波乱の第6戦。PN3クラスはユウ選手が、PN4クラスは茅野選手がタイトルを確定
2023年8月16日

全日本ジムカーナ選手権も残すところあと3戦。第6戦「スーパースラローム IN 久万高原」が、8月5~6日に愛媛県久万高原町郊外のハイランドパークみかわで開催された。シーズン終盤戦に突入となり、各クラスのタイトル争いも熱を帯びてきている。
2023年JAF全日本ジムカーナ選手権 第6戦「スーパースラローム IN 久万高原」
開催日:2023年8月5~6日
開催地:ハイランドパークみかわ ジムカーナコース(愛媛県久万高原町)
主催:ETOILE
全日本ラリー選手権「久万高原ラリー」では、HQやサービスが設置されてラリーの拠点ともなるハイランドパークみかわを舞台とした全日本ジムカーナ選手権 第6戦。この標高約1100mに位置するモータースポーツイベント会場は、6月から8月にかけては約4000株の紫陽花が花を開き、地元ではあじさいロードとして知られる観光スポットでもある。
麓の久万高原町や松山市内では30度を超える真夏日となりながらも、標高が高いハイランドパークみかわ付近は最高気温が26度ほどで過ごしやすい陽気で、高地のためにしばしば霧に覆われるコンディションとなった。とくに5日に行われた公開練習では、霧に覆われた時間帯は霧雨が降るためにウェット路面となり、霧が晴れるとあっという間にドライ路面になるという難しいコンディションだ。
決勝が行われた6日の第1ヒートは、前半ゼッケンのPE1クラスからPN2クラスにかけて霧が発生し、路面はウェットコンディションに。その後は霧が晴れ、PN4クラスが走行するころにはドライ路面に変わったが、天候の移り変わりの判断が難しく、決勝では1セットしか使用できないタイヤをドライ寄りに選択するのか、それともウェット寄りに選択するのか、多くのドライバーが頭を悩ませることとなった。
だが、結果的には第2ヒートで霧や雨が路面を濡らすことはなく、全クラスドライ路面。そのため、クラスによっては第2ヒートでの逆転劇が繰り広げられる展開となった。そしてそのコースレイアウトは、電動パーキングブレーキを有するPE1クラスと、それ以外のクラスの2パターンが設定される。またパイロンターンの立ち上がりラインを規制するパイロンも多く、各クラスでパイロンタッチに沈む選手が続出した。

PN3クラス
今季4勝を挙げているユウ選手がチャンピオンに王手をかけているPN3クラスは、第1ヒート2番手の野島孝宏選手が第2ヒートの逆転劇で今季初優勝を獲得する。2位には「ドライ路面の第2ヒートはシフトミスをしないように丁寧に走りました」という久保真吾選手が、第1ヒート5番手から順位を上げて入賞。
第1ヒートのトップタイムをマークしたユウ選手は、第2ヒートの360度ターンでギヤが入らず失速してしまい3位でフィニッシュ。「本当は優勝でチャンピオンを決めたかったですね」と苦笑するユウ選手だが、3年連続5回目のチャンピオン確定となった。




PN4クラス
PN3クラスと同じく、これまで4勝を挙げている茅野成樹選手がタイトルに王手をかけているPN4クラス。石原昌行選手がクラス唯一となる三菱・ランサーエボリューションXで健闘、両ヒートでトップタイムを奪う走りで今季初優勝を獲得した。2位に茅野選手が入賞し、3年連続14回目のタイトルを確定。3位にはシリーズランキング2番手につける松本敏選手が入賞した。




PE1クラス
山野哲也選手が4勝を挙げているPE1クラスは、第1ヒートで牧野タイソン選手がウェット路面を滑らかな走りで攻め、ベストタイムをマーク。ドライ路面となった第2ヒートは、牧野選手が第1ヒートでマークしたベストタイムを他の選手がなかなか抜けない展開が続く中、牧野選手は第2ヒートの前半区間でミスコースしてしまい、タイムアップならず。それでもクラス終盤までトップを守っていた。
だがクラス最終走者の山野選手は牧野選手のミスを見逃さなかった。第1ヒートはウェット路面に苦戦した山野選手だが、ドライ路面の第2ヒートはそれまでのクラスベストタイムを約2秒更新する走りを披露。今季5勝目を飾り、タイトル獲得に王手をかけた。2位に牧野選手、3位には第2ヒートで牧野選手に0.024秒差に迫った大橋政哉選手が入賞した。



PN1クラス
朝山崇選手と斉藤邦夫選手が2勝ずつ、福田大輔選手が1勝を挙げているPN1クラスは、パイロンタッチが相次ぎ、第1ヒートは中根康仁選手がトップ、阪本芳司選手が2番手、中根卓也選手が3番手となった。だが、第2ヒートは地元開催の朝山選手が、第1ヒートミスコースを挽回して逆転優勝を果たす。
第1ヒートで2本のパイロンペナルティを受けた斉藤選手は、第2ヒートで挽回して2位に入賞。3位には「モーターの特性と久万高原のパイロンコースが合っている」という日産ノートe-POWER NISMOの蛯原輝彦選手が入賞し、第1ヒートとは大きく異なる結果となった。



PN2クラス
ライバルの結果次第では、このラウンドで小野圭一選手のタイトルが確定する可能性のあるPN2クラス。第1ヒートは、その小野選手がトップで折り返すが、第2ヒートで川北忠選手が逆転。小野選手の第2ヒートはパイロンタッチに終わり、川北選手が今季2勝目を獲得するとともに、シリーズポイントでも小野選手に4点差をつけるトップに躍り出た。2位には、今季2勝を挙げているディフェンディングチャンピオンの小林規敏選手が入賞。近畿地区の奥浩明選手が3位に入賞し、全日本では初となる表彰台を獲得した。



BC1クラス
チャンピオン争いが混沌としているBC1クラスは、第1ヒートのパイロンペナルティを挽回し、第2ヒートでベストタイムを更新した野原博司選手が全日本初優勝を獲得。2位には、今季3戦目の出場となる最上佳樹選手が入賞、3位は第1ヒートトップの神里義嗣選手が入賞した。第5戦を終えてシリーズランキングトップの西井将宏選手が5位となったため、このラウンドを制した野原選手がランキングトップに浮上し、タイトル争いはさらに混沌とする結果となった。



BC2クラス
BC2クラスは、第4戦と第5戦のダブルヘッダーを連勝で飾り、シリーズランキングトップに立った若林拳人選手が、第2ヒートの逆転劇で今季4勝目を獲得。タイトル争いを一歩リードした。2位は第1ヒートで若林選手を0.019秒差に抑えてトップに立った広瀬献選手が入賞。若林選手とのポイント差は8点差に開いた。3位には、第2ヒートのドライ路面で天満清選手を逆転した梅村伸一郎選手が、今季2回目の表彰台を獲得した。



BC3クラス
津川信次選手と菱井将文選手が2勝ずつを挙げているBC3クラスは、今季未勝利の大橋渡選手が両ヒートを制する走りで今季初優勝を獲得。シリーズランキングも4番手から2番手に上がってきた。2位には、第2ヒートのフィニッシュでリヤとフロントをクラッシュさせてしまう激走をみせた一色健太郎選手が入賞。3位は体調不良の中で健闘した津川選手が入賞した。シリーズランキング2番手の菱井選手は、第2ヒートでシフトが入らないトラブルが出て5位でフィニッシュ。この結果、2勝の津川選手と菱井選手、1勝の大橋選手と一色選手の4選手が、チャンピオンを争うこととなった。



フォト/CINQ、大野洋介 レポート/CINQ、JAFスポーツ編集部
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