エンツォ・トゥルーリ選手と小出峻選手がSFL初優勝! ポイントリーダーは3戦表彰台獲得の平良響選手が死守

レポート レース

2023年7月28日

全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権の2023年シリーズ第4大会(第10~12戦)は、7月15~16日に富士スピードウェイで開催。エンツォ・トゥルーリ選手(TOM'S)が初優勝を含む2勝を挙げ、小出峻選手(TODA RACING)も初優勝を遂げた。また3戦すべてで表彰台を獲得した平良響選手(TOM'S)がポイントリーダーを守った。

2023年JAF全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権 第10戦/第11戦/第12戦
(2023年JAF全日本スーパーフォーミュラ選手権 第6戦内)

開催日:2023年7月15~16日
開催地:富士スピードウェイ レーシングコース(静岡県小山町)
主催:富士スピードウェイ株式会社、FISCO-C

 前回の第3大会の鈴鹿から2週間という短いインターバルを挟んで開催された第4大会の舞台は、1.5kmのストレートを持つ高速サーキットでありながら、コース後半はテクニカルさを要求される富士スピードウェイ。今回のエントリーは、マスタークラスの2台を含む全12台。前回、今田信宏選手(B-MAX RACING TEAM)の代役としてスポット参戦し、SFL初優勝を果たした菅波冬悟選手(B-MAX RACING TEAM)が、今回はカーナンバーを「4」から「53」に替えてエントリーした。

 曇天で気温25度という15日8時20分から、第10戦と第11戦の公式予選がそれぞれ10分間で行われた。第10戦ではトゥルーリ選手が初のポールポジションを獲得し、堤優威選手(Rn-sports)がフロントローに並んだ。さらに小出選手、古谷悠河選手(TOM'S)が2列目に並び、ポイントリーダーの平良選手はまさかの5番グリッド、菅波選手が6番グリッド。ランキング2番手の木村偉織選手(B-MAX RACING TEAM)は7番グリッドとなり、波乱のレースが予想された。

 しかし第11戦の予選では、平良選手がポールポジションで木村選手が2番グリッドと順当な位置に並び、小出選手、堤選手、トゥルーリ選手、菅波選手が続いた。

エンツォ・トゥルーリ選手が第10戦、平良響選手が第11戦のポールポジションを獲得。

第10戦

 21周で争われる第10戦は、曇天の13時8分にスタート。上位3台は無難なスタートを決めたが、古谷選手がエンジンストールをしかけて大きく出遅れ、平良選手が4番手に順位を上げた。すかさず平良選手は3周目のTGRコーナー(1コーナー)で3番手に順位を上げ、徐々にトップ2台との距離を詰めていく。

 しかし中盤以降は順位の変動もなく、レースは淡々と周回数を消化していった。そしてファイナルラップでもトゥルーリ選手が最速ラップを叩き出し、うれしいSFL初優勝をポール・トゥ・フィニッシュで飾り、「本当に今日はすべてがうまくいきました。毎戦、向上していくことは難しいのですが、今年はそれを目標にしています」と初々しいコメントを残した。

 2位の堤選手はファイナルラップの100R出口でリアをスライドしてヒヤリとさせたが、コースにとどまり順位を守ってゴール。3位は平良選手で、スーパーGTのmuta Racing GR86 GTでコンビを組むふたりが表彰台を獲得することになった。4位以下は小出選手、菅波選手、木村選手の順でゴール。マスタークラスは2周目以降レースをリードした今田選手が4勝目を挙げた。

トゥルーリ選手(TOM'S)が第10戦でポール・トゥ・フィニッシュ。うれしいSFL初優勝を遂げ、父親のヤルノ・トゥルーリ氏と喜んだ。
2位は堤優威選手(Rn-sports)、3位は平良選手(TOM'S)。
第10戦の表彰式。左から2位の堤選手、1位のトゥルーリ選手、3位の平良選手、マスタークラス1位の今田信宏選手が登壇した。

第11戦

 15周で行われる第11戦は、曇天が続く16日の8時23分にスタートした。直後からコカ・コーラコーナーまではフロントロースタートの平良選手と木村選手が激しい先頭争いを繰り広げるが、平良選手がトップを死守。また3番手争いもTGRコーナーに3ワイドで入って行くなど激しく、トゥルーリ選手、堤選手、小出選手の順となったが、小出選手はダンロップコーナーで堤選手をかわして4番手へ。堤選手はペースが上がらず、8番手スタートのデビッド・ビダーレス選手(B-MAX RACING TEAM)、7番手スタートの古谷選手にもかわされて順位を落とすことになった。

 3周目には平良選手と木村選手によるトップ争い、トゥルーリ選手と小出選手による3番手争い、ビダーレス選手と古谷選手による5番手争いとなったが、7周目のTGRコーナーでビダーレス選手と古谷選手が接触し、古谷選手は右フロントアームを曲げてストップ。

 10周目にはトップ争いが激化し、TGRコーナーで木村選手がアウト側から平良選手に並びそのままアドバンコーナーまで2台は並走。しかしその出口で木村選手がトップを奪った。だが平良選手も11周目のTGRコーナーで一瞬前に出るなど2台のバトルは白熱する。バトルはファイナルラップまで続いたが、木村選手が逃げ切ってトップチェッカーを受けた。

 レースは2番手に平良選手、3番手にトゥルーリ選手、4番手に小出選手という順位で暫定表彰。その後、再車検でトゥルーリ選手の車重が不足していたとして失格。さらに木村選手は2回以上の進路変更、平良選手は走路外走行複数回で、それぞれ暫定結果に5秒のペナルティが追加され、4番手フィニッシュの小出選手が繰り上がってSFL初優勝という結果となった。2位は木村選手、3位は平良選手。またマスタークラスは今田選手が1周目にトップを奪うと、逃げ切って5勝目を挙げた。

波乱となった第11戦は小出峻選手(TODA RACING)が繰り上がりで勝利。
2位は木村偉織選手(B-MAX RACING TEAM)、3位は平良選手(TOM'S)。
第11戦の表彰式。左から暫定2位の平良選手は3位に、暫定1位の木村選手は2位に、暫定3位のトゥルーリ選手は失格、マスタークラス1位の今田選手が登壇した。そして暫定4位の小出選手が1位に繰り上がった。

第12戦

 第12戦のグリッドは第10戦の結果により決まり、ポールポジションはトゥルーリ選手。それに堤選手、平良選手、小出選手、菅波選手、木村選手と続いた。15周の決勝レースは16時38分にスタート。3番グリッドの平良選手が1コーナーまでに2番手に順位を上げた。また2周目には木村が4番手へ浮上し、トップの3台を追い上げる展開に。一方、朝のレースで初優勝を遂げた小出選手は、木村選手に続き菅波選手、古谷選手にもかわされて順位を落としていった。

 6周目のTGRコーナーで4番手の木村選手は堤選手に並びかけ、コカ・コーラコーナーで逆転。12周目にはファステストラップも叩き出して2番手の平良選手に迫っていった。しかし今度は平良選手が順位を守り、トゥルーリ選手、平良選手、木村選手の順でゴール。

 4位以下は堤選手、菅波選手、古谷選手だった。トゥルーリ選手はこの大会で2勝を挙げることができた。なおマスタークラスは今田選手とDRAGON選手(B-MAX RACING TEAM)のバトルが演じられたが、今田選手が3連勝を遂げた。

トゥルーリ選手(TOM'S)が再び表彰台の頂に立ち、シーズン2勝目を挙げた。
2位は平良選手(TOM'S)、3位は木村選手(B-MAX RACING TEAM)。
第12戦の表彰式。左から2位の平良選手、1位のトゥルーリ選手、3位の木村選手、マスタークラス1位の今田選手が登壇した。

 結果、ポイントランキングは平良選手が83点でトップを守り、76点で2番手の木村選手との差を7に広げることに。また3番手の小出選手(43点)と、4番手に順位を上げたトゥルーリ選手(40点)の差が一気に3点に縮まった。マスタークラスでは、今田選手(89点)とDRAGON選手(76点)の差が13点に広がった。

 次の第5大会は2か月近いインターバルを挟み、9月9~10日に岡山国際サーキットにおいて開催される。

フォト/石原康 レポート/皆越和也、JAFスポーツ編集部

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