中部近畿ラリー地区戦も最終戦。岩田晃知86が連勝でシリーズを締め括る!
2022年11月18日
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JAF中部近畿ラリー選手権は、10月29~30日の2日間、三重、滋賀両県をラリーフィールドとする「いなべ東近江ラリー2022」が、シリーズ最終戦として開催された。
2022年JAF中部・近畿ラリー選手権 第6戦
2022年JMRC中部ラリーチャンピオンシリーズ 第3戦
2022年JMRC中部ラリーチャレンジシリーズ 第3戦
いなべ東近江ラリー2022
開催日:2022年10月29~30日
開催地:三重県いなべ市、滋賀県東近江市
主催: ON!
全6戦が組まれた今年のJAF中部近畿ラリー選手権は、10月末開催の今回の「いなべ東近江ラリー2022」で最終戦を迎えた。これまで6、7月に開催されてきた同ラリーだが、今年は秋の開催へと変更。紅葉間近い山岳路のステージで熱戦が展開された。
今年も主戦場となったのは、このラリーの名物ステージとして知られる、三重・滋賀県境に跨る石榑(いしぐれ)峠のSSだ。ラリーが始まった当初はSSは三重県側のみに設定されていたが、近年は滋賀県側にもステージが設定され、新たな魅力が加わった。
昨年までは、三重、滋賀それぞれの側から、峠頂上近くまでひたすら駆け上がってゴールという、完全なアップヒルのSSだったが、今年は初めて滋賀県側から上る石榑峠西のSSが、峠を越えて三重県側に下り、さらに数kmを走ってゴールとなる10.22kmのステージに延長された。
午後のセクション2で2回走る石榑峠東はそのほぼ半数の5.16kmとなるため、午前中のセクション1で2回走るこのロングステージが大きな勝負所となった。なお今回はヘッドクォーターやサービスパークが置かれた、いなべ市役所に程近い農道を走る、0.70kmのショートSSもギャラリーSSとして新設され、各セクション1本ずつ走行、2本の林道SSの間にそれぞれ設定された。
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DE-1クラスは、2台のGRヤリスを含む4台によるバトルとなったが、セクション1の2本のロングSSで後続をキロ2秒近くも突き離す快走を見せた廣嶋真/廣嶋浩組のGRヤリスが、全SSベストと奪取と最後まで隙を見せず、第3戦以来のシーズン2勝目を飾った。
昨年まではセリカでDE-2クラスに参戦し、圧倒的な速さを見せてきた廣嶋組だが、昨年のこの大会は不参加(2020年は開催中止)。2019年まではコ・ドライバーを務める父親の浩選手がドライバーを務めていたため、息子の真選手は、ドライバーとしては、初の石榑峠チャレンジとなったが、「コ・ドライバーとして参加して道は知っていたので、まあまあ何とか走り切れました」と振り返った。
「クルマもドライバーもちょっとずつ改善しているのですが、目標としていたオーバーオールウィンが獲れなかった残念です」とも付け加えた真選手は、昨年まではセリカで2リッター4WDターボ勢のDE-1クラスを上回る速さを見せていただけに、逆の立場になって総合ベストが獲れないという所にやや歯がゆさを感じている様子だった。
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DE-1クラスの廣嶋組のGRヤリスを凌ぐスピードを見せたのが、DE-2クラスのトップ2台だった。セクション1で先行したのは、昨年までTRD RALLY CUPを追っていた岩田晃知/山下秀組の86で、昨年のこのラリーのウィナー、松村智/谷内壽隆組のインテグラに8.5秒差をつけて首位で折り返す。
しかしセクション2に入ると松村組が反撃を開始。石榑峠東に転じたSS4では3.3秒差で岩田組を下して、この日初となるベストタイムをマーク。ギャラリーSSのSS5も岩田組と同秒でゴールし、SS4のリピートとなる最終のSS6で逆転を期した。
石榑峠東は昨年も松村組が連続ベストを叩き出して完全制圧したSSとあって、その追撃に注目が集まったが、この勝負所を制したのは岩田組。SS4から3.7秒、タイムを詰めた松村組に対して、岩田組は6.5秒のタイムアップを果たして、このSS、0.8秒差で松村組を振り切り、トータル7.0秒のマージンで逃げ切った。
参戦したシリーズは違えど、このラリー2連覇を果たした岩田選手は、「SS4で負けて、ヒリヒリと感じるものがあったので(笑)、最後のSS6はギアを1段上げました。コ・ドライバーの山下選手と話し合って、SS4の反省を生かしてドライビングを改善できたことがベストに繋がったと思います」と振り返った。
今年はラリーを走る度に順位を上げ、前回の第5戦で遂に初優勝。2連勝でシリーズを締め括った。「タイヤが去年のTRD RALLY CUPで履いていたものから大きく変わったんですが、第4戦あたりからタイヤの使い方が分かってきて、それにドライビングを合わせられるようになったのが大きいと思います」と岩田選手。このクラスは昨年のチャンピオン、山田啓介選手が今年、全日本ラリーでブレイクし、注目を集めるなど、全国的にもレベルは高い。岩田選手の来季以降の活躍が期待されるところだ。
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DE-5クラスは、SS1で富山の冨本諒/里中謙太組のヴィッツが2番手以下を10秒近くも突き離してベストタイムをマーク。一方、開幕戦のウィナーで優勝候補だった福島徳也/鈴木康敬組はリタイヤを喫するなど、波乱のスタートとなる。
SS2ではヴィヴィオを持ち込んだ石黒一暢/軍司浩伸組が、冨本組を0.9秒抑えてベストを獲るが、SS3では冨本組が再び、後続を大差で引き離してこの日、2度目のベスト。セクション2に入ると、石黒組が3連続ベストで盛り返したが、セクション1で開いたビハインドは大きく、冨本組が13.1秒差で石黒組を振り切って、今季初優勝を達成した。
「SS1から行ければ勝機はあると思っていた」という冨本選手は、「凄くチャレンジングな道でしたが、抑える所はしっかり抑えつつも、多少の砂や水がある所は踏んで行きました」と攻めの走りが報われた形だ。2週間前には、岐阜で行われた全日本戦のラリー・ハイランドマスターズにも参戦したが、タイムが伸び悩んだことで逆に得られた経験が今回はセッティングの面で活きたという。
「タイヤについても、ハイランドの2日目で試したフロント、リア別々の組み合わせが手応えがあったので、今回もその組み合わせで走りましたが、1ステでリードできたので、2ステは余裕を持ってタイヤを労わりながら走れましたね」と、約1年ぶりの勝利に安堵の表情を見せていた。
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DE-6クラスも、今季、エクリプスクロスで2勝を挙げるなど注目を集めている揚村悠/笠井開生組がSS1でリタイヤと、波乱の滑り出しとなる。この混乱の中、序盤からトップに立ったのは、2週間前の全日本戦でも速さを見せた南久松奈々/坂井智幸組のヤリスだった。
南久松組はSS1で後続に約20秒の大差をつけてベストを奪い、その後もペースを緩めることなく走り切り、終わってみれば6SSすべてベスト獲得と、まったくライバルを寄せ付けず、待望の今季初優勝を飾った。
チームメイトでもあるDE-5クラス優勝の冨本選手と同じく、南久松選手もラリー・ハイランドマスターズでの経験を勝因に挙げた。「最終日に今までやったことのないセッティングを試したらタイムが出たので、今日もそのセットのまま、走りました。ただドライバーはまだそのセットには慣れてなくて下りは走りづらいんですが、上りは走りやすく感じるので今日もその辺がタイムに繋がったと思います。下りも今回はビビらずに攻められました(笑)」と南久松選手。「ドライバーとしても今一番ピークが来ている感じがあるので、この調子を何とかキープしたい」と、来季を見据えていた。
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今回のラリーではオールスタークラスが特別に設定され、各地区戦を戦う有力ドライバーが全国から集ったが、トップ争いを展開したのは昨年の中四国チャンピオンの長江修平/中岡和好組と、同じく昨年の中部近畿チャンピオン、大江毅/田中大貴組の2台だった。
今年の中部近畿地区戦DE-2クラスの開幕戦でシトロエンDS3のデビューウィンを飾った大江組はSS1では長江組の1秒落ちでゴール。SS2でも0.2秒差で喰らいついたが、これまでとは違う舗装仕様のランサー・エボリューションXに馴染み始めた長江組がSS3から徐々にペースアップ。最終のSS6まで4連続ベストを奪って、大江組を突き離し、優勝を飾った。
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フォト/JAFスポーツ編集部、山口貴利 レポート/JAFスポーツ編集部