丸和で開催のJAFカップダートトライアルは、谷田川敏幸選手が貫禄のオーバーオールウィン!
2022年11月16日
2022年JAFカップオールジャパンダートトライアル/JMRC全国オールスターダートトライアル in 関東が、10月29日(土)から30日(日)にかけて、栃木県那須塩原市郊外の丸和オートランド那須で開催された。
2022年JAFカップオールジャパンダートトライアル
2022年JMRC全国オールスターダートトライアル in 関東
開催日:2022年10月29~30日
開催場所:丸和オートランド那須(栃木県那須塩原市)
主催: ARFA
今シーズンの全日本ダートトライアル選手権第3戦の舞台ともなった丸和には、全国8地区で開催された地方選手権を勝ち上がった16名のチャンピオンドライバーをはじめ、今シーズンの全日本選手権を制した5人のチャンピオンドライバーを含めた122名のドライバーが集結。シーズン最後を締め括る、熱い戦いが各クラスで繰り広げられた。
決勝コースは、スタート後、舗装のストレートを経てグラベルとターマックが混在するS字コーナーを抜け、「象の鼻」や「岬コーナー」など、改修前の丸和時代から残る名コーナーを周回した後、一気に左回りの大ヘアピンへとアプローチする設定。島回り区間に2か所のタイトコーナーはあるものの、全体的にハイスピードなコースがレイアウトされた。
決勝当日の天候は、晴れ模様ではあるものの、山から冷たい風が吹き下ろす秋らしい気候。各ヒート前に行われる散水の影響もあり、各クラスともタイヤ選択に悩むドライバーも多かった。
JAFカップの併催クラスとして設定された4WD1600クラスには、当初4台のエントリーがあったが、前日の公開練習で中部の村瀬辰樹選手がベストタイムをマークしたものの、エンジントラブルのため、決勝出場を断念。決勝では、第1ヒートで北海道の竹花豪起選手が先頭ゼッケンでスタートしていきなり転倒と、波乱の展開となった。
その中、「本州で開催されるダートトライアルに出場するのは、全日本を転戦していた2010年以来」という、北海道の原宴司選手が両ヒートでベストタイムをマーク。かつては、ワークスドライバーとして全日本では1991年から2009年までに13回のチャンピオンを獲得している原選手だが、「僕が知っている頃の丸和とは違いますが、楽しく走ることができました」と、12年ぶりの丸和を満喫した。
JAFカップダートトライアルとしては2018年以来のクラス成立となったWomenクラスは、第1ヒートで全日本を転戦する北海道の森元茜選手がベストタイムをマーク。だが、第2ヒートに入ると、JAFカップ初出場となる同じ北海道の城越明日香選手が、第1ヒートの自己タイムを約8.5秒近く縮めるベストタイムを叩き出す。第1ヒートでトップの森元選手は、自己タイムは縮めるものの、城越選手には約3.5秒届かず、4位にとどまる。
全日本JD11クラスランキング8位の寺田みつき選手が城越選手と同じく1分58秒台にタイムを乗せてくるものの、0.231秒届かず、2位に終わり、「優勝はまったく意識していませんでしたけど、第2ヒートは楽しく走ることができました」という城越選手が、JAFカップ初優勝を果たした。第1ヒートから約11.5秒のタイムアップを果たした関東の平木真砂子選手が3位に入った。
JD11クラスは、全日本チャンピオンの則信重雄選手が第1ヒートのトップタイムを奪うが、第2ヒートは全日本2位の佐藤秀昭選手が逆転。則信選手も第2ヒートでタイムアップを果たすものの、「丸和に苦手意識はないんですが、なかなか勝たせてくれません……」と、佐藤選手のタイムに1.432秒届かず2位。今年の全日本丸和ラウンドを制した佐藤選手が、JAFカップでも則信選手を抑えて優勝を飾った。
全クラスで最多となる18台が出走したJD9クラスは、全日本チャンピオンの工藤清美選手が第1ヒートのトップタイムを奪うものの、第2ヒートは思うようにタイムが伸びず、クラス6位と低迷してしまう。
全日本を転戦する20代ドライバーの奈良勇希選手と徳山優斗選手が1分52秒台で健闘する中、「地元開催なので、優勝を狙っていました」という関東の鈴木義則選手が、クラス唯一となる1分51秒台のタイムで逆転優勝。奈良選手が2位、徳山選手は児島泰選手と同タイムに並んだが、セカンドタイムの差で徳山選手が3位表彰台を獲得した。
JD8クラスは、関東チャンピオンの鶴岡義広選手と全日本2位の中島孝恭選手が、第1ヒートから0.1秒を争う好バトルを展開する。第1ヒートは中島選手に対して約0.8秒差でトップタイムを奪った鶴岡選手は、第2ヒートでもベストタイムを更新。一方の中島選手も、第2ヒートでは再び鶴岡選手のタイムに迫るものの、約0.2秒届かず2位に終わった。
両ヒートを制して、「地元の関東で満点チャンピオン、JAFカップも獲れて嬉しいです」と振り返った鶴岡選手は、JAFカップ初優勝を達成。また、3位には鶴岡選手と同じく関東の大須賀智史選手が入賞し、関東の若手勢が表彰台を奪う速さを見せつけた。
JD7クラスは、前日の公開練習でも好調だったATのBRZを駆る小関高幸選手がベストタイムをマーク。ベストタイム更新ラッシュとなった第2ヒートは、小関選手がさらにベストタイムを更新する。全日本3位の崎山晶選手、全日本チャンピオンの山崎利博選手が小関選手と同じ1分52秒台までタイムを乗せてくるものの、崎山選手は約0.7秒届かず3位、山崎選手も小関選手に約0.4届かず2位にとどまった。
「全日本のシリーズが終わった後も、AT車の可能性を追求するために、走り方やセッティングなど、色々とテストをやってきました。今回、チャンピオンがいる中で優勝できたことは、本当に嬉しいです」という小関選手が、JAFカップ初優勝を果たした。
JD6クラスは、全日本チャンピオンの北條倫史選手が第1ヒートを制する中、第2ヒートではクラス前半ゼッケンを走る関東の大橋邦彦選手がベストタイムを更新してくる。このタイムが後半ゼッケンに入ってもなかなか更新されず、全日本2位の岸山信之選手と北條選手も、中間地点までは大橋選手のタイムを上回ってくるものの、後半のグラベルとターマックがミックスした区間でタイムが伸びず、大橋選手のタイムには届かず。
「ゴールした時は、正直6位以内に入っていればいいかな、と思っていました。きっと、これが最初で最後だと思うので、この思い出を余生まで大事にしていきたいです(笑)」という大橋選手が、無欲のJAFカップ初優勝を果たした。
JD5クラスは、関東チャンピオンの小山健一選手が第1ヒートのベストタイムを奪い、第2ヒートもベストタイムを更新してくるが、第1ヒートはミスが多く、クラス11番手で終えた全日本5位、東北青森の佐藤卓也選手が小山選手のタイムを約1秒更新。
「関東の選手に色々アドバイスをして頂いたお陰で、自分なりに丸和を攻略できたと思います」という佐藤選手が、JAFカップ初優勝を果たした。佐藤選手にアドバイスを送った全日本7位の古沢和夫選手は、0.05秒差にまで迫るも2位。3位には第1ヒート首位の小山選手がそれぞれ入賞した。
JD4クラスは、「丸和はホームコース。ここで負けるわけにはいきません」と前日の公開練習から気合いが入っていた全日本4位の林軍市選手が両ヒートでベストタイムをマーク。「正直、ホッとしています」という林選手が、JAFカップ初優勝を果たした。2位には、林選手に0.584秒差まで迫った関東の宮地雅弘選手が入賞、3位にはその宮地選手と関東地区戦でタイトルを争った末に関東チャンピオンを獲得したSam Iijima選手が入賞した。
JD3クラスは、「全日本の最終戦(タカタ)が消化不良のまま終わってしまったので、最終戦のリベンジに来ました」という、全日本チャンピオンの坂田一也選手が第1ヒートのベストタイムを奪うが、第2ヒートは「今シーズンはなかなか成績が伸びずに苦しんだシーズンでしたが、最後の最後にマシンも復調してくれました」という全日本5位、中国地区の山下貴史選手が逆転。SA車両時代に獲得した2008年以来となるJAFカップ優勝を果たした。2位には坂田選手、3位には全日本7位の深田賢一選手がそれぞれ入賞した。
JD2クラスは、全日本ラウンド最終戦までタイトル争いを展開しながらも、惜しくも2位となった亀田幸弘選手が、両ヒートを制する走りで優勝。全日本のリベンジを果たした。2位には、全日本5位の大西康弘選手が、両ヒートともリヤのドライブシャフトのトラブルに見舞われながらも入賞。3位にはハイスピードコースを攻略した全日本6位の岩下幸広選手が入った。
JD1クラスは、全日本3位の谷田川敏幸選手が、「走りはまだまだ進化してるよ」という言葉通り、両ヒートともクラス唯一となる1分36秒台のタイムをマークし、JAFカップ/オールスターとしては7回目の優勝を獲得。
2位には、地方選手権ではマシントラブルなどのアクシデントが多かった関東の國政九磨選手が、第2ヒートでポジションをひとつ上げる走りを披露し、入賞。3位には、HKS製のD車両をシェイクダウンした全日本4位の田口勝彦選手が入賞した。
フォト/CINQ レポート/CINQ、JAFスポーツ編集部