JAF史上初の試み。全国一斉オートテスト 2022を開催!

レポート オートテスト

2022年11月7日

英国発祥のモータースポーツ「オートテスト」。日本への導入から7年が経過し、これまで数多くのオートテストが各地で開催されてきた。そして11月3日、初の試みとなる「全国一斉オートテスト 2022」が行われた。8エリアで熱戦が繰り広げられたオートテストの模様をレポートしていこう。

全国一斉オートテスト 2022
開催日:2022年11月3日

 秋も一段と深まった11月上旬、日本各地で同日にオートテストを一斉開催するという、オートテスト史上初の試みが行われた。北は北海道から南は九州まで、8つのエリアに区分けされて実施された「全国一斉オートテスト 2022」は、祝日である11月3日の文化の日に開催された。

 これは過去に開催されたオートテストにおいて、JAFが独自に収集した参加者からのアンケート結果に基づき、オートテスト活性化に向けた動きの一環として行われたものだ。主に「オートテストという競技が、まだまだ世間一般に認知されていない」という声が多く挙がり、それを反映した施策となっている。

 JAFはこのためのプロジェクトを水面下で立ち上げて、これまで幾度となく討議を重ねてきた。オートテストをより普及させていくために“全国一斉同日開催”という話題性での周知活動に向け、JAF登録クラブ地域協議会(JMRC)の全国会議で提案を行う。そしてJMRCへの協力要請のもと、全国一斉オートテスト 2022が実現する運びとなった。

 その後は9月13日に全国一斉オートテストの開催についての情報をリリースし、同日からJAFモータースポーツサイトで参加申し込み受付を開始する。また併せて、北海道、東北、関東・甲信越、中部・東海、関西、中国、四国、九州・沖縄の8エリアの会場一覧も発表。全国一斉開催に向けての動きが一気に加速した。

 開催当日は唯一、北海道こそ天候に恵まれなかったが、それ以外の地域は絶好のオートテスト日和となった。コースレイアウトや競技会当日のスケジュール、参加料については開催エリアによって多少の差異があったものの、それ以外は基本的に統一された特別規則書に則り、全国一斉オートテスト 2022は実施された。

 なお、クラス区分はAクラス(軽自動車AT)、Bクラス(MT車両・気筒容積制限なし)、Cクラス(普通車MT以外の車両・気筒容積制限なし)、Dクラス(初心者・自己申告 車両混合)の4クラスで、細分化されないシンプルなものとなっている。

JAFモータースポーツサイト内のオートテストページに設けられた、全国一斉オートテストのイベント概要。
全国統一を図るべく、入賞者に贈られるトロフィーや、競技中のゼッケンデザインも同一のものが使用された。

全国一斉オートテスト 2022 IN 砂川 <オートテスト in ASLスナガワ>

開催地:オートスポーツランドスナガワ(北海道砂川市)
主催:AG.MSC北海道

 北海道地区のオートテストは、砂川市の石狩川河川敷に広がるオートスポーツランドスナガワ・ジムカーナコースで開催された。同コースは、JAF北海道ジムカーナ選手権や全日本ジムカーナ選手権の北海道ラウンドの開催も受け持つ、北海道を代表するジムカーナコース。すぐ隣にはダートトライアルコースもあり、こちらでは全日本ダートトライアル選手権が毎年行われている。

 ジムカーナコースは、ミニサーキットのような多彩なコーナーを備えるセクションとパイロンセクションが設定される広場で構成されているが、オートテストはこの広場にパイロンでコースを設定して、行われた。

 北海道地区はオートテストが国内に導入された当初から積極的にオートテストを開催してきた地区として知られている。全国に先駆けてオートテストのシリーズ戦も設定し、今年もこれまで6大会が道内各地で行われており、モータースポーツの一カテゴリーとして、オートテストがすっかり定着している地区だ。

 北海道で11月上旬と言えば雪が降ってもおかしくない時節で、モータースポーツ界も束の間のシーズンオフに入り、選手達は年明けのスノーイベントに備えるが、今回はシリーズ参加していたオートテストのドライバー達が走り納めを兼ねて多く参戦。またオートテストに初めてチャレンジするという参加者も目立ち、32名のドライバーが大会に臨んだ。

 朝から雨というあいにくのコンディションとなったが、選手達は練習走行1本をこなした後に2本の決勝トライに挑んだ。天候も2本目が始まる頃には雨も止んで、路面状況もやや好転したことも手伝って、多くの参加者はタイムアップに成功した。表彰式が始まる頃には青空も顔を出すほどに天候も回復し、好成績を納めた選手達の笑顔も映える中、いつもよりちょっと長かった北海道のモータースポーツシーズンが幕を閉じた。

オートスポーツランドスナガワは石狩川の河川敷に設置されたコース。ジムカーナ競技の際は、広大な敷地を利用したハイスピードなレイアウトで行われる。
今回のコース図。「ガレージ(車庫入れ)」は1カ所で、直進や後退で進入するラインまたぎが連続するテクニカルな設定となった。
走行の前にはドライバーズミーティングが行われ、コースについても細かな説明が行われた。
オートテストはコースの端、パドックに接した広場の部分で行われた。ミスコースを防ぐために進入方向を示す矢印がパイロンに貼られるなど、初心者にも配慮した設定となった。
今回は2本の走行タイムの内、速かった方のタイムで順位を競う形が採られた。決勝1本目の走行後に掲示板に貼られた自らのタイムを食い入るように見つめる参加者達。
Aクラス(軽自動車AT)優勝は、三菱・アイで参加の今野訓昌選手。
2位はスズキ・ラパンの高田克己選手、3位はダイハツ・ミラカスタムRSの荒典子選手。
Aクラスの表彰式。左から2位の高田選手、1位の今野選手、3位の荒選手。
Bクラス(MT車両・気筒容積制限無し)優勝は、ローバー・ミニで参加の大貝進一選手。
2位はトヨタ・スターレットの高橋龍生選手、3位はスズキ・アルトワークスの天間優貴選手。
Bクラスの表彰式。左から4位の櫻庭遥希選手、2位の高橋選手、1位の大貝選手、3位の天間選手、5位の五十嵐康文選手、6位の小松周平選手。
Cクラス(普通車MT以外の車両・気筒容積制限無し)優勝は、マツダ・デミオで参加の鈴木康太選手。
2位はトヨタ・プリウスの笠原一穂選手、3位は日産・ノートの西村みやか選手。
Cクラスの表彰式。左から2位の笠原選手、1位の鈴木選手、3位の西村選手。
Dクラス(初心者・自己申告 車両混合)優勝は、スズキ・カプチーノで参加の近藤弘幸選手。
2位はスズキ・アルトワークスの山口あきら選手、3位はポルシェ・911カレラ4の山崎誠選手。
Dクラスの表彰式。左から2位の山口選手、1位の近藤選手、3位の山崎選手。
全国一斉オートテスト 2022 IN 砂川の女性参加者の皆さん。
総合トップはBクラスでMINIを駆った大貝選手。大貝選手は北海道のオートテストシリーズで何度もチャンピオンを獲得しているトップドライバーだ。「北海道でオートテストが始まった年から参加しているので、オートテスト歴はもう8年になります。今年はチャンピオンが獲れなかったので、今日はリベンジに来ましたというのは冗談で(笑)、今年は不運が続いたこともありますけど、周りの人達も速くなっているので、ボロボロのMINIではちょっと厳しくなってきたかな、という感じはありますね。北海道のシリーズは2本の走行の合計タイムで競うので、タイムを残す走りをしなければならないのですが、今回は2本のうち、良かった方のタイムで順位を決める形だったので、今日はもうアタックするしかないという気持ちに切り換えました。1本目でベストが獲れたので、雨が降り続いてくれと祈ってたんですけど(笑)、ライバル達もしっかりタイムを上げてくる中で自分もベストを更新して勝てたので、楽しい一日でした」。

フォト/加藤和由、JAFスポーツ編集部 レポート/JAFスポーツ編集部


全国一斉オートテスト 2022 IN 福島 <2022 オートテストチャレンジ in エビス>

開催地:エビスサーキット・西コース(福島県二本松市)
主催:BLEST

 福島県の安達太良山は木々の葉が色づき始め、紅葉のシーズン真っ只中。その山麓にある、東北サファリパークと併設されたエビスサーキットが、東北エリアのオートテストの会場となった。ちなみに週末には、全日本選手権と地方選手権のシリーズ上位選手たちが争うJAFカップオールジャパンジムカーナの開催を控えている。

 舞台となるエビスサーキットは、2021年に起きた福島県沖が震源の地震で被災した西コース。ホームストレートまで土砂で覆われたコースの復旧具合は良好で、すでに各種モータースポーツが行われてきている。そのストレートを主体としたコースレイアウトのオートテストは、サーキットならではの路面のグリップの良さと相まって、面白さをより引き立ててくれるものとなった。

 注目はスタート早々に設けられた縦列駐車のセクション。東北エリアではSUGOのオートテストチャレンジでも名物となっており、スラロームを抜けた先の縦列駐車に戸惑う選手も見かけた。そしてショートカットを抜けた先には前後のラインまたぎが待ち受けている。

 もうひとつ、ガレージのセクションには真正面にピットウォールが見えるのだが、これが相当なプレッシャーとなって競技に影響を与えたようだ。ウォールにぶつからないように気を取られていると、つい小回りしがちでパイロンタッチを誘発。ここをクリアした後はパイロンを駆け抜けてしてフィニッシュ。全国一斉オートテストの中では比較的長いコース設定となった。

 この東北エリアは福島県での開催ながら、さまざまな地域からのエントリーがあった。中にはエリアから外れる関東圏からエビスまで遠征してきた参加者もいたほどだ。参加はAクラス6台、Bクラス19台、Cクラス10台、Dクラス9台の計44名。オートテストに何度か参加したという方が多く、また中にはレースやジムカーナ経験者も混在していた。

秋晴れの福島県二本松市は安達太良山の紅葉も映える。山麓に位置する東北サファリパークと併設されるエビスサーキットが東北エリアのオートテストの舞台だ。
西コースを上手く活用したコースレイアウト。縦列駐車、前後のラインまたぎ、ガレージと、3つの細かいセクションが競技のポイントとなった。
さまざまなカテゴリーのモータースポーツで使用されているサーキットだけあって、通常のオートテストとは違った、走りを彷彿とさせる雰囲気があった。
オートテスト経験者が多く参加しており、コースの攻略方法など情報交換を行う場面も。
Aクラス(軽自動車AT)優勝は、ダイハツ・コペンセロで参加の井上博夫選手。
2位はホンダ・バモスの五十嵐靖智選手、3位はダイハツ・ミライースの金持一成選手。
Aクラスの表彰式。左から4位の福田孝太朗選手、2位の五十嵐選手、1位の井上選手、3位の金持選手、5位の宮森泰介選手、6位の宮森景介選手。
Bクラス(MT車両・気筒容積制限無し)優勝は、マツダ・デミオで参加の畠山洋治選手。
2位はダイハツ・コペンの小瀬誠選手、3位はスズキ・アルトワークスの村上清賢選手。
Bクラスの表彰式。左から4位の岡田冬樹選手、2位の小瀬選手、1位の畠山選手、3位の村上選手、5位の飯部安彦選手、6位の朽津進選手。
Cクラス(普通車MT以外の車両・気筒容積制限無し)優勝は、日産・ノートeパワーで参加の小畑慶止選手。
2位はBMW・Z4の佐藤孝志選手、3位はホンダ・フィットの小原義幸選手。
Cクラスの表彰式。左から4位の木村佳祐選手、2位の佐藤選手、1位の小畑選手、3位の小原選手、5位の木村宏幸選手、6位の近江龍二選手。
Dクラス(初心者・自己申告 車両混合)優勝は、ホンダ・N-ONE RSで参加の菊池亮選手。
2位はマツダ・ロードスターの佐藤正隆選手、3位はトヨタ・スプリンタートレノの安藤潤選手。
Dクラスの表彰式。左から4位の中島侑志選手、2位の佐藤選手、1位の菊池選手、3位の安藤選手、5位の荘司秀道選手、6位の千葉真樹子選手。
全国一斉オートテスト 2022 IN 福島の女性参加者の皆さん。
地区戦のジムカーナにずっと参戦しており、モータースポーツ歴は16年ほどというBクラスの畠山選手が東北エリア総合トップの成績を収めた。「オートテストは軽い気持ちで参加していて、始めて2~3年ってところですね。今回は大会の事務局に自分の所属するチームの方がいて、お誘いを受けて全国一斉オートテストに参加してみました。今日は天気も良く、いい気分転換になりました。実はジムカーナやオートテストの成績は最上位が4位までで、表彰台に上った経験がないんです……なので初優勝! 開催前日より二本松の温泉宿に泊まっていて、岳温泉のパワーでストレス解消、いい具合に力も抜けたので優勝できたんだと思います(笑)。エビスサーキットを走るのは初めてでしたが、オートテストのコースは長すぎず、またそれほど狭くもなかったので、とても走りやすかったでしたね。細かく配置されたパイロンもあって、ステリングやブレーキングの正確な操作が求められますが、慣れてくると初心者でも面白さが増す競技ではないでしょうか。気負うことなく、日頃の運転操作で楽しめるところがオートテストの魅力だと思いますよ。来年もジムカーナをやりながらオートテストにも参加していきます!」

フォト/鈴木あつし レポート/鈴木あつし、JAFスポーツ編集部


全国一斉オートテスト IN 守谷 <守谷市市制施行20周年記念事業>

開催地:守谷市役所駐車場(茨城県守谷市)
主催:CI

 市役所の駐車場がサーキット化!? というサプライズのオートテストを開催したのは関東・甲信越エリア。茨城県の守谷市役所は2022年に市制施行20周年を迎え、それを記念した事業の一環として「守谷市役所1-DAYサーキット」という大々的なイベントを行い、その中に全国一斉オートテストが組み込まれた形だ。

 今回は全日本ジムカーナ選手権で通算22回目となるチャンピオンを確定させた山野哲也選手がゲストとして招待され、もりや広報大使でもある山野選手は1-DAYサーキットを盛り上げた。イベントは3部構成となっており、第1部は安全運転を目指す「教えて山野哲也さん! 運転上手になろう!」、第2部は山野選手のデモ走行&トークショー、そして第3部が全国一斉オートテストという内容だ。

 中でも結川愛寿加氏や佐山裕亮氏が司会を務めた第2部の山野選手のトークショーは、ジムカーナ実況でお馴染みの阿久津アナこと阿久津栄一氏が解説ゲストとなり、山野選手の魅力を存分に引き出すトークを繰り広げて会場を沸かせていた。

 会場内は大きく走行エリア、パドックエリア、鑑賞・展示エリアの3つのエリアに区分けされ、そのほかJAF展示エリア、キッチンカーエリア、休憩エリアが設けられていた。普段は閑静な市役所正面の駐車場が、1日限定のサーキットに大変身を遂げ、賑やかな雰囲気に包まれてイベントは行われていく。これらのイベントは観覧が自由だったことから、たくさんの来場者を集めた。

 この関東・甲信越エリアは場所柄、オートテストへの参加を希望する方々からの応募が殺到。わずか30名の募集枠に当選した幸運な参加者は、Aクラス7台、Bクラス8台、Cクラス8台、Dクラス6台。オートテストを含めて終日、モータースポーツ一色に染まった。

オートテスト史上で類を見ない、市役所の駐車場がオートテストの会場。守谷市市制施行20周年記念の事業の一環「守谷市役所1-DAYサーキット」の中で開催された。
駐車場の形状を活かしつつ、スラロームとガレージで構成されたレイアウト。コースの道中には植え込みなど気をつけるべき場所もあった。
第1部「教えて山野哲也さん! 運転上手になろう!」では、事前募集の20名を対象としたドライビングレッスンが行われた。山野選手のプロフェッショナルの目線から参加者へアドバイスが送られる。
午前と午後のイベントの間となるハーフタイムには、山野選手が守谷市の松丸修久市長を助手席に乗せたデモランを披露。続いて山野選手を交えたトークショーが行われ、幼少期の話など、トークが弾んだ。
鑑賞・展示エリアでは2021年&2022年の山野選手が使用したマシンを展示。そのほか、協賛各社のブースやケータリングなど、常に賑わいを見せていたエリアだった。
オートテスト参加者へのブリーフィングは丁寧に行われる。慣熟歩行で参加者にアドバイスを送ったJMRC千葉ジムカーナ部会の大原史行副部会長は、軽快なMCで実況も担当。
最後にはじゃんけん大会なども催され、会場を訪れたすべての方々との交流を図った山野選手。その山野選手の偉大さと人柄の良さが伝わったイベントとなった。
Aクラス(軽自動車AT)優勝は、スバル・R2で参加の堀江勝一選手。
2位はホンダ・ライフの小野敦史選手、3位はダイハツ・コペンの樽井純一選手。
Aクラスの表彰式。左から2位の小野選手、1位の堀江選手、3位の樽井選手、4位の今成景一選手、5位の岡田祥生選手、6位の星野航選手、7位の石津正敏選手。
Bクラス(MT車両・気筒容積制限無し)優勝は、トヨタ・86で参加の小倉淳選手。
2位はトヨタ・86の中村香代子選手、3位はマツダ・RX-8の沼尻和雄選手。
Bクラスの表彰式。左から2位の中村選手、1位の小倉選手、3位の沼尻選手、4位の清水徹選手、5位の藤井謙助選手、6位の高橋陽介選手、7位の近藤武志選手、8位の宮坂真木子選手。
Cクラス(普通車MT以外の車両・気筒容積制限無し)優勝は、トヨタ・ハリアーで参加の沢田浩希選手。
2位はトヨタ・ヴィッツの鈴木英次選手、3位は日産・セレナeパワーの金塚一太朗選手。
Cクラスの表彰式。左から2位の鈴木選手、1位の沢田選手、3位の金塚選手、4位の奥田道裕選手、5位の中村哲史選手、6位の御代川勉選手、7位の鈴木恵選手、8位の吉岡和彦選手。
Dクラス(初心者・自己申告 車両混合)優勝は、ホンダ・S660で参加の岡田茂樹選手。
2位はプジョー・2008の加藤優一選手、3位はトヨタ・86の須山由美子選手。
Dクラスの表彰式。左から2位の加藤選手、1位の岡田選手、3位の須山選手、4位の中川凌選手、5位の黒岩三恵選手、6位の三門道子選手。
全国一斉オートテスト IN 守谷の女性参加者の皆さん。
各エリアBクラスの選手が総合トップを獲得している中、関東・甲信越エリアは唯一、堀江選手がAクラスで総合トップを飾った。「モータースポーツの経験はオートテストのみで、4年くらい前から始めました。普段は茨城中央サーキットの開催をメインに、たまに菅生や掛川まで遠征して楽しんでいます。全国一斉オートテストの会場の中ではここ(守谷)の応募倍率がすごく高くて、実は抽選に漏れたら諦めようと思っていました。今回はメディアやギャラリーがたくさんいる中でのオートテストだったので緊張しましたね。本来なら1本目で決めてラクに勝負を運びたかったのですが、メンタルが弱いせいか、パイロンタッチしてしまうと2本目は置きに行く走りをしてしまうんです。ですが、今回は置きに行っても仕方がないので、2本目は攻めて、とくにスラロームのこなし方が上手く処理できたことで優勝できたのではないでしょうか。市役所の駐車場ということもあってコースには植え込みもありましたが、軽自動車なのであまり気になりませんでしたね。どちらかというと最後のガレージのスペースの狭さだけ注意した感じです。オートテストは速いスポーツカーに、普通のクルマで勝負できるところが楽しいですね」

フォト/遠藤樹弥、JAFスポーツ編集部 レポート/JAFスポーツ編集部


全国一斉オートテスト IN 豊田 ~セーフティドライビングフェスタ!~

開催地:豊田市公設地方卸売市場(愛知県豊田市)
主催:豊田市、FASC

 FIA世界ラリー選手権第13戦ラリー・ジャパンの開催を目前に控え、10月1日~11月20日をラリーオータム2022と称し、街ぐるみでモータースポーツの盛り上がりを見せていたのが中部・東海エリアの豊田市。その豊田市が、JAF加盟団体としてオートテストを主催することとなった。またエフオートスポーツクラブが共催という形で全面バックアップ。

 会場となったのは豊田市公設地方卸売市場という、オートテストの会場としては一風変わった場所だ。普段は市場関係者で賑わう場所も、開催日が祝日とあって車両の出入りが少なく、広大な駐車場の一角がオートテストのコースに様変わりした。

 参加者は定員上限の50名で、Aクラス4台、Bクラス26台、Cクラス7台、Dクラス13台。また女性参加者は7名。やはり愛知県が開催地ということで県内からの参加者が大半を占め、岐阜、静岡、三重、滋賀からも集まった。

 会場には豊田市の太田稔彦市長も駆けつけ、オートテストを始めとするモータースポーツの魅力発信に助力を惜しまなかった。その太田市長は開会式で挨拶を行うとともに、デモランの同乗走行やスタートの旗振り、表彰式のプレゼンターも務め、オートテストを見守りながら参加者との交流も積極的に図っていた。

 そして競技中の様子は、ひまわりネットワークによる大型LED画面搭載車両で会場内に中継放映が行われ、レースアナウンサーのピエール北川氏が実況を行うという、盛り上がらない要素がまったく見当たらない豪華な布陣。見ても走っても楽しいオートテストとなったことは言うまでもない。

 豊田市の地域振興部交通安全防犯課が、モータースポーツと交通安全啓発をPRするブースを出展。主にラリー・ジャパンの開催を周知した。その隣に併設されたJAFブースでは、ラジコン版のオートテストを開催。参加者の家族など、来場客でも楽しめる展示を行っていた。

愛知県豊田市周辺の台所を担う公設地方卸売市場。水産付属店舗棟前の駐車場が封鎖され、オートテストの舞台となった。
誰もが分かりやすいシンプルなレイアウトとしつつ、速度を抑制させる目的でパイロンの間隔を不均一に並べるワザも光る、安全面がしっかり考慮されたコースだ。
11月10~13日のラリー・ジャパン開催の周知として、またセーフティドライブの啓蒙の一環として、豊田市の地域振興部交通安全防犯課がブースを出展してPR。
豊田市の太田稔彦市長がほぼ終日、オートテストを視察。また愛知在住のレースアナウンサー・ピエール北川氏が、地元開催の盛り上げ役として場内実況を担当した。
子供安全免許証の発行や、ラジコンを使ったオートテスト体験で、来場した子供たちも賑わっていたJAFブース。
ひまわりネットワークが大型LEDビジョンカーを会場内に常駐させ、ライブ中継でオートテストの模様が映し出された。
Aクラス(軽自動車AT)優勝は、スバル・プレオで参加の田中浩二選手。
2位はホンダ・ゼストスパークの鈴木佳明選手、3位はダイハツ・ムーヴコンテの岡本政利選手。
Aクラスの表彰式。左から2位の鈴木選手、1位の田中選手、3位の岡本選手。
Bクラス(MT車両・気筒容積制限無し)優勝は、ホンダ・ビートで参加の日紫喜俊夫選手。
2位はスズキ・スイフトの浜屋雅一選手、3位はスズキ・スイフトスポーツの大塚拓哉選手。
Bクラスの表彰式。左から2位の浜屋選手、1位の日紫喜選手、3位の大塚選手。
Cクラス(普通車MT以外の車両・気筒容積制限無し)優勝は、スバル・WRX S4で参加の久村和敬選手。
2位はプジョー・208の山田純選手、3位はスバル・レガシィアウトバックの酒井潤選手。
Cクラスの表彰式。左から2位の山田選手、1位の久村選手、3位の酒井選手。
Dクラス(初心者・自己申告 車両混合)優勝は、スズキ・スイフトで参加の和泉壮宗選手。
2位はスズキ・アルトワークスの内田裕也選手、3位はレクサス・IS300の塩澤晃幸選手。
Dクラスの表彰式。左から2位の内田選手、1位の和泉選手、3位の塩澤選手。
全国一斉オートテスト IN 豊田の女性参加者の皆さん。
“ミスター・オートテスト”の異名で呼ばれる、地元・愛知からBクラスで参加の日紫喜選手が強かった。自身、オートテスト参戦200戦目を中部・東海エリア総合トップで終えた。「8エリア同日開催ということで、ぜひ地元で参加したいなと思ってエントリーしました。やっぱり地元が一番というか、近いところは移動も少なくてラクですからね(笑)。練習走行ではパイロンタッチもありましたが、たら・ればにはなりますけど、それがなければベストタイムだったので、トップを獲る自信はありました。ですが、第1ヒートは浜屋さんと大塚さんに先を越されて1~2番手を取られちゃって……。3番手だったものですから、第2ヒートでは逆転してなんとかトップに出たいな、という思いで挑みましたね。ミスコースに関してはとくに心配していなかったですし、ガレージもそれほど難しいとは感じなかったですから、とにかくパイロンタッチだけはしないように肝に銘じて臨みました。優勝が決まった瞬間は『やったー!』という気持ちでいっぱいしたね。オートテストはヘルメットが不要で、それほどお金をかけず、また前進だけではなく後退もある競技が自家用車で手軽にできるという点が魅力であり、一番の面白さだと思いますよ」

フォト/中島正義、JAFスポーツ編集部 レポート/JAFスポーツ編集部


全国一斉オートテスト IN 舞洲 <JMRC近畿モーターフェスタ>

開催地:舞洲スポーツアイランド(大阪府大阪市)
主催:ORCC、Tj

 関西エリアの全国一斉オートテストは、JMRC近畿が“大阪市内で開催”ということにこだわり、選定されたのが舞洲スポーツアイランド。この舞洲は大阪湾の人工島で、野球場や運動広場といったスポーツ施設群を有する公園だ。会場はその中の空の広場と呼ばれるアスファルト舗装の施設で、ジムカーナやモーターフェスティバルといったイベントも行われたほどメジャーな場所だ。

 広大な施設での開催に際して、エスケープゾーンを多めに取るといった安全対策を講じることも抜かりはなかった。このあたりはオートテストの開催実績が豊富である主催者の、経験のなせるワザと言える。そして全国一斉オートテストの中では最長コース設定となった。1ヒートあたり50秒をベースにつくられたレイアウトは、コース上にさまざまな要素が盛り込まれ、走行を存分に堪能できる内容だ。

 そのコースはアスファルト舗装に沿った直線を基調とした縦長なもので、スラローム、ラインまたぎ、ターン、ガレージというオートテストらしいスタンダードな構成。だが、リズミカルに走行しているかと思ったらラインまたぎが挟まれ、バックギヤ操作の正確性が求めらる難所が2か所用意されていた。

 今回は元全日本ジムカーナドライバーの川脇一晃氏がゲストとして来場し、慣熟歩行のアドバイスを行ったりデモランで華麗な走りを見せたり、オートテストをサポート。また参加者の走りを見ながら解説する実況MCで、会場内を盛り上げてくれた。

 エントリーは最終的に49名で、Aクラス6台、Bクラス17台、Cクラス17台、Dクラス9台。やはり関西エリアは、なにわ、堺、和泉といった地元のナンバーが圧倒的に多く、滋賀や奈良などの近隣からも参加者が集まった。オートテストのリピーターが多いものの、初めての方、夫婦やカップルのダブルエントリーまで、さまざまな参加者が勢ぞろい。エントリー開始初日に50名の枠の半分が埋まったほど注目されていた。

独特の外観を持つ大阪広域環境設備組合舞洲工場(清掃工場)の近くにある、舞洲スポーツアイランドの空の広場がオートテスト会場に。
直線的に突き進む、珍しいオートテストのコースレイアウト。最後に待ち受けるガレージに苦戦していた選手もいた。
大会を協賛したのは地元・大阪の自動車関連会社。デモカーの展示やブース出展、キッチンカーも出店していて楽しい雰囲気だった。
元全日本ジムカーナドライバーの川脇一晃氏が場内に流れる実況解説を行うとともに、慣熟歩行やデモランまでフォロー。
遠くからはるばる参加した選手や、11月が誕生月の方に賞品が贈られるサプライズ表彰もあり、全員が笑顔になるオートテストだった。
Aクラス(軽自動車AT)優勝は、スズキ・セルボで参加の安堂賢選手。
2位はダイハツ・ネイキッドの原真司選手、3位はダイハツ・ネイキッドの室屋健二選手。
Aクラスの表彰式。左から2位の原選手、1位の安堂選手、3位の室屋選手。
Bクラス(MT車両・気筒容積制限無し)優勝は、ホンダ・S660で参加の篠原賢爾選手。
2位はダイハツ・エッセの道下貴広選手、3位はスズキ・スイフトスポーツの江口祐亮選手。
Bクラスの表彰式。左から4位の河井優聖選手、2位の道下選手、1位の篠原選手、3位の江口選手、5位の辻田正彦選手、6位の蓬茨夕美選手。
Cクラス(普通車MT以外の車両・気筒容積制限無し)優勝は、トヨタ・プリウスで参加の上田順一郎選手。
2位はスズキ・スイフトスポーツの久保麻地男選手、3位はスバル・S4の喜田真二選手。
Cクラスの表彰式。左から4位の金子龍一選手、2位の久保選手、1位の上田選手、3位の喜田選手、5位の吉本定央選手、6位の廣野和代選手。
Dクラス(初心者・自己申告 車両混合)優勝は、マツダ・ロードスターで参加の中野健選手。
2位はマツダ・ロードスターの谷口悦規選手、3位はスバル・BRZの古谷将也選手。
Dクラスの表彰式。左から4位の大井曉選手、2位の谷口選手、1位の中野選手、3位の古谷選手、5位の長池剛文選手、6位の丸岡結人選手。
全国一斉オートテスト IN 舞洲の女性参加者の皆さん。
関西エリア総合トップは、Bクラス篠原選手。若いころに初代ロードスターを手に入れてからマニュアル車で運転を楽しんでいたそうだ。「JAF Mateでオートテストというものの存在を知り、奈良で開催されたオートテストに参加してからはずっとオートテストに出続けています。今回のクルマは2016年に購入したんですけど、もう1台の軽四で出たりもします。全国一斉オートテストについては、JAFモータースポーツサイトのオートテストのページで発見しました。この全国一斉という試みは初めてだったので興味がありましたね。愛知だったり中国だったり、四国に参加しているオートテストの仲間たちからは、LINEで経過を報告し合ったりして、皆さんの頑張ってる様子も励みになりました。自分の理想は練習を重ねて上り調子になってくれた方がうれしいんですが、2本目はタイムダウンしたのが残念で……でも、なんとか優勝できて良かったです。ただ単に走って1位を獲るのではなく、短時間でどうしたら速く走れるかを仲間と話し合ったり、自分で考えたりして、攻略方法に悩む謎解き要素が好きです」

フォト/友田宏之 レポート/友田宏之、JAFスポーツ編集部


全国一斉オートテスト 2022 IN 広島 ~オートテスト in ジアウトレット広島~

開催地:ジアウトレット広島(広島県広島市)
主催:CCN

 中国エリアで精力的にオートテストを開催しているJAF登録クラブのカークラブ錦が、広島県広島市佐伯区のジアウトレット広島で全国一斉オートテストを主催した。商業施設でのオートテストはこれまで各地で行われているが、祝日で賑わうアウトレットモールの建物のすぐ近くで開催されたことは特筆しておきたい。

 一般客やシャトルバスが会場近くを常に往来しているため、このオートテストは注目の的となった。参加車両も競技用ではなく身近にあるクルマとあって、多くの方々の興味を惹いたことは言うまでもない。あらためてオートテストという競技がどんなものなのかを広くアピールできる機会になった。

 とは言え、オートテスト会場の外は一般通路ゆえに、安全面はとくに配慮したようだ。一般客が紛れ込まないように周囲をネットで囲って注意喚起し、観戦可能なエリアを明確に分けた。また参加者側にはコース途中のラインまたぎで車速を抑制させるセクションを設けるなど、注意を払ったことがうかがえる。

 当日、快晴に恵まれた広島は、朝方は少し肌寒い陽気だったが、日中は日が射し込んで暖かい過ごしやすい気候となった。募集定員50名のエントリーは埋まり、Aクラス6台、Bクラス19台、Cクラス12台、Dクラス13台という内訳。ちょっとした敷地があればオートテストができることを証明するかのごとく、コンパクトにまとめたややタイトなコースレイアウトで競技は行われた。

 実況MCで場を盛り上げたのは、お馴染みアナ西元こと西元直行氏。場内ミニFMが開局され、周波数を合わせれば車内でもその軽快な実況が楽しめた。また協賛各社のブース出展車両は昼休みの時間にオートテストのデモ走行を実施、JAFレッカー車もコースを走って周囲を驚かせた。そして表彰後はお楽しみじゃんけん大会も催され、充実したイベントとなったようだ。

2018年にオープンしたジアウトレット広島。施設はとてもキレイで、オートテストが開催される環境としては最高の場所となった。
ラインまたぎで一時停止、その後は通り抜けるスタイル。一番スピードが乗りやすいセクションゆえ、あえて速度を抑える目的として採用された。
会場を明るい雰囲気に包み込む西元直行氏の実況MCは、オートテスト限定の場内ミニFMでも聴収が可能。
協賛社のデモカーがコースインしてデモランを披露。JAFレッカー車も負けじとデモラン!? 大きな車両でも正確な運転で競技がこなせる実例を示した。
じゃんけん大会では広島の地酒など、さまざまな景品の争奪戦に発展! またオートテスト参加者には競技中の写真がプレゼントされた。
競技長が行った軽トラでの見本走行のタイムに近い選手に特別賞が贈られる。そのほかこども賞など、参加者だけではなく家族も楽しめた。
Aクラス(軽自動車AT)優勝は、ホンダ・ライフで参加の瀬来尚則選手。
2位はホンダ・N-ONEの淀渕誠治選手、3位はスズキ・ワゴンRの亀川法昭選手。
Aクラスの表彰式。左から2位の淀渕選手、1位の瀬来選手、3位の亀川選手。
Bクラス(MT車両・気筒容積制限無し)優勝は、マツダ・RX-8で参加の大橋弘誉選手。
2位はトヨタ・GRヤリスの桝田努選手、3位はマツダ・ロードスターの早乙女涼助選手。
Bクラスの表彰式。左から4位の沖田圭吾選手、2位の桝田選手、1位の大橋選手、3位の早乙女選手、5位の藤井英寿選手、6位の山根琉聖選手。
Cクラス(普通車MT以外の車両・気筒容積制限無し)優勝は、ルノー・ルーテシアRSで参加の中尾和也選手。
2位は三菱・アウトランダーPHEVの苗山広幸選手、3位はマツダ・プレマシーの白砂高志選手。
Cクラスの表彰式。左から4位の早川友康選手、2位の苗山選手、1位の中尾選手、3位の白砂選手、5位の野津剛選手、6位の笹西將志選手。
Dクラス(初心者・自己申告 車両混合)優勝は、アバルト・124スパイダーで参加の藤田航彗選手。
2位はホンダ・シビックの三宅朱美選手、3位はダイハツ・コペンの岡田祥昌選手。
Dクラスの表彰式。左から4位の原野秀文選手、2位の三宅選手、1位の藤田選手、3位の岡田選手、5位の内藤慎也選手、6位の松谷貴正選手。
全国一斉オートテスト 2022 IN 広島の女性参加者の皆さん。
中国エリアで始まったときから頻繁にオートテストに参加しているという、Bクラスの大橋選手が総合トップとなった。「全国一斉だから、というワケではないんですが、いつもと変りなく出てみました。1位を獲れたのは久しぶりでして、2位の方とはコンマ差でしたので、見ていてヒヤヒヤものでしたね。日本一オートテストが上手いであろう、愛知県の日柴喜さんがこの会場にいたら、自分より2秒ほど速く走ったんだろうな、その2秒の差はどこを詰めれば追いつけるんだろうか、などと考えながら競技に臨みました(笑)。今回のコースはタイトに曲がらなければならない狭さもあり、途中で止まってしまった選手も見かけましたが、個人的にはレイアウトそのものは意外と簡単で、何回もオートテストに出ている方なら走行ラインが見えていたと思います。その上で、シフトミスやパイロンタッチには気をつけて走りましたね。歳を重ねて大人になっていくと、一番を目指して挑戦する機会がなかなかないものですから、オートテストという競技はとても刺激的です。ほかの選手に勝つためにはどうしたらいいんだろうという壁に当たったら、まず平常心になって、自分自身に勝つことを目指すのが重要でしょう」

フォト/谷内寿隆 レポート/谷内寿隆、JAFスポーツ編集部


全国一斉オートテスト 2022 IN いたの <徳島工業短期大学 with P2 in 道の駅いたの>

開催地:道の駅いたの(徳島県板野町)
主催:P2

 徳島県北東部の阿讃山脈の麓、旧吉野川が流れる板野町は、洋人参やれんこんといった農地が広がり、ゆったりとした時間とのどかな田園風景が魅力の場所だ。一方で、EV急速充電器や移動式水素ステーションを併設した次世代エネルギーを備える未来志向型の施設があり、今回はその道の駅で町おこしの一環も兼ねてオートテストが開催されることとなった。

 県内最大級の施設規模を誇る道の駅いたので開催された四国エリアの全国一斉オートテストは、その広大な駐車場の一部を利用して行われた。特産物特売所などを目当てに県内外から多くの人が訪れる有名なスポットであり、また周囲には住宅地もあることから、最大限に気を遣ってオートテストが実施された。

 当日は好天の下で開催されたのだが、コースはウェットコンディションに。その理由は駐車場の路面保護と周辺への配慮によるものだ。激しいブレーキングでのブラックマークを抑止し、かつ滑りやすくなったコースにしたことで速度も抑えさせ、タイヤのスキール音を軽減させる狙いがあった。なお、ミスコースやパイロンタッチと同様に、スキール音もペナルティの減点対象となっている。

 参加者は43名で、Aクラス5台、Bクラス24台、Cクラス6台、Dクラス8台。ほぼ四国4県からのエントリーだったが、淡路島経由でのアクセスにも長けていたことから兵庫からの遠征者もいた。そしてトヨタT360やダットサントラックといった旧車でエントリーした方もいて、オートテストはどんなクルマでも参加できることをあらためて感じさせた。

 年間約38万人が訪れるという道の駅での開催は、オートテストが安全運転の啓発の側面も持つモータースポーツイベントであることを、しっかり一般の方々にアピールできた大会だった。

四国で88駅目にオープンした道の駅ということで、88のオブジェが出迎える道の駅いたの。地元の徳島工業短期大学も大会に協力。
オートテストの要素を踏襲したシンプルなレイアウトながら、濡れた路面でいかにクルマをコントロールできるかが試された。
走行路ではないコース上からは、常にホースから水が出ている状態。タイヤのスキール音で周辺住民を驚かせない配慮が目的だ。
協賛各社のブースにはデモカーやグッズなどが並んだほか、徳島県警察がパトカー&白バイを展示して交通安全運転遵守を訴えた。
ウェット路面がまるで合わせ鏡のようにオートテストの光景を写し出し、普通の観戦とは違った楽しみ方を発見できた。
ホンダ初の四輪自動車であるT360や、ダットサン・ピックアップなど、珍しい車両もオートテストに参加した。
Aクラス(軽自動車AT)優勝は、ダイハツ・エッセで参加の山口良介選手。
2位はスズキ・エブリィの久保智輝選手、3位はスズキ・アルトの佐藤玲伊選手。
Aクラスの表彰式。左から1位の山口選手、2位の久保選手、3位の佐藤選手。
Bクラス(MT車両・気筒容積制限無し)優勝は、スズキ・アルトで参加の谷本大樹選手。
2位はスズキ・アルトの石川雄介選手、3位はスバル・インプレッサの田中千智選手
Bクラスの表彰式。左から1位の谷本選手、2位の石川選手、3位の田中選手、4位の三好範学選手、5位の木村武彦選手、6位の湊川惠大選手、7位の勇内山徹選手。
Cクラス(普通車MT以外の車両・気筒容積制限無し)優勝は、マツダ・デミオで参加の水田隼選手。
2位はメルセデス・Bクラスの成谷雅宏選手、3位はスバル・レガシィの澤野健二選手
Cクラスの表彰式。左から1位の水田選手、2位の成谷選手、3位の澤野選手、4位の国見聡選手。
Dクラス(初心者・自己申告 車両混合)優勝は、ホンダ・フィットで参加の平山和明選手。
2位はフォルクスワーゲン・タイプIIの川田孝彦選手、3位はホンダ・T360の藤原一彦選手
Dクラスの表彰式。左から1位の平山選手、2位の川田選手、3位の藤原選手、4位のセベタエコ選手。
全国一斉オートテスト 2022 IN いたのの女性参加者の皆さん。
2021年に行われたオートテストに参加して今回で2回目となるBクラスの谷本選手が、四国エリア総合トップを獲得。「浅野自動車に行ったときに、全国一斉オートテストが開催されることを知りました。昨年のオートテストでは県外の方に負けて2位でして……、いつかは徳島県内で1位を獲りたいなと思って、そのリベンジとして臨みました。ウェットの路面はそんなに難しくなかったんですけど、オートテストは競技の中にバックが組み込まれていることで、ガレージが難しくてしんどかったです。クルマのミラーが小さいのでパイロンが見えづらいというのもありますが、たまたま勘でスッて持ってこれました。優勝が決まったときはまったく実感がなかったでしたね。こういう競技で勝ったことがないので、どうしたらいいのか分からないというのが正直な気持ちです。ですがリベンジできたのはうれしいかったですね。普段、街中で見かけるクルマがいたりとか、滅多に見られないクルマもいて、その中で戦えるというのがオートテストの魅力でしょう。またサーキットで走っている方がいたりとか、レースに出ている人にもしかして勝てるかも? という楽しさもあると思います。誰でも勝つチャンスがありますよ」

フォト/山口貴利 レポート/山口貴利、JAFスポーツ編集部


全国一斉オートテスト 2022 IN 福岡 ~トヨタカローラ福岡&JMRC九州福岡支部オートテスト~

開催地:スピードパーク恋の浦 ドリフトコース(福岡県福津市)
主催:FMSC、BUKICCHO

 日本全国エリアの最南開催地は福岡県。九州・沖縄地区は九州が誇るスピード競技コース、福津市に建つスピードパーク恋の浦で開催。この恋の浦で開催されたオートテストでは、初めてドリフトコースが舞台となった。

 かつてのスケート場跡地を利用したドリフトコースは、観客席跡の階段状に囲まれたすり鉢型になっており、その底面のフラットな広場がコースになっている。観客席跡の上の駐車場をパドックとし、ドライバーたちはそのパドックから、ライバルたちの走りを見て研究することができた。

 レイアウトは広大なコースを隅々まで使い、スタート直後にスラロームから前進でガレージ。たて続けに後退での車庫入れをこなすと3本のパイロンからなる360度のおむすびターンを回り、ラインまたぎでフィニッシュ。ふたつのガレージを中心に、スラロームやターンで“走った感”も感じられる設定となった。

 エントリーは26名。Aクラスが7名、Bクラスは9名と最多クラスとなり、Cクラスが4名でDクラスは6名という内訳。女性ドライバーはAクラスに3名、Dクラスに1名が参戦した。恋の浦のある福岡県を中心に、熊本県など隣県のドライバーも多く参戦した。

 職員による競技会への参戦など、九州のモータースポーツを盛り上げているトヨタカローラ福岡も協賛。JAF福岡支部によるシートベルトコンビンサーやこども免許証の出展とともに、競技車両を展示した。また、賞品の提供だけにとどまらず運営スタッフとしても参加して、この一戦全体をサポートした。

 表彰式終了後には、参加者全員が参加したじゃんけん大会を実施し、景品をふるまった。優勝した選手も成績が芳しくなかった選手も、クルマの運転の面白さや難しさあらためて実感し、ドライバー同士の交流やお土産も得ることができて、充実の1日を送れたであろう表情をしていたことが印象的だった。

毎年ジムカーナとダートトライアルの全日本選手権も開催されるスピードパーク恋の浦が舞台。ドリフトコースでの開催は初の試みだ。
オートテストで好成績を残す要となる“ガレージ”は前進と後退の2種類。スラロームやターンで走りも味わえる構成で競われた。
階段状の“元観客席”が周囲を囲む独特の形状をしたスピードパーク恋の浦のドリフトコース。底面の広場は広大で、レイアウトは自由自在。
JAF福岡支部がシートベルトの効果を体験できるアトラクションやこども免許証を出展。トヨタカローラ福岡は実戦で投入されている競技車両を展示した。
表彰式終了後のじゃんけん大会では、トヨタカローラ福岡や主催者たちが用意した景品が配られ、参加者全員が笑顔で恋の浦を後にした。
Aクラス(軽自動車AT)優勝は、ガレージつかさジーノで参加の大塚耕司選手。
2位はガレージつかさアイの伊藤浩光選手、3位はトップギアライフの平嶋雪乃選手
Aクラスの表彰式。左から2位の伊藤選手、1位の大塚選手、3位の平嶋選手、4位の那須譲選手、5位の加藤昭司選手、6位の古賀かおり選手。
Bクラス(MT車両・気筒容積制限無し)優勝は、ダイハツ・コペンで参加の河田誠也選手。
2位はアバルト・595の岡藤雅昭選手、3位はスズキ・スイフトスポーツの池村常正選手
Bクラスの表彰式。左から2位の岡藤選手、1位の河田選手、3位の池村選手、4位の井手本政幸選手、5位の野見山栄治選手、6位の植山剛徳選手。
Cクラス(普通車MT以外の車両・気筒容積制限無し)優勝は、トヨタ・86で参加の鶴戸裕之選手。
2位はホンダ・フィットの徳川敬文選手、3位はスバル・インプレッサスポーツの楪裕一選手
Cクラスの表彰式。左から2位の徳川選手、1位の鶴戸選手、3位の楪選手、4位の柳池正博選手。
Dクラス(初心者・自己申告 車両混合)優勝は、スズキ・スイフトで参加の川島元貴選手。
2位はスズキ・スイフトスポーツ伊村昇選手、3位はスバル・B4の梶原位能選手
Dクラスの表彰式。2位の伊村選手、1位の川島選手、3位の梶原選手、4位の蒲原翔選手、5位の寺岡優輝選手、6位の岩崎隆顕選手。
全国一斉オートテスト 2022 IN 福岡の女性参加者の皆さん。
元々はドリフトを嗜んでいたというBクラスの河田選手、オートテストは初参戦の宮崎を皮切りに、6~7年の参戦歴で九州エリアのトップとなった。「中国エリアのオートテストを追っていて、全国一斉オートテストではそのライバルたちと戦いたかったんですが、地元でも開催されるということで、九州のオートテストを盛り上げようと参加しました。練習走行ではバックギヤが入らず、1本目でパイロンを踏んでしまうなど散々で、2番手のアバルト595(岡藤雅昭選手)と3番手のスイフトスポーツ(池村常正選手)が32秒台を出していたため、2本目は相当にプレッシャーがかかりました。オートテスト特有のバックギヤを使うところ、ガレージとラインまたぎはスムーズかつ確実に、という点を心がけつつ、安全マージンを持って走るだけでは逆転できなかったので、踏むところは踏みました。2本目で逆転優勝を果たせて気持ち良かったです。このコースは安全面も考えられていて、初心者の方にも分かりやすい、おもしろいレイアウトだったと思います。オートテストは普段の運転の延長上の競技ですね。いつものスピード域より速くなり、より確実な操作が求められますが、運転技術向上の相乗効果があると思います」

フォト/西野キヨシ、JAFスポーツ編集部 レポート/JAFスポーツ編集部

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