2レース開催となったもてぎのスーパーFJは池田拓馬選手が幸先の良い2連勝!

レポート レース

2023年3月10日

全国各地で続々と幕を開けているレースシリーズ。関東での一番乗りはモビリティリゾートもてぎで、3月4~5日に「もてぎチャンピオンカップレース 第1戦」が開催された。シリーズのレギュラーレースであるスーパーFJともてぎVITA、もてぎCIVIC、FIT1.5チャレンジカップは、すべて2レース開催となり、予選と決勝は土曜日と日曜日に完全に分けられていた。エントラントにとってはかなり濃厚な週末となったことだろう。

2023 もてぎチャンピオンカップレース 第1戦
開催日:2023年3月4~5日
開催地:モビリティリゾートもてぎ(栃木県茂木町)
主催:M.O.S.C.、BSC、ホンダモビリティランド株式会社

JAF地方選手権 もてぎ・菅生スーパーFJ選手権 第1戦/第2戦

 今年のもてぎ・菅生スーパーFJ選手権は、モビリティリゾートもてぎで4戦、スポーツランドSUGOで3戦の、全7戦で争われる。昨年のチャンピオン田上蒼竜選手が卒業を果たした一方で、継続参戦のドライバーも多いシーズンとあって、激しいバトルが繰り広げられそうだ。

 第1戦の予選は、チームを移籍して2年目のシーズンとなる池内比悠選手が自身初のポールポジション(PP)を獲得。シリーズ参戦は今年が初めての椎橋祐介選手を1000分の5秒差で従えた。「チームを変えてマシンも変わったんですが、乗りやすくて僕には合っている印象です。スタートを決めてこのままうまく行きたいですね」と池内選手。3番手はチームメイトでもある2年目の内田涼風選手だった。

 第1戦の決勝は池内選手が無難にスタートを決めて、トップでレースを開始。2周目には内田選手も2番手に上がり、ワンツーフォーメーションを早々に築き上げる。しかし、一時はふたりで逃げかけたものの、争い合ったことが裏目に出てしまう。6周目には内田選手が前に出るも、併せて池田拓馬選手の接近を許す。ドライブシャフトの破損で予選をフルに走りきれず、6番手に甘んじていた池田選手ながら、その結果タイヤが残っていた。

 後方から激しくプレッシャーをかけ続けると、あろうことか8周目の3コーナーで内田選手と池内選手が接触。それぞれ姿勢を乱し、間一髪のところで池田選手は回避してトップに浮上! 後続がなおも激しくバトルしている間に逃げ、うれしい初優勝を挙げた。

「なにか起きそうな気がしたので、僕はちょっと引いていたんですが、ギリギリでした。トラブルが起きたクルマをいろんな人が直してくれて、結果で返せて良かったです」と語る池田選手も参戦2年目のドライバー。しかし、車両を入れ替え、またタイヤの仕様が改められたことで、本来の実力を発揮できるようになったのだろう。

第1戦優勝は池田拓馬選手(テイクファースト&アメロイド)。
2位は小川涼介選手(HIROTEX M2 KK-SII)、3位は椎橋祐介選手(FGウィンズNMSPKKSII)。
第1戦表彰の各選手。
第1戦ジェントルマンクラス優勝は安藤弘人選手(ZAPSPEED10VED)。
第1戦ジェントルマンクラスの表彰式。左から2位の本間隆史選手、1位の安藤選手。

 日曜日の第2戦は、温度が下がりすぎたのと路面がダスティだったことで、予選は全体的にタイムが伸び悩んだ中、椎橋選手が初めてPPを獲得。「昨日は後半、集中力が落ちちゃったので、それを課題にして。クリアできたからにはスタートを落ち着いて決めて、なんとか逃げ切りたいです」と、初優勝にも意欲を見せた椎橋選手。2番手は池内選手で、3番手は小川選手だった。

 決勝では1コーナーに池内選手が真っ先に飛び込むも、後方から鋭いダッシュを見せた小川選手が大外刈りを決め、2コーナーでの攻防が注目された。だが、立ち上がりでふたりは接触、椎橋選手はスピンしてコースアウト、小川選手も順位を落として、しかもフロントウィングを傷めてしまう。池内選手はホイールスピンさせすぎて遅れ、トップには内田選手が立つ。しかし、その内田選手のペースが今ひとつ。1周目に池内選手にトップを譲った後、2周目には4番手に後退する。

 代わって主役の座をまたも射止めたのが池田選手だった。予選は5番手ながら1周目のうちに3番手に浮上。そして2番手に上がった後、5周目の4コーナーで池内選手をもかわす。続いて池内選手には磐上隼斗選手が迫り、激しく争う間に池田選手は逃げて2連勝。

「今日の優勝はラッキーじゃないですけど、できればPPの椎橋選手とバトルして勝ちたかったです」と本音もポロリ。快進撃をどこまで続けてくれるか楽しみだ。2位は磐上選手で、3位は池内選手。2年目のドライバーが予想どおりシリーズを盛り上げてくれそうだ。

第2戦優勝は池田選手(テイクファースト&アメロイド)。
2位は磐上隼斗選手(アルビ富士吟景 10V ED)、3位は池内比悠選手(群馬トヨペットTeam RiNoA ED)。
第2戦表彰の各選手。
第2戦ジェントルマンクラス優勝は本間選手(MATレーシングPJ10V)。
第2戦ジェントルマンクラスの表彰式。左から2位の柴田泰知選手、1位の本間選手。

JAF地方選手権 もてぎ・菅生ツーリングカー選手権(FIT1.5 CHALLENGE CUP)第1戦/第2戦

 FIT 1.5チャレンジカップことツーリングカー地方選手権も、もてぎ・菅生シリーズとして両サーキットで3戦ずつ全6戦で競われる。その第1戦の予選で5年ぶりにレコードタイムを更新してPPを獲得したのがオオタユウヤ選手だった。

「結構いい感じでタイムが出ましたね。リアタイヤが来ないと思って1周温めていまして、それで2周目に。決勝も頑張ります」とオオタ選手。2番手に尾藤成選手、3番手に中村義彦選手がつける。4番手は太田侑弥選手で、読みはともに「おおたゆうや」で一緒だからアナウンサーは大変。今回は「4番のオオタ選手」と「48番の太田選手」と分けていた。実はオオタ選手が父親で、太田選手が息子だ。2021年から同じレースに出るようになったという。

 決勝では「クラッチを踏み外してしまって(笑)。ヤベェと思った」とオオタ選手がスタートに出遅れて尾藤選手の先行を許すが、トップの座を明け渡したのは1周だけ。2周目に入って間もなく2コーナーでオオタ選手が逆転。一時は1秒以上も開いた差は、最終ラップになって尾藤選手が一気に詰めるも、コンマ3秒差で逃げ切り成功。「しょうがないですよ、あんまり走っていない上に練習やってないんで」とオオタ選手は苦笑いしつつ語る。

第1戦優勝はオオタユウヤ選手(ワコーズ大建ニルズ制動屋FIT)。
2位は尾藤成選手(高根沢オートクラブ ENDLESS FIT)、3位は中村義彦選手(K+UP・SEEKER・MVFIT)。
第1戦表彰の各選手。

 第1戦よりわずかにタイムを落とすも、第2戦の予選はオオタ選手が2戦連続でPPを獲得。「コンディションはバッチリじゃないですか。ただブレーキが深いんで、それでちょっとだけ(落ちた)。今度はスタートを失敗しないようにします」と語る。2番手も第1戦同様に尾藤選手。

 決勝ではオオタ選手がスタートをそつなく決めて1コーナーにトップで飛び込むと、その後は一度もトップを譲らず誰の脅威も感じなかった様子。そればかりか4周目にリードが2秒となると、後続にペースを合わせる余裕さえ見せていた。「途中からペースを抑えました、すいません(笑)。今回はスタートも良かったです」とオオタ選手。2戦とも上位4名の順位は変わらず、尾藤選手、中村選手、太田選手が続いた。

第2戦優勝はオオタ選手(ワコーズ大建ニルズ制動屋FIT)。
2位は尾藤選手(高根沢オートクラブ ENDLESS FIT)、3位は中村選手(K+UP・SEEKER・MVFIT)。
第2戦表彰の各選手。

もてぎCIVIC 第1戦/第2戦

 もてぎCIVICは今年も全4戦で競われる。最近は鈴鹿勢と相互の交流が盛んだが、今回も林大輔選手、開勇紀選手と住直哉選手が遠征、また関直之選手も加えて2週連続で戦いを繰り広げることとなった。

 第1戦のPPを獲得したのは「ぶっつけ本番みたいなところがあったので自信はなかったんですが、思いっきり行ったろうと思って。PPが獲れたし、同僚とワンツーもできました」と語る、昨年のランキング2位の林選手。開選手、関選手を従えたとはいえ、3人の差はわずかコンマ2秒。激戦は必至だった。

 決勝では関選手が絶妙のスタートを決め、林選手と開選手を中央突破。トップで1コーナーに飛び込んでいく。しかし、予想どおり林選手と開選手がぴたりと食らいついて離れない。死闘はそのまま10周に渡って繰り広げられたが、関選手は少しも動じることなくトップを守り抜いた。「スタートはバッチリ決まりましたね。バトルになるのは分かっていたので、なるべく抑えて抜けない範囲で」と関選手。これが関選手にとって2021年の9月に行われた第3戦以来の勝利となった。

第1戦優勝は関直之選手(仙台国分町ステラヴァルゴ MODE Krac)。
2位は林大輔選手(ゼロファイター★零式戦闘★MO)、3位は開勇紀選手(STEPUP★総合建設★ゼロファイター)。
第1戦表彰の各選手。

 第2戦の予選では、関選手が自らの持つレコードタイムを3年ぶりに更新した。「昨日の予選は不本意、失敗して……。第2戦もセクター1がちょっと失敗というか。でも自身のレコードを更新できてひと安心です」と語る。一方、林選手は第1戦の決勝中から生じたエンジン不調が癒えず7番手。開選手と住選手も貴島康博選手に続く、3番手、4番手だった。

 決勝では関選手にひとり1秒と遅れず続いていた開選手が、ミッショントラブルで2周目にストップ。となれば、もはや関選手に敵はいない。一時は単独で2番手を走行していた住選手のペースが終盤に鈍り、越谷勇一選手と林選手が急接近するも、順位は最後まで動かず。7秒差の圧勝とし、関選手は「ラクさせてもらいました(苦笑)。でも本来の位置にやっと戻れました」と満足そうに語っていた。

第2戦優勝は関選手(仙台国分町ステラヴァルゴ MODE Krac)。
2位は住直哉選手(HAP@TEMPLE×ASLAN 制動屋)、3位は越谷勇一選手(CONCEPT/ASLAN)。
第2戦表彰の各選手。

もてぎVITA 第1戦/第2戦

 2レース開催を2大会、1レース開催を1大会、合わせて全5戦で今年は争われるもてぎVITA。タイヤの仕様変更で4年ぶりのレコード更新が期待されたが、第1戦の予選では一歩及ばずだった。PPを奪ったのは66歳の大ベテランであるイシカワヨシオ選手。「実は1月に脊柱管狭窄症の手術して、でも先週リハビリに来たらそこそこ普通に走れたんで。ただ、タイヤのグリップが上がったんで、昨日から首も痛いし腰にも来ちゃって」と不安気味に語る。

 そんなイシカワ選手に決勝で迫ったのが、昨年のチャンピオンのイノウエケイイチ選手だった。予選こそ3番手だったが、まずはスタートでいむらせいじ選手をかわし、2周目の90度コーナーで早くもトップに浮上。「腰が痛くて、特にヘアピンがきつい。なので、ストレートでは離されちゃう」と語るイシカワ選手は、イノウエ選手に最後まで食らいついていったが、逆転は最後まで許されなかった。

「昨年は勝たないでチャンピオンって言われていたので、とりあえず1回は勝たないと(笑)。とりあえず1回勝てば大丈夫です。序盤は温存していて、ただ最初に抜かないと抜けないので初めにプッシュして。あとは淡々と。狙いどおりで良かったです」とイノウエ選手。

第1戦優勝はイノウエケイイチ選手(ワコーズEDニルズVITA)。
2位はイシカワヨシオ選手(東京IRCvivoニルズ01)、3位はいむらせいじ選手(オートルックVITA-01)。
第1戦表彰の各選手。

 第2戦の予選では、ついにレコードタイムが更新される。新たに記録に名を記したのはイノウエ選手。「レコードが獲れて良かったです。そのために今回出たんですから。この時期じゃないと出ないというのがあったので頑張りました、良かったです」と、その表情には達成感が。

 決勝でも1周目こそイシカワ選手を背後に置いたが、以降はイノウエ選手の完全にひとり舞台。ペースを合わせる余裕さえ見せていた。「後ろを見ながらミスしないようにやっていました」とイノウエ選手。うれしい連勝で、早くも連覇がグッと近づいたはず。

 一方、その後方で激しい追い上げを見せていたのがカワモトミツル選手だった。予選で5速を失い11番手に甘んじていたが、修復されると1周目のうちに7番手に上がり、3周目には4番手に。やがていむら選手の真後ろまでつけて、9周目の3コーナーで3番手に浮上。表彰台にもたどり着いていた。

第2戦優勝はイノウエ選手(ワコーズEDニルズVITA)。
2位はイシカワ選手(東京IRCvivoニルズ01)、3位はカワモトミツル選手(オートルック with ShineiJapan VITA01)。
第2戦表彰の各選手。

N-ONE OWNER'S CUP Round1

 今年のN-ONEオーナーズカップは8サーキットが舞台となるのは例年どおりながら、レース数を減らして全10戦+鈴鹿サーキットでの特別戦で争われる。そのシリーズ第1戦は、フルグリッド45台での戦いに。まさに大盛況の中、PPを獲得したのは山内拓磨選手。

 FIT 1.5チャレンジカップの鈴鹿シリーズを主戦場に戦うドライバーである山内選手は「昨日の練習より乗れていて、スリップストリームを使わせてもらえたので、それでタイムが出たかなと感じます。決勝は追われる立場なのでしんどいですね。7周は長く感じると思いますが、頑張って死守したいと思います」と語る。

 決勝では2周目まで櫻井颯一郎選手、森川貴光選手、片野翔太選手を真後ろに置いていたが、そこから先は山内選手の独壇場。予想とは裏腹にじわりじわりと引き離す展開となった。「1周目、2周目は後ろからも来ていましたが、うまく抑えられました。逃げきれたのは整備してもらっているメカの方々のおかげだと思います。N-ONEは昨年1回出ていて今回が2回目。優勝は初めてです。この調子で頑張ります」と山内選手。2位は櫻井選手、そして今回がデビューレースとなるカート出身の森川選手が3位を獲得した。

優勝は山内拓磨選手(HRDC N-ONE)。
2位は櫻井颯一郎選手(横手中央セレディクスN-ONE)、3位は森川貴光選手(YHセレディクスN-ONE)。
N-ONE表彰の各選手。

フォト/鈴木あつし レポート/はた☆なおゆき、JAFスポーツ編集部

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