宮田莉朋選手がスーパーフォーミュラ3年目で待望の初勝利!

レポート レース

2023年4月27日

鈴鹿サーキットで開催された全日本スーパーフォーミュラ選手権 第3戦は、ポールシッターの大湯都史樹選手(TGM Grand Prix)とポイントリーダーの野尻智紀選手(TEAM MUGEN)がまさかのクラッシュ。優勝争いは坪井翔選手(P.MU/CERUMO・INGING)と、終盤のセーフティカー導入を味方につけた宮田莉朋選手(VANTELIN TEAM TOM'S)との一騎打ちに。残り2周で鮮やかなオーバーテイクを披露した宮田選手が自身初のスーパーフォーミュラ優勝を飾った。

2023年JAF全日本スーパーフォーミュラ選手権 第3戦
(2023 NGKスパークプラグ鈴鹿2&4レース内)

開催日:2023年4月22~23日
開催地:鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)
主催:GSS、SMSC、ホンダモビリティランド株式会社

 鈴鹿サーキットで恒例の、二輪と四輪が併催の「2&4レース」として開催された全日本スーパーフォーミュラ選手権の第3戦。今大会は1レース制で、予選日の午前中には1時間30分の専有走行が設けられた。最速勝負の予選に向けて入念にセットアップを調整してきた各車は、新型車両&新しいタイヤながら昨年の予選タイムを上回る速さを見せた。

 Q1は、昨シーズンの鈴鹿大会すべてでポールポジションを獲得している“鈴鹿マイスター”野尻選手が7番手タイムでQ2進出圏内に残れないという波乱からスタート。だが、Q1上位陣の中で走路外走行によるタイム抹消で1台が順位を下げたことで、繰り上がりでQ2に駒を進めることになる。

 今まで鈴鹿サーキットで見せていた速さを発揮できない野尻選手は、ポールポジション争いのQ2は3番手に甘んじた。Q1/Q2といずれのセッションでも最速タイムを記録したのは大湯選手で、昨年の第8戦もてぎ大会に続き2度目のポールポジションを獲得。フロントローには坪井選手がつけた。

1分35秒792のタイムでポールポジションを獲得した大湯都史樹選手(TGM Grand Prix)。通算2回目のポールに笑顔を見せた。

 翌日の決勝レースは、各車がフォーメーションラップから戻って正規のグリッドにつく中、5番グリッドを獲得していた牧野任祐選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)がマシントラブルでスタートディレイ。1周のエクストラフォーメーションラップが行われ、レース周回数は1周減算の30周となった。このエクストラフォーメーションラップでは、7番グリッドの佐藤蓮選手(TCS NAKAJIMA RACING)がマシントラブルでピットイン。結果、20台がスターティンググリッドに整列し、レースがスタートした。

 抜群のスタートダッシュで1コーナーをトップで通過したのは大湯選手。坪井選手、野尻選手とグリッド順そのままに大湯選手を追いかけ、予選6番手のリアム・ローソン選手(TEAM MUGEN)がポジションを上げて追従。ローソン選手は序盤からペースも良く、3周目にはチームメイトの野尻選手を捕えて3番手に浮上。野尻選手はその後、山下健太選手(KONDO RACING)にもかわされて5番手に下がってしまう。

 先頭の大湯選手が10周を終了したところでピットウインドーがオープン。するとアンダーカットを狙ってローソン選手、山下選手がピットインする。この翌周、上位陣では坪井選手、野尻選手がピットへ向かった。

 ローソン選手は坪井選手をかわそうとアウトラップで猛プッシュ、コースに復帰した直後の坪井選手の背後に迫る。すでにタイヤに熱が入っているローソン選手は何度も坪井選手のすきを狙うが、坪井選手も交換したばかりの冷えたタイヤで奮闘。なんとか1周を持ちこたえると、タイヤも温まったことからペースを上げていった。

 トップの大湯選手が動いたのは19周終了時。この時点で坪井選手とのギャップは31秒となっていたが、速度制限されているピットロード通過時間とタイヤ交換作業時間を考えると、坪井選手の前でコースに復帰するのは不可能。ターゲットは事実上の3番手を走行する野尻選手との勝負になった。

 チームのピット作業も迅速で、大湯選手は野尻選手の前でコース復帰に成功するが、大湯選手のタイヤはまだ冷えていてなかなかプッシュができず、野尻選手がみるみるうちに接近。2台は1コーナーを超えてテールトゥノーズまで近づくと、S字コーナーの立ち上がりで接触する。

 大湯選手の左リアに野尻選手のノーズが当たってしまい、大湯選手のマシンがスピンしながらコースアウトすると、接触によりバランスを崩した野尻選手も大湯選手を追いかけるようにコースアウトし、2台はタイヤバリアにヒット。リタイアとなってしまった。

 2台の接触アクシデントによりレースはセーフティカー(SC)が導入され、コース上の車両は一気にスピードを落としていく。すると、ここまでタイヤ交換を引っ張っていた選手が続々とピットイン。宮田選手、平川亮選手(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)がこれで大きくポジションアップし、坪井選手、ローソン選手、宮田選手、平川選手というトップ4で24周目にリスタートが切られた。

 残り周回数は7周。アンダーカットでトップに浮上した坪井選手は残り周回数もポジションを守ろうとペースを上げるが、フレッシュタイヤの宮田選手と平川選手が猛烈に追い上げ、26周目には宮田選手が1コーナーでローソン選手を攻略して2番手に上がり、さらに坪井選手に迫ってきた。

 そして29周目、宮田選手はオーバーテイクシステムを使ってパワーアップすると、1コーナーで坪井選手を捕え、一気に抜き去りトップに躍り出る。そのまま坪井選手を引き離してファイナルラップへ突入。最後までハイペースを維持し、スーパーフォーミュラ参戦3年目で待望のトップチェッカーを受けた。坪井選手は悔しい2位。3位には、宮田選手と同じく29周目でローソン選手を捕えた平川選手が入り、トヨタ勢がトップ3を占める結果となった。

SC導入も味方につけ、宮田莉朋選手(VANTELIN TEAM TOM'S)がスーパーフォーミュラ参戦3年目で待望の初優勝。ランキングも2番手に浮上!
2戦連続2位獲得は坪井翔選手(P.MU/CERUMO・INGING)。結果には少し悔しさをあらわにするも、スーパーGTのチームメイトの勝利を祝福した。
3位は中団グリッドからのスタートながら、粘り強い走りを見せて登りつめた平川亮選手(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)。
第3戦の表彰式。左から2位の坪井選手、1位の宮田選手、VANTELIN TEAM TOM'Sの舘信秀監督、3位の平川選手が登壇した。

フォト/吉見幸夫 レポート/浅見理美、JAFスポーツ編集部

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