鈴鹿の地方カート選手権FS-125/X30部門は中井陽斗選手が前戦でタイトル確定!

レポート カート

2022年12月28日

鈴鹿で行われる2022年地方カート選手権FS-125/X30部門は、最終戦を待たずして中井陽斗選手(Team EMATY)のチャンピオンが確定。その中井選手が欠場した最終戦(第5戦)では、箕浦稜己選手(BirelART West)が優勝を飾った。

2022年JAF地方カート選手権 FS-125/X30部門 第5戦
2022 鈴鹿選手権シリーズ 第7戦 カートレース IN SUZUKA

開催日:2022年12月11日
開催地:鈴鹿サーキット南コース(三重県鈴鹿市)
主催:SMSC

地方カート選手権FS-125/X30部門

 全5戦で行われる2022年の地方カート選手権・鈴鹿選手権シリーズ(FS-125/X30部門)は、14歳の中井選手が第4戦までに2勝とふたつの2位入賞を果たしてポイントレースを独走、シリーズ最終戦を待たずしてチャンピオンが確定した。

最終戦となるFS-125/X30部門の第5戦を欠場した中井陽斗選手。「第4戦が終わった直後は、勝てるはずのレースで勝てなかったことが悔しいばかりでシリーズのことは何も分かってなかったです」と振り返りつつ、「家に帰ってからカート専門誌のSNSを見て、自分がチャンピオンに確定したことを知って、驚きと喜びが湧いてきました」と語る。今回は同日に行われたOKカテゴリーの特別戦に参戦しており、「2023年はGPRカーティング・シリーズのOKクラスでシリーズチャンピオンを目指します」と、来季を見据えてすでに動き始めていた。

 迎えた最終戦、その中井選手は同時開催されるOKカテゴリーの特別戦にエントリーして地方選手権は欠場となった。それでもレースは盛況、最大出走台数ちょうどの34台が年末の一戦にエントリーしてきた。サーキット上空には雲が広がっているものの薄日も射し、まずまずのレース日和になった。

 公式練習につなげて行われた5分間のタイムトライアルでは、13歳の箕浦選手が49秒384のトップタイムをマークして予選のポールを獲得。それに0.005秒差で落合蓮音選手(Ash with Hojust)が続いた。3~4番手は佐藤佑月樹選手(RT WORLD)と松井沙麗選手(BEMAX RACING)だ。

 予選は10周。箕浦選手はスタートから先頭をキープしたまま周回を重ねたが、残り2周で後続に逆転を許して2番手のゴールに終わり、決勝のポールは落合選手のものとなった。3~4番グリッドは加納康雅選手(TIGRE)と大槻直選手(Ash)だ。

 15時半、この日最後のレースとして地方選手権の決勝が始まった。16周レースのオープニングラップを先頭で終えたのは箕浦選手。その座を2周目に加納選手が奪い、8周目には大槻選手がトップに立った。全日本カート選手権FP-3部門の東西統一競技会で初優勝を飾って注目を浴びた大槻選手は、125ccカテゴリーでも高いパフォーマンスを披露し、5台一列の先頭集団を牽引していく。

 だが、鈴鹿選手権シリーズはそれほど容易に勝てるレースではない。残り4周、序盤戦の競り合いで失速して4番手に後退した箕浦選手が、大槻選手を抜き返して再びトップに。ここから2番手争いが熱を帯びたことで、箕浦選手の背後には0.5秒以上のギャップが生まれた。2022シリーズ最後の一戦は、箕浦選手の初優勝で決着した。

 それにやや後れて、4台が連なってゴールラインを通過。加納選手が2位、大槻選手が3位で表彰台に上った。4位に入ったのは中井陽斗選手の弟で、今回がデビュー戦の悠斗選手(TEAM EMATY)。僅差の5位は佐藤選手だった。

「初優勝です。めっちゃうれしいです」と興奮冷めやらぬ様子の箕浦稜己選手。「スクールで学んだとおり、抜かれても冷静にいこうと思いながら走っていました。5周目に順位が下がった時も不安はありませんでした。最後に後ろが離れてからは余裕を持って走れました」とトップチェッカーで優勝を遂げた。
2位は加納康雅選手、3位は大槻直選手。
FS-125/X30部門表彰の各選手。

 この日は2022鈴鹿選手権シリーズ カートレース IN SUZUKAの最終戦(第7戦)として、4つのクラスが同時開催された。

ROK-SHIFTER

 シフターカートのROK-SHIFTERでは、4番グリッドから躍進した丸山陽平選手(HRT)が最終ラップ、最終コーナーでの逆転を成功させて初優勝を飾った。あと一歩で初勝利を獲り逃した豊島里空斗選手(HRT withカローラ新茨城CSI Racing)は、マシンを降りると悔し涙にくれた。3位には久々に参戦の伊藤慎之典選手(HRT)が入り、HRTはチームで表彰台を独占だ。

 HRT勢の強さは混走で行われた35歳以上対象のマスタークラスでも光り、小林弘直選手(HRT)が総合7番手で真っ先にゴール。ところが小林選手はフロントフェアリングのペナルティを受け、クラス優勝はスタートの出遅れから猛挽回を続けた佐藤奨二選手(TOKAIDENSO DSM)のものとなった。小林選手は5秒加算のペナルティを受けながら2位に入賞。3位はマスタークラス同士4台の熱闘を制した加藤丈宜選手(MOMOX KART RACING)が手に入れた。

最終コーナーで劇的な逆転優勝を遂げた丸山陽平選手。「最後の最終コーナーを立ち上がってからは(豊島選手と)どちらが勝ってもおかしくないなと思っていて、でも相手をけっこう抑えられるラインで立ち上がれたので、頭ひとつの差で勝てたのはすごくうれしいです」とコメント。
2位は豊島里空斗選手、3位は伊藤慎之典選手。
ROK-SHIFTER表彰の各選手。
「スタートでミスって、ほぼエンジンストールの状態でした……。あれがすべてでしたね」と反省しきりの佐藤奨二選手。遅れを挽回する走りを見せて優勝するも「スタートの練習をして出直します」と謙虚に語った。
2位は小林弘直選手、3位は加藤丈宜選手。
ROK-SHIFTER Masterクラス表彰の各選手。

YAMAHA SS

 100cc空冷エンジンのKTことヤマハKT100SECワンメイクによるYAMAHA SSは、この日最多の55台がエントリー。2グループに分かれての予選とセカンドチャンスヒート(敗者復活戦)を経て行われた決勝では、KTマイスターと鈴鹿マイスターの猛者たちが大集団を形成しての優勝争いが繰り広げられた。最終ラップの4度にわたるトップ交代劇を経てこの熱戦を制したのは、13歳の伊藤聖七選手(Ash)だ。0.161秒差の2位は元全日本ドライバーの26歳、澤田寛治選手(のりものクラブTIGRE)。3位には伊藤選手と同じ13歳の横山優之介選手(SPS川口)が入った。

猛者が集うYAMAHA SSを制した伊藤聖七選手は「最後は向こうもブロックしようとは思ってなかっただろうから、抜かれても焦らずに抜いていこうと思って、優勝を狙っていきました」と僅差でトップチェッカーを受けた。
2位は澤田寛治選手、3位は横山優之介選手。
YAMAHA SS表彰の各選手。

YAMAHA SUPER SS

 同じKTエンジンのワンメイクながら30歳以上限定のYAMAHA SUPER SSも、エントリー53台と大盛況。その決勝では、ポールからスタートした広島の雄、佐々木克行選手(RT.HISTRY)が手強いライバルたちの襲撃に討ち勝ってウィナーとなった。最終ラップに火を噴いた2番手争いは坂裕之選手(のりものクラブTIGRE)が2位、光田拓選手(M sistem)が3位で決着した。

「今年から鈴鹿のSUPER SSに出始めました」と言う佐々木克行選手が優勝。「ずっと勝てそうで勝てなかったので、やっと優勝できたからうれしいです」と喜びをあらわにした。
2位は坂裕之選手、3位は光田拓選手。
YAMAHA SUPER SS表彰の各選手。

AVANTI

 125cc空冷エンジン・ワンメイクのAVANTIでは、5度の首位交代劇を経て木村一眞選手(カキエレーシング)がトップゴールを果たしたが、スタート違反のペナルティで6位に降格。代わって小川昌悟選手(Toko Sport with KC NAGAHARA)がウィナーとなった。2位の北山深翠選手(FARM RACING)と3位の岡部雅選手(きのくにカートクラブ)は、オープニングラップのポジションダウンを挽回しての表彰台登壇だった。

スタートで出遅れたと言う小川昌悟選手。「リスタートになると思って油断してしまいました。2年くらい苦戦していたAVANTIで、やっと気持ちよく走ることができました」と勝利を喜んだ。
2位は北山深翠選手、3位は岡部雅選手。
AVANTI表彰の各選手。

2022鈴鹿選手権シリーズ カートレース IN SUZUKA チャンピオン表彰式

 すべての決勝レース終了後、鈴鹿選手権シリーズを対象とした5クラス(ROK-SHIFTER Masterクラスを除く)のチャンピオン表彰式が行われた。

2022鈴鹿選手権シリーズ・AVANTIチャンピオンは渡邉僚選手。
2022鈴鹿選手権シリーズ・YAMAHA SSチャンピオンは角陽向選手。
2022鈴鹿選手権シリーズ・YAMAHA SUPER SSチャンピオンは佐々木克行選手。
2022鈴鹿選手権シリーズ・ROK-SHIFTERチャンピオンは東拓志選手。
2022鈴鹿選手権シリーズ・FS-125/X30チャンピオンは中井陽斗選手。
2022鈴鹿選手権シリーズチャンピオン獲得の各選手。

フォト/長谷川拓司、JAFスポーツ編集部 レポート/水谷一夫、JAFスポーツ編集部

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