のスペシャリスト、大原秀樹選手が快勝した。
山村一真選手が2位に入り、近畿地区が1-2フィニッシュ(左)。地元の土居明生選手が3位に入った(右)。
B1クラス表彰の各選手。

 B2クラスは中国地区の宮部貴盛選手が1分17秒659のタイムで第1ヒートのベストをマークする。しかし第2ヒートに入ると、第1ヒートは4番手だった中部の森下弘之選手が、宮部選手のベストを0.3秒詰めてトップに立った。

 森下選手の暫定ベストは更新されないまま、ラス前の宮部選手のトライとなったが、ここで1分17秒017を叩き出した宮部選手が再逆転に成功する。ラスト、地元四国の堀央尚選手も森下選手のタイムを更新してゴールするが、痛恨のパイロンタッチ。結果的には2ヒートともベストで上がった宮部選手が優勝を飾った。

 現在は中国地区在住ながら、中部、近畿とジムカーナ界を渡り歩いてきた宮部選手は、「実は森下選手とはJMRC中部東海シリーズで戦った仲で、彼の速さは知っているので、迫られるのも想定内でしたが、最後は年の功で勝てましたね(笑)。タイヤと路面の相性が良かったので運よく勝てたと思います」と、安堵の表情を見せていた。

B2クラスは中部地区でジムカーナのキャリアをスタートさせ、現在は広島在住の宮部貴盛選手が優勝。
中部の森下弘之選手は2位までジャンプアップ(左)。四国の堀央尚選手が3位に入賞(右)。
B2クラス表彰の各選手。

 B3クラスはトップ3台が僅か0.16秒の間にひしめくという大接戦となったが、地元四国、選手宣誓の大役を果たした山﨑聡一選手が、第1ヒートの5番手から大逆転で優勝を飾った。「1本目、回れなかった最後の8の字をどうしても回りたかったので、セッティングを大きく変えたんですよ。他のセクションでは動きがピーキーになって、つらかったですけど、最後は気合いで回しました」と山﨑選手。「フルパイロンは好きじゃないので、今日は、よう勝てたなぁ、と思います」と笑顔を見せた。

B3クラスは今年からエキシージを駆る山﨑聡一選手が逆転で優勝。
中部の伊藤雄二選手が地元勢に割って入る2位獲得(左)。今年の四国シリーズで、山崎選手との熾烈なチャンピオン争いを制した仙波秀剛選手は3位にとどまった(右)。
B3クラス表彰の各選手。

 B4クラスは、今年も四国チャンピオンの座を守った山下和実選手が第1ヒートでベストタイムをマーク。第2ヒートでは、中部の杉本季優選手のGRヤリスが、一旦はこの暫定ベストを塗り替えるが、山下選手が0.68秒上回って再逆転。「今年最後のジムカーナで、有終の美を飾れて良かった」と地元の意地を見せた。

B4クラスは山下和実選手が地元の牙城を守って優勝。
中部の杉本季優選手は逆転を果たせず、2位(左)。西原貴志選手が3位に入った(右)。
B4クラス表彰の各選手。

 PN1クラスは、内田憲作選手が1分16秒552で第1ヒート、トップに立つが、四国シリーズでもライバルとして競い合う金森峰史選手が、0.046秒差の2位につける。1分16秒台に入れたのはこの2台だけで、3番手の選手は1分18秒台のタイム。第2ヒートのトップ2のマッチレースが予想されたが、0.7秒のタイムアップを果たした内田選手に対して、金森選手は1本目とまったくの同タイムでゴール。ただ一人、1分15秒台に入れた内田選手が優勝した。

 今季、四国シリーズでは未勝利に終わった内田選手だが、「最終戦でセットを変えたら、手応えがあったので、そのセットで今回は走りました。2本目もタイヤが喰ってくれたのでタイムアップを確信しましたけど、もうちょっと上げたかった(笑)。でも、この週末を通して、いい流れが作れたと思います」と、最後の最後で勝ち取った優勝の味を噛み締めていた。

地元四国勢が1-2フィニッシュのPN1クラスは内田憲作選手が優勝。
金森峰史選手は2位に続いた(左)。中国の森田篤選手が僅差の3位争いを制した(右)。
PN1クラス表彰の各選手。

 PN2クラスの第1ヒートは、クラス3番目の出走となった島根の荒木真宏選手が同じGR86を駆る九州チャンピオンの黒水泰峻選手を約1秒差で従える1分16秒381を叩き出してトップで折り返すが、第2ヒートは痛恨のミスコースでノータイムに終わってしまう。

 その第2ヒートに入ると、まず中国チャンピオンの内田敦選手が大きくタイムを詰めてくるが、1分17秒の壁は破れず。最終ゼッケンの黒水選手も同様に17秒台にとどまったため、荒木選手が第1ヒートのタイムで逃げ切り、大金星を挙げることになった。

 ジムカーナ歴はまだ3年という荒木選手は、今回が人生初のフルパイロンジムカーナだったが、「コースジムカーナよりも、ラインの自由度があるので、今回はともかく速度をどれだけ上げて走れるかを考えて走りました。恐らく、距離は他の選手よりも長く走ってると思います」。地元の中国シリーズでは4位だったダークホースが会心の走りで勝利をさらった。

PN2クラスは山陰島根から、みかわに駆け付けた荒木真宏選手が優勝。
中国地区の名手、内田敦選手は2位にとどまった(左)。九州期待の星、黒水泰峻選手が3位をゲット(右)。
PN2クラス表彰の各選手。

 大会のトリを務めたSA1クラスは、地元四国勢が表彰台を独占する速さを見せた。優勝はインテグラマイスターとして知られる窪田竜三選手で、2本目にマークした1分15秒342でオーバーオールウィンも勝ち取った。

「最後のパイロンは無理しなかったけど、今日は思いっ切りアクセルを踏んで、“突っ込み過ぎずに突っ込む”という走りができました。タイヤもよくグリップしてくれました」と振り返った窪田選手だが、今年はチャンピオンの座を逸した。立ちはだかったのは、今年、全日本ジムカーナ選手権で初のチャンピオンに輝いた田中康一選手。直接対決では一度も勝てなかったが、「今年は田中さんに引っ張られた一年だったと思います」。その成果が、見事に総合ベストという勲章に繋がった一戦となった。

四国地区がポディウム独占のSA1クラスは窪田竜三選手が優勝。
楠瀬浩之選手は2位入賞(左)。シビックで孤軍奮闘の竹下俊博選手が3位に入った(右)。
SA1クラス表彰の各選手。
PN3クラスは1台の出走にとどまったが、近畿のランエボマイスターとして知られる小玉知司選手がGRヤリスで完走を果たして優勝した。
地区対抗戦は地元の四国チームが優勝を飾った。

フォト&レポート/JAFスポーツ編集部

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