JAF東日本ラリー選手権がハチ公ウインターラリーで開幕!
2023年2月14日

1月28~29日、秋田県大館市で、今年のJAF東日本ラリー選手権の初戦となるハチ公ウインターラリー2023が開催された。
2023年JAF東日本ラリー選手権第2戦
2023年JMRC東北ラリーシリーズ第2戦
ハチ公ウインターラリー2023
開催日:2023年1月28~29日
開催場所:秋田県大館市周辺
主催:DSCC-A
東北、関東地区を舞台として開催されるJAF東日本ラリー選手権は、今年は東北3戦+関東4戦の計7戦のシリーズが予定されている。開幕戦は1月14~15日に青森でスノーラリーが予定されていたが、諸事情により8月に延期される形となったため、今回のハチ公ウインターラリーが事実上の開幕戦として行われる形となった。
“忠犬ハチ公”の故郷として知られる秋田県大館市を舞台として開催されるこのラリーは、暖冬の影響で雪不足に悩まされた年もあったものの、今年は開催週にまとまった降雪があったこともあり、雪に対する不安は取り除かれた。レッキが行われた28日土曜は夜から断続的な降雪となったため、主催者は日曜午前3時から除雪に入ってSSのステージを整備。その甲斐あって、最後まで地の路面が顔を出さない、過去最高と言ってもいいスノーコンディションの路面が用意された。
今回のラリーのSSの舞台となったのは、すっかりお馴染みとなっている二井山1.63kmと岩本2.08kmの2本。二井山、岩本の順で2ループした後に、SS5はスタートから4.3kmを走った後に二井山に合流する5.95kmの越山SSが待ち受け、最後は3度目の岩本となるSS6をアタックしてゴールという設定だ。越山も含め、すべてのSSは昨年の逆走となっており、計6本、15.47kmのSSをノーサービスで一気に走り切るというラリーとなった。


ランサー、インプレッサそしてGRヤリスと4WDターボ勢が集ったBC-1クラスは参加17台と一大激戦区となった。SS1は昨年の東日本戦最終戦八子が峰ラリーを制した群馬の渡部貴志/立久井和子組のインプレッサがベストを奪うが、SS2では昨年の東日本チャンピオンの渡辺謙太郎/伊藤克己組のランサーが渡部組を1.3秒差で下すベストで上がって首位に立った。SS3は計時のトラブルによって、このクラスは全車、同じタイムが与えられて仕切り直しとなるが、SS4では、1番ゼッケンゆえに1ループ目は雪掻き役を強いられた岩手の橋本奨/吉田知宏組がベストタイムを奪い、トップ争いに絡んでくる。
続くSS5越山は今回最長の5.95kmとあって、大きな勝負どころになるかと思われたが、「大きなミスもなく走り切れた」と振り返った橋本組に対して、渡辺組は二井山ステージに合流するジャンクション手前でコースオフしてタイムロス。渡部組もジャンクションでオーバーシュートしかけるも雪壁で何とかコースオフを回避。このステージの前半で築いたマージンで橋本組を0.8秒上回ってゴールし、渡辺組に1.1秒のリードをつけてトップで最終のSS6に臨んだ。
注目のSS6は、渡部組に遅れること3.1秒差の3番手でスタートした橋本組がこの日2度目のベストをマークするが、このベストから2.3秒落ちでゴールした渡辺組にはトータルでは0.7秒届かず。一方、渡部組はミスが多い走りとなってしまい、5番手のタイムにとどまる。結果、渡辺組が土壇場で逆転を果たして優勝。橋本組が2位に入り、渡部組は3位でラリーを終える形になった。
「SS5ではやらかしてしまいましたが、今日は最初から最後まで同じペースで走りました。“普通のこと”しかしてないので、今日はそういう人が勝てるラリーだったと思います」と苦笑の渡辺選手。「ここは去年も走っていますが、今年とは逆走ですし、路面もツルツルだったので経験を活かせた感じはないですね。グラベル仕様の割には車高が低いと周りからよく言われるんですが、今日は路面もフラットだったので問題なく走れました」と振り返った。




BC-2クラスでは、優勝候補の一台、青森の小舘久/伴英憲組のミラージュがSS1~SS3まで3連続ベストをマークして順調にリードを広げるが、SS4でコースオフからスタックして大きくタイムロスを喫してしまう。スイフトで昨年のこのラリーを制した沼尾秀公/沼尾千恵美組が代わって首位に浮上するが、チームメイトでもある大ベテランの佐々木松紀/遠藤誠組のミラージュがSS5で沼尾組を9.1秒凌いで一気に逆転。そのまま逃げ切って昨年の東北シリーズ開幕戦以来のスノーラリー優勝を飾った。
「4WD勢が走った後の路面が読み切れなくて、雪の下のアイスバーンに対応するのが難しかったですが、2周目からは見えてきた感じがあったのでペースが上げられました。去年の東北シリーズ最終戦の利府ラリーに出られなくて悔しい思いをしたので、今日は勝てて良かったです」と佐々木選手。一方の沼尾選手は、「スイフトも2年目なので色々と考え過ぎてしまって、特に中盤以降は慎重に走り過ぎてしまいました。(スイフトが)ぶっつけ本番だった去年のこのラリーの方が走りも良かった気がします」と無念の表情で振り返った。




BC-3クラスもBC-2クラスと同様の展開となった。SS1でベストを獲った、いりえもん/篠崎楓馬組のデミオがその後もリードを広げて逃げ切りなるかと思われたが、SS5でコースオフからスタック。最下位に転落してしまう。これで首位に立ったのは昨年のTGRラリーチャレンジC-4クラスのチャンピオン、宮城の柳本弘信選手のヤリス。長いモータースポーツのキャリアの中でも初となるスノーラリー挑戦だったが、初コンビとなる多比羅二三男選手とのコンビネーションも冴えて、その後もトップをキープして優勝をさらった。
「ヤリスは雪の上では色々な制御が入って難しい面もありましたが、高速のステージを楽しく走れました。仕様はラリチャレのままですけど、雪も走れないことはないんだな、と実感しました(笑)。多比羅さんもドライバーが欲しい情報をその都度話してくれるので、本当に助かりました」と柳本選手。かつて東北を代表するダートトライアルドライバーとして活躍した経験が存分に生かされる一戦となったようだ。




BC-4クラスは、昨年の東北シリーズでもライバルとして戦った室田仁/鎌田雅樹組ヴィッツと西村章/藤田美登里組アルトの一騎打ちとなったが、室田組が東北チャンピオンの貫禄を見せて全SSでベストタイムをマークして快勝。今季も幸先の良いスタートを切った。



フォト/滝井宏之、JAFスポーツ編集部 レポート/JAFスポーツ編集部