FCYを有効利用の中升ROOKIE AMG GT3が逆転で2勝目。またST-2クラスはENDLESS GR YARISが最終周に大逆転劇
2023年8月4日

スーパー耐久シリーズ第4戦「スーパー耐久レース in オートポリス」は、7月29~30日にオートポリスで5時間レースとして開催され、ST-Xクラスに参戦の中升 ROOKIE AMG GT3(鵜飼龍太/蒲生尚弥/平良響/片岡龍也組)が最後のピットインで逆転、今季2勝目を挙げてポイントリーダーを守った。
ENEOS スーパー耐久シリーズ 2023 Supported by BRIDGESTONE 第4戦「スーパー耐久レース in オートポリス」
開催日:2023年7月29~30日
開催地:オートポリス インターナショナルレーシングコース(大分県日田市)
主催:株式会社オートポリス、APC
今回のレースにはST-1クラスとST-4クラスを除く、ST-Xクラス、ST-Zクラス、ST-TCRクラス、ST-Qクラス、ST-2クラス、ST-3クラス、ST-5クラスに41台が出走した。決勝レース当日の朝は雨天だったが、決勝の前までに雨は上がり、コースはほぼドライコンディションとなった。
ST-Xクラス
11時3分に5時間レースのスタートが切られると、ST-Xクラス(全6台)のポールシッターであるHELM MOTORSPORTS GTR GT3(鳥羽豊/平木湧也/平木玲次組)が順調にトップを守って走行していたが、3番手スタートのTKRI松永建設AMG GT3(DAISUKE/元嶋佑弥/中山友貴組)が5周目に中升 ROOKIE AMG GT3をかわして2番手に順位を上げ、さらに20周目にはトップに立った。
39周目から上位陣が最初のピットインを済ませると、ジェントルマンドライバーを起用したHELM MOTORSPORTS GTR GT3、TKRI松永建設AMG GT3、中升 ROOKIE AMG GT3の順となり、58周目には中升 ROOKIE AMG GT3が2番手へ順位を上げた。レース中盤の72周目にはDENSO LEXUS RC F GT3(永井宏明/小高一斗/嵯峨宏紀組)が2番手へ順位を上げて逆転を狙ったが、マシントラブルのためにピットインして順位を落とす。
HELM MOTORSPORTS GTR GT3は平木湧也選手、鳥羽選手、平木玲次選手とつないでトップを走行。30秒ほど後方を走る2番手の中升 ROOKIE AMG GT3は、平良選手、鵜飼選手、蒲生選手とつないでいく。レースも残り1時間20分を切った時点で、上位争いをする各チームは、最後のピットインのタイミングをいつにするか様子を窺っていた。
1時間18分を切った時点で、2台の車両が別の場所でストップ。これでフルコースイエロー(FCY)が導入された。FCYのカウントダウン中に最終コーナー付近にいた中升 ROOKIE AMG GT3はピットインし、FCY導入中のために各車が50km/hで走行している間に片岡選手へドライバー交代などを済ませてコースへ。
運悪くピット入口近くを30秒ほど前に通過していたHELM MOTORSPORTS GTR GT3は、FCY解除となったタイミングにちょうどコントロールラインを通過した直後。中升 ROOKIE AMG GT3より2周遅れでピットインして、再び平木湧也選手が乗り込んだが、この間に中升 ROOKIE AMG GT3が約20秒の差をつけてトップに立った。
最後のスティントではHELM MOTORSPORTS GTR GT3がじわじわとトップとの差を詰めるが、中升 ROOKIE AMG GT3は55kgのウェイトハンデもあり、後ろとの距離を見ながらのドライブ。2台の差は8.552秒まで縮まるも中升 ROOKIE AMG GT3が逃げ切って、富士24時間と合わせて今季2勝目。
中升 ROOKIE AMG GT3はポイントリーダーの座を守り抜き、ランキング2番手との差を広げることに成功。2位は前戦に続き優勝を逃したHELM MOTORSPORTS GTR GT3、3位はTKRI松永建設AMG GT3だった。
「最後のピットはいつでも入れるように準備をしていましたが、今回はFCYのタイミングがバッチリ合いました」と片岡選手は満面の笑みを見せた。一方、2位の平木湧也選手はは「FCYのタイミングが最悪で……逆転されてしまいました。2戦連続で優勝を逃したのは痛い」と唇を噛んだ。



ST-Zクラス
ST-Zクラス(全9台)はシェイドレーシング GR SUPRA GT4 EVO(HIRO HAYASHI/平中克幸/清水英志郎組)が今季初優勝を遂げた。ポイントリーダーで60kgのウェイトを積む埼玉トヨペットGB GR Supra GT(山﨑学/吉田広樹/服部尚貴/川合孝汰組)は2位でフィニッシュした。



ST-TCRクラス
今季初めてエントリーのあったST-TCRクラス(全2台)は、新旧シビックタイプRの対決となったが、S耐デビューのFL5型のRacer HFDP CIVIC(遠藤光博/三井優介/森山冬星組)が優勝した。


ST-Qクラス
賞典外のST-Qクラス(全5台)は、液体水素を使用する注目のORC ROOKIE GR Corolla H2 concept(MORIZO/佐々木雅弘/石浦宏明/小倉康宏組)がトラブルのため規程周回数に達しなかったが、デビュー戦となったカーボンニュートラル燃料を使用するMAZDA SPIRIT RACING ROADSTER CNF concept(阪口良平/堤優威/前田育男組)を含む4台が完走した。



ST-2クラス
ST-2クラス(全5台)は、前戦で4年ぶりの優勝を果たし、このレースでもトップを走行していた新菱オートDIXCEL夢住まい館エボ10(冨桝朋広/菊池靖/大橋正澄組)が、残り2周でまさかのクラッチトラブルに見舞われ、4速にしか入らなくなったことで一気にラップタイムが7秒もダウン。そしてファイナルラップでENDLESS GR YARIS(花里祐弥/石坂瑞基/伊東黎明/岡田整組)がかわし、最後の最後で大逆転の2勝目を挙げた。



ST-3クラス
ST-3クラス(全5台)は岡部自動車フェアレディZ34(鈴木宏和/田中徹/田中哲也/小松一臣組)が、残り7分でパワステのベルトが切れるトラブルを抱えながらも、最後まで走り切って今季初優勝を果たした。



ST-5クラス
ST-5クラス(全10台)は序盤から3台のロードスターがトップ争いを展開し、スリリングなレースとなったが、そこから抜け出したOHLINS Roadster NATS(金井亮忠/山野哲也/野島俊哉組)が連勝を決めた。



フォト/今村壮希、吉見幸夫 レポート/皆越和也、JAFスポーツ編集部
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