菅原伸選手が2年連続で新潟シリーズのFP-3部門チャンピオン確定を達成

レポート カート

2025年10月20日

2025年の地方カート選手権 FP-3部門を締めくくる新潟シリーズが、新潟県胎内市のスピードパーク新潟で開催された。2023年と2024年のチャンピオンによる熾烈な優勝争いは菅原伸選手に軍配が上がり、菅原選手が同部門でチャンピオンを確定、二連覇を達成した。

2025年JAF地方カート選手権 新潟シリーズ 第4戦
(2025 2&4 SPN SERISE Rd.4内)

開催日:2025年10月5日
開催地:スピードパーク新潟(新潟県胎内市)
主催:SPN

 ミニバイクとカートのレースが同時開催となるユニークな大会「2&4 SPN SERIES」が、新潟県胎内市のスピードパーク新潟(SPN)で行われた。このシリーズは、2025年は全5大会でカレンダーが組まれていたが、9月3日未明に発生した落雷の影響により施設の電気系統に被害を被り、当初9月7日に予定されていた第3戦が中止。その後、関係者らの懸命な復旧作業により、10月5日の第4戦は無事開催へと至ったわけだ。

 実質シリーズ3戦目となった今回、地方カート選手権 新潟シリーズ(FP-3部門)が最終戦を迎えることとなり、ほかSLカートミーティング(YAMAHA SS、YAMAHA スーパーSS)、MZ200スプリントと、3クラスが設定されている。地元および近県からレギュラー参戦する選手を中心とし、ダブルエントリー含めて40台が参加する賑わいとなった。

 前日夜に降った雨が路面を湿らせているコースコンディションだったが、ウェットタイヤを履く必要があったのは公式練習まで。タイムトライアルの途中から路面は徐々にドライへと変わり、以降は天気が大きく崩れることもなく終日曇りをキープ。ちょうど10月に突入したタイミングではあるが、少し汗ばむ初夏のような陽気のもと大会は行われた。

SPNシリーズは“2 & 4”と銘打っているとおり、ミニバイクとレーシングカートのレースが行われる大会となっている。
アルビレックス公式チアリーディングチームの太田心優さんと橋塲泉咲さんが、大会のMCやグリッドガールを務めた。

地方カート選手権 新潟シリーズ 第4戦

 地方選手権がかかる新潟シリーズは今年で3年目の開催となり、空冷100ccエンジンでワンメイクのFP-3部門で争われる。2023年同部門チャンピオンの小林留魁選手、2024年同部門チャンピオンの菅原伸選手がともに2025シーズンにもエントリーしており、現在ポイントランキング2番手につけている水町颯士選手が今大会を欠場したことで、この両名がチャンピオン候補という状況だ。

 第1戦は小林選手、第2戦は菅原選手が優勝してそれぞれ1勝ずつ挙げているが、小林選手は第2戦をノーポイントで終えたことでかなり苦しい立場。一方、菅原選手は第1戦で2位入賞を果たしており、今回ポイント獲得圏内である3位以上に入賞さえすれば、小林選手の順位に関係なくチャンピオンが確定する。小林選手は菅原選手がノーポイントかつ自身の優勝という条件が課されている。

 半乾き状態のコンディションで行われたタイムトライアルで好調ぶりを発揮したのは菅原選手だった。ウェットタイヤで臨んだ菅原選手は58秒980をマークし、ライバルの小林選手に0.363秒差をつける。続いてドライタイヤに履き替えての予選ヒートでは、一度は小林選手の先行を許したものの、菅原選手がトップでゴールを果たしポールポジションを獲得した。

 決勝は空が薄暗くなってきた15時。ポールの菅原選手が順当にスタートを決め、フロントローの小林選手がその真後ろを追いかける。2周目に入ったところで3番手スタートの井伊諒河選手が先頭集団からやや離され始め、菅原選手と小林選手との一騎打ちの様相へと転じていく。そして3周目には菅原選手がペースを上げたか、小林選手との差をわずかに広げ始めた。

 小林選手も離されまいと粘りの走りを見せ、7周目までに再び菅原選手の背後にピッタリと寄せていくが、その抵抗もここまで。レース終盤の9周目になると菅原選手が小林選手を一気に突き放しにかかり、ファイナルラップでは約2秒の差をつけてトップチェッカー。菅原選手が2年連続でチャンピオンを確定させた瞬間だ。2位は健闘を見せたものの菅原選手に及ばなかった小林選手。3位はポジションを守った井伊選手となった。

FP-3部門優勝は菅原伸選手(HRT)。
YAMAHAスーパーSSとのダブルエントリーながら大活躍した菅原選手は「さすがに精神的に疲れました」と疲労困憊の様子。それでも優勝したことについて「とてもうれしいですね」と喜びの表情を見せていた。
2位は小林留魁選手(ALBIREX RACING TEAM & 新潟第一ホテル)、3位は井伊諒河選手(ガンマキッド with GIA)。
FP-3部門表彰の各選手。
菅原選手がFP-3部門のチャンピオンを確定させた。

MZ200スプリント

 ホビーカーターに人気の高い4サイクルエンジン搭載のYAMAHA MZ200を使ったレース、MZ200スプリント。賞典外の選手を含め、今大会のレーシングカートの中で最多の13台が集まった。大阪からはるばる遠征して参戦した大井偉史選手が予選で唯一の1分2秒台を叩き出し、ポールポジションからホールショットを奪って決勝レースを牽引。

 レースは常に混戦状態が続き、中盤までトップ争いを繰り広げていた太田達也選手が4周目でまさかの戦線離脱、またベテランの横内充秀選手がチェッカー後に失格というハプニングもあったが、大井選手がポール・トゥ・ウィンを達成した。2位は手堅い走りを見せた豊島恵一選手で、3位は7番手スタートから登り詰めた峰本信雄選手が獲得している。

MZ200スプリント優勝は大井偉史選手(Vifonte with Ash)。
「楽しく走れました」とレース後に感想を語る大井選手。「地元の方はうまいですね。太田選手はコースを知り尽くしているし、ペースも良かったので、後ろから見て学びがありました。来年、また仲間を連れて遊びに来たいと思います」
2位は豊島恵一選手(H2 & MT)、3位は峰本信雄選手(ショアカートクラブ)。
MZ200スプリント表彰の各選手。

SLカートミーティング YAMAHA SS/YAMAHA スーパーSS

 ヤマハ空冷100ccエンジンKT100による無改造ワンメイクレース、SLカートミーティングのYAMAHA SSとYAMAHAスーパーSSは、2クラス混走の計21台で争われた。前者は小学6年生以上、後者は30歳以上を参加年齢とし、また地方選手権のFP-3部門と同じエンジンが使われるということもあり、自身の年齢に合ったクラスへダブルエントリーする選手の姿も見られた。

 注目はこのシリーズ第2戦の覇者であるYAMAHA SSの髙井翼選手と、YAMAHAスーパーSSの菅原選手とのバトルに集まった。予選では髙井選手が終始リードを続けたが、決勝では菅原選手がファイナルラップで髙井選手からトップを奪い、オーバーオールウィンを成し遂げている。なお今シーズンはここまで3戦すべて菅原選手がオーバーオールで優勝を果たしている。

 結果、YAMAHA SSでは髙井選手が優勝、FP-3部門の前哨戦とした小林選手が2位、そして小林選手にわずかに届かなかった土屋草太選手が3位を獲得。一方、YAMAHAスーパーSSは優勝の菅原選手に続き、2位にベテランの泉田茂和選手、3位に予選5番手の高橋治文選手が入賞している。

YAMAHA SS優勝は髙井翼選手(チームエッフェガーラ with HMC)。
「SSクラスで優勝することが今日の目標だったので、レース内容としては及第点だったのかなと思います」と髙井選手は語るも、「頑張って抑えたかったです……」と、菅原選手に抜かれてしまったことに悔しさをにじませていた。
2位は小林選手(GIA新潟国際自動車大学校)、3位は土屋草太選手(Sons of Rio racing with WABITO WORKS GIA)。
YAMAHA SS表彰の各選手。
YAMAHA スーパーSS優勝は菅原選手(HRT with チームれん)。
「予選のペースが良かったので、ミスしなければいけるのかな?」と最後の最後で一騎打ちに持ち込み、見事に髙井選手をオーバーテイクして勝利した菅原選手。「勝てたので良かったです。次戦も総合優勝したいですね」とコメント。
2位は泉田茂和選手(プティレーシング with エッフェガーラ)、3位は高橋治文選手(R.T.シャイニング)。
YAMAHA スーパーSS表彰の各選手。

PHOTO/今村壮希[Souki IMAMURA]、後藤佑紀[Yuuki GOTOU] REPORT/JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

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