西日本ダートフェスも3年ぶりに復活。宇野研三ランサーが地元の一戦をオーバーオールで制す!
2022年12月6日
2022年のJMRC西日本ダートフェスティバルが、11月19~20の2日間、京都コスモスパークで開催された。
2022年JMRC 西日本ダートフェスティバル in 近畿
開催日:2022 年 11月19~20日
開催場所:京都コスモスパーク(京都市右京区)
主催:TEAM FLEET
JMRC西日本ダートフェスティバルは、2019年を最後にコロナ禍のため開催が見送られてきたが、今年は3年ぶりに京都コスモスパークの地で復活の運びとなった。台数も100台に迫る97台が参加。中部、近畿、中国、四国、九州の5地区のシリーズで活躍するドライバー達が、年に一度の決戦で腕を競い合った。
大会が行われた週末は、公開練習日となった11月19日は晴天に恵まれ、紅葉色づく風景をバックに、各選手、砂塵巻き上がる激しい走りを披露したが、決勝の20日は朝から雨となり、前日から路面が一変した。しかし第1ヒートの半ば頃から雨は止み、その後は天気予報に反して青空が顔を出す場面も見られるなど、路面は急速に回復。このため、全クラスとも第2ヒートのタイムで勝敗が決まる展開となった。
B1600クラスは、ダイハツのお膝元の近畿地区での開催とあって、ブーン、ストーリアを駆ってJMRC近畿チャンピオンシリーズのNクラスで激戦を展開した5名のドライバーが揃ったが、近畿地区以外からもただ一人、中部の福田貴一選手が参加した。
第1ヒートのベストは1分35秒570をマークした藤嶋義孝選手で、清水孝憲選手が0.23秒遅れの2位で続いたが、福田選手も1分35秒台に入れて3番手を確保する。第2ヒートに入ると1番ゼッケンの福田選手は1分34秒107でゴールし、早々にベストタイムを書き換えるが、後続の選手はそのタイムを上回れないまま、ラストの3台へ。
「福田選手のベストが更新されないというアナウンスは聞こえていたので、正直、プレッシャーが掛かりました」という藤嶋選手は、しかし地元の意地を見せて1分33秒318までベストタイムを吊り上げる。さらなるベスト更新を狙った続く清水選手だったが0.029秒及ばず。ラストゼッケンの木村剛士選手も、福田選手のタイムは超えるも1分34秒台にとどまり、逆転はならず。藤嶋選手が大接戦を制した。
「近畿チャンピオンを獲った2019年の次の年から勝てない大会が続いていたので、やっと勝てたという感じです。2本目の路面が、乾き始めという自分の一番好きな路面だったので、意外と攻められました(笑)」と、藤嶋選手は久々の勝利の美酒に酔っていた。
PN1+クラスは、今年の全日本ダートトライアル選手権最終戦、JAFカップダートトライアルで2戦続いて2位に入り、注目を集めている若手、奈良勇希選手が第1ヒートで後続を1秒も引き離す走りを見せてトップに立つ。奈良選手は第2ヒートに入っても、中部地区戦ではチャンピオンを譲った天野佳則選手を1.6秒差の2位に下して、堂々の完全優勝を達成した。
現在は中部在住ながらコスモスパークは京都大学自動車部時代に走り込んだコースとあって、「昨日の公開練習を走って学生時代の記憶を取り戻しました(笑)」という奈良選手。「2本目は、路面が良くなった所で良くなった分、タイムを上げられた感じです。勝負所と踏んだセクションも、クルマを自分の理想とする動きに持っていけたので、勝利を確信しながら走りました」と会心の走りを振り返った。
RWDクラスは、中部以西の地区ではほとんどシリーズが成立しているクラスとあって、16台が集って覇を競った。第1ヒートでは、クラス2番目の出走ながら優勝候補に挙げられていた中部の名手、三枝光博選手がいきなり1分40秒220を叩き出して暫定ベストをキープしたが、最終ゼッケンの寺田伸選手が1分39秒958をマークして、最後の最後で暫定ベストを塗り替えた。
第2ヒートに入ると、今度は三枝選手の子息である三枝聖博選手が1分33秒346という群を抜くタイムをマーク。そのタイムが更新されないまま、またもラスト寺田選手のトライとなるが、寺田選手は1分32秒597でゴール。両ヒートとも、土壇場で三枝親子のベストタイムを凌いで見せた寺田選手が優勝を飾った。
全日本でドライブするAT車ではなく、中部地区戦に投入しているMTの86で勝利をさらった寺田選手は、「2本目はまぁまぁ満足の走りです。皆、コーナーで飛び出していたので僕は抑えて走りました。このクルマはどちらかというとウェット仕様でルーズな路面にも合うので、そういう意味でも今日はベストマッチでしたね」と振り返った。
NS1クラスは33台がエントリーする一大激戦区となった。第1ヒートはともに今年も地元のJMRCチャンピオンシリーズでタイトルを獲得した、中国の川本圭祐選手と九州の中村凌選手の2台が1分36台に叩き込んで1-2で折り返し、チャンピオンの貫禄を見せるが、当然ながらこのクラスも第2ヒートは仕切り直しに。
まず前半ゼッケン、中部の高間一光選手が1分31秒台に入れてくるが、次の出走となった同じ中部の片田龍靖選手が1分30秒台でゴールし、トップに躍り出る。選手宣誓を行った学生ドライバーの倉持陣之介選手も1分30秒台に入れてくるが、片田選手には僅かに届かない。
後半ゼッケンの各地区の有力ドライバーも果敢なアタックを見せたが、31秒の壁は厚く、終わってみれば、30秒台に乗せたのは片田、倉持の2選手のみ。ともに20代前半の若手が1-2フィニッシュで激戦区を締め括る結果となった。
前日の公開練習がコスモス初走行だったという片田選手は、「1本目はコーナーで飛んで行ったので(笑)、2本目は抑える所は抑えて、ギアも1速落としたりして自分を落ち着かせながら走りました。地元の門前の雨が降った後、ちょっと湿った感じの路面に似ていたのでその感覚を思い出して攻めましたが、2本目の方が楽しくて、“これは行けるんじゃないか”と思ったので(笑)、その通りの結果が出せて良かったです」と笑顔を見せていた。
参加19台と2番目の激戦区となったNS2クラスでは、地元勢が意地を見せて今季、JMRC近畿チャンピオンシリーズ2位の宇野研三選手が1本目の2位から逆転優勝。中部の強豪、松原実選手との1分23秒台というハイレベルなマッチレースを制して、オーバーオールウィンも獲得した。
第1ヒートは、セッティングの変更が裏目に出たという宇野選手は、「ウェットに振り過ぎたせいか雰囲気が悪かったので、2本目はいつものセットに戻したのが正確でしたね。雨が降り続いたとしても、戻したセットで走ったと思います」。JMRC西日本ダートフェスティバルは福岡のスピードパーク恋の浦で開催された2019年、公開練習で転倒という苦い思い出が残った大会だけに、「何としてもこの大会で勝つ、という長年の夢が叶って最高です」と胸を張った。
大会のトリを飾ったSCDクラスは、広島のテクニックステージタカタをホームコースとする塚本哲彦選手が2ヒートともベストタイムを奪って、中国地区に1勝をもたらした。「2本目の1コーナーは大の苦手のサイドターンが決まってリズムに乗れたと思ったんですが、その後はかなり失敗してしまいました」という塚本選手だが、「この西フェスは20年くらい前の大会で、勝てそうだったのにマシントラブルで負けてしまった悔しい思いがある大会なので、やっとリベンジできました」と、NS2クラスの宇野選手と同様に、格別の勝利の味を噛み締めていた。
フォト&レポート/JAFスポーツ編集部