四国ダートラ“新生”Nクラスは圧巻の走りで橋本充弘ランサーが勝利

レポート ダートトライアル

2023年4月21日

香川県さぬき市の香川スポーツランドを舞台に繰り広げられる、JAF四国ダートトライアル選手権が4月9日に開催。3月12日の第1戦でシーズンがスタート、今回の第2戦も激戦が予想された。

2023年JAF四国ダートトライアル選手権 第2戦
2023年JMRC四国ダートトライアルシリーズ 第2戦
2023年JMRC全国オールスター選抜ダートトライアル 第2戦
「復活! エトワールスーパーダートトライアル 2023」

開催日:2023年4月9日
開催地:香川スポーツランド(香川県さぬき市)
主催:ETOILE

 3月12日に開幕した四国ダートトライアル選手権。昨年は全4戦で行われていたが、今年は1戦増えて全5戦となった。またクラス編成も変更があり、昨年までのN1クラスとN2クラスが統合されてNクラスとなり、今シーズンはPN、N、SD1、SD2の全4クラスで争われる。

 その全5戦の舞台となるのは、四国唯一のダートトライアル場でもある香川スポーツランドだ。コース中央にはパイロンセクションとしても使用できる広場があるが、メインは林道コース。コース幅は決して広いとは言えないが、大小さまざまなコーナーに加え、ロングストレート、さらにはアップダウンと、攻略要素満載のコースでもある。

限りある道幅をどう攻略していくかが問われる、林道セクションを有する香川スポーツランド。腕の見せ所でもある。
今回はフルコースを順走と逆走で往復する設定。2輪駆動は3分オーバー、4輪駆動でも2分40秒以上のロングコースでバトルが繰り広げられた。

PNクラス

 昨年シリーズ2位の西岡章夫選手と、ディフェンディングチャンピオンの萩原豪選手の争いとなったPNクラス。まず第1ヒート、萩原選手を約2.5秒上回る3分02秒472でトップタイムをマーク、先制を取ったのは西岡選手だった。

「一昨年、四国地区戦に出たのをきっかけに、香川スポーツランドの林道コースにハマってしまいました(笑)。昔、ラリーをやっていたこともあり、こういったコースは楽しいですね」という西岡選手は和歌山からの遠征で、近畿地区戦に出場する傍ら、四国地区戦にも参戦しているドライバーだ。

 昨年は、萩原選手の牙城を崩すことができず未勝利に終わってしまったことと、今季の開幕戦もすでに萩原選手に敗れているだけに、ここで一矢報いたいところだ。しかし第2ヒート、西岡選手は5秒以上のタイムダウンを喫してしまい、第1ヒートのタイムのまま萩原選手の走りを見守ることになる。

 注目の萩原選手は、第1中間タイムは第1ヒートの西岡選手のタイムを0.7秒上回るも、第2中間タイムでは逆に0.5秒遅れをとってしまう。まさにコンマ差の攻防戦となった第2ヒートだが、最終区間でタイムを詰めた萩原選手のゴールタイムは3分01秒705。西岡選手を1.3秒上回り逆転で勝負を決めた。

「このコースの最近の傾向として、第2ヒートはタイムダウンすることが多く、しかも西岡選手が好タイムを刻んでいたので、一時はどうなることかと思いました。轍にフロントタイヤを完全に入れてしまうと、アンダーガードを擦ってトラクションが抜けてしまうんですよね」

「轍の山とイン側の土手にフロントタイヤを逃がして、リアタイヤは轍に入れる走り方が上手くいって第2ヒートはタイムアップすることができました」と、勝利を収めた萩原選手。ディフェンディングチャンピオン、そして地元四国のダートトライアル部会長の意地を見せ、開幕から2連勝となった。

PNクラス優勝は萩原豪選手(菓舗ふくおかDLフジイスイフト)。
2位は西岡章夫選手(TAKUMI猫WORKスイフト)。
PNクラス表彰の各選手。

Nクラス

 Nクラスは昨年のSD2クラスチャンピオン、そして今季開幕戦優勝の竹下俊博選手が、橋本充弘選手を追う展開となった。第1ヒート、2分44秒402でトップタイムを刻んだ橋本選手に対し、竹下選手は2番手につけるも、その差は約4.5秒と厳しい状況だ。

 昨年の橋本選手は第2戦の3位のポイントしか取得していないことから、2022シーズンはランキング7位だが、過去には旧N2クラスでチャンピオンに君臨していた実力派ドライバーであることを忘れてはならない。今シーズンの開幕戦は竹下選手に敗れて2位に甘んじていたが、第1ヒートをトップで折り返して好スタートを切る。

 注目の第2ヒート、さらなるアドバンテージで後続を突き放したい橋本選手だったが、コース脇の土手にヒットした衝撃でライン上に障害物を落としてしまい、痛恨のタイムダウンを喫してしまう。一方、逆転のチャンスを得た竹下選手は、一縷の望みをかけてスタートを切る。

 第1中間タイムは自己タイムを0.4秒更新するも、第2中間タイムでは第1ヒートから1秒遅れてしまう。苦しい展開ながらもゴールタイムは0.5秒のタイムアップを果たすが、やはり第1ヒートのタイム差は大きく、2位止まり。橋本選手が逃げ切るかたちで勝利となった。

「第2ヒートはタイムアップを狙ったのですが失敗しまして……、結果オーライといったところですね(苦笑)。荒れた路面を修正しきれませんでした。第1ヒートできっちりタイムを残せたので、その点は上出来ではないでしょうか」と橋本選手。

 そして連勝ならずとなってしまった竹下選手は「今回は橋本選手にやられてしまいました(笑)。第2ヒートは路面の良いところを走ることができたけど、何か所か失敗してしまって、思うようなタイムが出せませんでした」と、走りを振り返った。これで勝ち星が並んだ両選手、今後の戦いに注目だ。

Nクラス優勝は橋本充弘選手(YH・BRIG・elfランサー)
2位は竹下俊博選手(ダンロップ BRIG ランサー)、3位は吉川直毅選手(ランサー)。
Nクラス表彰の各選手。

SD1クラス

 昨年のN1クラスチャンピオン、谷芳紀選が両ヒート共にトップタイムを叩き出して快勝したSD1クラス。N1クラスが消滅したため、今季からSD1クラスで戦うことになった谷選手は、昨年と変わらずN車のままでエントリーしたとのこと。

「今回はコースが発表されて2つ課題を立てました。ひとつは達成できたのですが、もうひとつはビビりが入ってしまい……。ストレートエンドをノーブレーキで行くということができず、目標の3分をわずかに切れなかったのが残念ですね」と、優勝はしたものの若干悔いが残った様子。

 続けて、今回は欠場となった開幕戦の覇者、昨年度のSD1クラスチャンピオンの谷正史選手について「谷(正史)選手が出場していたら果たして勝てただろうか、という疑問も残る走りだったので、今後の課題ですね」と、今シーズンから同一クラスとなった谷正史選手との戦いも視野に入れてのコメント。2人の谷選手の攻防戦にも注目だ。

 2位は、谷選手とのWエントリーで参戦した松原宏選手。いつもはランサーで参戦している松原選手は「第2ヒートはそれなりに攻める走りができましたが、久しぶりのFFは難しかったですね(笑)」と、第1ヒート3番手から1つ順位を上げての入賞。

 3位は、コルトで参戦の國久和也選手。第1ヒートでオイルクーラー破損のトラブルに見舞われ、かろうじて完走はできたものの、エンジンブローとなってしまい、第2ヒートは無念のリタイアとなってしまったが「次戦までにエンジンを載せ替えて、また頑張ります」と意欲をみせた。

SD1クラス優勝は谷芳紀選手(CMSC・W' SCアスティRX)。
2位は松原宏選手(CMSC香房風雅WCアスティ)、3位は國久和也選手(TRIBALタクミDXLコルト)。
SD1クラス表彰の各選手。

SD2クラス

 今回は残念ながら不成立となってしまったSD2クラスは、「第2ヒートは、途中まで第1ヒートの改善点を上手く修正できて良い感じだったのですが、ミスコースしてしまいました(笑)」という豊田薫選手がベストタイムを刻んだ。

SD2クラス1位は豊田薫選手(トヨティンランサー)。
2位は上谷英男選手(愛信M・SSACIRWランサー)。
SD2クラス表彰の各選手。

フォト/友田宏之 レポート/友田宏之、JAFスポーツ編集部

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