450kmレースはau TOM'S GR Supraが独走で優勝、リアライズ日産メカニックチャレンジGT-Rが逆転で勝利

レポート レース

2023年5月12日

ゴールデンウィーク恒例のスーパーGT 第2戦富士ラウンドは、好天に恵まれて2日間で8万人を超えるファンで盛り上がった。通常の1.5倍を走る450kmレースは、昨年は大きなアクシデントがあって荒れたが、今年はフルコースイエローやセーフティカー導入が一度もなく、2時間33分でチェッカー。予選6番手スタートだったGT500クラスのau TOM'S GR Supra(坪井翔/宮田莉朋組)が、最初のピットインでトップを奪うとそのまま独走態勢を築き優勝。またGT300クラスはディフェンディングチャンピオンでポールからのスタートだったリアライズ日産メカニックチャレンジGT-R(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ/名取鉄平組)が、終盤に逆転して優勝を飾った。

2023 SUPER GT Round.2 FUJIMAKI GROUP FUJI GT 450km RACE
開催日:2023年5月3~4日
開催地:富士スピードウェイ(静岡県小山町)
主催:株式会社GTアソシエイション、富士スピードウェイ株式会社、FISCO-C

 爽やかな五月晴れとなったレースウィーク。3日に行われた公式予選でポールポジションを奪ったのはGT500クラスが100号車STANLEY NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐組)で、19号車WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/阪口晴南組)、16号車ARTA NSX-GT(福住仁嶺/大津弘樹組)、14号車ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太組)、24号車リアライズコーポレーション ADVAN Z(佐々木大樹/平手晃平組)が続いた。

 GT300クラスでは56号車GT-Rに31号車apr LC500h GT(嵯峨宏紀/小高一斗/根本悠生組)、4号車グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝/片岡龍也組)、52号車埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰組)、2号車muta Racing GR86 GT(堤優威/平良響/加藤寛規組)が続く。

 そして決勝日の4日も朝の雲はすっかり取れて、気温22度、路面温度38度というコンディションの13時37分にスタートした。今回のレースでは給油を伴うピットイン2回が義務づけられている。

ゴールデンウィーク真っ只中ということもあり、多くのファンがスタンドを埋め尽くしていた。この2日間で82,000人が来場する盛り上がりに。
全長約4.5kmの富士スピードウェイを100周する“FUJI GT 450km RACE”。タフなレースになることが予想された。

GT500クラス

 ポールスタートの100号車NSXに16号車NSXがピタリとマークし、これに24号車Z、36号車スープラが続く展開で始まったGT500クラス。20周目のコカ・コーラコーナーで36号車スープラが3番手に順位を上げると、31周目の1~2コーナーで16号車NSXを捕らえて2番手へ。直後に100号車NSXと16号車NSXはピットイン。これでトップに立った36号車スープラも翌周にピットインすると、迅速な作業で100号車NSXの前でコースへ復帰することに成功した。

 40周で全車両が1回目のピット作業を済ませると、36号車スープラの坪井選手がトップで、8号車ARTA NSX-GT(野尻智紀/大湯都史樹組)の野尻選手、100号車NSXの牧野選手が続いた。レースも2/3を経過する61周で8号車NSXが、そして63周で36号車スープラと100号車NSXの2台が2回目のピットイン。これで24号車Zがトップに躍り出て78周でピットイン。

 36号車スープラが再びトップとなり、17秒後に100号車NSX、その9秒後に24号車Z、さらに5秒後に8号車NSXという順序となった。終盤の95周目ダンロップ コーナーで24号車Zの平手が接触で失速したGT300車両を避けきれず、左フロントを壊してピットイン。これで36号車スープラ、100号車NSX、8号車NSXという順でチェッカーを受けた。終わってみれば36号車スープラは2位に28秒もの大差をつけての独走優勝だった。

前戦の岡山では悔しいリタイアを余儀なくされたau TOM'S GR Supra(坪井翔/宮田莉朋組)が100周を走破して優勝を遂げた。
2位はSTANLEY NSX-GT、3位はAstemo NSX-GT。
GT500クラスの表彰式。左から2位のSTANLEY NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐組)、1位のau TOM'S GR Supra(坪井/宮田組)、3位のAstemo NSX-GT(塚越広大/松下信治組)。

GT300クラス

 GT300クラスはチームによって採った作戦が異なり、目が離せないレースとなった。まず1周目で5番手の2号車GR86が、3周目には4番手スタートの52号車スープラがピットインして短時間の給油のみを済ませ、比較的空いたスペースで追い上げを図った。

 ポールスタートの56号車GT-Rは、10周目には2番手の4号車メルセデスに5秒ほどの差をつけて独走状態へ持ち込んでいく。その4号車メルセデスも15周で最初のピットインをすると、12番手スタートの6号車DOBOT Audi R8 LMS(片山義章/ロベルト・メリ・ムンタン/神晴也組)が2番手まで順位を上げたが、既にトップとの差は12秒に開いていた。

 レースの1/3が近づいた30周で56号車GT-Rがピットイン。ドライバーはオリベイラ選手のままで、2号車GR86、52号車スープラの後方でコースに戻った。レースの折り返し点に近い45周でトップの2号車GR86が2回目で最後のピットインをし、堤選手から平良選手へ交代。

 11秒差で2番手を走っていた52号車スープラも48周で2回目のピットインをし、川合選手から吉田選手へ交代した。これで難なくトップに戻った56号車GT-Rは、61周でピットインして名取選手へ交代。しかしコースへ戻ると2号車GRスープラが既に先行していた。

 2号車GR86の平良選手の前には、2回目のピットインを控えた同一周回の96号車K-tune RC F GT3(新田守男/高木真一組)がおり、平良選手はこれに追いつくも抜きあぐねていた。この隙に56号車GT-Rの名取選手が平良選手との差を62周目の8秒から69周目には2.7秒まで詰めていた。

 名取選手も72周目には96号車RC Fをかわして1.7秒差前を走る2号車GR86を追い詰めていく。終盤の80周目のダンロップコーナーで2号車GR86はGT500車両にラインを譲ると、ここへ56号車GT-Rが追いつき、次の周の1コーナーでついに逆転トップを奪った。

 しかしこれで勝負が決したわけではなく、2号車GR86の平良選手は56号車GT-Rの名取選手をピタリとマーク。隙あらば再逆転を狙おうと背後でチャンスをうかがった。そしてファイナルラップのGRスープラコーナーから最終コーナーであるパナソニックコーナーで並びかけたが追い抜くまでにはいたらず、56号車GT-Rが0.5秒差で逃げ切り、新コンビでの今季初優勝。3位は52号車スープラだった。

自身GT初優勝となった名取鉄平選手。コンビを組むジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手とともにリアライズ日産メカニックチャレンジGT-Rを勝利へ導いた。
2位はmuta Racing GR86 GT、3位は埼玉トヨペットGB GR Supra GT。
GT300クラスの表彰式。左から2位のmuta Racing GR86 GT(堤優威/平良響/加藤寛規組)、1位のリアライズ日産メカニックチャレンジGT-R(名取/オリベリラ組)、3位の埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰組)。
全チームを対象に顕著な活躍を見せたメカニックに授与されるZFアワード。公式テストでクラッシュしたマシンを完全修復して開幕戦に間に合わせ、また今回はポイントを獲得する順位でフィニッシュしたHOPPY Team TSUCHIYAのメカニックに贈呈された。
全日本カート選手権でヤマハからサポートを受けるFormula Blueのドライバーたちが、スカラシップの一環としてレースを視察。将来のGTドライバーがこのメンバーから生まれることに期待したい。

フォト/石原康、遠藤樹弥 レポート/皆越和也、JAFスポーツ編集部

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