チャンピオン確定の最終戦。F4は佐藤樹選手、N-ONEは岩間浩一選手が決めた!

レポート レース

2022年12月2日

スーパー耐久シリーズ最終戦のサポートレースとして、11月26~27日に鈴鹿サーキットでF4地方選手権の最終戦とN-ONE OWNER'S CUPのFINALが行われた。いずれもチャンピオン確定はこの一戦で決するため、激戦は必至の様相を呈した。

2022年JAFフォーミュラ4地方選手権 第12戦
N-ONE OWNER'S CUP FINAL
(ENEOS スーパー耐久シリーズ2022 Powered by Hankook 第7戦内)

開催日:2022年11月26~27日
開催地:鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)
主催:NRC、SMSC、ホンダモビリティランド株式会社

 JAF-F4もしくはF4と呼ばれるのはこのレースが最後となったフォーミュラ4地方選手権。来シーズンからはFormula Beat(F-Be)に改められるからだ。ただし、昨今稀少なマルチメイクなフォーミュラとして、位置づけや規定などは一切変わらず。それでもF4最後のレースとあって、この最終戦には今シーズン最多タイとなる20台のエントリーを集めていた。

 チャンピオン候補は佐藤樹選手と佐々木孝太選手のふたり。昨年のスーパーFJもてぎ・菅生シリーズに続くチャンピオンを目指す佐藤選手と、説明無用のベテラン佐々木選手は、キャリアこそ対照的ながら、シリーズ中盤までは互角の戦いを繰り広げていた。

 しかし、HRS-Suzuka Formulaこと鈴鹿を舞台とするホンダのレーシングスクールも併せて受講してきたことでメキメキと腕を上げている佐藤選手は、ダブルヘッダー大会となった前回の富士で2戦ともに佐々木選手を撃破。佐藤選手が一歩リードでこの最終戦に臨んでいた。

 予選では「こんなに頑張ったことがないってぐらい頑張りました。本当にもう腕がパンパンになって。チャンピオンはもともと考えていなかったし、ずっと出続けていたらこのポジションにいたって感じです。ただ、将来有望なドライバーに簡単にタイトルを獲られないよう、最後は勝って終わりたいですね」と語っていた佐々木選手。

 その佐々木選手がトップタイムをマークするも、ファストレーンへの進入が早過ぎたため、2グリッド降格のペナルティ。繰り上がってポールポジション(PP)からスタートするのはもちろん佐藤選手で、「昨日のほうがタイムが出ていたので、もうちょっとタイムを出したかったですね。昨日とコンディションが違う分、苦戦してしまったんです。PPになってもうれしくはないんですけど、ラッキーでした。勝って決めます」と意気込む。

 決勝で期待された激戦。だが、それは実現されなかった。佐々木選手のマシンはスタートの瞬間、張りついて微動だにできず。「あり得ないと思ったけど、しょうがないね」と佐々木選手。こうなればもう佐藤選手のひとり舞台だ。オープニングラップを終えると、早くも予選4番手から2番手に上がった金井亮忠選手を1秒3引き離す。あとはもう言うまでもない独走状態。

 金井選手と3番手の宮下源都選手は、離されながらも早々に単独走行に持ち込んでいく。一方で、レースを盛り上げたのが、すでにジェントルマンクラスのチャンピオンを確定させている安井和明選手と加藤智選手による4番手争いと、大宮賢人選手と鈴木智之選手による6番手争いだ。

 加藤選手も鈴木選手も年イチ参戦のドライバーながら、ともにF4の優勝経験を持つ。ともにじっくり仕掛けのタイミングを待ち、加藤選手は6周目に、鈴木選手は9周目に逆転。フル参戦してくれればと思わせるほど、腕は錆びついていなかった。ジェントルマンクラスは加藤選手が制覇。

 そんなバトルを尻目に佐藤選手はほぼ5秒の差をつけ、7勝目を挙げてチャンピオンを確定。「かなりラッキーでしたね、僕的には。勝って終えられたので良かったです。アクセルは最後まで緩めませんでした」と。そう、それが佐藤選手の信条。来シーズン、異なるフィールドでもそんな走りに期待したい。

第12戦優勝は佐藤樹選手(MARUSAN★ミスト)。
2位は金井亮忠選手、3位は宮下源都選手。
第12戦表彰の各選手。
最終戦を圧勝で飾り、チャンピオンを確定させた佐藤選手。
第12戦ジェントルマンクラス優勝は加藤智選手(FEEL・TAKEFIRST)。
2位は安井和明選手、3位は三浦勝選手。
第12戦ジェントルマンクラス表彰の各選手。

 N-ONE OWNER'S CUPは、シリーズ15戦のうち上位3戦と、このFINALのポイント合計でシリーズランキングが決まる。ウィナーには70ポイント与えられるため、可能性としては実に20人にチャンピオンの権利があるが、FINALはランキング上位陣しか出場資格が与えられていないため、そうそう極端な大どんでん返しはない。今シーズンは3勝しているドライバーはおらず、2勝している岩間浩一選手と塚原和臣選手、そして塚原啓之選手がかなり有利なのは間違いない。

 この3人をしっかり従えてPPを奪ったのは和田将人選手で、ひとり3分4秒台を叩き出していた。「昨日、タイムが出ることを確認していたので、今日も同じ走りができるか不安だったんですけど、バッチリまとめ上げることができて良かったです。このまま逃げ切れたらと思います。今年は2位が2回で優勝していないんですよ。最後の一戦で勝ちたいですね」と和田選手。

 決勝でも和田選手は好スタートを切り、岩間選手、塚原臣吾選手までは予選と一緒の順だが、塚原和臣選手は1コーナーで阿久津敏寿選手に捕らえられ、ひとつ順位を落とす。阿久津選手が元気で、塚原和臣選手をスプーンでかわして3番手に浮上する。

 オープニングラップを終えると和田選手は早くも岩間選手に1秒の差をつけ、2周目に記したファステストラップで駄目押しにも成功。最後は2秒3の差で今季初優勝を飾り、「メカニックさんがつくってくれたマシンがバッチリ合っていて、本当に感謝しています。今年は速さがあっても勝ち切れないようなレースが結構あったので、最後の最後ですけど勝てて良かったです」と和田選手。

 一方、チャンピオンは2位でゴールの岩間選手に確定し、「3回目です、なし崩し的に。正直、シーズン初めも途中も、昨日までとくに意識していなくて、3回目は獲れれば獲れるだろうぐらいの感じで追ったんですけど、まぁ、うまいこと運んでいきましたね。だからまだ実感はないですね」とは、3回も獲っているからこその、贅沢な感想だった。

FINAL優勝は和田将人選手(YHアウティスタN-ONE)。
2位は岩間浩一選手、3位は阿久津敏寿選手。
FINAL表彰の各選手。
2015年、2020年でチャンピオンとなった岩間選手が、自身3度目となるシリーズタイトルを確定させた。

フォト/遠藤樹弥、吉見幸夫 レポート/はた☆なおゆき、JAFスポーツ編集部

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