本庄大会OK部門2連勝の藤井翔大選手がシリーズ4連勝で最終戦へ駒を進める
2023年8月25日

全日本カート選手権の最高峰、OK部門の第5戦/第6戦が埼玉県本庄市の本庄サーキットで開催。6月のSUGO大会で2連勝した藤井翔大選手(DragoCORSE)がここでもふたつのレースを連勝し、ポイントリーダーの座をキープした。
2023年JAF全日本カート選手権 OK部門 第5戦/第6戦
2023年JAF全日本カート選手権 FS-125CIK部門 第5戦/第6戦
開催日:2023年8月19~20日
開催地:本庄サーキット(埼玉県本庄市)
主催:T.KBF
国内カートレースの最高峰たる全日本カート選手権 OK部門の2023シリーズは、いよいよ後半戦に突入した。その舞台は、4週間前にFS-125JAF部門とFP-3部門の全日本カート選手権が行われた埼玉県本庄市の本庄サーキットだ。
自動車やバイクの走行にも使用されるこのサーキットは、スリップストリームが非常によく効くコース。だからといってオーバーテイクが容易というわけではなく、勝負どころとなるコーナーのいくつかには、うまく追い抜きを仕掛けないと互いが失速してしまうトラップが待ち構えており、レースはゴールの瞬間まで結末が読めない混戦になりがちだ。
暦の上ではすでに立秋を過ぎたのだが、サーキットはまだ真夏の暑さに包まれており、決勝日の気温は37度近くに達した。OK部門とFS-125CIK部門では、予選ヒートに続いてスーパーヒートが設けられており、各車1日で8つものセッションを走る。体力面でも厳しい戦いになることは必至だ。
全日本カート選手権OK部門 第5戦/第6戦
OK部門の出走は5台。ただし、これをイージーなレースと思うのは間違いだろう。この台数だと、シリーズポイントを獲得できるのは3位まで。トップを走っていても、思わぬアクシデントひとつでポイント獲得圏外に落ちてしまう危険がある。独走にでもならない限り、最後まで集中力を途切れさせることは許されないのだ。
第5戦と第6戦の予選のスターティンググリッドを決めるタイムトライアルでは、前回のSUGO大会で2連勝を遂げた藤井選手が、2番手の吉田馨選手(K speed win)に0.3秒弱もの差をつけるトップタイムをマークした。3番手は43歳のベテラン綿谷浩明選手(SPS川口)。落合蓮音選手(TAKAGIPLANNING)と菊池貴博選手(K SPEED WIN)は全開でタイムアタックすることなく走行を打ち切り、4番手と5番手になった。このあたりは参加5台ならではの駆け引きだ。
予選とスーパーヒートはそれぞれ15周。第5戦の予選では落合選手が2周目にトップに立ち、藤井選手を引き連れてラップを重ねていったのだが、最終ラップに藤井選手が再逆転してトップとなった。2番手の落合選手から離れての3番手ゴールは、SUGO大会で圧巻の速さを披露した菊池選手だ。
続くスーパーヒートでは藤井選手がトップをひた走り、落合選手をパスして2番手に上がった菊池選手がそれを追う展開に。そして最終ラップ、最終コーナーで菊池選手が藤井選手に襲いかかり、0.013秒差で菊池選手がこのヒートのトップを奪った。
予選とスーパーヒートの順位をポイントに換えて合算した「予選スーパーヒートポイント」で決まる決勝のスターティンググリッドは、藤井選手がトップ。以下、菊池選手、落合選手、吉田選手、綿谷選手と続く結果になった。
迎えた決勝は22周だ。ポールの藤井選手は先頭をキープしてレースを開始。すると、間もなく藤井選手の優位が明らかとなった。1周目終了時点では菊池選手が藤井選手の真後ろに貼りついていたのだが、2周目から両車のギャップが開き始め、その差は5周で1秒以上に。
藤井選手はその後もリードを広げながら周回を重ねると、右拳を握って最終ラップの最終コーナーを回り、両手を突き上げてフィニッシュ。後続を4秒以上引き離し、堂々の3連勝を果たした。2位の菊池選手は3戦連続の表彰台登壇。その後方では吉田選手、落合選手、綿谷選手が僅差でラップを重ね、開幕戦のもてぎ大会以来の参戦となった吉田選手が3位を手に入れた。



ランチブレイクを挟んで行われた第6戦の予選では、落合選手がオープニングラップで4番グリッドからトップに立つ。他を圧倒するハイペースで疾走、そのままトップでゴールした。2番手は菊池選手、3番手は藤井選手だ。
続くスーパーヒートでは、ポールの落合選手が不出走に。さらに吉田選手がスタートに向かうローリングでマシン不調のため車検場に戻り、綿谷選手も7周で車検場に帰還。残る周回は2台の走行となり、菊池選手が藤井選手に0.6秒弱先行してトップでゴールした。
決勝のグリッドは、菊池選手がポール、藤井選手が2番手に。以下、落合選手、綿谷選手、吉田選手と続くグリッドとなった。第6戦の決勝が始まると、菊池選手が先頭のままオープニングラップを終えたのだが、2周目には藤井選手がトップを奪う。すると、菊池選手、落合選手、吉田選手の2番手争いがにわかにヒートアップ。これを利して、藤井選手が一気に1秒弱のリードを手に入れた。
だが、レースは藤井選手の楽勝とはならなかった。2番手に上がった吉田選手がじわじわと藤井選手のリードを削り取り、14周目には両車の間隔が0.5秒を切るところまで接近。さらに落合選手もそれに続いてくる。残り5周、3台がいよいよ等間隔を空けての一列状態に連なった。
ここで勝負の決め手となったのが、藤井選手のロングランの強さだ。藤井選手は、0.3秒差まで迫ってきた吉田選手にそれ以上の接近を許すことなく終盤戦を走り抜き、バンザイ・フィニッシュでチェッカーをくぐった。会心の4連勝だ。吉田選手は逆転優勝こそならなかったものの、2位ゴールで今季3度目の表彰台に。落合選手がそれに続いて3位となった。



今季残すのは、10月21~22日の鈴鹿大会のみ。ポイントランキングは藤井選手が156点を稼いで他を大きくリードし、菊池選手が101点でそれに続いている。チャンピオン候補は、このふたりに絞られた。
全日本カート選手権FS-125CIK部門 第5戦/第6戦
同時開催のFS-125CIK部門には15台が出走した。タイムトライアルでは、目下ポイントランキング4番手の佐藤佑月樹選手(RT WORLD)が39秒742のトップタイムをマーク。武藤雅奈選手(TAKAGI PLANNING)がそれに続き、ポイントリーダーの鈴木恵武選手(Formula Blue 増田スピード)が3番手につけた。トップから7番手までが0.2秒差の中にひしめき、レースは実力伯仲の様相を呈している。
第5戦の予選では、10台がゴールまで大きな集団を形成し、佐藤選手がトップを獲得。最終ラップに2台をパスした鈴木選手が2番手、武藤選手が3番手となった。続くスーパーヒートでは、佐藤選手と武藤選手が群れを抜け出してトップ争いを繰り広げ、逆転に成功した武藤選手がトップ、佐藤選手が2番手となった。
決勝のポールは佐藤選手、セカンドグリッドは武藤選手だ。グリッド2列目には伊藤聖七選手(Formula Blue Ash)と喜納颯矢斗選手(ガレージC)が並び、スーパーヒートで苦戦を強いられた鈴木選手は5番グリッドとなった。
20周の決勝が始まると、佐藤選手と武藤選手が序盤からやや後続を引き離して先頭集団を形成。そこに伊藤選手と鈴木選手が続いていたのだが、スタートで出遅れた喜納選手がこの2台に襲いかかったことでトップ2との間隔が開き、優勝争いは佐藤選手と武藤選手のマッチレースとなった。
佐藤選手と武藤選手はぴたりと連結して、タンデム状態のままラップを重ねていく。そして最終ラップ、1コーナーで満を持して武藤選手がアタックを仕掛けた。だが、佐藤選手はこれに耐え切って、トップのままゴールした。FS-125JAF部門では2勝を挙げている佐藤選手だが、こちらの部門ではこれが初優勝だ。
武藤選手は佐藤選手に0.039秒及ばず2位に終わったのだが、今季の決勝でのポイント獲得はこれが初めてで、自己最上位を大きく更新した。3位はセカンドグループを抜け出して単独走行を続けた喜納選手。千田琉貢選手(Racing Team YRHKS)が8番グリッドからの4台抜きで4位となった。



第6戦の予選とスーパーヒートでも、トップを争ったのは佐藤選手と武藤選手。ここでは両ヒートとも佐藤選手が武藤選手を僅差で抑えてトップゴールを果たし、決勝のポールを獲得した。2番グリッドは2番手/2番手の武藤選手。グリッド2列目には、タイムトライアルで13番手に埋もれた伊藤選手と、着実に上位でのゴールを重ねる鈴木選手が並んだ。
そして迎えた決勝は、第5戦の再現となった好スタートを決めた佐藤選手に武藤選手が追いつくと、間もなく2台で3番手以下を引き離し、またもマッチレースを展開だ。
佐藤選手の真後ろで勝負のタイミングを待った武藤選手は、今度は残り3周で動いた。3コーナーで逆転に成功し、武藤選手がトップに浮上だ。佐藤選手も再逆転を狙いオーバーテイクを仕掛けるが、武藤選手がこれをすぐに抜き返す。ゴールは0.024秒差。真っ先にチェッカーをくぐったのは武藤選手だった。
しかし、車検場に帰ってきた武藤選手のマシンは激闘の代償でフロントフェアリングにダメージを受けており、無念の5秒加算ペナルティに。勝利はまたも佐藤選手のものとなった。佐藤選手はこれで2連勝だ。鈴木選手、伊藤選手、箕浦稜己選手(BirelART West)の3台によるセカンドグループでは、ラスト2周でバトルが勃発し、伊藤選手が第2戦以来二度目の2位を、箕浦選手が3位を獲得した。



ポイントランキングは、今回の5位/4位で合計168点となった鈴木選手が首位をキープ。2連勝で大きくポイントを稼いだ佐藤選手が149点で2番手に浮上した。チャンピオン候補として次回の鈴鹿大会に挑むのは、このふたりだ。
フォト/JAPANKART、長谷川拓司、JAFスポ―ツ編集部 レポート/水谷一夫、JAFスポ―ツ編集部