久万高原ラリーでは全日本初優勝クルーが誕生、次世代勢も各クラスで上位入賞
2023年5月17日

第3戦唐津から3週間のインターバルを経て、全日本ラリー選手権 第4戦「久万高原ラリー」が、ゴールデンウィーク終盤の5月5~7日にかけて、愛媛県久万高原町周辺を舞台に開催された。
2023年JAF全日本ラリー選手権 第4戦「久万高原ラリー」
開催日:2023年5月5~7日
開催地:愛媛県久万高原町周辺
主催:MAC、ETOILE、D.C.R
全日本ジムカーナ選手権も開催される、愛媛県久万高原町郊外の「ハイラインドパークみかわ」を拠点とするラリーは、久万高原町の美川地域と柳谷地域を結ぶターマック林道に、初日はSS1/3「美川リバース(12.41km)」とSS2/4「柳井川(5.86km)」をサービスを挟み2ループする4SS/36.54kmを設定。2日目は、初日のSSを逆方向に走るSS5/7「西谷(5.22km)」とSS6/8「松木(12.91km)」を、初日と同じくサービスを挟み2ループする4SS/36.26kmの、計8SS/72.80kmが設定された。
いずれも山間部の中腹を走る比較的高低差が少ない林道で、初日は緩やかな上り区間が多く、逆方向に走る2日目は緩やかに下る区間が多い。新緑に覆われた林道は、交通量が少ないことからコケに覆われた路面が多いことが特徴。
ツイスティなコーナーやギャップが多い上に、初日の逆走となる2日目はインカットにより路面に土砂が散乱する区間もあるため、2日目にアクシデントが連発するサバイバル戦となることが多い。とくに今年は2日間とも雨に見舞われ、波乱の展開となるクラスも少なくなかった。
2019年以来、4年ぶりとなる有観客での開催となった今大会は、事前申込制が採られ、ハイランドパークみかわに約100台のギャラリーの車両が来場。観戦ステージは設けられなかったものの、ギャラリーは雨天の中、セレモニアルスタートやサービス風景、セレモニアルフィニッシュなどを楽しんだ。
JN1クラス
初日に2番手の勝田範彦/木村裕介組(トヨタ・GRヤリスラリー2)に1分02秒5の大差をつけたヘイキ・コバライネン/北川紗衣組(シュコダ・ファビアR5)が、2日目に右リアホイールにダメージを負うアクシデントがありながらも、勝田/木村組との差を1分28秒7に拡大。全ステージを制覇するとともに、第2戦新城からの連勝記録を3に伸ばした。
2位は勝田/木村組。そして鎌田卓麻/松本優一組(スバル・WRX STI)と眞貝知志/安藤裕一組(トヨタ・GRヤリスDAT)と福永修/齊田美早子組(シュコダ・ファビアラリー2 Evo)による熾烈な3位争いは、眞貝/安藤組がSS6の後半でマシントラブルが発生してリタイア。終始、安定して上位タイムを刻んだ鎌田/松本組が3位に入賞した。


JN2クラス
第2戦新城から2連勝を挙げている奴田原文雄/東駿吾組(トヨタ・GRヤリス)と、20代ドライバーの山田啓介/山本祐也組(トヨタ・GRヤリス)が好勝負を展開したJN2クラス。初日のSS3では山田/山本組が総合で2番手タイムをたたき出す活躍を見せる中、初日は奴田原/東組が初日の4SS中3SSでベストタイムを刻み、山田/山本組に3.2秒差で初日を折り返す。
だが、2日目に入ると山田/山本組が逆襲。2日目のオープニングとなるSS5でクラスベストを奪った山田/山本組が、奴田原/東組を1.1秒逆転。そしてSS6でベストを奪った奴田原/東組が、1.2秒差でふたたび首位を奪い返す。
1秒を争う好勝負が続いたが、SS5でギャップにオイルパンをヒットした奴田原/東組のエンジンが不調になり、徐々にペースダウン。SS5のリピートステージとなるSS7で首位奪還に成功した山田/山本組が、最終SSとなるSS8でスピンしかけるハプニングがありながらも、奴田原/東組を一気に突き放し、SS7を走り終えた時点で2.2秒あったタイム差を8.7秒に拡大。
山田/山本組が今季初優勝を挙げるとともに、トヨタ・GRヤリスでの全日本初優勝を獲得した。2位に奴田原/東組が入賞。最終SSまで続いた三枝聖弥/鮫島大湖組(スバル・WRX STI)、徳尾慶太郎/石田一輝組(トヨタ・GRヤリス)、横尾芳則/木村悟士組(トヨタ・GRヤリス)による3位争いは、最終SSで一気に順位を上げた横尾/木村組が3位を獲得した。


JN3クラス
JN3クラスは、ターマックラウンド2連勝中の山本悠太/立久井和子組(トヨタ・GR86)がSS1で先行すると、今回が全日本初出場となる貝原聖也/西﨑佳代子組(トヨタ・GR86)がジリジリと差を詰めていく展開に。初日を終えた時点で首位の山本/立久井組に8.6秒差の2番手につけた。
だが、貝原/西﨑組はラリー2日目のSS6で無念のコースオフ。2番手にはベテランの曽根崇仁/澤田耕一組(トヨタ・GR86)が上がってくるが、すでに山本/立久井組との差は40秒以上。十分なマージンを持って、山本/立久井組がターマック3連勝を挙げた。
2位には2日目の最終SSで首位との差を24.3秒まで詰めた曽根/澤田組が入賞を果たす。3位は追い上げる長﨑雅志/大矢啓太組を振り切った、山口清司/丸山晃助組(トヨタ・GR86)が入賞した。


JN4クラス
スズキ・スイフトスポーツのワンメイク状態となったJN4クラスは、古川寛/吉田賢吾組が東隆弥/藤澤進組に8.7秒差をつけて初日を首位で折り返すものの、2日目のSS6で側溝に落ち、サスペンションを破損してリタイア。
これで首位に立った東/藤澤組は、昨年のチャンピオン西川真太郎/本橋貴司組を振り切り、全日本初優勝を獲得。2位に西川/本橋組が入賞、3位にはコンスタントに好タイムを刻んだ女性クルーの兼松由奈/槻島もも組が入賞した。


JN5クラス
SS1でベストタイムをマークした若手ドライバーの河本拓哉/有川大輔組(マツダ・デミオ15MB)を、大倉聡/豊田耕司組(トヨタ・GRヤリスRS)がSS4で捕える展開となったが、大倉/豊田組はSS6のギャップでドライブシャフトを折損してSS6フィニッシュ後にリタイア。
首位に立った河本/有川組はその後もポジションをしっかりとキープし、全日本初優勝を飾った。2位には、初日のタイヤ選択を失敗し、クラス4番手で折り返した小川剛/梶山剛組が、2日目はレグトップを獲得する走りで入賞した。
3位は初日5番手から追い上げた18歳ドライバーの木内秀柾/島津雅彦組が入賞した。20歳未満のドライバーが全日本ラリー選手権の表彰台に立つのは、2019年の第6戦ラリーカムイでJN3クラス2位に入賞した、当時19歳の大竹直生選手以来となる。


JN6クラス
JN6クラスは開幕3連勝中の天野智之/井上裕紀子組(トヨタ・アクア)が、初日4SS中3本のSSでベストタイムをマーク。2日目も4SS中2本のSSでベストタイムを奪う危なげない展開で開幕4連勝を飾った。2位には、3本のSSでベストタイムをマークした海老原孝敬/蔭山恵組(ホンダ・フィットRSハイブリッド)が入賞、3位には久万高原の天候と路面に翻弄されながらも最後までポジションを守り切った清水和夫/山本磨美組(トヨタ・ヤリスハイブリッド)がそれぞれ入賞した。


フォト/CINQ、中島正義、山口貴利、JAFスポーツ編集部 レポート/CINQ、JAFスポーツ編集部
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