93台の氷上バトル! 恒例の“糠平湖”で開幕した2023年JAF北海道ダートトライアル選手権は、4WD-2の笠原陸玖選手が最速タイムをマーク!!
2023年2月3日
JAF北海道ダートトライアル選手権の2023年シーズンが1月22日、毎年恒例の「糠平湖氷上タイムトライアル」で開幕した。今年は道内外から93台のエントリーを集め、晴天のもと、久々に多くの観客が見守る中で無事開催された。
2023年JAF北海道ダートトライアル選手権第1戦
2023年JMRC北海道WinmaXダートトライアルシリーズ第1戦
第44回糠平湖氷上タイムトライアル
開催日:2023年1月21~22日
開催地:糠平湖氷上コース(北海道河東郡上士幌町)
主催:TEAM-OSC
今年は全8戦が行われるJAF北海道地区のダートトライアル選手権。その開幕戦が北海道河東郡上士幌町ぬかびら源泉郷にある糠平湖に特設された糠平湖氷上コースで開催された。「糠平湖氷上タイムトライアル」は今年で44回目を数える伝統の一戦。毎年、JAF北海道ダートトライアル選手権の開幕戦として開催され、全国でも珍しい凍結した湖面の上で行われるスピード競技として好評を博している。
近年では温暖化の影響もあり氷の状況が心配され、今年は開催前週に気温がプラスに転じることがあったものの、積雪は少なく、氷の厚さは40cmにもなっていたことから、主催の帯広スピリットカークラブによれば、例年よりは順調にコースの設営ができたという。
当日の天候は晴天で気温はマイナス19℃ということで、絶好のトライアル日和に恵まれた。地元の選手にとっては「この気温でも例年より暖かい」というから驚きだ。ただ、第1ヒート直前に風が吹き始め、第2ヒートでは雪煙が舞うほどの強風に見舞われてしまう。この「雪煙」がドライバーたちに試練を与えることになった。
コースレイアウトは昨年と同様の設定。糠平湖では「ガス穴」と呼ばれる氷が薄い部分や穴が開く箇所があるため、コース設定には熟練した経験をもってしても慎重を期する必要があるが、コーナーの曲率などを変更して、今年はより高速化がなされたという。
コース設定者によれば、「5速にきっちり入るようにしています。クルマが流れるように走ることをテーマとしましたが、昨年と同じように見えても違う部分や、要所に"いやらしい"ポイントも作ってあります」とのこと。北海道の氷上コースらしい高速設定には、参加者からも好印象な声が多かった。
昨年は新型コロナウイルス感染症の影響もあり、無観客開催であったが、今年は制限なしでの開催となった。地元の皆さんも観戦に駆けつけ、氷上で雪吹雪を上げながら走るマシンの走りを楽しみ、選手を応援する姿が印象的であった。今大会のエントリー台数は93台。道内はもちろん、道外からもエントリーが増え、参加者らはこの時期にしか味わえない、2ヒート勝負の氷上トライアルに臨んだ。
2023年のJAF北海道ダートトライアル選手権には、FF-1クラスとFF-2/4WD-1クラス、RWDクラス、4WD-2クラス、Dクラスが設定されているが、今大会ではDクラスを除く4クラスが成立した。JMRC北海道シリーズではジュニアクラスやAT車を対象としたクラスが設定され、CLOSEDクラスに加えて、今大会の名物でもあるEXPERTクラスも設定された。このEXPERTクラスとCLOSEDクラスには、シーズンオフのトレーニングを兼ねた全日本ドライバーも多数参戦。例年通りに華やかな顔ぶれがそろった大会となった。
1600cc以下の2輪駆動車で争われるFF-1クラスでは、地元帯広の岡村巧選手が初優勝。2ヒートのタイム差が0.041秒と安定した走りで、2位と1.8秒の差をつけての優勝だった。「昨年まではWエントリーでクルマを共有していたのですが、今年は自分のモノになったので遠慮がなくなりました(笑)。雪が降る前から自分のクルマとして練習ができたのも良かったです。今朝の慣熟歩行の際に、他のドライバーが使っていない走行ラインを見つけて、試しに使ってみたら良かったんです。この氷上イベントは子供の頃から観に来ていて、思い入れもあり、今回優勝ができて夢が叶いました! 来年も出ます!」と笑顔をみせた。
続いてFF-2/4WD-1クラス。このクラスはFF-1クラスに該当しない2輪駆動と、1600cc以下の4輪駆動車などで争われる。優勝はZZT231セリカを駆る菊池真選手。第2ヒートでは第1ヒートより1.8秒早い1分34秒412を記録した。「1本目のコース後半では少し踏みすぎてタイムロスしてしまったところがあったので、2本目では抑えて走りました。また2本目の出走タイミングで運良く、雪煙が収まっていたんです。今日の走りは100点です」と菊池選手は振り返った。
一方で、FF-2/4WD-1クラスで雪煙に翻弄されたのが、昨年の優勝者である内藤修一選手だ。第1ヒートではトップタイムをマーク。迎えた第2ヒートでは、前半の高速区間では第1ヒートより0.9秒も早く通過したものの、直後に、雪煙によって視界が妨げられてコースアウト、スタックしてしまう。
第1ヒートのタイムで約コンマ5秒差の2位に終わった内藤選手は「悔しいですね……。運がなかったとしか言いようがないです。今回勝てば6大会連続優勝(第39、40回大会はFF-1クラスで、第41、42、43回大会はFF-2/4WD-1クラスで優勝)だったので余計に悔しいです。来週開催される稚内での大沼スノーアタックでリベンジします」と肩を落とした。
排気量区分なしの後輪駆動車で競うRWDクラスでは、期待の若手全日本ドライバー徳山優斗選手が優勝。「糠平湖氷上タイムトライアルは年1回のイベントで、このハイスピードで走れるコースはなかなかないので、練習にもなりますし、いつも楽しみにしています。でも1本目では止まれずに刺さってノータイムでした(笑)。2本目は雪煙が多かったので、完走することを第一にして抑え目に走りました。攻めきれずに終わってしまったので、優勝したんですが悔しいです。この悔しさをバネに今シーズンの全日本ダートトライアルでチャンピオン争いをしていきたいです!」と意気込んだ。
1600cc以上の4輪駆動車が集う4WD-2クラスでは弱冠19歳の笠原陸玖選手が糠平湖氷上タイムトライアルで初優勝。大半のドライバーが第2ヒートでタイムを落とす中、約2秒のタイムアップを果たして1分22秒638を計測。今大会のオーバーオールタイムとなった。
「1本目が終わった後、師匠である田辺剛選手にアドバイスをいただきました。2本目ではタイムが落ちるだろうというのが大方の予想でしたが、アクセルワークやライン取りを丁寧にして、気合を入れて走りました。攻めるところと抑えるところのメリハリをつけたのがタイムアップに繋がったと思います。オーバーオールでのトップタイムも嬉しいですが、師匠に勝てた方が嬉しかったですね!」と笑顔で語ってくれた笠原選手。
また、糠平湖氷上タイムトライアルについても「伝統あるイベントですし、SNSで宣伝して台数がもっと増えて盛り上げていきたいです。いろんな方に体験していただいて、また来たいと思ってくれるようにしたいですね」と地元勢を代表する熱い思いも語ってくれた。
選手権対象外のEXPERTクラスには道内外から12台が参加。谷田川敏幸選手や荒井信介選手、須藤正人選手ら全日本ドライバーのほか、青森の“ロケット三上“こと三上悟選手らの大ベテランが参加する激戦区だったが、北海道の全日本ドライバー田辺剛選手が1分22秒894で昨年に続いて優勝した。
「いつもとは違うクルマで参戦したんですが、1本目でセットアップも決まっていいタイムが出ました。2本目では全日本ダートラに向けたテストも兼ねて、タイムアップを狙ったセットアップにしたのですが……、今年の大会は80点ですね、なぜなら笠原陸玖選手にオーバーオールで負けちゃいましたから(笑)」。今後の糠平湖では彼らの師弟対決にも注目だ。
15台を集めたCLOSED 1クラスは、ベテラン笹原孝志選手が第1ヒートのタイムで逃げ切って優勝。全日本ダートラJD7クラスチャンピオン・山崎利博選手は第2ヒートでタイムを上げたものの届かず、2位に終わった。また、D1ドライバー畑中真吾選手は90マークIIで山崎選手に迫るコンマ2秒差のタイムで表彰台を獲得した。
元全日本ジムカーナドライバー田口玲選手らも参戦したCLOSED 2クラスは、今大会最多の20台もの参加を集め、ダートラ界の大ベテラン・太田清隆選手が第1ヒートのタイムでブッちぎりの優勝を飾った。
JMRC北海道ジュニアシリーズのJ-1クラスはEK9シビックの白山真司選手が昨年に続いて優勝。J-2クラスはランサー・エボVIIの山口善則選手が第1ヒートのタイムで優勝し、昨年の雪辱を果たした。AT-2クラスは越野新次選手が優勝している。
フォト/加藤和由、遠藤樹弥 レポート/遠藤樹弥、JAFスポーツ編集部
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