目まぐるしく変わるコンディションの中、ヘイキ・コバライネン/北川紗衣組が2連勝

レポート ラリー JAFWIM

2023年4月25日

全日本ラリー選手権 第3戦「ツール・ド・九州 2023 in 唐津」が、4月14~16日にかけて、佐賀県の唐津市と伊万里市周辺を舞台に開催された。天候が変わりやすい時期のラリーとあって、難しいコンディションにどう対応していくかがポイントとなった。

2023年JAF全日本ラリー選手権 第3戦「ツール・ド・九州 2023 in 唐津」
開催日:2023年4月14~16日
開催地:佐賀県唐津市および伊万里市周辺
主催:GRAVEL

 ラリーは唐津市郊外の「ボートレースからつ」に置かれたサービスパークを拠点に、ラリー初日の15日にSS1/4「SANPOU(11.85km)」、SS2/5「UCHIURA(4.74km)」、SS3/6「HACHIMAN(5.67km)」の3SSを、サービスをはさみ2回ずつ走る6SS(44.52km)を設定。

 ラリー最終日となる16日には、SS7/10「BIZAN(6.16km)」SS8/11「SANPOU REVERSE(11.96km)」、SS9/12「BOAT RACE(0.41km)」を、初日と同じく2ループする6SS(37.06km)が設定され、2日間合わせて12SS(SS総距離81.58km)が戦いの場となった。

 初日の「UCHIURA」と2日目の「BOAT RACE」には観戦エリアが設けられ、多くの観客が来場してSSを観戦。またラリーの視察で来日したTOYOTA GAZOO Racing WRTのヤリ-マティ・ラトバラ代表が、GR YARIS WRCでデモランを行うほか、トークショーやサイン会も行った。

 14日の午後から降り出した雨は、レグ1が行われる15日にも残り、ステージの路面はウェットコンディション。雨が小降りになると、今度は深い霧がステージを覆い、雨と霧という難しいコンディションの中でラリーはスタートした。

TOYOTA GAZOO Racing WRTのヤリ-マティ・ラトバラ代表がツール・ド・九州 2023 in 唐津の視察に訪れ、唐津市役所の峰達郎市長を表敬訪問。
唐津市立佐志中学校を訪れたラトバラ代表。講演会を行うとともに学生たちと交流を図ったほか、GR YARIS WRCで同乗走行も実施。
ボートレースからつやギャラリーステージUCHIURAにはイベント広場も設けられるなど、訪れた観客はラリーの魅力を存分に堪能していた。

全日本ラリー選手権 JN1クラス

 第2戦・新城では規定に合わない部分があったことからオープンクラスでの出走となった勝田範彦/木村裕介組(トヨタ・GRヤリスラリー2)は、JAF公認車両のJP4規定をクリアしたことで、選手権クラスのJN1でエントリーとなった。

 初日はステージ終盤で路面の金属片を拾ってパンクしながらも、ベストタイムを刻んだヘイキ・コバライネン/北川紗衣組(シュコダ・ファビアR5)が、設定された6SSすべてでベストタイムを重ね、霧のステージで速さを見せた新井大輝/金岡基成組(プジョー・208ラリー4)に56.1秒差をつけるトップで折り返す。

 2番手以降は熾烈な戦いとなり、新井大輝/金岡組から0.6秒差で福永修/齊田美早子組(シュコダ・ファビアR5)が3番手、さらに14.6秒差で鎌田卓麻/松本優一組(スバル・WRX)が4番手、2.5秒差で勝田/木村組が5番手、9秒差で新井敏弘/保井隆宏組(スバル・WRX)が6番手と、2日目の展開次第では順位が大きく変わりそうな気配となった。

 初日と打って変わって好天に恵まれた2日目、午前中の路面はまだ完全には乾ききってなく、タイヤ選択が難しい状況だ。この日もトップのコバライネン/北川組はベストタイムを順調に重ねる。この日2回走るショートSSの「BOAT RACE」は、福永/齊田組と鎌田/松本組がそれぞれベストタイムを奪うが、コバライネン/北川組の牙城を崩すまでには至らず。

 2日目に入り、ペースを上げてきた勝田/木村組が初日5番手から2位に浮上してくるものの、コバライネン/北川組が1分55秒差をつけ、今シーズン2勝目を飾った。2位に勝田/木村組、3位には2WDで健闘する新井大輝/金岡組が入賞した。

JN1クラス優勝はヘイキ・コバライネン/北川紗衣組(AICELLOラックDL速心FABIA)。
JN1クラスのセレモニアルフィニッシュ。左から2位の勝田範彦/木村裕介組、1位のコバライネン/北川組、3位の新井大輝/金岡基成組。

全日本ラリー選手権 JN2クラス

 JN2クラスは、第2戦・新城を制した奴田原文雄/東駿吾組(トヨタ・GRヤリス)が、SS1から快調にリードを広げる。一時は総合2番手につける速さを見せた奴田原/東組は、霧が深いSSではペースを落とすという余裕の展開。

 序盤からクラス2番手のポジションをしっかりと守った山田啓介/山本祐也組(トヨタ・GRヤリス)に1分26秒差をつけた奴田原/東組が、新城に続き2連勝を飾った。3位には、2日目にペースを上げた横尾芳則/井手上達也組(トヨタ・GRヤリス)が、初日3番手の徳尾慶太郎/枝光展義組(トヨタ・GRヤリス)をかわして入賞。

JN2クラス優勝は奴田原文雄/東駿吾組(ADVAN カヤバ KTMS GRヤリス)。
JN2クラスのセレモニアルフィニッシュ。左から2位の山田啓介/山本祐也組、1位の奴田原/東組、3位の横尾芳則/井手上達也組。

全日本ラリー選手権 JN3クラス

 序盤で山本悠太/立久井和子組(トヨタ・GR86)と長﨑雅志/大矢啓太組(トヨタ・GR86)がトップ争いを展開したJN3クラス。だが、ロングSSで速い山本/立久井組が大きくリードを奪う。長﨑/大矢組はSS6のスタート直後のヘアピンでコースアウトを喫し、2番手には旧型のスバル・BRZで健闘する鈴木尚/島津雅彦組が浮上してくる。

 2日目もトップを快走した山本/立久井組が、第2戦・新城に続き2連勝を達成。2位には、ドライ路面となったSS8で鈴木/島津組をかわした山口清司/丸山晃助組(トヨタ・GR86)が入賞した。

JN3クラス優勝は山本悠太/立久井和子組(SammyK-oneルブロスYHGR86)。
JN3クラスのセレモニアルフィニッシュ。左から2位の山口清司/丸山晃助組、1位の山本/立久井組、3位の鈴木尚/島津雅彦組。

全日本ラリー選手権 JN4クラス

 スイフトスポーツのワンメイク状態となっているJN4クラスは、昨年のチャンピオンである西川真太郎/本橋貴司組が序盤から順調に後続を引き離し、レグ1を終えて2番手の鮫島大湖/船木佐知子組に44.1秒のマージンを築き上げる。

 一方、2番手の鮫島/船木組と3番手の黒原康仁/松葉謙介組とのタイム差はわずかに0.4秒。そして黒原/松葉組と4番手の前田宣重/勝瀬知冬組との差が14.4秒と、熾烈な2位争いの様相となっていた。

 2日目は、若干ペースを落とした西川/本橋組だが、トップの座は揺るがず今季2勝目を獲得する。2位と3位には、初日3番手の黒原/松葉組と4番手の前田/勝瀬組の九州勢がそれぞれひとつずつポジションを上げ、表彰台をゲットした。

JN4クラス優勝は西川真太郎/本橋貴司組(スマッシュDLモンスターitzzスイフト)。
JN4クラスのセレモニアルフィニッシュ。左から2位の黒原康仁/松葉謙介組、1位の西川/本橋組、3位の前田宣重/勝瀬知冬組。

全日本ラリー選手権 JN5クラス

 北海道から遠征してきた松倉拓郎/山田真記子組(トヨタ・ヤリス)が、SS1でいきなり後続を13秒以上引き離すベストタイムでトップに立ったJN5クラス。しかしSS1のリピートステージとなるSS4で大倉聡/豊田耕司組(トヨタ・GRヤリス)が松倉/山田組を捕えてトップに浮上してくる。この2台に、初日3本のSSでベストタイムを奪った吉原將大/小藤桂一組(トヨタ・ヤリス)が3番手、4.9秒差で小川剛/梶山剛組(トヨタ・ヤリス)が4番手つける。

 2日目は、トップを守りきった大倉/豊田組が今季初優勝を獲得。2位に松倉/山田組、3位には初日4番手から追い上げた小川/梶山組が入賞した。

JN5クラス優勝は大倉聡/豊田耕司組(AISIN GR Yaris CVT)。
JN5クラスのセレモニアルフィニッシュ。左から2位の松倉拓郎/山田真記子組、1位の大倉/豊田組、3位の小川剛/梶山剛組。

全日本ラリー選手権 JN6クラス

 JN6クラスは、初日の6SS中5SSでベストタイムを奪った天野智之/井上裕紀子組(トヨタ・アクア)が、2日目の最終SSで3位に入賞した清水和夫/山本磨美組(トヨタ・ヤリス)に0.1秒差でベストタイムを奪われるものの、2位に入賞した海老原孝敬/蔭山恵組に1分以上の大差をつけ、全クラスの勝者の中で唯一となる開幕3連勝を遂げた。

JN6クラス優勝は天野智之/井上裕紀子組(豊田自動織機・DLアクアGR SPORT)。
JN6クラスのセレモニアルフィニッシュ。左から2位の海老原孝敬/蔭山恵組、1位の天野/井上組、3位の清水和夫/山本磨美組。

フォト/CINQ、中島正義、山口貴利、JAFスポーツ編集部 レポート/CINQ、JAFスポーツ編集部

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