今季初のグラベルラウンドではトヨタ・GRヤリス JP4-ラリー2が全日本初優勝
2023年7月21日

全日本ラリー選手権 第6戦「2023 ARK ラリー・カムイ」が、7月7~9日に北海道ニセコ町のニセコアンヌプリ国際スキー場駐車場を拠点に開催された。第2戦から続いてきたターマックラウンド4連戦を終え、シリーズはこの第6戦からグラベル2連戦へと突入する。残るラウンドはこの第6戦を含んで3戦となり、各クラスのチャンピオン争いもいよいよ大詰めを迎える。
2023年JAF全日本ラリー選手権 第6戦「2023 ARK ラリー・カムイ」
開催日:2023年7月7~9日
開催地:北海道ニセコ町周辺
主催:TEAM ARK
北海道の観光地としても全国的に知られるニセコ町、倶知安町、真狩村、蘭越町を舞台とするラリーは、7月7日にレッキと車検を終えた後、8日のレグ1に「STREAM(10.35km)」、「SCHUNK REVERSE(6.74km)」、「MAGNOLIA REVERSE (5.28km)」の3SSを、サービスを挟んでループする6SS/44.74kmを走行。
ラリー最終日となる9日のレグ2は「NEW SUN-RISE(3.63km)」、「ORCHID SHORT(12.35km)」、「KNOLL(7.56km)」を、初日と同じくサービスを挟んでリピートする6SS/47.08kmを走行する。SS総距離は2日間合わせて91.82kmとなり、ポイント係数は1.2。クラスによっては、このラウンドでタイトルの行方が確定する可能性もある。
火山灰土に覆われたニセコ周辺の林道は、ドライであれば硬く引き締まった硬質グラベル路面となるが、雨が降ると一気に滑りやすいマッド路面へと変貌する。ラリー前日と前々日にはまとまった雨が降ってウェット路面となったが、レグ1とレグ2はいずれも最高気温が30度付近まで上昇する好天に恵まれ、路面コンディションが好転。
レグ1最初のループは木々が覆う日陰の一部にハーフウェット路面が残ったものの、気温が上昇した2ループ目は一気にドライ路面となった。ただし、ステージの一部には轍が深く刻まれ、クラスによってはこの深い轍に翻弄されてリタイアが続出するサバイバル戦ともなった。

JN1クラス
第5戦丹後に引き続き、SUBARU RALLY CHALLENGEの新井敏弘/保井隆宏組と鎌田卓麻/松本優一組が欠場となったJN1クラスは、シリーズランキングトップのヘイキ・コバライネン/北川紗衣組(シュコダ・ファビアR5)が、SS1のフィニッシュまであと1.5kmの地点でサスペンショントラブルからコースアウトしてリタイアという波乱のスタートとなった。
そのSS1でベストタイムを奪った勝田範彦/木村裕介組(トヨタ・GRヤリス JP4-ラリー2)が、その後のSSでもベストを連発する。初日5本のSSでクラスベストタイムを奪い、SS2のパンクで遅れた福永修/齊田美早子組(シュコダ・ファビアラリー2 Evo)に1分以上の差をつけるトップで、初日を折り返した。
2日目に入っても勝田/木村組のペースは落ちず、SS7からSS12までこの日すべてのSSでベストタイムを重ね、自身にとっての今季初優勝を獲得するとともに、トヨタ・GRヤリス JP4-ラリー2の全日本ラリー初優勝を手にした。2位は2日目にペースを上げた福永/齊田組が入賞。3位には、2日目に松岡孝典/坂口慎一組(トヨタ・GRカローラ)をかわした今井聡/高橋芙悠組(シトロエン・C3 R5)が入賞した。



JN2クラス
JN2クラスは、今シーズン3勝を挙げている奴田原文雄/東駿吾組(トヨタ・GRヤリス)が、北海道のグラベルを快走。初日は総合ベストを含む6SSすべてでクラスベストタイムをマークすると、2日目もライバルを寄せつけず独走。全SSを制する圧巻の走りで、今季4勝目を挙げた。2位は眞貝知志/安藤裕一組がJP-4車両のトヨタ・GRヤリスDATではなく、昨年まで使用していたRJ車両のトヨタ・GRヤリスを駆り、SS7でコースオフを喫しながらも入賞。
終盤までもつれた3位争いは、SS8で川名賢/前川冨哉組(トヨタ・GRヤリス)が3番手に浮上してくるものの、SS10で駆動系トラブルに見舞われ、最終的には6位にポジションダウン。初日を3番手で折り返した四国ラリー界が期待する長江修平/中岡和好組(三菱・ランサーエボリューションⅩ)が、SS11とSS12で追い上げる若手の三枝聖弥/船木一祥組(スバル・WRX STI)をかわし、3位表彰台を獲得した。




JN3クラス
山本悠太/立久井和子組(トヨタ・GR86)がシリーズを大きくリードするJN3クラスは、レグ1序盤で山本/立久井組と曽根崇仁/石田一輝組(トヨタ・GR86)が好勝負を展開するものの、徐々に山本/立久井組がリードを広げる。
レグ2に入ってもペースを崩すことなくラリーをリードした山本/立久井組は、危なげない展開で今季4勝目を挙げた。また、山本/立久井組を追っていたシリーズランキング2番手の曽根/石田組が最終SSのコースオフでリタイア。ノーポイントでこのラリーを終えたため、山本/立久井組のシリーズチャンピオンが確定した。
2位は第2戦新城以来、今季2戦目の出場となる加納武彦/横手聡志組(スバル・BRZ)が入賞、3位にはブレーキトラブルを抱えながらも最後まで走り切った上原淳/漆戸あゆみ組(トヨタ・86)が入賞し、旧型86/BRZ勢が2位と3位に入賞した。




JN4クラス
JN4クラスは昨年のラリー北海道以来の出場となる香川秀樹/松浦俊朗組(ホンダ・シビック)が、スズキ・スイフトスポーツ勢と僅差の勝負を繰り広げ、2番手の東隆弥/中谷篤組(スズキ・スイフトスポーツ)に4.7秒差をつけてレグ1をトップで折り返す。
2日目に入ると、東/中谷組とシリーズランキングトップの西川真太郎/本橋貴司組(スズキ・スイフトスポーツ)が、ともにSS9でコースオフしてリタイアという波乱の展開となったが、香川/松浦組がトップの座を守り切り、今季初優勝を獲得。2位には、須藤浩志/新井正和組(スズキ・スイフトスポーツ)をレグ2で逆転した内藤学武/大高徹也組(スズキ・スイフトスポーツ)が入賞した。



JN5クラス
第5戦を終えて4組のウィナーが誕生するという混戦模様のJN5クラスは、ターマックラウンドにトヨタ・ヤリスで出場していた松倉拓郎選手が、昨年までコンビを組んでいた尼子祥一選手とともにマツダ・デミオ15MBで出場。SS1で2WD最速となる総合16番手のクラスベストタイムをたたき出すと、SS4では大倉聡/豊田耕司組(トヨタ・GRヤリス)に0.3秒差でベストタイムを奪われるが、初日の6SS中5SSでベストタイムをマーク。
2日目は大倉/豊田組と吉原將大/小藤桂一組(トヨタ・ヤリス)がベストタイムを獲得するものの、トップの座を守りきった松倉/尼子組が、これまでつかめそうでつかみきれなかった全日本初優勝を獲得した。松倉/尼子組と18.8秒差の2位に大倉/豊田組が入賞、トラブルなどで大倉/豊田組とは最終的に1分以上の差がついたものの、随所で光る速さをみせた若手の吉原/小藤組が3位表彰台を獲得した。



JN6クラス
開幕5連勝を達成している天野智之/井上裕紀子組(トヨタ・アクア)がシリーズを大きくリードするJN6クラスは、タイトルに王手をかけている天野/井上組が全SSでベストタイムを獲得。2位に4分以上の差をつけて今季6勝目を挙げるとともに、天野選手にとっては10年連続15回目、井上選手にとっては14年連続16回目のチャンピオンを確定させた。
2位には、今季3戦目の出場となる福島賢大郞/原田晃一組(トヨタ・アクア)が入賞。ホンダ・CR-Z同士の戦いとなった3位争いは、レグ2で中西昌人/山村浩三組を逆転した全日本現役最年長ドライバーの鷲尾俊一/鈴木隆司組が入賞した。




オープンクラス



XCRスプリントカップ北海道 XC-2クラス/XC-3クラス
その他、併設クラスのXCRスプリントカップ北海道は、インテークパイプ抜けやタイヤのリム落ちなどのアクシデントがありながらも、番場彬/加勢直毅組(トヨタ・ハイラックスREVO)がXC-2クラス優勝。XC-3クラスは、クロスカントリーラリーやオフロードレースなどで活躍する塙郁夫/佐竹尚子組(トヨタ・ライズ)が優勝を飾った。



フォト/CINQ、遠藤樹弥、中島正義 レポート/CINQ、JAFスポーツ編集部
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