ガラリと変わった全日本カート選手権の“新生”OK部門の概要と、ドライバーラインアップを要チェック!
2023年5月12日

国内カートレースの最高峰に位置する全日本カート選手権 OK部門が4月29~30日、栃木県茂木町のモビリティリゾートもてぎ北ショートコースで2023シリーズの開幕を迎えた。そこで、2022シリーズから大きく変貌した“新生”OK部門の姿を紹介しよう。
2023年のOK部門でもっとも大きく変化したのはタイヤだ。これまでは3社のタイヤメーカーが1大会のみに焦点を当ててつくり上げた非市販のタイヤを投入し、熾烈な技術開発競争を繰り広げてきた。だが、ブリヂストンとヨコハマタイヤが2022年をもってカートタイヤ事業から撤退したことで、2023年はダンロップ製市販ハイグリップタイヤのワンメイクでレースが行われることになった。
これにより世界でも類を見ないマルチメイクのスペシャルタイヤによる戦いは終焉し、OK部門はドライバーの技量がより大きな比重を占めるレースに生まれ変わったというワケだ。

レースフォーマットにも大きな変化があった。これまではタイムトライアル→予選ヒート→決勝という流れでレースが行われていたのだが、2023年は予選ヒートの後に新しく「スーパーヒート」が設けられた。このスーパーヒートというものは予選第2ヒート的な役割を果たすもので、予選ヒートの結果をグリッド順に反映し、決勝前に行われるレース形式のセッションとなる。
2023年全日本カート選手権統一規則の第4章 第26条および第27条によると、予選ヒートが「10km(または10分)以上30km(30分)以内」と規定されているのに対して、スーパーヒートは「15km(または15分)以上45km(45分)以内」と、より走行距離が長く設定されている。ちなみにもてぎ大会では予選ヒートが12周、スーパーヒートが16周だった。
予選ヒートとスーパーヒートでは、それぞれの結果に対して1位0点、2位2点、3位3点……とポイントが付与され、予選ヒートとスーパーヒートのポイントを合算した“予選SHポイント”の小さい順で決勝のスターティンググリッドが決定される。

大会の形式は、2022年までと同じ1大会2レース制。タイムトライアルの結果で両レースの予選ヒートのスターティンググリッドが決定される点もこれまでと変わりない。2023年はスーパーヒートが加わった分、走行セッションは多くなる。もてぎ大会ではワンデイですべての公式セッションが行われたので、各ドライバーは公式練習を含めて8セッションを次々と消化する目まぐるしい1日を過ごすこととなったようだ。
シリーズの大会数は2022年からひとつ減って、全4大会/8戦で選手権が争われることになった。この4大会ではすべて、新設されたFS-125CIK部門が同時開催される。開幕戦のもてぎ大会以降は宮城県村田町・スポーツランドSUGO西コース(第3戦/第4戦)、埼玉県本庄市・本庄サーキット(第5戦/第6戦)、三重県鈴鹿市・鈴鹿サーキット南コース(第7戦/第8戦)と、日本各地を転戦するスケジュールだ。

こうして生まれ変わったOK部門の2023年最初の大会には、7つのチームから8名のドライバーがエントリーしてきた。うち1名が決勝日前日のアクシデントで負傷欠場となったため、レースには7名のドライバーが出場した。
エントリー8名のうち、2022年からの継続参戦は3名。半数以上の5名がFS-125部門からステップアップしてきたルーキーだ。2022年のOK部門参加の多くのドライバーがFIA-F4など他のレースに戦場を移したため、2023年のOK部門は非常にフレッシュなメンバーとなっている。
2023年全日本カート選手権 OK部門 ドライバー&チームラインアップ







数こそ多くはないものの、各々のプロフィールを紐解くと、2022シリーズの優勝経験者、地方選手権のチャンピオン、急上昇中の若手と注目株が顔をそろえている。その期待を裏切ることなく、もてぎでの開幕大会では第1戦も第2戦も予想のつかないドラマティックなレースが繰り広げられた。
果たして2023シリーズの覇者となるのは誰なのか。この先も最終戦まで胸が高鳴る戦いが期待できそうだ。
フォト/長谷川拓司 レポート/水谷一夫、JAFスポーツ編集部