もてぎシリーズFS-125/X30は鈴木斗輝哉選手がシリーズ開幕戦から破竹の4連勝!

レポート カート

2023年8月31日

地方カート選手権もてぎシリーズの第4戦が8月27日、栃木県茂木町のモビリティリゾートもてぎ北ショートコースで開催。鈴木斗輝哉選手(K.SPEED WIN)がポールから独走優勝を飾り、開幕4連勝でシリーズチャンピオンに一歩近づいた。

2023年JAF地方カート選手権 モビリティリゾートもてぎシリーズ 第4戦
2023年JAFジュニアカート選手権 モビリティリゾートもてぎシリーズ 第4戦
2023 もてぎカートレース 第4戦

開催日:2023年8月27日
開催地:モビリティリゾート北ショートコース(栃木県茂木町)
主催:ホンダモビリティランド株式会社

地方カート選手権 FS-125/X30

 全6戦で行われる地方カート選手権モビリティリゾートもてぎシリーズは、この第4戦で後半戦に突入した。もてぎシリーズはFS-125部門で行われ、イアメ・パリラX30エンジンのワンメイクになっている。このレースには同サーキットのシリーズ戦“もてぎカートレース”としてのタイトルも懸かっており、こちらでは「FS-125/X30」というクラス名が付けられている。

 エントリーは13台。うち1台が参加を取り止め、レースは12台で競われることになった。ここまで3戦全勝で圧倒的な強さを見せている鈴木選手には、他の上位ランカーの結果によって、今回のレースでチャンピオンが確定する可能性がある。それには自身の優勝が絶対条件。ただし、ポイントランキング2番手と3番手の選手がこの大会を欠場していることは、鈴木選手の後押しになるかもしれなかった。

 大会当日、朝のサーキットは快晴だったのだが、他クラスの公式練習とタイムトライアルの最中に雨が降り始め、その後は一時土砂降りにもなった。地方選手権のタイムトライアルはハーフウェットのコンディションで行われ、鈴木選手が39秒049のトップタイムをマーク。0.021秒差の2番手に佐藤佑月樹選手(RT WORLD)。3~5番手に松井沙麗選手(BEMAX RACING)、中里龍昇選手(BEAR R.C.)、岡田聖人選手(Tommy Sport Racing with 茂原TC)と続いた。

 やがて雨はあがり、10周で行われる予選は一転、ドライコンディションのヒートとなった。鈴木選手はここでも速さを見せ、1周目から独走でトップのまま走り切り、決勝のポールを手に入れた。佐藤選手も2番手のままゴール。松井選手は佐藤選手の真後ろに迫ったが逆転とはならず、3番手のままチェッカーを受けた。

 18周の決勝でも、鈴木選手の勢いはまったく衰えなかった。オープニングラップの佐藤選手からのアタックをしのいで先頭の座をキープすると、たちまち後続を引き離し、6周でリードを1秒以上に拡大。その後もチェッカーまでアドバンテージを広げながら独り旅を続け、無敵の独走勝利を遂げた。

 鈴木選手の後方では、佐藤選手、松井選手、岡田選手がセカンドグループを形成。松井選手は佐藤選手の真後ろに迫ったが、佐藤選手は背後のライバルたちに逆転のチャンスを与えることなく走り切り、今季シリーズ最上位の2位でフィニッシュした。松井選手は3位で開幕戦以来の表彰台に。岡田選手と中野駿太選手(Racing Square GEN)もその真後ろに連なって4位と5位に入賞した。

 シリーズは残り2戦。開幕戦から全勝街道を突っ走る鈴木選手は、シリーズポイントを100点に伸ばした。一方、ランキング2番手には58点の佐藤選手が浮上。チャンピオン争いに生き残ったのは、このふたりのみだ。鈴木選手は次戦、8点以上を獲得すれば最終戦を待たずにチャンピオンを確定できる。

「(開幕4連勝は)ここまで予定どおりです。順調にきています」と語る鈴木斗輝哉選手(K.SPEED WIN)。「今回も不安要素はぜんぜんなかったですね。周りの選手たちの壁になるようなレースがしたいなと思っていました」と力の差を見せつけての優勝となった。次戦でのチャンピオン確定について「余裕です!」と自信をのぞかせる。
2位は佐藤佑月樹選手(RT WORLD)、3位は松井沙麗選手(BEMAX RACING)。
FS-125/X30表彰の各選手。

 この大会では他に、もてぎカートレース第4戦として8クラスのレースが行われた。

X30Jr

 出走4台のX30Jrでは、松尾柊磨選手(brioly racing)がポールから独走して3連勝を飾った。その後方では須藤虹富選手(brioly racing)と松居寿來選手(K.SPEED WIN)の接近戦がアクシデントへとつながり、須藤選手が最後尾にポジションダウン。松居選手はこの一件でペナルティを課されたが、背後の大きなギャップに救われて着順どおりの2位に入賞した。

 このX30Jrのレースは本来、ジュニアカート選手権モビリティリゾートもてぎシリーズ(コースシリーズ)・ジュニア部門の第4戦として行われることになっていたのだが、エントリー台数がレース成立の基準に達しなかったためジュニア選手権としては不成立となり、もてぎカートレースとしてのみレースが実施された。

「シリーズ後半に入ってポイントを獲り逃すわけにはいかないので、ずっと勝ち続けないといけないと思っていました」と見事に優勝を決めた松尾柊磨選手(brioly racing)。「今回勝てたのも、お兄ちゃん(瀬那選手)やチーム監督の植月(重行)さんがいいセッティングを出してくれたおかげだと思います」
X30Jrの表彰式。左から2位の松居寿來選手、1位の松尾選手。

SLカートミーティング YAMAHAスーパーSS

 YAMAHAスーパーSSでは、3番グリッドの渡邉賢人選手(Super Racing Junkie!)がオープニングラップでトップを奪うと一気にリードを広げ、独走優勝を果たした。また、2位の遠藤晴久選手(チームエッフェガーラ)は5番グリッドから、3位の真貝俊幸選手(TEAM AKASAKA)は6番グリッドからポジションを上げての表彰台登壇だった。

渡邉賢人選手(Super Racing Junkie!)はスタート前にやや緊張していたようだが「ローリングの1周目でマシンのセッティングがばっちり合っていることが分かったので、あとはちゃんと走ればイケるなとは感じていました」と独走で勝利。「ファステストラップもあまり獲ったことがないので、ゴールしたときはうれしかったです」
2位は遠藤晴久選手(チームエッフェガーラ)、3位は真貝俊幸選手(TEAM AKASAKA)。
YAMAHAスーパーSS表彰の各選手。

SLカートミーティング YAMAHA SS

 今大会最多の18台が出走したYAMAHA SSでは、2番グリッドの山本祐輝選手(チームTKC)が2周目にポール発進の酒井龍太郎選手(ミツサダ PWG RACING)をパスしてトップに立つと、着々とリードを広げて優勝した。2位は5番グリッドから挽回の山下優選手(チームオーガスト)。酒井選手は大越武選手(BEMAX RACING)のチャージを辛くも退けて3位でフィニッシュした。

「自分のペースを守れば勝てると思っていました」と有言実行で優勝を遂げた山本祐輝選手(チームTKC)。勝負の仕掛けどころをしっかり計算していたようで、「今回は序盤で抜きにいきました。自分のペースなら早く抜けば追いつかれることはないだろうと思って。思いどおりのレース展開ができてよかったです」とコメント。
2位は山下優選手(チームオーガスト)、3位は酒井龍太郎選手(ミツサダ PWG RACING)。
YAMAHA SS表彰の各選手。

SLカートミーティング YAMAHAカデットオープン

 参加15台のにぎわいとなったYAMAHAカデットオープンでは、X30Jrとダブルエントリーの松尾柊磨選手(brioly racing)が独走でポール・トゥ・ウィンを遂げ、この日2勝目を獲得、2022年第4戦から負けなしの7連勝を達成した。その後方では大集団による接近戦が繰り広げられ、このグループをリードし続けた新橋武選手(Sigma Racing)が2位、阿部瑠緯選手(ミツサダ PWG RACING)が3位でフィニッシュした。

約1時間前にX30Jrで勝利を収めた松尾柊磨選手(brioly racing)。ダブルエントリーで臨んだYAMAHAカデットオープンもパーフェクトウィンを飾った。「X30Jrと同じように、こちらもシリーズ後半戦に入ったので、今後もこのまま勝ち続けてシリーズ全勝を目指して頑張ります」とシリーズチャンピオンに向けて意気込みを語った。
2位は新橋武選手(Sigma Racing)、3位は阿部瑠緯選手(ミツサダ PWG RACING)。
YAMAHAカデットオープン表彰の各選手。

スーパーリード

 スーパーリードは出走4台ながら、3台一列のホットな戦いが展開。地方選手権とダブルエントリーの中里龍昇選手(BEAR R.C.)が序盤戦で青木諒選手(ZERO ONE)を逆転すると、そのまま逃げ切って勝利を手にした。青木選手は中里選手と0.455秒差で惜しくも2位ゴールとなった。

予選では青木諒選手の速さに焦りを感じていたという中里龍昇選手(BEAR R.C.)だったが、「決勝では(青木選手に先行されると)もしかしたら追いつけないかもしれない可能性があったので、いけるときに抜きにいこうと思いました」とレースを振り返った。「次はタイムトライアルからすべて1位で勝つレースがしたいです」
スーパーリードの表彰式。左から2位の青木選手、1位の中里選手、タイムトライアルでファステストラップを記録して茂木町賞が贈られた松下知己選手。

ROTAX MOJO MAX CHALLENGE JuniorMAX

 JuniorMAXでは、ポールの関口瞬選手(brioly racing)と3番グリッドから浮上の大和田夢翔選手(カローラ新茨城CSIレーシングJr)が先頭集団を形成。レースが中盤戦に入ると、関口選手が徐々にリードを広げて勝利のチェッカーをくぐった。大和田夢翔選手は2位でフィニッシュ。3位には6番グリッドから追い上げた徳岡大凱選手(30's Racing)が入った。

優勝した関口瞬選手(brioly racing)は、レース前半での後続の選手について、「ペース的に抜かれる距離ではないと思ったので、安心して走っていました。ただ、ずっとついてくるとは思っていなかったので……」と驚いたとのこと。「もてぎのレースにはもう出る予定がないので、今後はMAX Festivalに向けて頑張ります」
2位は大和田夢翔選手(カローラ新茨城CSIレーシングJr)、3位は徳岡大凱選手(30's Racing)。
JuniorMAX表彰の各選手。

ROTAX MOJO MAX CHALLENGE MAX Masters

 MAX Mastersでは、ウェットコンディションのタイムトライアルで11台中10番手に埋もれた加藤雅規選手(Triple-K)が、ドライに変わった予選でスタート直後にトップに躍り出るミラクルを披露。決勝でも加藤選手の勢いは止まらず、終始独り旅を続けて快勝を果たした。2位は佐々木伸一選手(パワーワークス)。5番グリッドから追い上げて佐々木選手に0.174秒差まで迫った長戸和也選手(Macs Racing)が3位をゲットした。

「タイムトライルで10番手になったときはヤベェって感じでした」と心境を語った加藤雅規選手(Triple-K)。「予選ではスタートでアウト側が空いていたんで、なんとかトップに出ることができました」と挽回。「うまくいきましたね。次のレースでも序盤から逃げられるように頑張ります」と次戦での勝利の意欲を見せた。
2位は佐々木伸一選手(パワーワークス)、3位は長戸和也選手(Macs Racing)。
MAX Mastersの表彰式。左から2位の佐々木選手、1位の加藤選手、3位の長戸選手、タイムトライアルでファステストラップを記録して茂木町賞が贈られた丸田恭平選手。

ROTAX MOJO MAX CHALLENGE SeniorMAX

 SeniorMAXでは、スタートで2番グリッドの千田歩選手(RF-AOYAMA)がトップに浮上。だが、ポールの高野祐太選手(パワーワークス)は2周目に先頭の座を取り戻し、その後はじわじわとリードを広げて、2022年第2戦以来の優勝を飾った。千田選手は2位フィニッシュで自己最上位を更新。中島獅王選手(BUNZOU RACING with WISE)が3番手争いに競り勝って表彰台の最後の一席を手に入れた。

1年ぶりの優勝となった高野祐太選手(パワーワークス)がトップチェッカー。「ゴールのときはいろんな感情が湧いてきました。レースを止めようと思ったこともあったけれど、止めなくてよかったです。周りの人たちのサポートのおかげで、ここまで頑張れたのかなと思います。今年はしっかりチャンピオンを獲りたいです!」
2位は千田歩選手(RF-AOYAMA)、3位は中島獅王選手(BUNZOU RACING with WISE)。
SeniorMAX表彰の各選手。

フォト/JAFスポーツ編集部 レポート/水谷一夫、JAFスポーツ編集部

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