2022年九州モータースポーツ表彰式は佐賀で華々しく開催
2023年1月26日

九州地区のモータースポーツで上位成績を収めた選手たちを称える、2022年JAF九州選手権表彰式/2022年JMRC九州シリーズ戦表彰式が、1月15日に佐賀県佐賀市のガーデンテラス佐賀ホテル&リゾートで開催された。
2022年JAF九州選手権表彰式/2022年JMRC九州シリーズ戦表彰式
2023年JMRC九州新年総会および九州モータースポーツ表彰式
開催日:2023年1月15日
開催地:ガーデンテラス佐賀ホテル&リゾート(佐賀県佐賀市)
主催:JAF九州本部、JMRC九州
年明け早々にJAF地方選手権およびJMRCシリーズ戦の表彰式が開催されたのは九州管内。1月15日、佐賀県佐賀市のガーデンテラス佐賀ホテル&リゾートにて、2022年JAF九州地方選手権表彰式/2022年JMRC九州シリーズ戦表彰式が執り行われた。直近の九州管内の表彰式は2019年が大分、2020年はコロナ禍で中止、2021年が福岡で開催されており、今回の2022年はJMRC佐賀・長崎支部が担当となっている。
表彰式の直前にはJMRC九州の役員たちが出席する2023年第1回運営委員会があり、運営委員長代理からの年頭挨拶、JAF本部ならびにJAF九州本部からの挨拶、役員紹介などを経て、前回会議議事録(案)を確認する第1号議案、2022年決算・監査報告となる第2号議案、2023年予算についての第3号議案、そして2023年振興策について会議が行われた。



今回、招待された表彰対象者は200名を超え、来賓も含めて会場はあっという間に満席状態に。各種制限は緩和されてきているものの、コロナ禍を意識して感染予防対策を講じた表彰式となっている。司会進行はJMRC運営委員の榊淳一氏が務めた。JMRC新年総会の開会の挨拶は、佐賀・長崎支部の原和貴支部長が行う。続いてJMRC九州運営委員長代理となる星野元副運営委員長が年頭挨拶を務めた。
その後は来賓の紹介へと移行し、住友ゴム工業株式会社、トヨタカローラ福岡株式会社、ダンロップタイヤ九州株式会社、株式会社オートポリス、HSR九州、日刊自動車新聞社、合同会社サンク、アッドブレインズジャパン株式会社、全日本学生自動車連盟、一般社団法人日本自動車連盟(JAF)、株式会社JAFメディアワークスと、それぞれ来賓の名前が読み上げられ、席上で挨拶。
またJAFモータースポーツ部の村田浩一部長、住友ゴム工業株式会社モータースポーツ部の竹内二郎部長、トヨタカローラ福岡株式会社の井上直喜代表取締役専務、全日本学生自動車連盟九州支部の山本航常任委員長が、ステージ上から挨拶と祝辞を述べた。
そして当日出席したJMRC九州運営委員会の役員がステージに上がって紹介され、佐藤裕副運営委員長が代表して挨拶。新年総会の後は九州モータースポーツ表彰式となり、乾杯の音頭はJAF九州本部の丸山哲也事務局長が務めた。会場内は徐々に熱気を帯び始め、いよいよ各クラスの表彰式がスタート。
円卓に用意された食事を黙食で楽しみながらステージ上で行われる表彰式に視線が注がれる。第1部はカート部門のJMRC九州A-ONEカートシリーズ、レース部門のJAF九州選手権シリーズ/JMRC九州チャンピオンシリーズ、ラリー部門のJAF九州選手権シリーズ/JMRC九州チャンピオンシリーズの順で行われた。
表彰式第1部と第2部の間には、松濤館流の空手演武のアトラクションが行われ、抜塞大の型を原彰太郎二段が、十手の型を原和貴支部長が披露。道着の擦れる音を響かせながら、気合いの声を発して空気が一変するほど。再び原彰太郎二段が五十四歩小の型で余興を締めた。
第2部はダートトライアル部門のJMRC九州選手権シリーズ/JMRC九州チャンピオンシリーズ/JMRC九州ジュニアシリーズ、ジムカーナ部門のJAF九州選手権シリーズ/JMRC九州チャンピオンシリーズ/JMRC九州ジュニアシリーズ、そしてJMRC九州ジムカーナ沖縄シリーズの表彰となった。
最後の特別表彰には、JMRC全国オールスターラリーフェスティバルで優秀な成績を収めた4選手、JAFカップオールジャパンダートトライアルで上位入賞を果たした2選手に盾が贈られる。各選手たちからはそれぞれ参戦した競技の感想や報告がなされた。
なお表彰のプレゼンターは、カート部門がJMRC九州の荒谷嘉章理事、レース部門がJAF村田部長とJMRC九州の荒谷理事、ラリー部門がJAF丸山事務局長と専門部会の星野部会長、ダートトライアル部門がJAF九州本部の永松純一事業部長と専門部会の橋本和信部会長、ジムカーナ部門がJAF九州本部の永松事業部長と専門部会の佐藤裕部会長が務めた。
すべての表彰が終わると、九州モータースポーツ表彰式の最高潮の催しとなる抽選会が行われ、事前に購入した抽選券を握りしめた出席者がステージに再び熱い視線を送る。抽選券に記載された自分の番号が呼ばれると、笑顔で景品を受け取っていった。
宴たけなわとなった九州モータースポーツ表彰式は、JMRC九州の荒谷理事による万歳三唱でお開き。2022年の健闘を称え合うとともに、2023年のシリーズに向けて新たなスタートを切った。














































■2022年JAF九州地方選手権「初」チャンピオンインタビュー

2022年は全日本カート選手権の最高峰クラスであるOK部門に参戦する傍ら、スーパーFJ選手権をメインに戦ってきた清水啓伸選手。「自分の中では鈴鹿のスーパーFJがメインだったので、その鈴鹿で上位を走るためにオートポリスは経験を積む目的で出ました。もちろん、オートポリスで優勝できなければ鈴鹿で勝つことはできないという意気込みで走っていました。最初はカートとフォーミュラの乗り分けに苦しみ、カートの感覚に慣れすぎるとフォーミュラには違和感しかなく、またその逆も然りでした。ただ、これまでのカートの経験は、グリップ力の高い新品タイヤのときのタイムの上げ方など、うまく活かし切れたと思います。スーパーFJはよりスリップが効きやすいこともあってバトルもしやすく、そこが面白くて魅力でした。スーパーFJに参戦してさまざまな課題を見つけることができたので、オフシーズン中にしっかり調整をし、2023年はFIA-F4選手権に挑戦します!」

気筒容積1500cc以下の前輪駆動のAT限定のラリー車両(RJ、RF、RPN車両)およびAE車両(AT限定)となるRH-6クラスで、スズキ・アルトを武器に復帰3年目でようやく初タイトルをつかんだ若杉達哉選手。第1戦は不成立だったが、第2戦以降は優勝者が毎戦異なる激戦クラスの中、第4戦を制して2位2回と3位1回でポイントを積み重ねていき、戴冠となった。「チャンピオンを獲得するために、とにかくいっぱい参戦しました。自分の競技車両は軽自動車なので『普通車に勝つぞ!』というのをモチベーションに頑張りましたね。シリーズで1位を獲れたのは1回ですが、チャンピオンになれたことはうれしいです。第6戦と第7戦の2位は、走りをセーブしてポイントを稼ぐ作戦でした。2023年は所属クラブ(モータリストクラブあかしや)の若手が参戦するというのでサポートに回ろうか迷っています。全戦追うのは止めて、気が向いたのだけスポットで出ようかなとも思っています」

2022年の九州ラリー選手権が初参戦という山本祐介選手は、これまでモータースポーツの経験がない中、教師として勤めている高校の自動車工学専攻科の学校行事の一環で、九州マツダからの協力もあってラリーを始めたそうだ。「競技に関わる前は本当に何も知らず、ラリーはドライバーだけで走れるものだとイメージしていましたが、いざやってみるとSSでタイムを出す上でコ・ドライバーって大事だと実感しました。ゼロから始めたので、とにかく最初はペースノートをミスなく読むことに注力し、慣れてきた後半戦ではノートを読むタイミングを計り、路面状況を分かりやすく伝えることを意識しました。私自体は率直に言われたとおりにやっただけなので、コドラのチャンピオンでいいのかな?というのが正直な気持ちです(笑)。縁の下の力持ちとして走りやすい環境を整えるためにサポートしたり、ドライバーの本調子を上手く引き出していくことがコドラの魅力でした」

竹尾真理華選手は競技歴4年目の現役大学院生。免許を取得して1年弱でモータースポーツの世界へ足を踏み入れたそうだ。「ラリーを始めたきっかけは、大学の先輩からのお誘いなんです。実はコ・ドライバーって助手席に乗っているだけの人というイメージで、最初にラリーカーに乗せていただいたときも、ベテランや慣れているドライバーの隣だったこともあって、自分は乗っているだけでした(笑)。2022年は縁あって過去にチャンピオンを獲っている選手のコドラをやらせていただく機会をいただけましたので、プレッシャーを感じつつも、いろいろな経験を積ませてもらいながら挑んだ1年でした。クルーの津野裕宣選手は怖そうな印象でしたがすごく優しく、勝利へのこだわりが強くて速いドライバーでしたね。アクシデントがあっても、ものともしない精神力の強さを学びました。初めてシリーズチャンピオンを獲ることができたことについて、安心感のひと言に尽きます」

モータースポーツ歴は学生時代から数えて10年弱という篠原徹選手、今回タイトルを獲ったダートトライアル自体は2年前に始めたばかり。「いつかはダートトライアルに挑戦してみたいなと思っていたのですが、仕事の関係で一時期関東へ赴任していたこともあり、九州に戻ったタイミングでようやく競技が始められました。元々、ラリーやジムカーナをスポットでやっていた程度で、本格的にシリーズを追いかけたのは2021年からなんです。その2021年はS-1クラスでシリーズ3位だったんですが、それ以上の成績を求め、また投入する新しいクルマに慣れること、そして2021年のPN1+クラスチャンピオンの水野喜文選手にどれだけ挑めるかを目標にして臨みました。2022年は上手く行き過ぎた年でしたね。第2戦のシェイクダウンから参戦して、第3戦以降はずっと勝ち続けて最終戦を終えました。シリーズチャンピオンはうれしいですが、恋の浦での競技が最後となったのが残念です」

510型ブルーバードがラリーに出ていたころからラリーをやりたいと思い続けていた五味直樹選手は、大学時代の友人がダートトライアルをやっていたのに影響を受け、社会人になってからダートトライアルを始めたそうだ。「25~29歳まで競技をしていましたが、10年ほど休止期間があり、39歳から復帰して今に至ります。Dクラスは年齢も大差ないベテラン同士で頑張っているのですが、同じチームの橋本和信選手がいつもチャンピオンを獲っているので、『橋本選手に勝つぞ!』という気持ちでずっとやってきました。2022年はクルマのセッティングがある程度決まって踏める状態でしたので、普通に走ればそこそこのタイムも出せました。勝敗の分かれ目は失敗の少ない選手、ということでしたね。3選手それぞれ2勝ずつで最終戦を迎えましたが、無理をせず冷静に走った結果、優勝できてタイトルも獲れたんだと思います。表彰式でようやくチャンピオンの実感が湧きました」

黒水泰峻選手は、3歳から小学3年までミニバイクを嗜んで一時期モータースポーツに接するも、高校卒業までは野球に打ち込むスポーツマンへと転身、そして免許を取得してから再びモータースポーツの門戸を叩いた経歴を持つ21歳だ。「父親が二輪をやっていたことも影響して、自分は四輪の方に興味を持ってジムカーナを始めました。2021年はシリーズ3位だったので、2022年はチャンピオン目指して頑張ろうと思いました。シリーズの途中までは前期型のトヨタ・86で、第4戦からGR86に乗り換えてデビューウィン、そのまま勢いがついた感じです。とくにGR86は基本性能が非常に良くて、車両データも前期型のものがある程度は使えたので、安心して乗ることができたのが大きかったですね。毎戦表彰台を獲得していますが、中でもフルパイロンコースではドライビングの得手不得手が出てしまったので、2023年はコンスタントにどのコースも攻略できるようになりたいです!」

20代のころに少しモータースポーツをかじり、16年ほどの休止期間を経て、スポット参戦を重ねながら2022年は久しぶりにフル参戦を果たしたという藤本伸選手。「若いころに峠道での事故の経験から、クルマの知識や運転の技術を高めたいという思いでモータースポーツを始めました。当時と比べて運転の腕は少し上がっていると思いますが、まだまだですね(笑)。これまで実績もそんなにないので、2022年はとにかく“チャレンジャー”でした。実は2021年に良い練習ができたので、腕試しと言ったらおこがましいですけど、どこまで通用するかな?と密かに期待もしていました。5勝してチャンピオンにはなれましたが、個人的にはスキルもまだまだだと思っていますので、自分がチャンピオンを獲っていいのかな?という感じではあります。2023年もフル参戦を予定していますが、タイヤ規定も変わりますし、それに合わせて心機一転で頑張ろうと思います」
フォト/西野キヨシ、JAFスポーツ編集部 レポート/JAFスポーツ編集部