ポルシェセンター岡崎911 GT3Rが連勝、2位のHELM MOTORSPORTS GTR GT3が逆転でタイトル確定
2022年12月2日

ENEOS スーパー耐久シリーズ2022 Powered by Hankook 第7戦(最終戦)「SUZUKA 5時間耐久レース」は、11月26~27日に鈴鹿サーキットにおいて5時間レースとして行われ、レース中盤にトップを奪ったポルシェセンター岡崎911GT3R(永井宏明/上村優太/伊藤大輔組)が中盤から独走で連勝。2位ゴールのHELM MOTORSPORTS GTR GT3(鳥羽豊/平木湧也/平木玲次組)がポイントを逆転し、ST-Xクラス参戦初年度でチャンピオンを確定させた。
ENEOS スーパー耐久シリーズ2022 Powered by Hankook 第7戦「SUZUKA 5時間耐久レース」
開催日:2022年11月26~27日
開催地:鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)
主催:NRC、SMSC、ホンダモビリティランド株式会社
スーパー耐久シリーズ2022の最終戦となる今回、ST-X、ST-Z、ST-TCR、ST-Q、ST-1~5の9クラスに全57台がエントリーしたが、フリー走行中にクラッシュを喫してエントリーを取り消した車両があり、1台減の56台が予選に出走した。
26日に行われた公式予選は、A/Bドライバーの合算タイムで決まるが、ポールポジションを獲得したのはST-Xクラス(全7台)のHELM MOTORSPORTS GTR GT3で、フロントローにはポルシェセンター岡崎911GT3Rが並んだ。そしてD'station Vantage GT3(星野敏/藤井誠暢/近藤翼組)、DENSO LEXUS RC F GT3(永井秀貴/小高一斗/嵯峨宏紀組)、ポイントリーダーのGrid Motorsport AMG GT3(マーティン・ベリー/ショーン・トン/高木真一/山脇大輔組)の順となる。
以降はDAISHIN GT3 GT-R(大八木信行/青木孝行/藤波清斗/坂口夏月組)が続き、予選6番手だったTKRI松永建設AMG GT3(DAISUKE/元嶋佑弥/中山友貴組)はドライビングマナー違反により5グリッド降格の11番グリッドからのスタートとなった。
タイトル争いはDAISHIN GT3 GT-Rにも大逆転の可能性はあるものの、Grid Motorsport AMG GT3とHELM MOTORSPORTS GTR GT3の2台のうち、前でゴールした方がチャンピオンを獲得するような状態だった。
5時間の決勝レースは快晴の10時49分にスタートした。直後の2コーナーでDAISHIN GT3 GT-RにTKRI松永建設AMG GT3が接触し、DAISHIN GT3 GT-Rがグラベルにハマり、いきなりフルコースイエロー(FCY)導入の波乱の展開。
ST-QクラスのTeam SDA Engineering BRZ CNF Concept(井口卓人/山内英輝/廣田光一組)が13周目のS字でスロットルセンサーのトラブルによりストップ。直後の130R手前でST-5クラスのLOVEDRIVEロードスター(松村浩之/篠田義仁/伊橋勲/藤井順子組)がストップし、FCYからセーフティカー(SC)導入となる。
さらにはST-3クラスのポイントリーダーである埼玉トヨペットGBクラウンRS(服部尚貴/吉田広樹/川合孝汰組)がバックストレートでストップしたことで、タイトル獲得の権利を失った。またST-5クラスのHonda Cars Tokai J-net FIT(竹内敏記/田中真典/墨真幸組)が130Rでクラッシュを喫すなど、レースは序盤から荒れ模様となった。
スタートから2時間が経過した42周の時点でのトップはDENSO LEXUS RC F GT3で、ポルシェセンター岡崎 911GT3R、HELM MOTORSPORTS GTR GT3、Grid Motorsport AMG GT3、D'station Vantage GT3が続いた。DENSO LEXUS RC F GT3の嵯峨選手にポルシェセンター岡崎911GT3Rの上村選手が迫り、テール・トゥ・ノーズのバトルを30分以上続ける。
49周目のバックストレートで嵯峨選手がバックマーカーに引っ掛かったところで上村選手がトップに躍り出ることに成功。また3番手のHELM MOTORSPORTS GTR GT3を抜けばタイトル獲得に近づくGrid Motorsport AMG GT3は、SC解除後のリスタート違反によりドライブスルーのペナルティを受けて5番手まで順位を落とし、HELM MOTORSPORTS GTR GT3との距離は離れてしまうことに。
レースも残り2時間に近づいた13時44分、D'station Vantage GT3の右リアタイヤが白煙を吐いてスロー走行となり、落ちたパーツを回収するために5回目のFCYとなった。さらにその45分後、S字でスピンした車両に後続の車両が追突し、2台がストップして6回目のFCY。
90周終了時点でポルシェセンター岡崎911GT3Rの上村選手は、DENSO LEXUS RC F GT3の永井選手に16秒差をつけて独走。さらにHELM MOTORSPORTS GTR GT3の平木湧也選手は106周目にDENSO LEXUS RC F GT3をかわして2番手へ順位を上げた。
ゴールまで残り15分となった時点でヘアピン先で停止した車両があり、7回目のFCY。残り12分でリスタートとなり、ポルシェセンター岡崎911GT3Rが永井選手、上村選手、伊藤選手、上村選手とつなぎ、岡山に続き連勝。2位ゴールのHELM MOTORSPORTS GTR GT3が逆転でチャンピオンを獲得した。3位はTKRI松永建設AMG GT3で、Grid Motorsport AMG GT3は4位だった。
HELM MOTORSPORTS GTR GT3は昨年までレクサスRC350でST-3クラスに参戦していたが、今季ジェントルマンドライバーである鳥羽選手が加入して日産GT-RでST-Xクラスにステップアップ。第2戦富士24時間を制して大量ポイントを稼ぎタイトル獲得につなげた。
「チャンピオン獲得はまさかですよ。ウェイトハンデを積んでからマシンバランスが悪くなり、中盤以降は苦戦しましたが、今回は予選で頑張ってポールを獲れたし、最後は(平木)湧也が素晴らしい走りを見せてくれました」と鳥羽選手。



ST-Zクラス(全8台)は、クラスポールを獲得しながら、Aドライバーを変更したことでスタート直後にペナルティストップ60秒を受けて最後尾まで順位を落としたPorsche EBI WAIMARAMA Cayman GT4 RS(山野直也/大草りき組)が追い上げ、終盤105周目のストレートでトップを奪い、大逆転優勝で最終戦を飾った。
ST-TCRクラス(全2台)はスタートから2時間目までにトップを奪ったRacer HFDP CIVIC(遠藤光博/中野信治/三井優介組)が今季初優勝を遂げた。
ST-1クラス(全3台)はシンティアム アップル KTM(IDA TAIYO/加藤寛規/高橋一穂/吉本大樹組)、とD'station Vantage GT8R(浜健二/織戸学/ジェイク・パーソンズ組)が順位を入れ替えながらバトルを演じてタイトルを争ったが、シンティアム アップル KTMが第2戦富士24時間以来の3勝目を挙げてタイトルを確定させた。
ST-2クラス(全6台)はKTMS GR YARIS(平良響/荒川麟/奥住慈英組)が5勝目を挙げてチャンピオンに。また今回がデビューレースとなった新型シビックのHonda R&D Challenge FL5(石垣博基/木立純一/柿沼秀樹/武藤英紀組)が2位表彰台を獲得した。
ST-3クラス(全5台)はTRACYSPORTS RC350 TWS(阪口良平/久保凛太郎/水野大組)が連勝。ポイントリーダーの埼玉トヨペット GB クラウン RSが戦列から離脱したこともあり、2位フィニッシュしたエアバスターWINMAX RC350 55ガレージ TWS(冨林勇佑/伊藤鷹志/石井宏尚組)が3年連続のタイトルを確定させた。
ST-4クラス(全5台)は、TOM'S SPIRIT GR86(河野駿佑/松井孝允/山下健太組)が5勝目でチャンピオンに確定。
ST-5クラス(全15台)は、ゴール手前の最終コーナーでスローダウンしたodula TONE MOTULロードスター(武地孝幸/貫戸幸星/猪股京介/岡本大地組)の脇をTHE BRIDE FIT(岡田拓二/伊藤裕士/石澤浩紀/いとうりな組)が抜き去り、優勝してタイトルももぎ取った。
ST-Qクラス(全6台)は、ENDLESS AMG GT4(小河諒/川端伸太朗/菅波冬悟/谷岡力組)が総合10位でフィニッシュ。Nissan Z Racing Concept(田中徹/三宅淳詞/田中哲也組)、ORC ROOKIE GR86 CNF Concept(蒲生尚弥/豊田大輔/大嶋和也/鵜飼龍太組)は完走。ORC ROOKIE GR Corolla H2 concept(佐々木雅弘/MORIZO/石浦宏明/小倉康宏組)も9回の給水素で完走した。

















今回、マツダ3のバイオコンセプトを投入したST-Qクラスデビュー戦となるMAZDA SPIRIT RACING MAZDA3 Bio Concept(寺川和紘/井尻薫/関豊/前田育男組)は、駆動系のトラブルのためにピットガレージでミッションの交換作業が行われたが、レース最終盤にコースインし、チェッカーを受けて完走扱いとなった。
また大会期間中には、早くも2チームが来季の参戦体制を発表している。ルーキーレーシングはORC ROOKIE RacingとしてST-QクラスにORC ROOKIE GR Corolla H2 concept(佐々木雅弘/TBN/石浦宏明/小倉康宏組)、ORC ROOKIE GR86 CNF concept(TBN/山下健太/大嶋和也/TBN)、中升(ゾンセン) ROOKIE RacingとしてST-Xクラスに中升 ROOKIE AMG GT3(TBN/蒲生尚弥/平良響/片岡龍也組)の3台で参戦。iCraftは日本自動車大学校としてOHLINS Roadster NATS(山野哲也/金井亮忠/野島俊哉組)で継続参戦を発表した。


フォト/遠藤樹弥、吉見幸夫 レポート/皆越和也、JAFスポーツ編集部
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