ヘイキ・コバライネン/北川紗衣組が圧巻の走りで勝利
2023年3月10日

Rally of Tsumagoi開催から約1か月、全日本ラリー選手権の第2戦「新城ラリー2023 Supported by AICELLO」が、愛知県新城市と岡崎市を舞台に、3月3~5日の日程で開催された。
2023年JAF全日本ラリー選手権 第2戦「新城ラリー2023 Supported by AICELLO」
開催日:2023年3月3~5日
開催地:愛知県新城市周辺
主催:MASC
2023年で開催20周年を迎えた新城ラリーは、2020年から2022年にかけて新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受けて無観客で開催されたが、今年は4年ぶりに有観客での開催となった。それに伴い、ラリーの拠点となる県営新城総合公園内と、サテライト会場となる鬼久保ふれあい広場内のSS観戦エリアが復活。また今回から新たなSSが設定された岡崎市の額田地区のエリアにも観戦エリアが設けられ、多くの観客が各会場に足を運んだ。
とくに県営新城総合公園ではイベント広場が設けられ、TOYOTA GAZOO Racing WORLD RALLY TEAMのヤリ-マティ・ラトバラチーム代表や、今シーズンからワークスドライバーに昇格した勝田貴元選手が来日してデモランを敢行。2日間合わせて来場した約2万6500人(主催者発表)の観客から大きな歓声を受けていた。
ラリーは、初日となる4日に県営新城総合公園内を走るSS1/4「SSS Pref.Shinshiro Park(0.60km)」、鬼久保ふれあい広場と観光道路の本宮山スカイラインを走行するハイスピードステージのSS2/5「Onikubo(6.72km)」、タイトでテクニカルなコーナーが連続するSS3/6「Gampo North(10.69km)」、を、サービスを挟み2回ずつ走行する6SSで設定。
ラリー最終日の5日には、「Onikubo」を逆方向に走るSS7/10「Onikubo Rev(3.56km)」と、WRCラリージャパンでも使用された岡崎市の林道と県道を縫うように走るSS8/10「Nukata(9.96km)」という新城ラリーでは初の設定となるSSを2回ずつと、初日にも走行したSS9「SSS Pref.Shinshiro Park(0.60km)」を1回走行する計63.66km(11SS)が設定された。
2日間とも気温が低く、初日の土曜日はドライコンディションだったものの、最終日の日曜日は雨が降り出してウェットコンディションに。ハイスピードからテクニカルまでさまざまなステージを走る新城ラリーは、オープンクラスを含めて75台中15台がレグ離脱またはリタイアするという波瀾万丈の展開となった。









JN1クラス
開幕戦をスキップした昨年の王者、ヘイキ・コバライネン/北川紗衣組(シュコダ・ファビアR5)がこの第2戦から出場。オープニングとなるSS1でベストタイムを奪うとSS2も連取。SS3では後続を20秒以上引き離す走りを見せ、初日のセクション1で早くも独走態勢を築いた。
初日を終えて後続を1分以上引き離したコバライネン/北川組は、2日目の最終SSこそ鎌田卓麻/松本優一組(スバル・WRX STI)にベストタイムを奪われたものの、11SS中10SSでベストタイムを奪う走りで今季初優勝を獲得、昨年に続き新城2連覇を達成した。
2位には、今回からシュコダ・ファビアR5 Evo2を投入した福永修/齊田美早子組が入賞。3位争いは、SS10まで2WDのプジョー・208ラリー4で健闘する新井大輝/金岡基成組が3番手を死守したものの、ウェット路面を味方につけた鎌田/松本組が初日5番手から一気に追い上げ、最終SSの好走で3位表彰台を獲得した。



JN2クラス
KAYABA Rally Teamのトヨタ・GRヤリスで開幕戦を制した奴田原文雄/東駿吾組が、今回は自身のヌタハラ・ラリーチームからエントリー。SS1は8年ぶりに全日本復帰となった横尾芳則/高橋昭彦組(トヨタ・GRヤリス)にベストタイムを奪われるものの、SS2以降は残りすべてのSSでベストタイムを奪う圧巻の走りで開幕2連勝を達成した。
ラリー序盤は横尾/高橋組が2番手につけるものの、SS3でコースアウトしてレグ離脱。横尾/高橋組の脱落により、若手ドライバーの三枝聖弥/船木一祥組(スバル・WRX STI)がSS10まで2番手を死守するが、最終SSとなるSS11で痛恨のコースアウトを喫してしまう。
三枝/船木組の脱落により、今回がトヨタ・GRヤリスでのデビュー戦となった山田啓介/藤井俊樹組が「まだまだ課題は多いですけど、最後まで走り切れたことが今回一番の収穫です」と我慢の走りを続け、2位表彰台を獲得した。3位には、昨年のWRCラリージャパンにも出場した村田康介/梅本まどか組(トヨタ・GRヤリス)が入賞した。



JN3クラス
SS2でベストタイムをマークした長﨑雅志/大矢啓太組(トヨタ・GR86)が、初日を終えて2.4秒差まで迫った山本悠太/立久井和子組(トヨタ・GR86)を抑えてトップをキープするものの、ラリー最終日のSS8で駆動系トラブルに見舞われて痛恨のリタイア。一時は長﨑/大矢組に10秒近く引き離されながらも、これを追い続けた山本/立久井組が今季初優勝を飾った。
2位には、中部地区で腕を磨き、全日本には2018年以来5年ぶりの出場となる上坂英正/山下恭平組(トヨタ・86)が、雨のレグ2で追い上げて入賞。3位には「雨が降らない方に賭けたんですが、結果は裏目でした」というウェット路面にドライタイヤで挑んだ山口清司/丸山晃助組(トヨタ・GR86)が入賞した。



JN4クラス
開幕戦を制した2年連続クラスチャンピオンの西川真太郎/本橋貴司組(スズキ・スイフトスポーツ)が、タイヤとのマッチングを合わせきれず初日を終えてクラス4番手と苦戦。その中、1年ぶりの全日本出場となった内藤学武/大高徹也組(スズキ・スイフトスポーツ)が、初日すべてのSSでベストタイムをたたき出し、後続を大きくリード。
2日目も気を緩めることなく、全SSでベストタイムをマークする速さで内藤/大高組が今季初優勝を飾った。2位には、今シーズンからベテランコ・ドライバーの石田裕一選手とコンビを組む岡田孝一選手(スズキ・スイフトスポーツ)が入賞。3位には初日4番手からひとつポジションを上げた西川/本橋組がそれぞれ入賞した。



JN5クラス
絶対的王者の天野智之/井上裕紀子組がJN6クラスへと移ったJN5クラスは、序盤から波乱の展開となった。SS2まではRina Ito/松浦俊朗組(マツダ・デミオ)がトップを死守。SS3は大倉聡/豊田耕司組(トヨタ・ヤリス)が後続を大きく引き離してトップに立つ。
そんな中、SS2でベストタイムを刻み優勝争いに絡んできた吉原將大/小藤桂一組(トヨタ・ヤリス)がコースアウトしてレグ離脱。またSS5を終えて2番手を走行していたIto/松浦組もSS6でコースアウトしてリタイア、さらに初日を終えて独走態勢でトップを走っていた大倉/豊田組もラリー最終日のSS8で側溝にはまり、脱出するまで10分以上タイムをロス。順位をクラス7番手にまで落としてしまう。
これでトップは鎌野賢志/坂井智幸組(トヨタ・ヤリス)に代わり、今回が全日本デビュー戦となる九州の若手・河本拓哉/柴田咲希組(マツダ・デミオ)に代わるが、その河本/柴田組もSS9の1コーナーでコースアウトしてリタイアとなってしまう。
ラリー終盤に入り、優勝争いはベテランの鎌野/坂井組と、全日本5戦目となる若手の冨本諒/里中謙太組(トヨタ・ヤリス)の2台に絞られたが、雨のSS10で鎌野/坂井組がスピン。冨本/里中組が無欲の全日本初優勝を飾った。
2位に鎌野/坂井組、3位にはSS10でホイールを割るアクシデントに見舞われたものの、SS11が前走車のアクシデントによりスルーとなったため、「なんとか生き残れました。ラッキーです(笑)」という吉田知史/高田幸治組(トヨタ・ヴィッツ)が入賞した。



JN6クラス
天野/井上組(トヨタ・アクア)が、初日を終えて2番手の海老原孝敬/蔭山恵組(ホンダ・フィット)を26.6秒引き離すものの、ラリー最終日のSS8でジャンクションをオーバーシュート。ここで貯金を一気に吐き出し、海老原/蔭山組に3.8秒差まで迫られた。
SS9は0.6秒差で天野/井上組、このクラスでは実質的な最終SSとなったSS10では海老原/蔭山組が1.8秒差でベストタイムを奪うが、辛くも2.6秒差で逃げ切った天野/井上組が開幕戦に続き2連勝を飾った。2位に海老原/蔭山組、3位にはトヨタ・ヤリスのハイブリッド車を投入した清水和夫/山本磨美組が入賞した。



OPクラス
JN-1OPクラスに出場して注目を集めた勝田範彦/木村裕介組のトヨタ・GRヤリスラリー2。一時は総合2番手を走るパフォーマンスを見せるものの、雨のSS10でスピン。フロント部をガードレールにヒットし、SS10フィニッシュ後にリタイアとなった。
その他、OP1クラスは村上克彦/多比羅二三男組(スバルWRX STI)、OP2クラスは貝原聖也/粕川凌組(トヨタ・GR86)、OP3クラスは仲良二/浅井道浩組(スバル・FF-1 1300G)がそれぞれ優勝した。



フォト/CINQ、遠藤樹弥、中島正義、山口貴利、JAFスポーツ編集部 レポート/CINQ、JAFスポーツ編集部
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