ARTA MUGEN NSX-GTがポール・トゥ・フィニッシュ、UPGARAGE NSX GT3が今季2勝目で、ホンダが両クラスを制覇
2023年9月7日

スーパーGTの第5戦は8月26~27日に鈴鹿サーキットで450kmレースとして開催された。ポールポジションからスタートしたARTA MUGEN NSX-GT(福住仁嶺/大津弘樹組)が、今季初となるホンダ車の優勝を遂げ、地元・鈴鹿においてNSX-GT最後の優勝を決める。またGT300クラスでもUPGARAGE NSX GT3(小林崇志/小出峻組)が、開幕戦以来の今季2勝目を挙げ、GT500/GT300の両クラスでホンダ・NSXが優勝を決めた。
2023 SUPER GT Round.5 SUZUKA GT 450km RACE
開催日:2023年8月26~27日
開催地:鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)
主催:KSCC、SMSC、ホンダモビリティランド株式会社
全8戦で争われるスーパーGTも後半戦に突入。6月の第3戦と同様、鈴鹿で450kmレースとして開催された第5戦は、夏休み最後の週末ということもあり、朝早くから多くのファンがサーキットに詰めかけ、予選日は約1万2500人、決勝日は約2万500人のファンで賑わった。
なおレースの直前には、第4戦富士で火災を起こした25号車HOPPY Schatz GR Supra GT(菅波冬悟/野中誠太組)が後半戦を欠場、244号車HACHI-ICHI GR Supra GT(佐藤公哉/三宅淳詞組)がシリーズから撤退となり、GT300クラスは25台のエントリーとなった。
予選
暦の上では秋に入ったが、予選日の26日は朝9時の時点で気温は30度を超え、鈴鹿の残暑はまだまだ厳しい。気温33度、路面温度45度の15時20分に公式予選が始まった。
GT500クラスでは、朝の公式練習でトップタイムをマークした16号車NSXがセッションの最後にポールポジションを獲得し、23号車MOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ組)、17号車Astemo NSX-GT(塚越広大/松下信治組)が続いた。
またGT300クラスでは、61号車SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝組)の山内選手が、クラス最多となる14回目のポールポジションを獲得。山内選手と同じ13回で並んでいた高木真一選手の96号車K-tunes RC F GT3(新田守男/高木組)は2番手、3番手は4号車グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝/片岡龍也組)だった。


GT500クラス
真夏の耐久レース決勝は気温33度、路面温度50度と、グリッドにいるだけで汗が吹き出るような14時53分にスタートが切られ、大きな混乱もなくレースは静かに周回を重ねていった。スタートから20分が経過した11周目に、1台の車両がNIPPOコーナーでストップし、フルコースイエロー(FCY)導入となる。
このタイミングでトップを走行していた16号車NSXと6番手を走行していた24号車リアライズコーポレーション ADVAN Z(佐々木大樹/平手晃平組)が、義務づけられた給油を伴う2回のピット作業の最初のピット作業を済ませた。しかし24号車ZはFCY中のピットインとみなされ、60秒のピットストップが命じられて入賞圏内から脱落することに。
ここから23号車Zがトップに立ち、17号車NSXが追う展開に。15周目には38号車ZENT CERUMO GR Supra(立川祐路/石浦宏明組)の立川選手が3番手へ順位を上げた。18周で23号車Zがタイヤ交換を含むピットインをし、17号車NSXの松下選手が難なくトップへ浮上。
27周で17号車NSX、38号車スープラ、1号車MARELLI IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット組)のトップ3台がピットイン。これでFCY時のタイミング良いピットインが奏功した16号車NSXがトップに立ち、30周目には2番手の23号車Zとの差は38秒に開いた。この20秒後方には12番グリッドから3番手へ大きく順位を上げた39号車DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/中山雄一組)がつける。
77周レースの折り返し点を過ぎた42周で、23号車Zが2回目のピットインで松田選手に交代。43周で39号車スープラ、44周で16号車NSXもピットインして、それぞれ中山選手、福住選手に交代した。50周目、1台の車両のホイールが脱落して130Rでクラッシュした車両があり、この日2回目のFCYとなったが、このタイミングで1号車Zが2回目のピット作業を終えた。
54周ですべての車両が2回目のピット作業を終えると、16号車NSXがトップで、23号車Zがその差を12秒まで縮めて2番手、これに39号車スープラが続いた。62周目には11番手を走行していた8号車ARTA MUGEN NSX-GT(野尻智紀/大湯都史樹組)が、接触によるパンクから130Rでコースオフを喫し、この日3回目のFCYとなったが大勢に影響はなし。
そのまま16号車NSXが逃げ切り今季初優勝。福住選手は約2年ぶりの優勝で、大津選手はうれしいGT500初優勝となった。2番手は23号車Zだったが、レース後の再車検でスキッドブロックの規定違反(厚さ)で失格となり、39号車スープラが2位へ、14号車ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太組)が3位に繰り上がった。
この結果、98kgのサクセスウェイトもあり、今回ノーポイントに終わった3号車Niterra MOTUL Z(千代勝正/高星明誠組)のポイントリーダー、36号車au TOM'S GR Supra(坪井翔/宮田莉朋組)のランキング2番手に変化はなかったが、16号車NSXが3番手に順位を上げることになった。



GT300クラス
GT300クラスは、5周完了時に最初のピット作業を済ませる車両が5台あり、タイヤ交換を行わなかった2号車muta Racing GR86 GT(堤優威/平良響/加藤寛規組)が5台のうちトップでコースに戻った。ポールスタートの61号車BRZの山内選手は序盤から2番手以下を引き離し、10周目には2番手96号車RC Fとの差を6秒まで開いた。
10周目に8番手を走行していた6号車DOBOT Audi R8 LMS(片山義章/ロベルト・メリ・ムンタン/神晴也組)の左リアホイールが外れてストップ。これでFCY導入となったが、GT300クラスではピットインする車両はなかった。3分後にレースはリスタートとなり、61号車BRZは16周でピットインしてタイヤも交換。
代わってトップに立った4号車メルセデスも18周でピットイン。これで予選4番手の87号車Bamboo Airways ランボルギーニ GT3(松浦孝亮/坂口夏月組)、予選7番手の88号車JLOC ランボルギーニ GT3(小暮卓史/元嶋佑弥組)、ポイントリーダーで9番グリッドスタートの56号車リアライズ日産メカニックチャレンジGT-R(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ/名取鉄平組)、16番グリッドから大きく順位を上げた18号車NSXの順となった。
レースの1/3経過に近い21周で18号車NSX、24周で87号車ランボルギーニ、56号車GT-R、そして25周で88号車ランボルギーニがピットイン。トップに立った9号車PACIFIC ぶいすぽっ NAC AMG(阪口良平/リアン・ジャトン/川端伸太朗組)が28周でピットインをすると、すでに1回目のピット作業を序盤に済ませていた2号車GR86がトップに浮上。その2号車GR86は折り返し点に近い37周で2回目のピット作業を済ませた。
これで40周目には61号車BRZがトップで、88号車ランボルギーニ、4号車メルセデス、56号車GT-R、87号車ランボルギーニ、18号車NSXと続く展開に。しかし45周目のバックストレートで56号車GT-Rの右リアタイヤが外れて130Rでクラッシュ。この日2回目のFCY導入となった。そしてそのタイミングで2回目のピットインをしていたのが、87号車ランボルギーニと18号車NSXだった。
5分後にFCYが解除されると、トップの88号車ランボルギーニと2番手の4号車メルセデスがピットイン。18号車NSXがトップ、87号車ランボルギーニが2番手へ浮上することに。87号車ランボルギーニの松浦選手は、何度も18号車NSXの小林選手に詰め寄るも、最後まで並ぶまでには至らず、18号車NSXが1.008秒差で逃げ切り今季2勝目を挙げた。3位は58周目に順位を上げた61号車BRZだった。
この結果、18号車NSXがポイントリーダーとなり、同ポイントの7号車Studie BMW M4の荒聖治選手が2番手、2点差で56号車GT-Rに。6番手までが10ポイント差にひしめくことになり、残り3戦の戦いが非常に楽しみになった。



表彰式の後には8月の鈴鹿恒例となっている花火が打ち上がり、夏祭り的なイベントは終了となった。次の第6戦は9月16~17日、スポーツランドSUGOにおいて300kmレースとして開催予定だ。
フォト/石原康、遠藤樹弥 レポート/皆越和也、JAFスポーツ編集部