オートポリス スーパーFJ第2戦は2015年王者が久々のポール・トゥ・ウィン!

レポート レース

2023年5月9日

ゴールデンウィークに突入したばかりのオートポリスで、2023年JAF地方選手権のオートポリススーパーFJ選手権は、4月30日に早くも第2戦を迎えた。第1戦は降り続いた雨、そして霧によって、一時は中止の憂き目も覚悟されたものの、奇跡的な天候回復から大幅にスケジュールを改めて、なんとか開催された。ポールポジションは永原蒼翔選手が獲得したものの、遠征ドライバーの宇髙希選手が逆転を果たして優勝。そして、第2戦は練習走行が行われた29日こそ、また悪天候に見舞われたものの、30日のオートポリスは落ち着きを取り戻し、どうやら雨の心配はなさそう。激戦となるのは間違いなさそうだった。

2023年JAF地方選手権オートポリス スーパーFJ選手権 第2戦
(2023ゴールドカップレース第2戦 内)

開催日:2023年4月29~30日
開催地:オートポリス(大分県日田市)
主催:APC、(株)オートポリス

 オートポリス スーパーFJの第2戦は、FJ協会が独自に設けた全国転戦のSuper FJジャパンリーグとの併催だったが、いざ蓋を開けてみると、かねてからフル参戦を謳っている宇髙選手を除けば、高口大将選手だけが遠征してきたのは、少々残念ではあった。しかし、その分、地元ドライバーが、特にベテランが大いに奮起した。

 29日未明まで降った雨が、30日早朝の路面をうっすら濡らしたものの、予選までには限りなくドライコンディションになり、ドライバーたちはコースを激しく攻め立てた。展開としては、さながらシーソーゲームのよう。逆転また逆転を繰り返したのは、第1戦を欠場していた、KOUKI SAKU選手と篠田義仁選手。そんな状況の中、最後の最後にトップに立ったのは、KOUKI SAKU選手だった。

「今年からタイヤが変わりましたが、前回は雨でしたし、今回も練習は譲ってもらったユーズド(タイヤ)で走っていたんです。正直、ニュー(タイヤ)でのアタックは今日の予選が初めてだったんですが、あんまり前のと変わらないという印象です。でも、こんなタイムが出るとは自分でも思いませんでした」と、2017シーズン第1戦のポール・トゥ・ウィン以来となるPP獲得に、KOUKI SAKU選手は自分でも驚いている様子だった。

 2番手には0.142秒差で篠田選手がつけ、ラストアタックで一気にタイムを伸ばした、遠征組の高口選手と宇髙選手が3番手、4番手を獲得。入江裕樹選手と永原選手の前に割って入った。

WEST19JのKOUKI SAKU選手(K2sports☆EKC☆SPV)とMYST KKS-Ⅱの篠田義仁選手(イワモトレーシング/制動屋/SJ)によるトップタイム更新合戦となった予選は、WEST勢のKOUKI SAKU選手が0.142秒差でポールポジションを勝ち取った。

 上空には青空が広がるまでに天候が回復した10周の決勝では、KOUKI SAKU選手と篠田選手、フロントロウのふたりが無難なスタートを切ったのに対し、セカンドロウの高口選手と宇髙選手がやや出遅れてしまう。正しくは入江選手のダッシュが鋭かったと言うべきか。

 1コーナーまでに入江選手は一気に3番手まで上げる。その後、1周目は上位陣が縦一列で続くも、2周目を終えると早くもKOUKI SAKU選手と篠田選手が逃げの構えに。そのまま一騎討ちとなるかと思われたのだが……。

 なんと篠田選手に対し、スタート手順違反のペナルティとして、タイム加算がタイミングモニターに記される。スタート直前に車両がわずかながらも動いてしまったことが理由だという。もちろん周回を重ねる篠田選手、そしてトップのKOUKI SAKU選手にも、そのことを伝えられる術はなく……。

 そのような状況の中、「僕はいつも後半勝負なんですけど、今日ばかりは行けるところまで行ってやろうと思って」と、KOUKI SAKU選手は早々にプッシュを開始する。一方、篠田選手をピットで見守るクルーにしてみれば、少しでも後続を引き離してくれ、という思いだったはず。やがて10秒加算とのアナウンスが流れたから、なおのこと。篠田選手も後続との差を広げていく一方、3番手争い、事実上の2番手争いはどんどん激しくなっていた。

 競い合っていたのは入江選手と宇髙選手。開幕戦ウィナーとして、少しでも高得点を望む宇髙選手は、しきりにプレッシャーをかけて、終盤には入江選手の横に何度も並ぶも、完全に抜き切るまでは至らず。そこはオートポリスを知り尽くした強みが、地元勢の入江選手にあった。

そんな後続の激戦の一方で、一時は3秒にまで広げていたKOUKI SAKU選手のリードが8周目で一気に詰まる。「ジェットコースターストレートでシフトミスしてしまって、しばらくニュートラルで下っていて」と苦笑いしたKOUKI SAKU選手ながら、その後は盛り返してトップを死守。PP同様、久しぶりの優勝をポール・トゥ・ウィンで飾った。

 2位は「スタートだけ良かったです。プレッシャーきつくてシフトミス連発だったので、何とか抑えられて良かったです」と振り返った入江選手が獲得。そして「まだドライのスピードには課題があるので、次のレースまでに解決したいです」と挽回を期した宇髙選手が3位を手にした。

 一方、10秒加算されても5位に踏みとどまった篠田選手だったが、4番手でフィニッシュした永原選手の車両に最低地上高違反があり失格となってしまう。これにより篠田選手はひとつ順位が上がり、4位という結果を得ることとなった。なお、高口選手は0.228秒差で篠田選手を上回れず、5位に終わった。

 宇髙選手がトップを守ったランキングはKOUKI SAKU選手が2番手に躍り出て、1ポイント差の3番手に入江選手がつけた。全5戦の折り返しとなる第3戦は、6月10~11日に開催される。

途中、シフトミスから差を詰められることがあったものの、序盤から逃げる作戦も実り、2017シーズン第1戦以来のポール・トゥ・ウィンを決めたKOUKI SAKU選手。2015シーズンのチャンピオンで2010年代前半の黎明期から参戦している、オートポリスとスーパーFJを熟知するベテランだ。
2021シーズンのチャンピオン、入江裕樹選手(スラッシュ☆タツミレーシング)は、宇髙希選手(テイクファーストSAKURA)の猛攻をしのぎ切り、2位を獲得(左)。一方、第1戦からの連勝を狙った宇髙選手だったが、0.293秒の僅差で入江選手の攻略ならず3位に終わるも、ランキングトップを守った(右) 。
表彰台に登壇した左から2位の入江選手、優勝したKOUKI SAKU選手、3位の宇髙選手。

フォト/皆田征賢 レポート/はた☆なおゆき、JAFスポーツ編集部

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