“ジムカーナキング”山野哲也選手、PE1クラスで通算23回目のタイトルを確定!

レポート ジムカーナ

2023年9月5日

全日本ジムカーナ選手権 第7戦「SUGO ALL JAPAN GYMKHANA」が、8月26~27日に宮城県村田町郊外のスポーツランドSUGO国際西コースで開催された。全9戦が組まれていた今シーズンの全日本ジムカーナ選手権は、第8戦に予定されていた恋の浦ラウンドが会場閉鎖のため中止。残るラウンドは今大会を含め2戦となる。

2023年JAF全日本ジムカーナ選手権 第7戦「SUGO ALL JAPAN GYMKHANA」
開催日:2023年8月26~27日
開催地:スポーツランドSUGO 国際西コース(宮城県村田町)
主催:SSC

 すでに第6戦でPN3クラスとPN4クラスのチャンピオンが確定した全日本ジムカーナ選手権だが、残るクラスはこの第7戦が大きな山場となる。2019年以来、4年ぶりの全日本開催となったスポーツランドSUGO国際西コースには、全クラス合わせて116台が集結。各クラスで熾烈な優勝争いが繰り広げられた。

 コースレイアウトは、西コースの外周と内周区間を4か所のショートカットシケインでつないだ設定。ターンセクションは、中盤の270度ターン、ゴール前の180度ターンの2か所のみとなる。高低差があるインターナショナルレーシングコースの最終コーナーシケイン付近に位置する西コースは、コースの奥側からパドック側に向けて傾斜がついているうえに、各コーナーやショートカットシケインのカント(傾斜)が微妙に異なる。そのため、コーナーの立ち上がりで大きく姿勢を乱す選手や、脱輪ペナルティを受ける選手も少なくなかった。

 全国的に厳しい残暑に見舞われたレースウイーク、公開練習が行われた26日は朝から好天に恵まれ、午前中から路面温度が50度を超えるコンディション。決勝が行われた27日は朝は雲が広がったものの、午後は真夏の太陽が路面に照りつけ、路面温度が50度以上に。そのため、各クラスの優勝タイムはPE1クラスとBC1クラス以外、第1ヒートのタイムで勝負が決着した。

傾斜が異なるショートカット部、そしてシケインでのライン取りが攻略のポイントとなった。今回はパイロンターンは2か所の設定だ。

PE1クラス

 今シーズン5勝を挙げている山野哲也選手(アルピーヌ・A110S)がタイトルに王手をかけているPE1クラスは、その山野選手が第1ヒートでトップタイムをマーク。今回、6位以内入賞でタイトルが確定する山野選手だが、第2ヒートでもタイムアップを果たして完勝。

「今回は絶対優勝というよりも、タイトルを確実に獲るための戦いだと思い、ラクな気持ちでSUGOに入ったんですが……。実際に来てみると、ことのほかコース設定が難しくて、まだまだ勉強することがあるんだなと改めて思った1戦でした。おかげで、決勝は第1ヒートも第2ヒートも全力で走ることができました」と山野選手。

 全日本ジムカーナでは7年連続23回目となるシリーズチャンピオンを確定させ、有効ポイントで満点となる今シーズン6勝目を挙げた。2位には、第1ヒートで山野選手に約0.3秒差に迫った牧野タイソン選手(アルピーヌ・A110S)が入賞、3位は第2ヒートでタイムを縮めてきた大橋政哉選手(アルピーヌ・A110S)が入賞した。

PE1クラス優勝は山野哲也選手(EXEDY71RS A110S)。
開幕戦は負傷による欠場を余儀なくされた山野選手だが、第2戦からは一度も優勝の座を譲ることなくシーズン6勝目を挙げた。
2位は牧野タイソン選手(DL★Rz速心A110S)、3位は大橋政哉選手(DLμG-LFWA110S)。
PE1クラスの表彰式。左から4位の飯野弘之選手、2位の牧野選手、1位の山野選手、3位の大橋政哉選手。
山野選手がPE1クラスのチャンピオンを確定させた。

PN1クラス

 朝山崇選手(トヨタ・ヤリス)が3勝、斉藤邦夫選手(トヨタ・ヤリス)が2勝のPN1クラス。この第7戦で朝山選手が優勝すれば今シーズンのシリーズチャンピオンが確定するという状況の中、斉藤選手が第1ヒートでクラス唯一となる1分25秒台のタイムをたたき出し、朝山選手に並ぶ今シーズン3勝目を獲得。

 朝山選手が2位に入賞したことで、最終戦を残して両者ともシリーズの有効得点が105点で並ぶという結果となった。3位には、第1ヒートのパイロンタッチと脱輪ペナルティを第2ヒートでリカバーした福田大輔選手(マツダ・デミオ15MB)が入賞した。

PN1クラス優勝は斉藤邦夫選手(ネッツ群馬ジースパイス ヤリス)。
SUGO国際西コースを得意とする斉藤選手が1本目のタイムで逃げ切りを果たし、タイトル争いは最終戦へ持ち越された。
2位は朝山崇選手(DLETP・BPFヤリスITO)、3位は福田大輔選手(T2レイズWmSPMマツダ2)。
PN1クラス表彰の各選手。

PN2クラス

 マツダ・ロードスターのワンメイク状態となっているPN2クラスは、小野圭一選手が第6戦からタイトルに王手をかけている状態だが、その第6戦では川北忠選手が今季2勝目を挙げ、タイトル確定を阻止。迎えた第7戦も、第1ヒートのタイムで逃げ切り今季3勝目を挙げ、シリーズチャンピオンに逆王手をかける結果となった。

 2位には、今シーズン2勝を挙げてクラス2連覇を狙う小林規敏選手が入賞したが、有効得点では最終戦を残してタイトル争いからは脱落。3位に小野選手が入賞し、最終戦での再逆転を目指す。

PN2クラス優勝は川北忠選手(DL HAL ロードスター)。
公開練習から迷いのない走りで絶好調の川北選手が三つ巴のタイトル戦いで抜きん出た。次戦は小野圭一選手との一騎打ちの戦いとなる。
2位は小林規敏選手(BS☆XPL☆EXロードスター)、3位は小野選手(DLクスコWm軽市ロードスター)。
PN2クラスの表彰式。左から4位の中田匠選手、2位の小林選手、1位の川北選手、3位の小野選手、5位の古田公保選手、6位の柏昇吾選手。

BC1クラス

 5人のウィナーが誕生し、タイトル争いが混沌とした状態のBC1クラス。シリーズランキングトップの野原博司選手(ホンダ・CR-X)が8位、ランキング2番手の西井将宏選手(ホンダ・インテグラ)がパイロンタッチに沈み12位、開幕戦の勝者でランキング4番手につける最上佳樹選手(ホンダ・インテグラ)もまさかの最下位と荒れた展開となった。

 その中、2019年から全日本ダートトライアルに転向し、全日本ジムカーナは2018年以来5年ぶりの参戦となる志村雅紀選手(スズキ・スイフトスポーツ)が、第1ヒートは3番手だったものの、第2ヒートで逆転。18年の第3戦以来となる優勝を獲得した。

 2位は第1ヒートトップの澤平直樹選手(スズキ・スイフトスポーツ)、3位にシリーズランキング3番手の山越義昌選手(ホンダ・シビック)が入賞し、最終戦はシリーズランキングトップの野原選手、同2番手の西井選手、同3番手の山越選手による三つ巴の戦いとなる。

BC1クラス優勝は志村雅紀選手(LAILE☆カヤバYHスイフト)。
志村選手のスイフトスポーツは筑波サーキットのタイムアタックで1分00秒4を計測したマシン。ジムカーナ仕様につくり変えての参戦だ。
2位は澤平直樹選手(YHボレロBBR犬スイフト)、3位は山越義昌選手(BS茨中摩摺セラ渦シビック)。
BC1クラスの表彰式。左から4位の神里義嗣選手、2位の澤平選手、1位の志村選手、3位の山越選手、5位の安田翔選手、6位の小武拓矢選手。

BC2クラス

 若林拳人選手(ロータス・エキシージS)がタイトルに王手をかけているBC2クラスは、シリーズランキング2番手の広瀬献選手(ホンダ・S2000)が、第1ヒートで2番手以降を3秒以上引き離すスーパータイムをたたき出し、今シーズン3勝目を獲得。

 広瀬選手は若林選手のタイトル確定を阻止するとともに、最終戦での再逆転チャンピオン獲得に望みをつないだ。2位には第2ヒートで順位を上げた藤井雅裕選手(マツダ・RX-7)が入賞、3位には昨年の東北シリーズの若きチャンピオン、飯野哲平選手(マツダ・RX-7)が入賞した。

BC2クラス優勝は広瀬献選手(WMマロヤAR林歯科S二千YH)。
ポイントランキングでは若林拳人選手に先行されているだけに、勝ちにこだわった広瀬選手。プレッシャーをはねのけて勝利を手繰り寄せた。
2位は藤井雅裕選手(BPF☆TY☆マジックRX-7)、3位は飯野哲平選手(DLアルボー犬ブレイブRX-7)。
BC2クラスの表彰式。左から4位の天満清選手、2位の藤井選手、1位の広瀬選手、3位の飯野選手、5位の葛西悠治選手、6位の渡辺公選手。

BC3クラス

 津川信次選手と菱井将文選手のトヨタ・GRヤリス勢が2勝ずつ、大橋渡選手(スバル・インプレッサWRX)が1勝を挙げているBC1クラス。有効得点では、今回津川選手が優勝となればタイトルが確定する可能性があるものの、菱井選手も大橋選手もまだまだ逆転のチャンスがあるという展開だ。

 金曜日の練習走行、土曜日の公開練習では津川選手が好タイムを連発していたが、決勝第1ヒートは菱井選手がベストタイムをマーク、そのタイムで優勝した。大橋選手が約0.3秒差の2位、津川選手が「決して油断したわけではないけど、決勝の第1ヒートだけが攻めきれなかった……」と、2位の大橋選手と0.02秒差の3位となった。

 この結果、有効得点は津川選手94点、菱井選手が93点の1点差に。最終戦はこの2台と、津川選手や菱井選手の結果次第では有効得点83点でシリーズ3番手につける大橋選手による三つ巴のタイトル争いが展開される。

BC3クラス優勝は菱井将文選手(BS・クスコヤリス)。
第1ヒートはタイトルコンテンダー3名が1分18秒台をマーク。頭ひとつ抜けた菱井選手がこのタイムで逃げ切り、決着は最終戦へと持ち越された。
2位は大橋渡選手(DLプレジャーインプレッサ)、3位は津川信次選手(DL☆BRIDE☆URGヤリス)。
BC3クラスの表彰式。左から4位の西原正樹選手、2位の大橋選手、1位の菱井選手、3位の津川選手、5位の佐藤英樹選手。

PN3クラス

 第6戦でユウ選手(マツダ・ロードスターRF)のシリーズチャンピオンが確定したPN3クラスは、そのユウ選手が第1ヒートでクラス唯一となる1分21秒台のタイムをたたき出し、今シーズン5勝目を獲得した。

 0.1秒を争う攻防となった2位争いは、ベテランの野島孝宏選手(マツダ・ロードスターRF)が入賞。0.042秒差の3位に、タービン交換で復調してきた若林隼人選手(アバルト・124スパイダー)が入賞した。2位の野島選手から5位の遠藤貴郁選手(トヨタ・GR86)までがわずか0.319秒差という僅差の勝負となった。

PN3クラス優勝はユウ選手(BS DRONE☆ロードスター)。
前戦のみかわラウンドで3年連続5回目のタイトルを確定させたユウ選手が第1ヒートのタイムで逃げ切った。
2位は野島孝宏選手(DLルブWMロードスター犬レイ)、3位は若林隼人選手(若林自動車コサリック速心124)。
PN3クラスの表彰式。左から4位の大多和健人、2位の野島選手、1位のユウ選手、3位の若林選手、5位の遠藤貴郁選手、6位の安藤祐貴選手。

PN4クラス

 PN4クラスは、松本敏選手(トヨタ・GRヤリス)が両ヒートでベストタイムを奪う走りで完勝。今シーズン2勝目を獲得した。2位には前戦でタイトルを決めた茅野成樹選手(トヨタ・GRヤリス)が入賞。3位は第1ヒートのタイムで亀山伸一選手(トヨタ・GRヤリス)が今シーズン初表彰台をつかんだ。

PN4クラス優勝は松本敏選手(ADVICS☆VT☆DLヤリス)。
大会当日は体調不良に見舞われていた松本選手だが、タイムを上げることが困難と言われる夏の大会の2本目で勝利を収めた。
2位は茅野成樹選手(EXEDY☆SCTAヤリスDL)、3位は亀山伸一選手(DL RSK GR ヤリス)。
PN4クラスの表彰式。左から4位の片山誠司選手、2位の茅野選手、1位の松本選手、3位の亀山選手。

フォト/CINQ、大野洋介、JAFスポーツ編集部 レポート/CINQ、JAFスポーツ編集部

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