終盤のアクシデントでレースは打ち切り。WedsSport ADVAN GR Supraが7年ぶり、Studie BMW M4が1年ぶりの優勝

レポート レース

2023年6月16日

スーパーGTの第3戦は6月3~4日に鈴鹿サーキットで開催され、レース終盤に大きなアクシデントが発生したことで赤旗の後に終了という結末。GT500クラスはWedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/阪口晴南組)が7年ぶり、GT300クラスはStudie BMW M4(荒聖治/柳田真孝組)が1年ぶりに優勝を遂げた。

2023 SUPER GT Round.3 SUZUKA GT 450km RACE
開催日:2023年6月3~4日
開催地:鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)
主催:KSCC、SMSC、ホンダモビリティランド株式会社

 ゴールデンウィーク中に行われた第3戦富士の450kmレースから1か月のインターバルで開催された鈴鹿の450kmレース。搬入日の6月2日は台風2号の影響と、梅雨前線による大雨に見舞われたが、予選日朝には晴れてコースもドライコンディションとなった。

 午後の公式予選、気温25度、路面温度40度ながら、西風が強く吹く中でトップタイムをマークしたのは、24号車リアライズコーポレーション ADVAN Z(佐々木大樹/平手晃平組)の平手選手だったが、再車検でガスバックの容量違反でタイムは取り消しとなり、前戦で優勝した36号車au TOM'S GR Supra(坪井翔/宮田莉朋組)の坪井選手がポールポジションを獲得。19号車スープラ、100号車STANLEY NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐組)が続く。

 GT300クラスでは、61号車SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝組)の山内選手が、現役最多となる13回目のポールポジションを獲得。11号車GAINER TANAX GT-R(富田竜一郎/石川京侍/塩津佑介組)、60号車Syntium LMcorsa GR Supra GT(吉本大樹/河野駿佑組)が続いた。

鈴鹿のS字から逆バンクを抜けた先のターン7と呼ばれたコーナーは、6月に「NIPPOコーナー」として新たにネーミングライツ契約が締結、名称が使用されることとなった。

GT500クラス

 決勝日も晴天となり、スタート前には気温28度、路面温度46度と上昇。13時38分に77周450kmの決勝レースがスタートした。ポールシッターである36号車スープラの坪井選手と19号車スープラの国本選手がトップ争いを繰り広げる序盤8周目、1台の車両のホイールが外れてヘアピンでストップする。これでいきなりフルコースイエロー(FCY)からセーフティカー(SC)導入となった。

 12周完了でリスタートが切られると、36号車スープラは徐々に19号車スープラとの差を広げ、19号車スープラが26周で最初のピットインを行う。36号車スープラも29周でピットインしたが、19号車スープラの3台後方でコースに戻ることとなった。

 34周ですべての車両が1回目のピットインを済ませると、19号車スープラ、予選4番手の1号車MARELLI IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット組)、予選8番手の23号車MOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ組)、36号車スープラの順に変わる。

 42周で1号車Z、46周で19号車スープラと23号車Z、そして48周で36号車スープラが2回目のピット作業を済ませると、2回目のピット作業を済ませていない3号車Niterra MOTUL Z(千代勝正/高星明誠組)と24号車Zがトップ2に。24号車Zが54周でピットインすると、3号車Zに19号車スープラと36号車スープラが続き、1号車Z、23号車Z、そして100号車NSXの3台が4番手争いを繰り広げていた。

 その後、59周目の130Rを過ぎたあたりでアクシデントが起き、23号車Zの松田選手がGT300車両と接触して激しくクラッシュ。これで赤旗が掲示されてレースは中断される。破損したタイヤバリアやフェンスの補修が叶わず、レースはこのまま終了となった。

 そして、3号車Z、19号車スープラ、36号車スープラの順位で暫定表彰が行われたが、この暫定結果に抗議が出て、2回のピット作業を終えていない3号車Zには、ピットイン+給油相当時間の60秒が加算され4位となり、2~4位が繰り上がる暫定結果に。この結果に対して3号車のチームから控訴を行う意志の書面が提出されたが、結局、控訴は行われないこととなり、暫定結果の改訂版が正式結果となった。

 レースは58周で終了、規定の周回数を消化していたことからフルポイントが与えられることとなり、3号車Zが優勝、19号車スープラが2位、36号車スープラが3位という暫定表彰式が行われることになった。しかし、3号車は2回目のピット作業を終えておらず、この暫定結果を受けて、1号車と14号車、17号車、19号車、36号車、37号車、38号車、39号車、64号車、100号車から3号車に対して抗議が提出された。

 この抗議は受理され、大会審査委員会による審議の結果、正当であることが認められ、3号車の競技結果には「ピットイン+給油相当時間」として60秒のペナルティが加算され、2位(19号車)と3位(36号車)、4位(1号車)が繰り上がり、3号車は4位という暫定結果の改訂版が出された。

 しかし、今度は3号車が暫定結果の改訂版に対して抗議を提出。大会審査委員会は審議の結果、この抗議を却下した。3号車は、この抗議却下の裁定に対して控訴を行う意志を書面で表明し、GT500クラスの競技結果の取り扱いは保留されることになった。

 ASNへの控訴は裁定公表後96時間以内に行われる必要があるが、6月12日の12時付けで、暫定結果改訂版の順位(19号車が優勝、36号車が2位、1号車が3位)にてGT500クラスの正式結果が公表された。同日に発表された3号車チームのリリースによると『競技関係者との再協議の結果、今後の規則の明確化を約束されたため、正式な控訴手続きを行わないことにいたしました』というコメントが掲載されており、ここで控訴が行われなかったことが明らかにされている。

鈴鹿サーキットから6月12日に発表されたGT500クラスの正式結果表をもって、WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/阪口晴南組)の優勝が決まった。
2位はau TOM'S GR Supra、3位はMARELLI IMPUL Z。
GT500クラスの表彰式。1位のWedsSport ADVAN GR Supra(国本/阪口組)、2位のau TOM'S GR Supra(坪井翔/宮田莉朋組)。

GT300クラス

 GT300クラスは、ポールスタートの61号車BRZの山内選手がスタートからリードを築いたが、8周目のSCでリードを一気に失った。また予選4番手の2号車muta Racing GR86 GT(堤優威/平良響/加藤寛規組)、16番手の7号車BMW、20番手の52号車埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰組)が、1~2周目で最初のピットインを済ませていたが、SC導入でトップグループとの差がなくなり、こちらはレースを有利に展開することとなった。

 28周で上位陣が最初のピット作業を終えると、トップに立ったのは2号車GR86で、52号車スープラ、7号車BMWが続く。中盤の36~38周でそれら車両が2回目のピット作業を済ませたが、ここで7号車BMWが2号車GR86の前に出ることとなる。

 49周で上位陣が2回目のピット作業を終えると、7号車BMWの柳田選手、2号車GR86の堤選手、52号車スープラの吉田選手が3台でトップ争いを展開したが、59周目に130Rでのアクシデントがありレースは中断から終了。7号車BMWは昨年第3戦以来、丸一年ぶりの優勝を飾った。2号車GR86は2戦連続の2位表彰台、52号車スープラも2戦連続の3位表彰台だった。

レースは途中終了となったが、ルーティンのピット作業を終え、54周目終了時点でトップに立っていたStudie BMW M4(荒聖治/柳田真孝組)が優勝。
2位はmuta Racing GR86 GT、3位は埼玉トヨペットGB GR Supra GT。
GT300クラスの表彰式。左から2位のmuta Racing GR86 GT(堤優威/平良響/加藤寛規組)、1位のStudie BMW M4(荒/柳田組)、3位の埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰組)。

フォト/石原康、遠藤樹弥 レポート/皆越和也、JAFスポーツ編集部

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