スーパーフォーミュラ最終戦は、野尻智紀選手が他の追随を許さぬ走りでポールトゥウィン
2022年11月15日
2022年の全日本スーパーフォーミュラ選手権を締め括る第10戦(最終戦)は、前日に2連覇を確定した野尻智紀選手(TEAM MUGEN)が今季6度目のポールポジションから、一度もトップを譲らぬ快走を見せてポールトゥウィン。王者にふさわしい貫禄の勝利でシーズンを締め括った。
第21回 JAF 鈴鹿グランプリ
2022年JAF全日本スーパーフォーミュラ選手権第10戦
開催日:2022年10月30日
開催地:鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)
主催:NRC、SMSC、株式会社モビリティランド
前日の第9戦でタイトルを確定した野尻選手は、その記者会見で、「明日の最終戦は優勝だけを狙って戦いたい」と、この最終戦に向けた意気込みを語っていた。ここまでの9戦で表彰台獲得は7度、最低順位は4位と非常に高いレベルで安定した結果を出していた野尻選手だが、優勝は第2戦富士大会以来遠ざかっていたからだ。
その闘志は、公式予選から発揮される。Q1のB組で出走した野尻選手は、セクター1から最速タイムを記録。前日のQ1自己ベストタイムを上回り、トップでQ2進出を決めると、続くQ2でもさらにスピードを乗せ、堂々のトップタイムで今季6度目のポールポジションを獲得した。
これで通算13度目のポール獲得となった野尻選手だが、これは現役最多タイの記録だ。2番手には宮田莉朋選手(Kuo VANTELIN TEAM TOM'S)が第9戦と同様に並び、3位には大津弘樹選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が入った。
決勝レースは、第9戦の再現かのように野尻選手がスタートダッシュを決めてトップをキープ。その後方は大津選手と4番手スタートの笹原右京(TEAM MUGEN)が1つずつポジションアップを果たした。直後、1コーナーで福住仁嶺選手(ThreeBond Drago CORSE)がコースアウトし、スポンジバリアにヒットしてしまう。
このアクシデントにより、レースはオープニングラップからセーフティカー(SC)が導入。車両回収はすぐに終わり、3周目に入るところでリスタートが切られた。野尻選手と大津選手はうまくレーシングスピードに乗せてリスタートを切ったが、3番手の笹原選手はアンチストールシステムが入ってしまい、失速。宮田選手とその後方にいた坪井翔選手(P.MU/CERUMO・INGING)にかわされてしまった。また、SCラン中に佐藤蓮選手(TEAM GOH)がスピンを喫し、最後尾に下がってしまった。
後続ではこのような混乱があったが、トップの野尻選手は落ち着いた様子で、リスタート後の1周目から2番手の大津選手を1.9秒突き放して見せる快走ぶり。2位以降に対し、常に速いラップタイムで周回し、順調に大津選手との差を広げていった。
10周を完了してピットウィンドウがオープンすると、まずは笹原選手がピットイン。その翌周に大津選手と坪井選手がピットへと向かう。アンダーカットを狙う笹原選手はアウトラップで猛プッシュし、コースに復帰したばかりの坪井選手に襲い掛かるが、13周目のシケインで2台は接触。お互いにマシンにダメージを負ってしまうこととなった。
この2台が接触した直後、同じくシケインで今度は松下信治選手(B-Max Racing Team)とジュリアーノ・アレジ選手(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)が接触。松下選手がクラッシュパッドにぶつかり、2度目のSC導入となった。
このタイミングを利用して、ここまでタイヤ交換のタイミングを引っ張っていた車両たちが一気にピットインし、野尻選手はトップを守ったままコース復帰に成功。宮田選手も野尻選手に続いてコースに戻ったが、ピットロードの出口からコースへと合流するポイントでわずかに大津選手が先行し、2位に大津選手、3位に宮田選手というオーダーで18周目に2度目のリスタートを迎えた。
このリスタートでも野尻選手は大津選手との差を広げ、単独走行ながらオーバーテイクシステム(OTS)も使いながらペースアップ。最後の最後までプッシュの手を緩めることなく31周を走り切り、今季2度目のトップチェッカーを受けた。野尻選手に約7秒引き離されたものの、2位でゴールした大津選手は今季初の表彰台獲得。3位は宮田選手となった。
フォト/石原康、遠藤樹弥、吉見幸夫 レポート/浅見理美