全面新舗装となった名阪スポーツランドCコースでの開幕戦! 明暗分かれる下剋上勃発の大混戦!!
2023年3月22日

いよいよ近畿地区にも2ペダルの波がやってきた! 初のシリーズ成立を目指して集結した6台のマシンが熾烈な争いを演じた近畿ジムカーナ選手権 第1戦は、3月12日に名阪スポーツランドで開催された。
2023年JAF近畿ジムカーナ選手権 第1戦
2023年JMRC近畿ジムカーナチャンピオンシリーズ 第1戦
2023年JMRC全国オールスター選抜 第1戦
2023年JMRC近畿ジムカーナミドルシリーズ 第1戦
「KSCCジムカーナ in 名阪」
開催日:2023年3月12日
開催地:名阪スポーツランドCコース(奈良県山添村)
主催:KSCC
2023年を“移行期間”と位置づけたJMRC近畿ジムカーナ部会は、エントラントの最大公約数を確保するためのクラス区分と、独自のタイヤ規定で今シーズンの開幕戦を迎えた。その2023年の近畿地区のクラス区分は全日本を追従せず、近畿地区の選手にヒアリングを実施し、選手ファーストでのクラス区分を行った。
また、タイヤ規定も荷重指数TW200をクリアしていれば装着可能とし、横浜ゴムのアドバンA052やシバタイヤの装着を可能にした。これにより、各地区でブリヂストンとダンロップの二強になっている中、近畿地区では非常に多様なタイヤ選択が可能となっている。
このタイヤ選択はオートテストを考慮してのものと語るのはJMRC近畿ジムカーナ専門部会の吉川寛志部会長で、「僕らも昨年まで数多くのオートテストを見てきた中で、ブリヂストンのポテンザRE-71RSを履いているエントラントが非常に多かったんです。オートテストからジムカーナへとステップアップする過程で、ひとつでも障壁を減らしたいと思い、この決断に至りました」と、この規定を採用した大きな理由を教えてくれた。その結果、JAF近畿ジムカーナ選手権の開幕戦はミドルシリーズとの併催ながら145台のエントリーを集めた。
そんな開幕戦は、昨年末に路面の大改修が行われた名阪スポーツランドCコースでの開催。改修工事を終えたコースを実際に走行した川脇一晃氏によれば「コースの全域に渡って路面を張り直したんですが、驚くほど変わりましたね。最初のうちは油が浮いてしまって全くグリップしなかったんですが、今年に入ってからグッとグリップ感が増してきました」
「今まであった凹凸やバンクがなくなったので、フラットで非常に走りやすい。逆に今までこのコースの特徴を使って走っていた選手には難しくなったかもしれません。路面コンディションが抜群に良くなったことでブロックが剝がれるようなタイヤの摩耗もなくなりました。路面の目が細かいので、タイヤが全体的にきれいに減っていくんです。これは選手にとってもうれしいことだと思います。とにかくグリップが上がって走りやすくなりました」と、この改修を絶賛している。


2PDクラス
多彩なクラスが設けられた今年の近畿地区だが、注目はなんといっても昨今ジムカーナ界に新たなムーブメントを巻き起こしている2ペダルクラスだろう。昨年はエントラントが集まらずシリーズ不成立となってしまったが、今年は開幕戦から7台ものマシンがエントリー。不出走の1台を除く6台でその雌雄が決せられた。
先駆者的存在のポルシェ・ケイマンをドライブする段上泰之選手に、アルピーヌ・A110Sを投入してきたMOTOHIRO選手、フォルクスワーゲン・ゴルフGTIを駆る樋口智哉選手が挑む構図だ。しかし、1本目からベテラン段上選手が周囲を4秒近く引きちぎる1分8秒台に突入する。2番手にはA110SのMOTOHIRO選手が続いた。
そして2本目、2PDクラス出走直前になると黒い雲が空を覆い始める。冷気が入り込み、気温は一気に下降。山の上の名阪スポーツランドらしい急転の空模様で一瞬雨が降るかと思われた。しかし、なんとかドライ路面のままスタートが切られる。
各車1本目よりも下がった路面温度に苦戦を強いられるも、MOTOHIRO選手が自身のタイムを3秒近く押し上げる。しかし、それでも段上選手には届かない。続く樋口選手も1本目のミスコースから挽回するタイムで段上選手に迫るが、1分10秒台の2番手タイム。段上選手の2本目の結果を待たずに段上選手の優勝が決定した。
段上選手は「今年は初戦からクラスが成立してくれてうれしいですね。1本目は360度ターンでしくじってしまって、2本目はそれを修正しようと心がけたんですが、他のところで行き過ぎてしまったり……。でも、優勝できて良かったです。今シーズンは成立しそうなので、ゴルフの樋口選手とアルピーヌのMOTOHIRO選手に負けないよう頑張ってチャンピオンを目指したいですね」とコメントしてくれた。


SB3クラス
最多エントリーを集めたSB3クラスは、SB2クラスのディフェンディングチャンピオンでCR-Xを駆って格上のマシンに挑む中山務選手がパイロンペナルティで沈む中、同じくFINEARTの中嶋敏博選手とチーム淀の宮里佳明選手の一騎打ちの様相。
1本目は中間タイムで大きく上回った中嶋選手がリード。迎えた2本目、前述の通り、雲行きが怪しくなった名阪スポーツランドの路面温度は急降下してしまう。これにより中嶋選手のトップタイムを更新する選手は現れず、中嶋選手が開幕戦優勝を果たした。
そんな中嶋選手は「名阪スポーツランドが改修されてから初めて走ったんですが、グリップが少し低いときの関越スポーツランドを思わせるような感じでしっかり走れました。とくに奥のヘアピンがコンクリート舗装だったのがアスファルトになって、路面のきめも細かく、より安定してグリップするようになってとてもいいですね」と改修後の名阪スポーツランドの路面をまとめてくれた。


BR1クラス


BR2クラス


BR3クラス


BR4クラス


Lクラス


PN1クラス


PN2クラス


PN3クラス


PN4クラス


SB1クラス


SB4クラス


ミドルシリーズ 2PDクラス


ミドルシリーズ BR1クラス


ミドルシリーズ BR2クラス


ミドルシリーズ BR3クラス


ミドルシリーズ BR4クラス


ミドルシリーズ PN2クラス


大会を終えて、吉川部会長は「2023年は4大会を地区戦とミドル戦の併催としました。また、今年はテストケースとして午前に地区戦、午後にミドル戦といったスケジュールのイベントも開催したいと思っています。非常にチャレンジングな試みですが、これができれば2つのシリーズを追いかけることも可能です。スーパーフォーミュラが1大会2レース制を導入したように、選手にも主催者にも負担が少なくなるような大会運営をしていきたいですね」と総括してくれた。

フォト/鈴木あつし レポート/鈴木あつし、JAFスポーツ編集部