JMRC関東ダートフェスで、小山健一シビックが無敵の12連覇達成!
2022年12月29日

関東ダートトライアル界の走り納めイベントである、JMRC関東ダートトライアルフェスティバルが、今年も12月11日に栃木県の丸和オートランド那須で開催された。
2022JMRC関東ダートトライアルフェスティバル
開催日:2022年12月11日
開催場所:丸和オートランド那須(栃木県那須塩原市)
主催:ARFA
昨年、2年ぶりに復活したJMRC関東ダートトライアルフェスティバルは、12月11日、丸和オートランド那須で2022年のグラベルシーズンを締め括る一戦として行われた。当日は雨こそ降らなかったものの、曇天の中、競技はスタート。時折、青空も顔を覗かせたが、手もかじかむほどの寒さの一日となったため、路面も場所によっては乾き切らず、微妙なコンディションが続く大会となった。
今回、注目を集めたのはクラス設定で、2023年のJAF関東ダートトライアル選手権のクラス区分を先取りする形のクラス分けが採用された。一番、大きな変更点は、今季までZC33Sスイフト勢と86/BRZ勢が混走していたPN2&PN3クラスから、86/BRZ勢を主たる対象とするPN3クラスが独立。ZC33Sスイフト勢のPN2クラスはN1クラスと合体する形になった。今回はこのN1&PN2クラスに9台、PN3クラスには8台がエントリーし、来季の盛り上がりを予感させた。




N1500 クラスは、今季の関東地区戦終盤戦を連勝で締め括った期待の若手、佐藤羽琉妃選手が今回も絶好調。第1ヒートでただ一人、1分51秒台にタイムを乗せてトップに立つと、第2ヒートでも1分47秒台に叩き入れて、2番手に1秒以上もの大差をつけて優勝をさらった。
手が付けられないと言ってもいい速さを見せた佐藤選手は、「今日の路面を考えたらウェットタイヤだったと思いますが、今回はフェスティバルということで、いつもは履かないドライタイヤで勝負してみました。2本目もインに乗り上げたりして危ない場面もありましたが、見た目より路面もグリップしてくれたので、意外と走りやすかったですね。今季は最後の3戦の6本すべてベストでシーズンを終えられたので、この速さを来季に繋げたいです」と、来たる2023シーズンを見据えていた。



続くN1クラスはPN2車両が混走する注目のクラス。第1ヒートでは全日本チャンピオン経験者、中島孝恭選手の33スイフトが2番手につけるが、「今日は4WDが有利の路面でしたね」と振り返った、1本目トップの杉谷永伍選手のストーリアX4が、第2ヒートでも1分45秒台までタイムを上げて最後まで首位を守った。
「もっとドライだったら競った展開になったと思います」と振り返った杉谷選手に対して、中島選手は2.27秒落ちの3番手でゴール。2WD勢の1番手は、「せめてシビックには勝ちたかった」と中島選手に言わしめた島村茂選手のEG6が獲得したが、杉谷選手には2.07秒及ばず完敗。ただし杉谷選手は別クラスに移行予定のため、このクラス、来季は混戦となりそうだ。



一方、N1クラス同様、注目を集めたPN3クラスは、第1ヒートで関東期待の27歳、森戸亮生選手が1分51秒01のタイムでぶっちぎって首位に立つ。第2ヒートに入ると佐藤秀昭選手が1分49秒32でベストを塗り替えるが、後続の選手は森戸選手の暫定ベストも更新できないまま、最終ゼッケンの森戸選手がスタート。
「ちょっとずつミスもありましたが、トータルで見れば悪くなかった」というその走りは、1分47秒04をマークして土壇場で再逆転に成功した。「やっと単独で僕らのクラスができると聞いて嬉しくて今日は参加しました。かなり気合を入れて走りましたが、結果が残せて良かったです」と森戸選手。2023年は新たなクラスの初代チャンピオンを狙う。



続くN2クラスはランサーエボリューション4台による戦いに。今年も関東地区戦チャンピオンの座を防衛した影山浩一郎選手が、「今日はウェットタイヤに賭けてきました」という走りで、第2ヒートでは自らの暫定ベストを1分39秒台まで吊り上げて勝ち切り、今シーズンの有終の美を飾った。



S1クラスは14台がエントリー。その数に劣らぬ熱い戦いが展開された。第1ヒートのベストをマークしたのは今季の関東地区戦N1500&PN1クラスにZC31Sスイフトでエントリーしていた栗原まさき選手。昨年もシリーズチャンピオンを獲得した実力者だが、今回はS1クラスのトップランカーである松栄吉彦選手の33スイフトでダブルエントリーして、唯一、1分47秒台にタイムを乗せてくる。
しかし、このクラスも第2ヒートに入るとベストタイム更新が相次ぎ、仕切り直しに。だが、栗原選手はこのヒートでも断トツの1分44秒台に入れて首位を保ったまま、最終ゼッケン、小山健一選手の走りを待った。関東フェスティバル11連覇中の名手、小山選手は第1ヒートはまさかの5番手で折り返し、連覇に黄信号が点滅したかに見えたが、第2ヒートでは起死回生の走りを見せて栗原選手を0.8秒凌ぐタイムでゴール。今年も土壇場で底力を見せて連勝記録を12に更新した。
「栗原選手のタイムは聞こえなかったけど、1本目でタイムが出なかったので、2本目は無我夢中で走りました(笑)」と小山選手。「1本目は滑ったのに攻めすぎて路面に合わせられなかったので2本目は何とか合わせるように修正しました。上位陣は皆、ドライタイヤだったけど、コーナーは掃けていても繋ぎの直線はザクザクだったので、そこでウェットタイヤで稼げれば行けるんじゃないかと思った。コーナーは抑えて小さく回りました」と勝因を振り返った。
「この時期の丸和はやっぱり乾かないし、独特の路面になる。でも以前は朝は路面が凍ってるのが普通で、それがどこまで溶け出すかを読むのが勝負だったから、それに比べれば最近は温暖化の影響か、最初から溶けてるので、まだ路面は読みやすいですよね。でも今年は調子が悪かったから今日もダメかなと思ったけど、勝てて良かった。周りが速くなってるから、来年はシビックをリフレッシュして、EK9でどこまで戦えるか試してみるつもりです」と、並み居る“新車”勢に宣戦布告していた。



出走15台と今回一番の激戦区となったS2クラスは、地区戦チャンピオンを決めたSam Iijima選手が1分38秒94で第1ヒート、トップに立つ。10月末に丸和で行われたJAFカップダートトライアルで優勝して、波に乗る大橋邦彦選手は0.34秒遅れて2番手。しかし1分40秒を切ったのはこの2台のみで、頭ひとつ抜け出した形で第2ヒートに臨んだ。
その第2ヒートでは1分37秒台のトップ争いが展開されたが、まず大橋選手が1分36秒88までタイムを上げて首位を奪回。しかし最終ゼッケンのIijima選手は気迫の走りで1分36秒30をマーク。大橋選手をコンマ5秒差で下して、激戦に終止符を打った。
「今日は、私の路面でした」と会心の笑顔を見せたIijima選手は、「大橋選手がベストを更新したのは聞いていたので、2本目はどこでも踏んで行きました。一番好きな路面コンディションだったのでゴールした時は、ぶっちぎったと思ったんですけど、そうでもなかったですね(笑)。でもJAFカップに勝てた人に勝てたので、素直に喜びたいです」とひとこと。来季はGRヤリスへのスイッチを予定しているため、ランサーのラストウィンとなる可能性の高い今回の勝利の味を噛み締めていた。



大会のトリを務めたDクラスは0.5秒の間にトップ3台がひしめく大接戦に。今季、関東地区戦はスポット参戦にとどめた下屋敷勝弘選手が、お馴染みの“スイフトの皮を被ったランサー”で2本ともベストタイムを奪って逃げ切った。
「今回初めて履いたタイヤが1本目から運転しやすくて、いい感触だったので、もっと行けると思って2本目で攻めたらベストが獲れた感じでした。ただS2クラスに負けたのはちょっと悔しいですね」と下屋敷選手。スイフトの前はレクサスのカウルで走っていたが、「ショートボディになって楽になりましたね。ただ、いつもこの時期は調子が上がって、行ける感じになるんですよ。いいタイヤも見つかったので(笑)、来年はもっと参戦して頑張りたいですね」と、今年最後のトライを満喫した様子で振り返っていた。










フォト&レポート/JAFスポーツ編集部