東北・岩手で開催されたオートテストは5クラスで白熱の争いに!

レポート オートテスト JAFWIM

2023年7月10日

6月25日、岩手県金ケ崎町のトヨタ自動車東日本岩手工場で行われたオールトヨタグループフェスティバル2023の会場で、「2023年JAFオートテスト in TMEJ・IWATE」が開催された。

2023年JAFオートテスト in TMEJ・IWATE
開催日:2023年6月25日
開催地:トヨタ自動車東日本株式会社・岩手工場(岩手県金ケ崎町)
主催:BLEST

 今回のオートテストは、トヨタ自動車東日本岩手工場を会場として同日開催された「オールトヨタグループフェスティバル2023」の一環として開催されたもの。同フェスティバルは、岩手県内のトヨタ系販売会社が一堂に会してさまざまな催しものを提供するイベントとして、地元の人々に広く親しまれてきたもので、今年はコロナ禍を経て4年ぶりに復活となった。

 会場では、カスタムカーも含めたトヨタ車の展示や、試乗コーナーなどが設けられたほか、「給油チャレンジ」や「タイヤボウリング」などが楽しめるTOYOTA GAZOO Racingコーナーも用意され、多くの家族連れで賑わった。

 モータースポーツ関連では2010年のニュルブルクリンク24時間耐久レースに参戦し、クラス優勝を果たしたレクサスLFAが特別展示された。また、この7月に岩手県内では初出店となるGR Garage GROW盛岡のプロデュースに関わった、岩手出身のプロレーシングドライバー佐々木雅弘選手と、スーパーGTでスバルBRZを駆る井口卓人選手が、オートテストのコースでデモラン・同乗走行を行った。

 なお、今回の会場となったトヨタ自動車東日本岩手工場は、前身の関東自動車工業時代の2000年代初頭に、当時、敷地内につくられたグラベルコースであるダートアドベンチャー金ケ崎で全日本ダートトライアル選手権を開催した実績を持っており、久々のモータースポーツイベントの復活となった。

岩手県内のオールトヨタの祭典「オールトヨタグループフェスティバル2023」が4年ぶりに開催。
会場は岩手県金ケ崎町の、岩手中部工業団地内にあるトヨタ自動車東日本岩手工場。入場は無料だ。
ニュルブリンク24時間レースに参戦したマシンを始め、さまざまなトヨタ車が会場に展示された。
タイヤボウリングや給油チャレンジといった、子供から大人まで楽しめるコーナーも設置。
プロレーシングドライバーとして活躍する、佐々木雅弘選手と井口卓人選手もゲスト来場。
佐々木選手と井口選手はトークショーや同乗走行を実施したほか、デモランも披露し、その走りに拍手が沸き上がった。

 岩手県ではここ数年、県南部を中心とした会場でオートテストが複数回開催されるのが通例となっており、今年も4月29日に東北自動車道の平泉スマートIC駐車場で、100台を超える参加者が集った大会が開催されるなど、オートテスト人気が定着した地区となっている。今回のオートテストは、普段、トヨタ自動車東日本岩手工場の従業員駐車場として使われている広大な敷地の一角を使用して行われた。

 コースレイアウトは、スタート後、まずスラロームをクリアして、4本のパイロンで囲われたふたつのセクションを大きくターン。再びスラロームを経て、「ラインまたぎ」にチャレンジ。そこからバックして「ガレージ」(車庫入れ)をこなしてゴールという設定だ。タイムは小数点以下3桁まで計測するが、その3桁は切り捨てとして、1秒1ポイントとしてカウントして順位を競う方式が採られた。

スラインラロームやターンがリズミカルに構成されたレイアウトで、フィニッシュ手前にラインまたぎとガレージを設定。

AT-Aクラス

 最初の決勝クラスとなったAT-Aクラスは、AT車に乗るオートテスト経験者が対象のクラス。2022年11月に福島県二本松市で行われた全国一斉オートテスト東北大会で優勝した小畑慶止選手のノートeパワーが、第1ヒートで45秒799に入れて唯一45ポイントをマークして暫定トップに立つ。

 しかし第2ヒートに入ると第1ヒートで2番手につけていた樽井純一選手のコペンが、43秒746のタイムでゴール(43ポイント)。後続の選手は、小原義幸選手のアコードツアラーが45秒台に入れるも樽井選手には届かず、注目の小畑選手もタイムダウンに終わったため、このヒートで一人、抜きん出たタイムを叩き出した樽井選手が優勝を飾った。

AT-Aクラス優勝は樽井純一選手(DL コペン爺R どノーマル)。
樽井選手は「走る前は速度の乗るコース設定だと思ったので、パワーで劣る軽自動車は厳しいかなと思いましたが、実際に走ってみたらそうでもなくて」とインプレッションを語る。「むしろパイロン間もタイトで、サイズの小さい軽自動車でも突っ込み過ぎたら曲がり切れない所もあったので、2本目はその辺を修正しつつ、なるべく最短距離を走るように心がけたらタイムアップができました。まぁ、いい感じで走れたかなとは思います」
2位は小原義幸選手(アコードツアラー)、3位は小畑慶止選手(ノートeパワー)。
AT-Aクラスの表彰式。左から1位の樽井選手、2位の小原選手、3位の小畑選手、4位の五十嵐武蔵選手、5位の及川晃選手、6位の尼﨑繁一選手。

AT-Bクラス

 2番目の決勝クラスとなったのは、AT車をドライブするオートテスト初心者対象のAT-Bクラス。第1ヒートでは、ロードスターを駆る75歳の大ベテランドライバー、中村雄二選手がただ一人、52秒台のタイムを叩き出して首位で折り返す。

 中村選手は第2ヒートでも50秒台にタイムを上げてトップをキープ。クラス終盤では、レンタル車のアクアGRスポーツを駆った当日参加の煙山直史選手が51秒台でゴールし、中村選手の背後に迫ったが、50秒台に入れるドライバーは最後まで現れず。結果、中村選手が両ヒートともベストポイントを奪う会心の走りで優勝をさらった。

AT-Bクラス優勝は中村雄二選手(ロードスター)。
「オートテストはまだ3度目なので、今回もとにかくミスコースだけはしないように走りました」と言う中村選手。「2本目もガレージでの走りが、思い切りが悪くてトロかったので(笑)、自分では良くない走りをしてしまったと反省しながらゴールしたんです」と走りを振り返る。「だから今回はオートテストで初の優勝なんですけど、ホントにそうなんですか!?って、今でも半信半疑の状態です(笑)」と戸惑いの表情を見せた。
2位は煙山直史選手(AQUR GR SPORT)、3位は和田圭矢選手(ぱんだのクロスロード)。
AT-Bクラスの表彰式。左から1位の中村選手、2位の煙山選手、3位の和田選手、4位の小松大起選手、5位の布佐敏博選手、6位の三浦純選手。

MT-Aクラス

 MT-Aクラスは、MT車に乗るオートテスト経験者が集うクラス。いつも大会総合ベストポイントを巡る戦いが展開される、スペシャリストたちが揃うクラスでもあるが、今回はロードスターを駆る菅野博基選手がただ一人、第1ヒートで41秒台に入れて、まずは暫定首位に立った。

 菅野選手は第2ヒートでさらなるタイムアップを狙ったが、43秒台にとどまり、ベスト更新は果たせず。後続の選手たちにとっては逆転のチャンス到来となるが、その後も菅野選手がトップをキープする状態がしばらく続いた。

 ラス前の1台、関東から東北地区のオートテストに参戦を続ける優勝候補の小瀬誠選手のコペンも、42秒台に入れるが逆転はならず。しかしラストゼッケン、地元岩手の村上清賢選手のアルトが、最後の最後で41秒台に入れて、同じ41ポイントで菅野選手と肩を並べる。

 両者同ポイントの場合はセカンドベストポイントでの順位決定という今大会の規則により、第1ヒートで42秒台に入れていた村上選手が、第2ヒートは43秒台に終わった菅野選手を上回って優勝。東北のオートテスト・マイスターとして知られるその実力を示した。

MT-Aクラス優勝は村上清賢選手(タクマイン!NCアルトワークス)。
「スタート直後は走りやすいコースだなと感じるんですが、そのままの調子でいくと、つい突っ込み過ぎてしまうような、途中からキツくなる設定でした」と感想を語る村上選手。「砂が浮いている割にすごくグリップする路面だったので、2本目はその辺も踏まえてメリハリのある運転を心掛けたのが良かったと思います。主催者さんがジムカーナ経験者の多いクラブなので、ジムカーナをやっていた私にも攻略のツボを探せる楽しいコースでしたね」
2位は菅野博基選手(ガレージカンノRDロードスター)、3位は小瀬誠選手(コペンセロ爺R)。
MT-Aクラスの表彰式。左から1位の村上選手、2位の菅野選手、3位の小瀬選手、4位の佐藤正隆選手、5位の長野友揮選手、6位の飯部安彦選手。

MT-Bクラス

 MT-Bクラスは、MT車に乗る初級者が対象のクラス。48秒台をマークしたスイフトスポーツの萩野遼選手が第1ヒートでトップに立ち、懐かしのカローラセレスに乗る藤原洋一選手と、現行のカローラを駆る鶴博之選手が49秒台で2番手に続いた。しかし第2ヒートに入るとクラス3番目の出走だった朝倉天真選手のヴィッツがいきなり47秒台に入れて、バトルは早々に仕切り直しに。

 すると次のゼッケンで走った萩野選手もすかさず47秒台でゴールし、第1ヒートで朝倉選手を上回るセカンドベストポイントを獲得していた萩野選手が、この時点で再逆転を果たして首位を取り返す。その後は47秒台に入れる選手は現れず、最終走者、藤原カローラセレスのタイムに注目が集まったが、逆転優勝を狙える46秒台にはタイムを入れることができず、47秒台でゴール。藤原選手はセカンドベストポイントの差で朝倉選手を凌いだが、2位にとどまり、萩野選手が優勝をさらうこととなった。

MT-Bクラス優勝は萩野遼選手(スイフトスポーツ)。
オートテスト初優勝を遂げた萩野選手。「1本目でトップが獲れてかなり気が楽になったので、2本目は失敗してもいいくらいの気持ちで走りましたが、1本目でアクセルを抜いた所も思い切り踏めたので、スッキリした気持ちでゴールできました。オートテストの初表彰台を優勝で飾れたので最高です」とコメント。「まだまだクルマの限界を引き出せていないので、今後はジムカーナにも挑戦して、自在にクルマを動かせるようにしたいですね」
2位は藤原洋一選手(40万キロ突破カローラセレス)、3位は朝倉天真選手(通勤怪速 ポークVitz)。
MT-Bクラスの表彰式。左から1位の萩野選手、2位の藤原選手、3位の朝倉選手、4位の佐藤真選手、5位の鶴博之選手、6位の矢浦昴選手。

ウィメンクラス

 今大会最後の決勝クラスとなったウィメンクラスは、大嶋真理子選手のスイフトスポーツが第1ヒートで50秒台のタイムをただ一人マークして暫定首位を獲得。最終走者の五十嵐海里選手のアクアは大嶋選手に迫る51秒台でゴールしたが、ペナルティを加算されて61ポイントにとどまり、第2ヒートで逆転を期した。

 注目の第2ヒートでは、大嶋選手は53秒台にタイムを落とした上、ペナルティも課されてベストポイント更新は果たせず。しかし五十嵐選手も痛恨のミスコースでノータイムに終わり、逆転はならず。このヒートで56秒台をマークした工藤美樹選手のアルトワークスが2番手に上がって表彰台を獲得し、五十嵐選手は速さを見せたものの、3位にとどまることとなった。

ウィメンクラス優勝は大嶋真理子選手(菜の花色のスイスポ)。
「何度かミスコースしそうになりましたが、主人が助手席で指示してくれたので助かりました(笑)」とは、MT-Aクラスの大嶋茂樹選手と夫婦ダブルエントリーの大嶋真理子選手。「今日は4本のパイロンを大きく回るふたつの区間をつなぐところが難しかったですね。コースを一瞬、見失いそうになるので……。いくつかミスはありましたが、全体を通せば、まぁ納得の走りはできたと思います」と優勝を喜んだ。
2位は工藤美樹選手(アルトワークス)、3位は五十嵐海里選手(APUMSCしろちゃんだよ)。
ウィメンクラスの表彰式。左から1位の大嶋選手、2位の工藤選手、3位の五十嵐選手、4位の中山敦子選手、5位の齊藤直美選手、6位の岩渕佐保里選手。

オートテスト参加者インタビュー

千葉からはるばるエントリーの大嶋夫妻

今回の大会に夫婦でダブルエントリーした大嶋茂樹/真理子選手は、千葉県から駆けつけた。「2人でサーキットを走りたくて、じゃあまずBライセンスを取ろうと思って調べたら、競技に参加することでBライが取れるオートテストのことを知ったのがきっかけです。最初に出たときは、意外と皆さんガチだなぁと思ったのですが(笑)、初参加の方も多くて気軽に楽しめたので、ハマってしまいました」と茂樹選手。真理子選手は今回、見事にウィメンクラスで優勝を獲得。茂樹選手は2位が過去最上位ということで、次回こそ念願の夫婦ダブルウィンを狙う。

悔しい思いをしたオートテストデビュー戦のリベンジ!

今回が2度目のオートテスト参戦となった山田脩一朗選手は、「前回のデビュー戦でうまく走れず悔しい思いをしたので、今日はしっかり走り切ろうと思ったのですが、お客さんが多くて気持ち良くなりすぎてしまったので、ちょっと危なかったです」と苦笑い。「普段走っているサーキットに比べたら、オートテストはアクセルが踏めないですけど、バックギヤとかいろんな操作が要求されるのが楽しいです。将来的には、グリップもドリフトもオートテストもこなせるオールラウンドなドライバーになりたいですね」

いつも乗っているクルマのままで走れる所がお気に入り

「今日は、佐々木(雅弘)選手がデモランをするというので、オートテストの参戦も兼ねて駆けつけました」と話すのは、地元・岩手在住の岩渕佐保里選手。「SUGOで開催されるスーパーGTは毎年、観戦に行くほどモータースポーツは好きなんですが、オートテストはクルマ好きの友達に誘われて昨年初めて参加して、今回が2回目です。今回も前回に続いて1本目はミスコースしてしまって、1本目は完走できないのが“お約束事”になりつつあるので(笑)、次こそ2本ともしっかり完走してタイムを残したいですね」と、リベンジを誓っていた。

フォト/田代康 レポート/田代康、JAFスポーツ編集部

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