近畿地区の2022年を締めくくるモータースポーツ表彰式が開催!
2023年2月10日

ラリー、ジムカーナ、ダートトライアル等で上位成績を収めた選手たちが集う表彰式の開催が久々に実現した近畿地区。3年ぶりの開催となるJAF近畿地方選手権/JMRC近畿シリーズの2022年モータースポーツ表彰式は、式典会場も新たに、粛々とした雰囲気で執り行われた。
JAF近畿地方選手権/JMRC近畿シリーズ
2022年モータースポーツ表彰式
開催日:2023年2月5日
開催地:ANAクラウンプラザホテル大阪(大阪府大阪市)
主催:JAF関西本部、JMRC近畿
新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受け、2020年と2021年の表彰式は残念ながら中止を余儀なくされてしまった近畿地区。そして2019年以来、実に3年ぶりに近畿のモータースポーツ表彰式の開催が実現した。だが、相変わらずのコロナ禍ということを鑑みて、今回は各クラス3位までの招待で人数を限定し、また第二部の懇親会を行わないことで表彰式の実施に至った。
これまで近畿地区の表彰式の会場を担ってきた大阪府吹田市のホテル阪急エキスポパークは2020年に営業終了したため、大阪府大阪市のANAクラウンプラザホテル大阪が新たな式典の舞台となった。大阪の中心に位置する梅田からも近いことから、会場へのアクセスも良好。来たる2月5日に大宴会場の万葉の間で執り行われた。



例年はJAF近畿地域クラブ協議会(JMRC近畿)の代表者会議が表彰式直前に行われるが、1月22日にJMRC近畿シリーズ審査委員研修会およびJMRC近畿シリーズ主催者会議が開催されており、今回はシンプルに表彰式のみとなっている。また合同表彰式として行われるJAF中部・近畿ラリー選手権は、各地区での表彰に変更となり、JAF登録住所が近畿になっている選手たちが招待された。
主催者挨拶はJAFモータースポーツ部・スポーツ課の田川員誉課長、続いてJMRC近畿の武地満喜運営委員長が祝辞を述べ、表彰式はいよいよ開幕。表彰対象となる選手は、シリーズ順位&名前が呼ばれると会場中央に用意された花道を歩いてステージ上に登壇し、拍手喝采を受けながらプレゼンターより賞典が贈られる。そしてチャンピオンのみ受賞の喜びの声を発する時間が設けられた。
近畿地区在住の選手が参戦したF4選手権やジュニアカート選手権の表彰を皮切りに、JAF中部・近畿ラリー選手権、JMRC近畿SSラリーシリーズ、JMRC近畿アベレージラリーシリーズ、JAF近畿ジムカーナ選手権/JMRC近畿ジムカーナチャンピオンシリーズ、JMRC近畿ジムカーナミドルシリーズ、JAF近畿ダートトライアル選手権/JMRC近畿ダートトライアルチャンピオンシリーズ、JMRC近畿ダートトライアルジュニアシリーズの順で行われた。
プレゼンターはジュニアカート選手権がJAF田川課長、ラリー部門がJAF関西本部の金原秀行事務局長と専門部会の梅津祐実部会長、ジムカーナ部門がJAF金原事務局長と専門部会の吉川寛志部会長、ダートトライアル部門がJAF金原事務局長と専門部会の田岡一浩部会長が務めた。
F4選手権、中部・近畿ラリー選手権DE-1クラスドライバー/コ・ドライバー、近畿ジムカーナ選手権SB4クラスなど、諸事情によりこの表彰式への参加が叶わなかった選手もいたが、会場で賞典を受け取った選手たちはそれぞれ晴れやかな笑顔を覗かせていた。最後は表彰式恒例の集合写真の撮影で散会。3月にはシーズンインするカテゴリーもあることから、2022年の健闘を称え合うとともに2023年の飛躍を誓うのであった。





























































■2022年JAF近畿地方選手権「初」チャンピオンインタビュー

山口航平選手は、大学生のときに入部した自動車部の先輩たちの走りに魅せられ、自分もラリーをやってみたいと思ったのがきっかけで、約2年のキャリアながら初チャンピオンに輝いた。「最初からシリーズチャンピオンを獲ることだけを目標に参戦しました。以前はインテグラに乗っていたんですけど、身体がインテグラのパワーに慣れていたこともあって、ヤリスに乗り換えたらパワーをフルに使いこなしながら自分の思うようにコントロールできた、というのがタイトル獲得の要因でしょうか。結果的には第2戦から第5戦まで参加した4戦は全勝できましたが、SS単位で振り返ると僅差の戦いが多く、運が良かったのかギリギリ勝てたというシーズンでしたね。ペアを組んだコ・ドライバーの谷選手も、ドライバーの要求に応える活躍を見せてくれて良かったです。今年の予定は未定なんですが、地区戦で経験を積みながら、全日本のJN5クラスにもいずれ挑戦していきたいです」

『ラリーの練習につきあって!』と誘われたものの、ラリーについてまったく知識がなかった谷美希選手。『ノートとペンだけ持ってきて!』とラリー講習会への参加を決め、コ・ドライバーについて学んでいったそうだ。「まずはノートにひたすら書き込んで、読むのが遅いとか早いとか怒られながらやっていましたね(笑)。慣れてきたころにはノートに細かい修正を入れつつ、分かりづらいところはメモを加えるなどの工夫を採り入れ、読み遅れがないように努めました。中でもとくに印象に残っているのが第2戦の豊田しもやまラリーで、クルマの慣らし運転が終わるか否かのタイミングでぶっつけ本番だったため、ドライバーがどんな運転をしてクルマがどう動くか分からない不安の残る状況でしたが……、そこで優勝できたことが大きかったです。シリーズチャンピオンが獲れたことは今でも信じられないですね。2023年、チャンスがあればまたラリーに参加してみたいです!」

大学のときに入部した自動車部でジムカーナやダートトライアルといった競技に出会い、「モータースポーツを始めて7年です」と語る山村一真選手は現在27歳。クルマが壊れるリスクも少なく、始めやすかったジムカーナにどんどんハマっていった。「全戦優勝してチャンピオンという目標を立てて2022シーズンは挑みまして、2戦ほど2位という結果になってしまいましたが、無事にチャンピオンになることができました。ですが、シリーズ2位の藤林伸吉選手に秒単位で置いて行かれるヒートもあって相当にプレッシャーを感じ、最後までハラハラしっぱなしの1年でしたね。そんなときは結果云々より楽しんで走ることに頭を切り替え、プレッシャーを跳ねのけていきました。カプチーノは中高速のスラロームが得意なマシンでしたが、今年はロードスターに乗り換えます。結果だけを求めるのではなく、セッティングや走らせ方などいろいろ勉強する1年にしていきたいですね!」

「競技車両のスイフトスポーツは父(仲真一選手)のクルマでして、父はミドルシリーズで私はチャンピオンシリーズに参戦していました。年齢関係なく楽しめるのがモータースポーツの魅力です」と言う仲健太郎選手。免許を取得してからすぐジムカーナを始め、ちょうど10年目にして初チャンピオンの栄誉をつかんだ。「全日本を走っていた土手(啓二郎)選手から譲ってもらったスイフトということで、クルマを言い訳にできない状況でした。なのでチャンピオンを獲るため、名阪を中心に奥伊吹などにも行っていっぱい練習し、優勝目指して頑張りました。2022年は結果だけ見ると良い成績を残せたと思いますが、仕事の都合で第5戦と第7戦に出られないことが分かっていたので、常に背水の陣で臨んでいましたね。シリーズ2位の鎌尾邦彦選手と3位の福尾成泰選手のスイフトが速いのは分かっていたので……苦労しました。シリーズチャンピオン獲得はシンプルにうれしいです」

近畿の地区戦に参戦している職場の同僚にモータースポーツをやってみないかと誘われ、まずは練習会を経て、ミドルシリーズ、地区戦へと参戦、腕を磨いてステップアップしてきた野田太一選手。「自動車の整備の仕事をしているのでクルマの運転は好きだったんですよ。2022年は1回は優勝できたらいいなくらいの気持ちで臨んだのですが、初戦で優勝できたので『イケるかな?』と欲が出始めて……でも2戦目は気持ちが入りすぎて最下位、3戦目は8位に沈んでしまい、正直シリーズタイトルは諦めかけていたんです(苦笑)。そんなとき、全日本選手権にスポット参戦して他の選手から刺激を受けまして、セッティングの攻略の片鱗が見えてきて、なんとか盛り返すことができました。自分の参戦しているクラスは近畿チャンプや全日本ドライバーが多いため、なかなか優勝させてもらうことはできませんでしたが、有効得点でチャンピオンを獲ることができて本当に良かったです!」

およそ25年のモータースポーツ歴を持つ執行信児選手が、2022年にAE・PNクラスで悲願のチャンピオンとなった。「2021年は競技を休んでおりまして、ブランク明けの2022年はクルマをスイフトに変えたことで、この1年間はとにかく練習することが目的でした。オートパーク今庄に行っては、今まで以上に練習に明け暮れる日々を過ごしていましたね。チャンピオンを獲ることはまったく考えてなく、毎回表彰台に乗れればいいなという気持ちでやっていたら……終わってみれば結果がついてきたという感じです。初戦はシェイクダウンということもあってクルマをうまく扱い切れなかったのですが、次第に乗れるようになってからは安定して表彰台の一角を奪うことができました。チャンピオンが決まったときは『やっと獲れたな!』という想いでしたね。WRCのユハ・カンクネン選手の走りに憧れてモータースポーツを始めましたが、初のタイトルは素直にうれしい気持ちです」

インテグラ、デミオと乗り継ぎ、2021年から86で参戦しているダートトライアル歴4年目の福田剛選手。「RWDクラスはライバルのMR2がパワーもあってかなり苦戦を強いられた場面もありましたが、コースによっては86/BRZが有利なところもあったので、そういうところはガンガン攻めるように心がけました。2022年は勝ちにくいところもあったんですが、パワー差があってもしっかり踏むところは踏んで、クルマの性能を引き出せた走りができたと思います。中でも印象に残っているのが初優勝を挙げた開幕戦で、これまでずっと2位とかが多くてなかなか優勝に手が届かなかったので……うれしかったですね。昨年末から車両セッティングに手を加えてみたので、2023年はまずクルマに慣れることから始め、そして時期尚早かもしれませんが全日本にもチャレンジしたいです。5戦の参戦予定ですが、ベテラン選手たちの背中を追いかけつつ、トラブルなく走り切ることが目標ですね」

「昔からモータースポーツには興味があったんですけど、なかなかその第一歩を踏み出すことができなかったですね」とは、S1クラスを制した今村太亮選手。現在は義父にあたる、当時お付き合いしていた彼女の父親に誘われて、一緒にダートトライアルを始めたそうだ。「ラリーはテレビでよく見ていたんですが、実はダートラ自体はあまり知らなかったんです。でも始めてみると『こんなのがあるんや! 面白いなぁ~』と思って、土の上を全開で走る非日常の楽しさにハマりました。2022年はそろそろチャンピオンを獲りたいなという想いのもと、今までの走りでは優勝できないことを悟り、少し頑張りました(笑)。最終戦の京都コスモスパークでは眞砂徳亮選手とポイントがほぼ一緒で、ここで勝たないとチャンピオンになれないことは分かっていたので、(アクセルを)踏みました! 2023年は全日本にもスポット参戦して、自分の実力がどの程度のものか試したいです」

「ダートトライアル選手の親父の影響で、いつの間にかクルマに興味を持ち始めて今に至ります」とDクラスチャンピオンの金井宏文選手。2021年はインプレッサを武器として好調にシリーズを追いかけていたものの、転倒によって戦線離脱を余儀なくされ、2022年は心機一転、新たなインプレッサを手に入れてシリーズに臨んだ。「なんとかいい成績を残したくて頑張りました。シーズン序盤は表彰台に乗ることはできても、セッティング不足により自信を持って走ることができませんでしたが、中盤からは連続で優勝ができ、その勢いでシーズンを終えることができました。ですが、最終戦で成績を残して終えられなかったこと、全日本で戦っている選手たちとタイムを競える走りができなかったことを思うと、まだまだなのかなという感じです。親父からも『マグレにならんように』と言われました(笑)。来年もまたここ(表彰式)に呼ばれるように2023年も努めたいと思います」
フォト/谷内寿隆、JAFスポーツ編集部 レポート/JAFスポーツ編集部