Formula Beatはベテラン佐々木孝太選手が十勝での連勝でランキングトップに立つ!

レポート レース

2023年8月24日

“F-Be”こと2023年Formula Beat地方選手権の第7戦、第8戦が8月19〜20日に十勝インターナショナルスピードウェイで開催された。心配された台風7号はレースウィークに入る前に、北海道を避けて通過してくれたため、19日の土曜日に行われた予選と第7戦は暑さをもライバルとしつつ、ドライコンディションでの戦いとなったが、20日の日曜日は一転して早朝まで雨が降り、路面を濡らしてしまう。まったく異なる路面コンディションの下で、本領を発揮できたのは誰か?

2023年Formula Beat地方選手権 第7戦・第8戦
(2023北海道クラブマンカップレース第3戦 内)

開催日:2023年8月19~20日
開催地:十勝インターナショナルスピードウェイ(北海道更別村)
主催:TOSC、MSF(株)

 十勝でF-Beが行われるのは、2023シーズンで2回目。2022シーズンは11台のエントリーがあったが、今季は競技会のバッティング、そして約1カ月後に九州、大分県のオートポリスでの第9・10戦も控えていることもあり、わずか8台の参戦にとどまった。しかも、うち1台が練習中のエンジントラブルで欠場となったのは、なんとも残念ではあった。

 またレギュラーたるドライバーの中でも、4勝を挙げてランキングのトップに立つ卜部和久選手が欠場。残り第9・10戦、第11・12戦も、卜部選手は併せて参戦している2023年FIA-フォーミュラ4地方選手権を優先するであろうことから、現在持つ95ポイント以上に増やせないことになる。となれば、同じ65ポイントを獲得しているランキング2番手の佐々木孝太選手、3番手の徳升広平選手の結果次第ということになる。もっとも、この二人が揃ってポイントを取りこぼすことなどあり得まいが……。

第7戦・第8戦 予戦

 予選は1回のみ、20分間行われ、ベストタイムで第7戦の、そしてセカンドベストタイムで第8戦のスターティンググリッドを決めた。開始からしばらくの総合トップは徳升選手だったが、やがて佐々木選手が逆転。中盤以降、徳升選手が伸び悩んだ感もある中、佐々木選手はクールダウンを適宜挟んで、タイムを伸ばし続けて2戦ともポールポジション(PP)を獲得した。

「去年も走っていますし、86レースでも走っていたので、十勝はそんな久々ではないんですけど、昨日セットアップ仕上げて、最後に良くなったと思ったのに、今日走ったらめちゃくちゃフィーリングが悪くて。夜、雨降ったのかな? 乗りづらかったから、(原因を)解明しなくっちゃいけないです。徳升くんも頑張っているので、気を抜かず決勝も頑張ります」とは2戦連続PPの佐々木選手。

 一方、2番グリッドの徳升選手は十勝を走るのは初めてとあって、やや苦戦気味ながら「同じようなコーナーが多くてフラットだし、どこがクリップか見づらいし、なんだかんだ難しい。リズムが取りづらいという印象ですね。そうも言っていられないので、なんとか(佐々木選手を)抜けるように頑張ります」と佐々木選手への応酬を誓う。

 トップ4の顔ぶれは2戦とも同じで、3番グリッドはハンマー伊澤選手。しかし、決勝に向けては「クラッチが滑り始めていて。特に3速でトラクションかかった時に滑るので、決勝は厳しいですね。運の悪いことにクラッチを忘れてきちゃったんですよ。場所が場所なんで、取りに行くこともできないし」と、決勝に向けて不安そうだった。

 そして4番グリッドはジェントルマンクラストップの河野靖喜選手が獲得。舩井俊仁選手、KAMIKAZE選手を僅差ながらも従えるも、「金曜日に1本しか練習を走れなかったので、思ったよりもタイム伸びなくて」と内容には、やや不満そうだった。

佐々木孝太選手(ファーストガレージ&ISP)は「昨日のユーズドタイヤより遅いので、これはやばいと思って一生懸命走りすぎて、疲れちゃいました」と、車両に苦戦していたことを苦笑とともに明かしたが、予選のベストタイムとセカンドベストタイム、ともに総合トップに立ち、2戦連続のポールポジションを決めた。

第7戦 決勝

 14周で競われた第7戦の決勝では佐々木選手、徳升選手ともに好スタートを切るも、ひと伸びに勝った徳升選手が1コーナーで並んで、一旦は前に出るも、続く2コーナーまでに佐々木選手が逆転。エンジンストールで動けなかった車両があったことから、即座にセーフティカー(SC)が導入される。

 2周に及んだSC先導の後、切られたリスタートでまたも総合2番手の徳升選手が勢いを見せた。しかし、1コーナーに再び総合トップ佐々木選手に並んで飛び込むも、今度は前に出るまでに至らず。2コーナーでブロックラインをしっかり通った佐々木選手は、総合トップをキープした。

 ちなみに佐々木選手は隙を見せたのではなく、「SCが遅くて詰まっちゃって、抜いちゃダメだと思ってペース落としたんです。それでやられそうになったんですが、そうなるとは思っていたので、なんとか競り勝ってやろうと思ったので、結果は良かったです」ということだそうだ。

 その後は徐々に差を広げていった佐々木選手ながら、ふと気づく。「徳升くんと紳士協定で、本当はタイヤ2セット使えるんだけど、僕らの中で決めて1セットで行こうよと。後半、向こうが来なかったので“あれ? もしかしてタイヤマネージメントしているじゃないか”と思って」と、若干ペースを抑えた。それでも徳升選手を近づけることなく、まずは今季2勝目を挙げた。

 もっとも、当の徳升選手にしてみれば、「リスタートだけで、あとは離されました。僕はずっと全力で。そう思っていただけるなら、アドバンテージあると思って頑張ります」ということだが。

 総合3番手を走行していたのはハンマー選手ながら、SC中の追い越しがあり、ドライブスルーペナルティを命じられるも、そのまま最後まで走り続けてしまい、失格の憂き目に。繰り上がって総合3位を獲得したのは河野選手で、ジェントルマンクラスでは4連勝、今季5勝目となった。

佐々木選手の第7戦決勝はスタートと序盤のセーフティカー明けのリスタートで徳升広平選手(フジタ薬局アポロ電工高山短大)に迫られるも、ベテランならではの駆け引きでトップを堅守。以後は徳升選手を寄せつけず、スポーツランドSUGOでの第6戦から二連勝を果たした。
ランキングトップ奪取を狙い、初の十勝インターナショナルスピードウェイに挑んだ徳升選手。第7戦では十勝での経験も豊富な佐々木選手には及ばなかったものの、総合3番手以下を15秒以上離し、総合2位を獲得(左)。ジェントルマンクラスに参戦する河野靖喜選手(ファーストガレージ&ISP)はクラス4連勝を果たすとともに、総合でも3位に食い込んだ(右)
第7戦の表彰台には左から、総合2位の徳升選手、優勝した佐々木選手と、総合3位でジェントルマン優勝を果たした河野選手が登壇した。

第8戦 決勝

 第7戦と同じく14周の第8戦決勝は前述のとおり、ウェットコンディションからのスタートに。そのため、急きょ10分間のフリー走行が設けられた。ここでトップは徳升選手で、佐々木選手に1秒近い差をつけた。そのフリー走行も決勝もハンマー選手は走行せず。懸案のクラッチがついに根をあげたのだ。そのため、6台での戦いとなった。

 この一戦でもスタート直後の1コーナーで、佐々木選手と徳升選手は激しいつば迫り合いを見せるも、接近戦を許されたのは、その瞬間だけだった。最後までタイムの落ちが少ない佐々木選手に対し、徳升選手は「最後の方が全然でしたね、ペースが上がらなくて。(タイヤの)内圧上がりすぎたかな?」と、佐々木選手の逃げ切りを許した理由をそう分析した。

 そして今季3勝目を挙げた佐々木選手は「フリー走行を走ったら、オーバーステアが強かったので、合間で変えたらバッチリ。あって良かった。あれがなかったらかなり厳しかったかもしれません」とレース後に語った。この連勝で佐々木選手は、不在の卜部選手、そして徳升選手を10ポイント上回って、待望のランキングトップを奪取。JAF-フォーミュラ4時代の1998シーズン以来となるチャンピオン返り咲きが、かなり現実味を帯びてきた。

 そして、ジェントルマンクラスでは河野選手が7勝目をマークし、総合順位でも再び3位を獲得。次の一戦でおそらく完走さえ果たせば、チャンピオン確定となるはずだ。自らも「かなりチャンピオンに近づきましたね」と語り、「ウェットの方が感触は良かったですね、ドライより」と、第8戦は第7戦以上に手応えのあった勝利だったことも明かしてくれた。

ドライコンディションだった第7戦から一転、翌日に開催された第8戦の決勝はウェットコンディションとなったが、佐々木選手は「レインタイヤがマッチして、調子良かったです」と、コンディションの変化に対応。後続を約13秒も離す快走で連勝を3に伸ばし、王座争いでもトップに立った。
第8戦で2戦連続の総合2位を獲得した徳升選手だったが、この一戦ではスタート以降は佐々木選手に迫ることができず。大差がつき単独走行でのフィニッシュとなった(左)。再び総合3位でフィニッシュしたジェントルマンの河野選手は、総合4位以下に30秒以上の大差をつけてクラス5連勝を達成するとともに、クラス制覇に王手をかけた(右)。
第8戦の表彰台は左から、総合2位の徳升選手、十勝二連勝の佐々木選手、総合3位で再びジェントルマンを制した河野選手と、第7戦と全く同じ顔ぶれが上がった。

フォト/皆越和也 レポート/はた☆なおゆき、JAFスポーツ編集部

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