村上周インプレッサが攻めの姿勢を前面に、4WD-2クラスで久々の勝利!

レポート ダートトライアル

2023年6月19日

北海道ダートトライアル選手権 第4戦が、6月11日に北海道士幌町のイーストジャパンオフロードスタジアムで開催された。1月に第44回糠平湖氷上タイムトライアルで開幕した北海道地区戦は、シリーズ全8戦のうち6戦がオートスポーツランドスナガワで開催され、氷上を除けば、今回のイーストジャパンオフロードスタジアムが唯一、スナガワ以外のコースということになる。

2023年JAF北海道ダートトライアル選手権 第4戦
2023年JMRC北海道WinmaXダートトライアルシリーズ 第4戦
2023年JMRC全国オールスターダートトライアル選抜 第4戦
「第20回OSCダイナミックダート」

開催日:2023年6月11日
開催地:イーストジャパンオフロードスタジアム(北海道士幌町)
主催:Team-OSC

 北海道シリーズの前半戦を締めくくる会場となったイーストジャパンオフロードスタジアムは、帯広市街地から約30km北東の士幌町に位置するダートトライアル場だ。毎年この時期に1戦、北海道ダートトライアル選手権がカレンダーに組まれている。

「40年くらい前だったかな? ここは沢地で何もなかったのですが、土地のオーナーからオフロードコースをつくりたいという相談を受けて、コース作成に取りかかりました」と語るのは、今大会の主催クラブ帯広スピリットカークラブの笠原司会長。

「夏場は毎週日曜日にここに来て、古いブルドーザーで土を削って(笑)。4~5年かかりましたね。少しずつ整備してやっとできました」と、林道風の佇まいを見せるイーストジャパンオフロードスタジアムは、3本のストレートを軸に、島回りやショートカットを使ったシケインが織り込まれるハイスピード&テクニカルコース。

 当日の天候は時折、陽が射す曇りで雨の心配はなかったが、数日前までに降った雨の影響でぬかるみが多く残った路面。競技が進行するにつれて徐々に路面も乾き出すが、それと同時に深いワダチやギャップも発生。第2ヒートは、これらをいかに攻略するかが勝負の分かれ目となった。

コース外周を攻めるハイスピード区間から、島の間を縫うように走るテクニカル区間、そして逆走で外周を経てゴールと、全長1.86kmのコースが設定された。

4WD-2クラス

 8台で争われた4WD-2クラス。その第1ヒートはポイントリーダーの小林茂則選手がトップタイムをマークし、2番手にはシリーズ2番手につけている笠原陸玖選手と、今シーズンのシリーズ上位2台がトップ争いを展開する。小林選手は今季、1勝を含めここまで3戦すべて表彰台登壇でポイントを獲得。笠原選手は第2戦をスキップするも、開幕戦&第3戦で2勝を挙げており、両選手がシリーズを牽引している状況だ。

 第2ヒート、小林選手のタイムを約2秒上回ってトップに躍り出たのが、第1ヒートで3番手につけていた村上周選手。この村上選手は昨年、ジュニアクラスから地方選手権にステップアップしたドライバーで、シリーズ3位の成績を収めている。

 その村上選手のタイムを追うべくスタートした後続のシリーズ上位陣だが、続くディフェンディングチャンピオンの島部亨選手は「今年はクルマのトラブルが多くて、おまけにドライバーも歳だしね(笑)。全くダメです」と、暫定3番手に割って入るも優勝タイムには届かず。4番手に落とされた笠原選手は「ドライビング的には悪くなかったと思うのですが、自分とクルマの波長が上手く噛み合わないところが多かったですね」と、順位は上げたものの、一歩及ばず2番手タイムで連勝ならず。

 逆転を狙う最終ゼッケン小林選手は「走っているときは手応えがあったのですが、ゴールしたらタイムが出てなくて……。原因はわからないけど、気合いが入り過ぎたのかな」と、痛恨のタイムダウンを喫してしまい、第1ヒートのタイムで3位に終わり、村上選手がタイムを守り切り優勝となった。

「今シーズンは開幕戦でABSのトラブルに見舞われ、前回から何とか調子が戻ってきました。このコースはいつもビビりながら走っていたのですが、今回はクルマをいたわらず(笑)、思い切りいきました」と言う村上選手が、アグレッシブな走りで今季初優勝を遂げた。

4WD-2クラス優勝は村上周選手(相互車両ノウカランドインプさん)。
2位は笠原陸玖選手(TRS☆HRp☆DLランサー)、3位は小林茂則選手(TRSシーンランサー)。
4WD-2クラス表彰の各選手。

FF-1クラス

 FF-1クラスは今回最多の11台で争われた。第1ヒートでトップタイムをマークしたのは、トヨタ・ヴィッツを駆る大場元貴選手。2番手にはスズキ・スイフトの岡村巧選手、3番手にはダイハツ・ストーリアの三橋清哉選手、そして4番手にスイフトの今田恭嗣選手と続くが、4選手のタイム差は1.4秒と僅差の戦いを展開する。

 しかし第2ヒート、戦況を大きく変えたのがクラスファーストゼッケンの岡部謙伸選手だった。第1ヒートの自己タイムを15秒も更新、そして大場選手のタイムを5秒近く上回り一気にトップに立つ。この岡部選手のタイムはなかなか更新されないまま競技が進行していく。

 これを打ち破ったのは後半ゼッケンの今田選手で、ようやく岡部選手を逆転してトップが入れ替わる。続く大場選手はタイムアップを果たすも、暫定4番手タイムでトップ奪回ならず。今季のポイントリーダー内山壮真選手は、第1ヒートはDNF、第2ヒートもかろうじて完走という状況で、痛恨のノーポイントに終わった。

 岡部選手とダブルエントリーでシリーズ2番手につける最終ゼッケンの岡村選手は、岡部選手のタイムを上回るものの、今田選手には1秒及ばず2位止まり。今田選手が第2ヒートの逆転で今季優勝を飾った。「長いこと競技をやっているので、第1ヒートのミスを潰していくという年寄り臭いことしかできませんが(笑)。第2ヒートは結構路面が荒れていたけどかなり乾いていたので、タイムアップはその要素が大きかったですね」と今田選手。

 2位の岡村選手は「第2ヒートはブレーキロックでエンストしてしまったり、サイドブレーキが戻ってなかったりとミスが多かったです。地元なので勝ちたかったですね」と、悔しいコメント。そして岡村選手の影響でダートトライアルを始めたという岡部選手は「今シーズンは休戦中ですが、スポットで師匠でもある岡本選手と今回ダブルエントリーで参戦しました。第2ヒートは奇跡が起きましたね(笑)」と笑顔でコメント。惜しくも優勝は逃してしまったものの、揃って表彰台獲得となった。

FF-1クラス優勝は今田恭嗣選手(TS-Sスイフト)。
2位は岡村巧選手(YHダイシンKCタクミスイフト)、3位は岡部謙伸選手(タクミレンタルスイフト)。
FF-1クラスの表彰式。左から2位の岡村選手、1位の今田選手、3位の岡部選手、4位の佐藤穣二選手。

FF-2/4WD-1クラス

 FF-2/4WD-1クラスは3台の争いとなったが、宇野哲哉選手と田丸豪選手がコンマ差の接戦を展開する。第1ヒートをトップで折り返した宇野選手と2番手の田丸選手のタイム差は0.24秒。第2ヒートは先ゼッケンの田丸選手が宇野選手のタイムを上回りトップに立つも、宇野選手は田丸選手のタイムを100分の7秒更新して再逆転。

 僅差で優勝となった宇野選手は「父のクルマなので、あまり無理なことができないなと思いつつ、走り出したら結構攻めてしまいました(笑)。第2ヒートは大体想定していたタイムを出すことができましたね」と今季初の勝利に笑顔を見せた。

FF2/4WD-1クラス優勝は宇野哲哉選手(TRSスイフト次男)。
2位は田丸豪選手(DL Pガレ GO スイフト)、3位は安藝留美子選手(SK☆SWIFT 冨本SP)。

RWDクラス

 古谷欣竹選手のみの出走となってしまったRWDクラス。「このコースは林道風で好きなコースです。第1ヒートの失敗をリカバリーしてタイムを詰めようとしたのですが、ドライブシャフトが破損してしまいました。残念です(笑)」と第1ヒートのタイムで完走。

RWDクラス1位は古谷欣竹選手(Revl・LOVCA・BRZ)。

J-1クラス

 ジュニアクラスのJ-1クラスは、栗原啓伍選手が両ヒートともにトップタイムを刻み優勝。「ここは2009年以来、14年振りに走りました。スナガワとは違う林道っぽいところが楽しいですね」と、久しぶりのイーストジャパンオフロードスタジアムを満喫し、笑顔でコメント。

J-1クラス優勝は栗原啓伍選手(スイフト)。
2位は野村勇選手(TRSカサハラSKシビック)、3位は結城凌選手(Pガレスイフト)。
J-1クラス表彰の各選手。

CLOSEDクラス

 3台で争われたクローズドクラスは、石田浩規選手が第1ヒート2番手から11秒のタイムアップを果たし、大柳有紗選手を逆転して優勝。3位には中田野允選手が第1ヒートミスコースから完走し、無事に全車完走を果たした。

クローズドクラス1位は石田浩規選手(借り物スイフト)。
2位は大柳有紗選手(ASTワコーズコルト)、3位は中田野允選手(白インプ)。

フォト/友田宏之 レポート/友田宏之、JAFスポーツ編集部

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