前年チャンピオンを脅かす筑波初参戦選手も続々! コースレコードラッシュの筑波サーキットトライアル
2023年3月6日

サーキットで行われる2023年最初のJAF地方選手権は、2月5日に開催された筑波サーキットを舞台とするサーキットトライアル。シリーズは例年同様、全5戦で競われる。エントリーはクローズドクラスの1台を含む30台で6クラスが成立。2022年のチャンピオン全員が姿を見せており、引き続き激戦となることが大いに予想された。
2023年JAF筑波サーキットトライアル選手権シリーズ 第1戦
開催日:2023年2月5日
開催地:筑波サーキット コース2000(茨城県下妻市)
主催:TMAC、JASC
例年よりも早い開催とあって、エントラントの誰もがコンディションに恵まれることを期待した。しかし午後からのスタートで、2月上旬とは思えぬほどの陽気だったため、「ちょっとポカポカしすぎて残念です」と走行前に語る者は少なくなかった。
さて筑波のサーキットトライアル(CT)といえば、クラスごと2グループに分けて走行するのが特徴のひとつ。CT1とCT2、そしてCT4によるグループAでは波乱があった。3クラスとも2022年はチャンピオンが全勝で、圧倒的強さを誇示していたが、そのうちふたりが敗れたのだ。
CT1クラス
ディフェンディングチャンピオンの澁澤栄一選手がインプレッサからWRXに改め、4連覇に向けてより万全の構えにしたかと思われたが、「前のクルマは2名定員でしたが、これは5名定員のままで100kgぐらい重いんです。なので、レコード更新は厳しいかもしれません。また面識はないんですが、走行会で一緒に走った印象では、GT-Rの速い方が出てきたのでやばいかもしれません」と、苦笑を交えて語っていた。
そんな澁澤選手の予感は的中してしまう。ヒート1の計測1周目から1分1秒台に入れ、2周目にはさらに短縮したものの、ほぼ同時タイミングで逆転を許したGT-Rの中嶋貴秀選手はそのままタイムを縮め続け、計測4周目にはレコード更新となる1分0秒540を叩き出したのだ。早々に走行を終了した中嶋選手に対し、粘り強く最後まで攻め続けた澁澤選手ながら、後半のタイム短縮は果たせず。
「今までは走行会だけで、JAF戦のCTは今回が初めて。とはいえ、筑波は走り慣れているつもりです。直前にクルマがトラブっちゃって、完全に直っているか不安だったんですが、それは大丈夫でした。でも、完璧な走りだったかというとそうでもなかったですね」と中嶋選手。
それでもヒート2では若干気温も下がったこともあり、筑波CTで初めての『分斬り』が期待されたが、「アタックラップと考えていたところでちょっと引っかかってしまったので、タイムダウンしてしまいました」と中嶋選手は少々悔しそう。しかし、華々しくデビューウィンを達成、「筑波のCTはこれからも続けていくつもりです」と語っていた。なお、2位は澁澤選手で、過去3年間続けてきた連勝記録は「13」でストップしてしまった。



CT4クラス
ディフェンディングチャンピオンであるスイフトスポーツの梅野健太選手は、「昨年は気合いが入りすぎていたので、今年はもっと楽しんで走りたいですね!」と走行前に語っていたが、ひとつ不安材料も……。「今回、新しいタイヤが間に合わず、昨年の最終戦のままなんですよ」と梅野選手。
そんな中、主役の座を射止めたのが、やはりスイフトスポーツを駆る上原和音選手だった。ヒート1の計測2周目に、いきなり1分4秒台に入れてトップに浮上。梅野選手は肉薄するも、その都度、上原選手に振り切られる展開となっていた。ヒート2では1分4秒285を記してレコードタイムを更新した上原選手に対し、梅野選手は松橋豊悦選手にも割って入られ、3位に留まった。
「昨年は名古屋から遠征してSUGOのCTに参戦、そのときは違うクルマでCT6に出ていたんです。今回初めて筑波のCT4にエントリーしたんですが、周りは速い方ばっかり。新参者なので『お手柔らかに』なんて言っていたんですが、ヒート1はいい結果になったのでとりあえずひと安心です。変えたセッティングもヒート2で確認でき、それがうまくはまってタイムアップにつながりました。運良くレコードもいただくことができたので、このまま2連勝を目指したいと思います」と上原選手は力強く語っていた。


CT2クラス
RX-7を駆るディフェンディングチャンピオンの森田正穂選手が貫禄の走りを見せた。ヒート1、ヒート2とも最後までトップを譲らなかったばかりか、ヒート1では自らが持つレコードタイムを更新。ヒート2にいたっては計測2周目に1分0秒945まで短縮し、総合でも2位につけることとなった。
「ヒート2の方が気温は下がったのでコンディションは良かったと思います。ただ、走り的にはちょっと今イチでした。まだまだ課題がありますね」と語っていた森田選手ながら、かかるのは10連覇の期待! 2014年に筑波でCT地方選手権が始まって以来、ずっとチャンピオンを獲得しているドライバーが、前人未到の記録に向けて幸先良いスタートを切ったのは間違いない。


CT5クラス
グループBでは、まずCT5でディフェンディングチャンピオンの柴田尚選手、そして2021年のチャンピオンである石井均選手の対決が注目された。1年間のブランクをまったく感じさせない走りを見せた石井選手は、ZC32Sスイフトでいきなり攻め立て、ヒート1の計測2周目にはレコード更新となる1分8秒台に突入。そのままタイムを縮め続けて1分8秒422にまで到達させた。
ヒート2では柴田選手がコンマ6秒ものタイムアップを果たすも逆転には至らず。石井選手はヒート2でのタイムアップこそかなわなかったが、逃げ切って優勝を遂げ、「一昨年はフル参戦で全勝しましたが、昨年は1戦も出なくて、休んでいるうちに1600ccのクラスも台数が増えたので『それなら久々に』って出て良かった。このままいいシーズンにしたいです」と語っていた。


CT6クラス
7回目のチャンピオンを目指すカプチーノの吉崎久善選手が最後までトップを譲らず。ヒート1の後半に記した1分9秒533で逃げ切りを果たし、ヤリスの熊本壮一郎選手にほぼ1秒の差をつけた。「勝ちは勝ちですけど、今日はちょっとフィーリングが合わなかった感じでした。今年もチャンピオンを、SUGOにも出ているので両方とも! パーツがないのでとにかく壊さないように、壊れると再起不能になっちゃうので」と、本音を思わず漏らしていた。


CT7クラス
同じNDロードスターの宮野直樹選手を1秒2も引き離したのが日向孝之選手。「寒い季節なので、もうちょっとタイム出るかなと思っていたんですが、予想外に気温が高かったのでガッカリしたんですけど、自分のベストに近いタイムが出たので、それなりに満足しています。(1分10秒013でレコード更新も)なかなか9秒の道は厳しいですね。もっと上を目指さないといけないですよね」と日向選手。2連覇に向けて弾みがついたのは間違いないだろう。
「このクラスはPN仕様で改造度合いも少ないので、新しい人でも参加しやすいクラスです。どんどん入ってきてもらい、盛り上がっていけばいいなと思います。ちなみに改造は足だけで、デフも純正のトルセン。比較的ランニングコストが安いので、おすすめですよ」と日向選手は語ってくれた。


2023年東関東サーキットトライアルinつくば Sr1
併催の東関東トライアルでは、NT1をNCロードスターの林幸夫選手が制し、NT2ではBRZの須長一直選手が優勝。そしてNT3は孤軍奮闘だったヤリスの久保田孝幸選手が、混走だったグループBの最速タイムを記していた。


フォト/鈴木あつし レポート/はた☆なおゆき、JAFスポーツ編集部
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