昨年に続いて開催の利府ラリーは、小舘優貴ミラージュが激戦の末に“親子対決”を制す!

レポート ラリー

2022年12月13日

昨年初めて開催された利府ラリーが、今年もJMRC東北ラリーシリーズの最終戦として、11月26~27日に開催された。

2022年JMRC東北ラリーシリーズ第6戦
利府ラリー2022

開催日:2022年11月26~27日
開催場所:宮城県利府町
主催:RTGP、CMSC仙台

 利府ラリーは昨年秋に初開催され、今回が2回目の開催。利府町では今年5月にもTOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジの第3戦が開催されており、東北は勿論、全国的にもラリータウンとしてお馴染みの自治体になりつつある。

 ラリーは26日午後と27日早朝の時間帯にレッキが設けられ、利府町役場を27日午前10時にスタート。昨年もSSが設定された森郷、沢乙の2本の林道で勝負を競った。森郷はターマックだが、所によっては路面の間や端から土も顔を出すミックス路面的な要素も強いステージ。一方の沢乙はオールグラベルとなる。2本とも上り勾配のSSだ。

 今回はまず森郷を2本連続で走行した後、沢乙を1本走ってサービスイン。午後のセクションは沢乙、森郷の順で1本ずつクリアしてゴールする。SS距離は森郷は1.31kmで沢乙は0.91km。5本合計でも5.75kmと短いが、いずれも特徴的な路面であるため、最後まで気が抜けないステージだ。リエゾン区間を含む総距離は76.63kmとコンパクトなラリーとなっている。

利府ラリーは今回も利府町役場にHQ、サービスパークを設置して行われた。町役場の中にはSSの模様をライブ中継で観戦できるスペースも用意された。
サービスパークは、町役場の裏手の駐車場に設けられた。地元東北地区をはじめ、関東からも参加者が駆け付けた。

 13台が参加と今回最大の激戦区となったB-1クラスは、利府ラリー初挑戦となった岩手の伊藤一也/平野正志組がSS1、SS2と連続ベストを獲り、順調な滑り出しを見せる。しかし伊藤選手のチームメイトであると同時に最大のライバルでもある橋本奨/吉田知宏組はSS1でセカンドベストを奪うも、SS2でスピン。復帰に戸惑ったため、約30秒のタイムロスを喫し、早くも勝負権をほぼ失ってしまう。

 “岩手組”の不幸はSS3でも続いて、何と伊藤組がコースオフ。コースに復帰するもマージンを吐き出してしまい、このSSでベストタイムをマークした地元宮城、昨年も2位に入った菊池恒博/遠藤誠組が首位に立った。菊池組は続くSS4も連続ベストで上がって最終SSもセカンドベストと、首位の座を守ってゴールしたかに見えたが、何とSS2でフライングを採られていたため、ペナルティ10秒が加算されることに。

 このため、伊藤組が首位を奪回して利府ラリー初優勝。関東から遠征してきた渡辺謙太郎/伊藤克己組が7秒差の2番手に入り、菊池組は渡辺組から僅か1秒差の3位に後退することとなった。「菊池選手も渡辺選手も速かったので無我夢中で走ったら、何とか今回は“生き残り大作戦”の末に勝てたという感じですね(笑)」と振り返った伊藤選手はスノーラリーでは圧巻のスピードを見せる一人だが、ミックスのラリーでも今回は速さを見せつけた。

「2本とも今まで走ったことのないような路面で、しかもツイスティだったので、最後まで集中力をキープしないといけないラリーでしたね。You Tube等で昨年走った選手達のインカーを見て予習してきたつもりでしたが、実際に走ってみないと分からない部分が多いラリーでした」と初参加となった利府ラリーを評した。一方、金星を逃した菊池選手は、「(SS2は)気持ちが先走ってしまいました。去年とはまた違った感じの路面でしたが、思ったよりは走れたと思うし、タイヤ選択も当たったと思います。また来年頑張ります!」とリベンジを誓っていた。

B-1クラスは伊藤一也/平野正志組がシーズン3勝目を飾った。
優勝の伊藤/平野組。
前戦からの連勝を狙った渡辺謙太郎/伊藤克己組だったが、2位に留まった。
菊池恒博/遠藤誠組は昨年に続いて速さを見せたが、ペナルティに泣き、3位でラリーを終えた。
B-1クラス表彰の各選手。

 B-2クラスは、昨年も話題を呼んだ青森の小舘久選手と小舘優貴選手の親子対決が注目を集めた。SS1は小舘優貴/小山内駿太組が0.6秒差で父親の小舘久/伴英憲組を下して、利府ラリーV2に向けて好スタートを切るが、SS2は久組が1.8秒、優貴組を上回って首位に立った。

 オールグラベルの沢乙に転じたSS3は2台とも同秒ベスト。2度目の沢乙のSS4は優貴組が0.5秒上回り、0.7秒差まで詰めて最終のSS5に臨んだが、ここで優貴組は2.1秒差で久組を下す渾身のベスト。土壇場で逆転を果たして、昨年に続いて親子バトルを制した。

 薄氷とも言える勝利を遂げた小舘優貴選手は、「今年はどこが滑るか分からず、見極めの難しい路面でしたね。最初からプッシュしたつもりですが、セクション1はギア選択などで迷いがあったので、サービスでインカー映像を見直して走りを変えたのが良かったと思います。親父だけじゃなくて皆、速くなってる感じがあるので、油断できないクラスになってきましたね」とホッとした表情。

 一方、小舘久選手は、「去年はSS1で大きく離されたので、今年は最初から攻めてペース良く行けた感じはあったんだけど、森郷は路面が難しくて攻め切れない所がありましたね。でも、最後はなんで2秒も速く走れんのかなぁ(笑)。やっぱり3本目も2本目からしっかり詰めないとダメなんでしょうね。まだまだ勉強が足りない(笑)。まぁもうちょっと、息子と遊びますよ!」と苦笑していた。なおこのクラスは、2017年の全日本チャンピオンである猪俣寿洋選手が小俣彩選手とのコンビで、2018年のラリー北海道以来、4年ぶりにラリーに復活。3位に入賞した。

最終SSまで白熱のバトルが続いたB-2クラスは小舘優貴/小山内駿太組が2年連続で利府ラリーを制した。
B2クラス優勝の小舘/小山内組。
小舘久/伴英憲組は最終SSで逆転を許して2位。昨年のリベンジは果たせなかった。
ミラージュでラリー復帰の猪俣寿洋/小俣彩組が3位に入った。
B-2クラス表彰の各選手。

 B-3クラスは昨年このラリーを制した岩手の石倉英昭/小原大組が今回もヴィヴィオで参戦。舗装の森郷ではFF勢の柳本弘信/柳本知子組、前戦優勝のイリエモン/金子圭造組が喰らいつくが、オールグラベルではやはり4WDのヴィヴィオが速く、2台を引き離して独走態勢に持ち込み、終わってみれば全SSベストの快走で2連覇を達成した。

「森郷は草刈りして頂いたようで、道が広くなって走りやすくなりましたが、滑って2度も突っ込みそうになりました。改めてあの林道の難しさを痛感しましたね。タイヤも良くマッチしてくれたので、今年も勝てて良かったです」と、石倉選手はホッとした表情を見せた。ヤリスvsフィットのバトルが最終SSまで続いた2位争いは、イリエモン組のフィットが柳本組ヤリスを1.1秒差で振り切った。

B-3クラスは石倉英昭/小原大組がヴィヴィオで2年連続の利府ラリー制覇を達成。
B-3クラス優勝の石倉/小原組。
白熱した2位争いはイリエモン/金子圭造組が制した。
TGRラリーチャレンジでも活躍する柳本弘信/柳本知子組が3位に入った。
B-3クラス表彰の各選手。

 B-4クラスはともに関東から遠征した室田仁/大柿雅人組と西村章/藤田美登里組の対決となったが、昨年このラリーを経験している室田組がSS1からベストタイムを連取。「2本の林道とも去年とは路面の感じが違って難しかったですが、何とか走り切れました」という室田組が、今回もヴィッツCVTを巧みに操って優勝をさらった。

B-4クラスは関東から遠征した室田仁/大柿雅人組がシーズン4勝目を獲得。
B-4クラス優勝の室田/大柿組。
西村章/藤田美登里組が2位に入賞した。
B-4クラス表彰の各選手。
表彰式では自由民主党モータースポーツ振興議員連盟特別賞が、利府町の櫻井やえ子副町長より総合1位の伊藤一也/平野正志組に贈られた。

フォト&レポート/JAFスポーツ編集部

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